特殊部隊【【【【【…………】】】】】
サラ(敵の部隊は8、いや10はいる…ヒフミを抱えたままでは彼女が堪えられないか…!)
ヒフミ「あ、アカペロロ様…!アダム先生はまだ下層です…!助けに来てもらうにしても、時間が…!」
アカペロロ『……やむを得ない!』
ヒフミ「え、きゃっ!?」
アカペロロ『リフターの影から出るな、ヒフミ!ここは私が対処する!』
「アカペロロ様!!」
『こんなところで…アダム先生の生徒を死なせるわけに行くか!』
『おおおおおおおおおおおおおおお!!』
アカペロロ、そして派遣会社に籍を置く今回の誘拐の実行犯たる部隊との激戦が幕を開けた。リフター二つをヒフミ守護に使ったアカペロロは、そのずんぐりむっくりの分厚い装甲による格闘戦にもつれ込む。
『でぇえぇい!!』
アリウス分校出身の特殊部隊との激しい格闘戦をサラは繰り広げる。鈍重な見た目からはまるで想像すら出来ない動き。射撃部隊の射撃をバック転に側転、空中3回転捻りに5メートル近い跳躍の一飛で対処し、鋼の爪の蹴りで確実にダメージを与えていく。
『ちぃ…!』
しかし、生徒でなく大人となったアリウスの部隊は生半可なものではなかった。崩せどすぐに立て直し、完璧な統率によるフォーメーションによりサラという個を封殺してくるのだ。
「きゃあぁあっ!」
同時にリフターの背後に隠れたヒフミにも制圧射撃を行ってくる。アリウスにとってトリニティの生徒全てが復讐の対象であるが故、当然彼女もターゲットであるのだ。
『ヒフミ!ちぃ…!』
助けに行こうにも、五人がかりの近接部隊がサラに波状攻撃を叩きつけてくる。スタンロッド、ナイフ、ダガー、ハンドアックスにブラックジャック。それら全てを五体と装甲で弾き返しながら、サラは問う。
『お前達の目的は、トリニティへの復讐だな…!』
【!】
『お前達の行為は新たな憎しみの火種を生み出すだけの無意味なものだ!そんなことをしても、アリウス分校の憎しみは消えはしない!』
だから、こんな事は止めて新たな道を模索しろ。無論、そのための力を貸す覚悟だ。そう伝えたかったサラであったが……
【──貴様に…トリニティの貴様に何が解る……!!】
当然それは、迫害され憎しみを紡いだ彼女らの怒りを燃え上がらせる。サラは絶望的に口下手であり、それは心を殺していたアリウス達の殺意すら呼び起こした。それほど、サラは彼女らを激させた。
【我々の受けた憎しみは、お前達トリニティが我等に先に植え付けたものなのだ!先に我々を迫害したのはお前達だ!!】
『…!!』
【お前達の生み出した憎しみは、我々から憎しみ以外の全てを奪ったのだ…!!当たり前の生活も!人生も!!】
殺意のままに射撃部隊が取り出せしはロケットランチャーにニードルミサイルキャノン。殺意と憎しみが、12人の内残った5人の練度を極限まで高めた。アカペロロが加速度的に装甲を砕かれ始める。
【何が悪い……!やられた事をやり返して何が悪いっ!!】
『…!』
【私達は卒業したあとも、まともな職にすらつけなかった!存在しない分校など、卒業扱いされない!】
【行倒れるしかなかった我々を、この会社は拾い上げた!利用されているなど百も承知だ…!】
【だがそれでも構わなかった!我等の全てを奪ったトリニティに復讐できるなら!!】
それは、立場は違えど同じだった。アダム達が垣間見た、イジメられたトリニティ生徒の慟哭を。
【私達はトリニティが憎い……!私達から青春を、普通を!人生を奪ったトリニティの全てが憎い!!】
ミサイルによりアカペロロの、右腕が吹き飛ぶ。
【これは復讐なのだ!奪われた全てを、同じ様に奪うことで我等の憎しみを思い知らせる!】
ニードルミサイルが更に刺さり、トサカがもげ、だらりとした舌が引き千切られる。
【例え死のうとも構うものか…!喪うものなど何も無い!得たものなど、何も無いのだから!!】
装甲が加速度的に剥げていき、凄惨な姿になろうとも抵抗するアカペロロに、憎しみが叩きつけられる。
『……!』
【私達は貴様らの死を望んでいる……!貴様らが私達にしたように!!】
『くっ…!』
【我等の憎しみにより!滅びるがいい────!!!!】
ナイフ、スタンロッド、そしてブラックジャックの殴打により致命的なダメージを負うアカペロロ。目玉が片方ボトリと落ち、各部から煙が上がる。
(迫害……歴史による学園ぐるみのイジメ。そこから生まれた憎しみを、彼女たちは懐いている)
正確には、彼女たちの器には憎しみしか込められていない。アスカは、トリニティの生徒達に寄り添った。しかしサラは──。
(果たして私に…彼女達の憎しみを蹴散らす資格はあるのか…?)
