地獄
サタン【集まったな、魔王達】
ベルゼブブ【ベルゼブブ、此処に】
アスモデウス【アスモデウス、あなたのお傍に】
レヴィアタン【レヴィアタン、出席…】
マモン【サタン様!マモンだ!!】
ベルフェゴール【( ˘ω˘)スヤァ】
サタン【良し、此度は少し話題にしなくちゃいけないことが出来た】
レヴィアタン【マモンの無駄遣い…?】
マモン【財は使うものだ!サタン様はケチではない!】
サタン【あぁ、実はね…トットムジカの能力で、我等の肉体がカルデアに反旗を翻す可能性が出てきたという話だよ】
【【【!?】】】
エレジア。かつての音楽の都。麦わら海賊団の離散から2年の月日が経った今、その復興はかつての隆盛を思い出させるものにまで至ったと言っていい程に進展していた。天竜人だった者達と、悪魔達のたゆまぬ作業によりかつての音楽の都はその美しさを完全に取り戻したと言えよう。
それをイムに伝えたところ、『カームベルトか嵐のどちらかで外界を遮れ』とのアドバイスにより、レヴィアタンが海王類を含めた全てを拒絶しているため、外界には復興が漏れていないというところである。そんな町中を、サタンら魔王達はベルフェゴールを抱えたマモンと共に闊歩していた。
【ウタウタの実とトットムジカ…相乗効果でそのような効果を発揮できるだなんて…】
【相性が良すぎるから起きた副産物…羨ましい…】
アスモデウスにレヴィアタンは純粋に驚きを隠せないと言った様子だ。伊達に魔王を名乗ってはいないと、認識を新たにする。
【フッハッハッハッハ!操られたら何か問題があるというのか?我等七大魔王、辺境の魔王に遅れなど取らぬわ!】
【我等の力を、制御なくエレジアや地獄で解き放つということだぞ】
【うむ!!大問題だったわ!!】
事態を把握し笑うマモンに頭を抱えるベルゼブブ。そう、彼等の懸念は同時に作戦を遂行するカルデアへの負担であった。
【眠っているとはいえ、僕達が本気でカルデアに挑んだら多少は手を焼くだろうし、負けるはずはないにしても戦線に影響は出ちゃうよね、絶対…】
【それにサタン様!我々はカルデアとその一人一人に対する同盟という硬い盟約を結んでおります、それを破ってしまうなどという事は許されませんわ!】
アスモデウスの言う通り、最悪のシナリオは同盟の違反抵触による破棄、敵対の流れに他ならない。七大魔王は、カルデアと汎人類史の未来を懸けた決戦に至ることを心待ちにしているのだ。
七大魔王の全ては敵対者の使命を担うもの。カルデアの旅路に参列することが叶うならば、それは【脅威】と『打倒』以外に他ならない。地獄の全てを懸け、それをカルデアが乗り越える事により、サタンらの存在意義は果たされるのだ。神のみが討ち果させる魔王を、人間の夢と希望と善が乗り越える。それは神を人間が上回った何よりの証明。
魔王達は、自身らをカルデアが討ち果たす瞬間をこそ最高の人生の意義として存在している。それすら揺るがしかねない今回の問題は、到底容認できないものだ。
【そんな、意識もなく雑な再生怪人のようにカルデアの皆様の手を煩わせるなど…!私はこう、精も根も尽き果てた上で朝焼けに微笑むカルデアの皆様を見て逝きたいのです!】
【色欲ビジョンが明確…。でも解る。最後まで、カルデアのあらゆる全てを羨ましんで死にたい……】
【財の存続人がいなければ不毛な争いは避けられん!受取人の名義と遺言所は遺させてもらいたいものだな!名義はオルガマリー所長辺りにしておくか!フッハッハッハ!!】
不思議な事だが、魔王達は全身全霊を以てカルデアに挑む気概でいるが自身らの勝利には一切言及しない。まるでそれは、カルデアの勝利を確信しているかのようだ。
【やはり着眼点は、意識もなく打倒されることへの忌避に決戦前の戦闘行為の懸念…我々は我々なりに、年末の戦いを心待ちにしていたという事です】
【そのようだね。僕はともかく、皆がそうまで乗り気だったのは嬉しい誤算かもしれない】
事実、この機に乗じてカルデアの戦力を削るなどという無粋を言葉にした輩は殺すつもりであったため、サタンは概ね満足を見せる。魔王というものがなんたるかをよく理解しているようだ。
【トットムジカ自体は、カルデアが負けるわけ無いからいいとして…問題は僕達が足を引っ張ってしまうのと、下手をするとカルデアの敵対行為になってしまうところだよね…ん〜、どうする?いっその事全員肉体消滅させておく?】
魂だけなら操られる肉体も無いよね?という言葉に割とそれもまぁ…という反応を見せる魔王達。自身らの肉体への執着が極めて薄い超越者の結論が導き出されようとした時…。
『さも当たり前の様に肉体の消滅を勘定に入れてはならんよ諸君…』
天空より、一羽の白き鳩が舞い降りる。その輝きを、一同は忌々しくも周知するところであった。