彼女らの動機は、ホワイダニットは理解できるものだ。それらは、憎しみにより全てを奪われた。
奪われたものを、同じ様に奪って何が悪い。彼女達の取り返しのつかない喪失は、同じ様に奪う事でしか癒やすことが出来ないのか?
(……今の私は、トリニティに在籍している。もし…私を殺すことで、彼女らの憎しみを癒やすことが出来るなら…)
サラは常に、他者を気にかけ案じる者だ。そして、かつて父に言われた言葉を思い出す。それは、自分の口下手でヤマトと絶交寸前まで喧嘩した際の幼少の頃。
〜
想いは…言葉は伝えねば届かぬと言うのに!何故それを正しく伝える努力をせぬ!!
正しく心に届けねばならんのだ!得難き関係が壊れる前に!何故それがわからん!!
〜
(また私は…間違えたのかな…)
両親と総出でヤマトに謝った過去の時。今度こそ、誰かに寄り添う自分でありたいと願ったのに。
また致命的に、自分は間違えてしまった。ならばそれは、彼女らの憎しみは。
【死ね…!トリニティ───!!!】
『……………』
憎しみに共感したサラは、それを避けようとせず…。
「────止めてくださいっ!!!!!」
…しかし。サラのその決断を、否と叫ぶものがいた。
「止めてください!これ以上…アカペロロ様を傷付けないでくださいっ!!」
『!ヒフミ…!!』
リフターを押しのけ、倒れたアカペロロを庇う形で特殊部隊の前に立つヒフミ。次の瞬間には、ロケットランチャーやニードルミサイルに消し飛ばされてもおかしくないにも関わらず。
【なんだ、貴様から死にたいのか。トリニティ】
「…貴方達は、私たちから奪ったといいました!」
【その通りだ】
「奪っていません!!」
【何…?】
「私は!あなた達から何も奪っていません!!」
毅然と告げるヒフミ。その目は真っ赤に腫れ、鼻も真っ赤になっていた。目の前で傷付いていくアカペロロに、心を痛めていたのだろう。
「私はあなた達から何も奪っていません!!だから私から…!アカペロロ様を奪わないでください!!」
『ヒフミ…』
「アカペロロ様は優柔不断で、変な仮面集めが好きで、変なノースリーブが好きで、情けなくて、ロリコンで、マザコンで、シスコンで…!」
【次弾装填】
「でも!!困った時は必ず助けてくれる孤高の戦士なんです!!鬱憤晴らしなんていう理由で…!私のヒーローを奪わないでください!!」
アリウス達の行動は機械的だった。銃火器を装填し、刃を持ち歩み寄る。
【お前から死ぬぞ】
「構いません!その代わり…!犠牲は私で最後にしてください!!」
『何を…!!』
「私を惨たらしく殺してください!それを最後に…憎しみを終わらせてください!もう、憎しみなんて終わりにするんです!今!ここで!」
ヒフミは全てを覚悟していた。アカペロロを助けるために、死地に立ち庇った。ならばその結末も、全て。
【なら、まずはお前だ】
「アカペロロ様!!」
『ヒフミ!!』
「──あの日、私を助けてくれて…!ありがとうございました!」
ヒフミの笑顔と、引き金を引く音は全く同時に──。
『ヒフミーーーーーーーーーッ!!!!!』
瞬間、射撃部隊の大口径火力兵器が全て、ヒフミに向けられる。