【聖霊…パパポポだったか?】
『PPPP、覚えやすいだろう?早計はならんぞ、バアル。アスモデウスらも落ち着きなさい』
【愚かね、唯一神!わざわざ殺されに来るとは!】
【待って、アスモデウス。コレ、聖霊だから…それに、あの自尊心の塊の臆病者がハトの姿でウロウロしてるわけない】
【ベルゼブブやサタン様が言っていた、偽神とやらの存在…この白いトリはそうではないということか!】
魔王達の言葉に、パパポポは頷く。
『未だ調査中の身ではあるが、間違いないことはある。今、汎人類史の天の座にある存在は私ではない。異なる世界、異なる場所より出でし嫉むものである』
【…どういう事かしら?】
『ソロモンとゲーティア、みたいな関係性ということだっポよ。サタン説明してなかったの?』
【どうだったっけ?】
『……まぁともかく、君達は本来大天使、神獣、高位の神に神の如き者。そんな君達がこのように辱められ、貶められたのは紛れもなく私の責任だ。故にこそ、君達のあらゆるものを粗雑に消し去るわけにはいかない』
それらは魔王達がかつて受けた自尊の傲慢ではない、気遣いによる慈愛と慈悲。優しき父の物言いに、一同は顔を見合わせる。
『君達が操られたと言うならば、私がそれらを鎮めよう。どうか安心してカルデアの皆と力を合わせてほしい』
その一見、無謀な提案に偽神アンチの魔王三者は凄みを利かせる。
【は?カルデアの皆さまならともかくあなたのようなハトモドキが私達を止められるなどと囀るの?】
【自信なのか自尊なのか自負なのか…どちらにせよ、舐め腐ったチキンは羨ましくない…】
【ほざきおるわ!見るに全盛の力は偽神とやらに奪われているのであろう?舐めるなよフライドチキンにしてくれるわ!!】
『ポ……風当たりがあまりにも強い…無理もないけど…』
【まぁ待て、お前達。この様に話をする時点で傲岸なかつての存在とは似ても似つかぬと解るであろう】
【それは間違いなく】
【自分のことしか話さないクソゴミハゲ野郎…】
【うむ!財は自分だけ持てばいいという唾棄すべき強突張りだな!】
【であるならば、このハトの代わりとなる戦力が用意される筈だ。そうだな?聖霊よ】
『流石は我が盟友バアル・ゼブル。共に飲んだ葡萄酒の味は忘れていないッポよ』
【…私もだ】
『諸君らはカルデアの敵である事を重視しているが、私は君達に好敵手であってほしいのであって雑魚敵でいてほしいわけではない。決着は、尋常なる場にて行ってほしい。君達を護る事はカルデアにとっても急務だ。ギルガメッシュ君からも許可を得ている』
【【【【じ〜〜〜ん…………】】】】
『エアちゃんからも頼まれている』
『ファ〜〜〜…』
【ルシファー様、どうか昇天は耐えてください。…では、具体的なプランを聞かせてもらおう】
No.2たる場の仕切り能力を存分に発揮しながら語るベルゼブブに、パパポポはうんうんと頷く。
『そう……私は自尊を獣性にしない方のパパポポ。私に出来ないことは力を借りる事にしているッポ』
【それはもしや……】
『そう。我々には…頼もしい仲間や味方が存在している。それらに、君達の暴走を抑える役割を担ってもらうっポよ!』
キリッ、と伝えるパパポポの自信満々に語る姿に、仄かに不安を覚えたベルゼブブであったが…
【大丈夫だよ、ベルゼブブ】
【!】
【このハトは、真面目にやるところはやる人だから…ハト?】
それを最も信頼しているのは他ならない…サタンそのものであった。
パパポポ『という訳で、暫定メンバーを紹介するッポよ』
アダム「ルシファー、それにバアル、アスモデウス、レヴィアタンにマモン、ベルフェゴール。懐かしい顔ぶれだ…」
サリエル『こんにちはですね、ルシファー』
アバドン『天界対戦を思い出しますね、ルシファー』
温羅「抑えときゃいいんだな?任せとけ!」
リリス『よりによってあんたたちを抑えるとはね…いえ、意趣返しになるのかしら?』
ルシファー『へぇ…!』
パパポポ『彼らや彼女らは天使、グランド、あるいはビーストに類する者達。君達を倒さず食い止めるという大役を果たしてくれるッポよ』
ルシファー『…改めて…本当に違うんだね。あなたは』
バアル『うむ。……いずれ、決着をつけねばなるまい』
パパポポ『そうだとも。…ではまず…ミサでも開く?』
魔王達【【【【ふざけんな!】】】】
パパポポ『ポ…』
リリス『復権は遠いわね、お父さん』
アダム「地道に頑張ろう。ルシファー、色々と話さないか」
ルシファー『うん!』
概ねパパポポ以外は良好な関係を築くことには成功したのであった。
ヒュプノス『睡眠カバーは任せてもらう』
バアル『!?』
新たな神の知己も増えた。
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