大爆発。大轟音。防弾加工の特殊エリアでなくば吹き飛んでいただろう大火力。ヒフミの肉体など跡形もなく──。
「……ぁ、あぁ…!」
否。ヒフミは生きていた。即死の攻撃は全て…。
『──────』
「あ、アカペロロ様ぁ─────っ!!」
アカペロロが庇い、受けていたのだ。最早致命は避けられない。砕け散っていくアカペロロ。
『──すまなかった、ヒフミ』
「!」
『──また私は…間違える所だった…!』
アカペロロの装甲が砕け、崩れ、そして──
『この場において、君の命を護ることより──正しい事は無かった!!』
──内部に在った、真の姿が顕となる。サーモンピンクと黒、白のカラーリング。銀色の関節に、肩から脚に至るまで搭載されたビーム近接兵装。
「ぁ、アカペロロ…様…?」
ヒフミをお姫様抱きにて護る、アカペロロに隠されていた、榊原とカルデア技術部、並びにミレニアム開発部の助力すら借りて作り上げた二段装甲。
『アダム先生の生徒を取り戻すために、私は今、ここにいるんだ!!』
インフィニットジャスティスガンダム。サラが真に纏っていた、プラモデルアーマーの本領である──!
【虚仮威しを…!!】
そこからの鎮圧は一瞬だった。
『とうっ!!』
両肩のフラッシュエッジビームブーメラン投擲、リフター二つを遠隔操作。
【ぐあっ!!】【がああぁっ!!】
射撃部隊の携行兵器を破壊。リフターにより完全に気絶させ無力化。
『でぇえぇい!!』
【ぐうっ!!】【ぐわぁ!!】
そのまま、両足のビームエッジによる錐揉キックにより纏めて二人を鎮圧。
【くっ───!!】
『甘いッ!!』
そのまま隊長格が行動を起こすより早く──
『この──馬鹿野郎ぉおッ!!!』
【ぐあああああああっ!!】
無数の蹴りの連打により、完全撃破を果たしたのだった。
「……す、凄い…アカペロロ様から出てきた、変なロボット……」
呆然とするヒフミを、助け起こす。
『アカペロロは追加装甲だ。最初から、ジャスティスの損壊を阻むためのものだ。使うタイミングを逃さなかったのは君のおかげだ、ヒフミ』
「えっ。じゃあアカペロロ様は…アカペロロ様は…?」
『わからないか?私だ、ヒフミ。石田サラだ』
ジャスティスの顔面部を展開し、ヒフミにとっては最悪の事実を曝すサラ。
「………………あ、あはは…………………」
そしてそれを受け───阿慈谷ヒフミは廃人となったのだった。
サラ「おっと。…よく頑張ったな、ヒフミ。後は任せろ」
(生徒達の位置は割れている。すぐに向かわなくては…!)
「あのエレベーターか…!」
アリウス【う……うぅ…】
サラ『!』
【………我々の憎しみは……終わらない……】
『何を…………』
【…頼んだぞ…錠前……我々の憎しみを、必ずや……トリニティ共に……】
『………アダム先生、今から救出に向かいます!』
ヒフミを抱え、サラは走り…
そして、それを見る。
サラ『これは……!』
それは、攫われた生徒達が入れられたカプセル。
そしてそこから伸びる先にある──
『巨大な…人型兵器…!?』
奇跡と神秘すら我が物とできると想い上がった愚者による、欲望の果ての結晶を。
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