ルル『解像度も可能な限り上げておいた。お手柄だな、ヤマト』
ヤマト「本当にありがとう。徹夜までして付き合ってくれて」
ルル『気にするな。夏草の民として、昇陽学園の生徒として卑劣なイジメなど断じて許すわけにはいかないからな』
ヤマト「うん。…私は幸せだよ。夏草の仲間は、皆私より凄いから」
ルル『フッ。だからといって、課題をサラに押し付けるのは良くないぞ。お前は甘え上手の甘やかし上手だからな、断われんのだ』
ヤマト「あはは…気をつけます…」
ルル『お前達のプラモデルアーマースーツももうすぐ調整が終わる。榊原先生、ストライクフリーダムとインフィニットジャスティス、デスティニーをまたフルスクラッチで作っているぞ。…非売品PG、パーフェクトグレードの金型からな』
ヤマト「金型!?」
ルル『制作会社から極秘でノウハウ提供されたらしい。内海市長の手回しで送られたらしいが…まず間違いなく、夏草以上のスペックになるだろうな』
ヤマト「大人、凄いなぁ…ん?」
サラ『ヤマト、聞こえるか?こちらアカペロロだ』
ヤマト「……………?????」
サラ「調査の結果を送る。もしかするとこれは、私達が考える以上に闇が深いかもしれないな」
ルル『なんだ、あの出来損ないのペンギンは…?』
ヤマト「サラ、なんだよね…?」
〜
ヒフミ「はい!ブラックマーケットの重役、会社、役員の個人情報を全て抜き取っておきました!サーバーもカウンターで焼き払っておきましたよ、アカペロロ様!調査にお役立てください!」
アカペロロ「…君は特殊なエージェントなのか?」
ヒフミ「いいえ!普通の女の子です!」
アカペロロ「ふ、普通か…」
(キヴォトスは恐ろしい所だ。…ブラックマーケットの人材派遣会社…)
「幅広い新規採用を募っていますね。学生に出身は問わない…ブラックなのにホワイトです!」
アカペロロ「……見ろ、ヒフミ」
ヒフミ「え?あっ…!」
アカペロロ「ごのマスク、改修されているが…先に君を攫おうとしたものの同系列だ。それにこのマスクデータ…」
ヒフミ「マスクだけに、ですね」
アカペロロ「…警備部隊、人材派遣担当、起用担当の出身高校が皆…」
ヒフミ「…アリウス、分校…!アカペロロ様、私はもう少しこの会社の機密情報を抜いてきますね!」
アカペロロ「あ、あぁ…無理はするなよ」
ヒフミ「実は私、アカペロロ様のプラモデルも持っているんです!良かったら、アカペロロ様に私のフルスクラッチモデルを献上いたしますね!」
アカペロロ(成る程…オルガマリー所長。この姿は彼女というSクラスエージェントを味方につけるためだったのですね…)
「うわぁ!私の下着がネットでオークションに出されてる!あ、でも割とデザインは好評だ!やった!」
絶賛イジメのおとり捜査に挑むアスカは、盗まれた下着の行方に一喜一憂していた。トリニティ学園の屋上にて、一人弁当を食べながら景色を見つつ端末を確認している。
「バカな奴等だな。こんな事すればするほど自分の首を絞めるだけなんだ。今に見てろよ〜…!!」
本人はと言うと、苛烈なイジメを一身に受けても尚微塵もへこたれていない。精神の頑強さもそうだが、それ以上に『あんな間違った奴等に負けてたまるか』という強烈な反抗心と闘争心が彼女を奮い立たせていた。
(ヤマトさんが証拠を集めてくれてる。カルデアの皆や、ついでにサラも調査してくれてる。やられっぱなしでいるのはもうすぐ終わりだ…!反撃になったら目にもの見せてやる…!!)
巻き込まれる生徒が現れないよう、わざと交流を絶ち死角にてイジメを受けているアスカ。腹を殴られビンタされ、水をかけられ物を捨てられといったイジメをされる度にその怒りを滾らせていく。学食摂取の量が増えたがさしたる問題ではない。
更に、サラが全てのメニューを食べた料理店によるメンタルケアにより、彼女の精神は微塵も翳らなかった。アダムと榊原、ヤマトの甘やかしによりイジメなど寝れば忘れるのである。共にいじめに立ち向かう仲間。それこそが彼女の心の強さだ。
(あと半日には証拠も集まるってヤマトさんは言ってた。その時、やってやる…!)
気合いをたぎらせながら、水をかけられふやけた弁当を食べたズタズタにされたノートを懸命に直すアスカ。昼休みは怒りのチャージ期間であった。
「あ、あの……」
「ん?」
すると、そんなアスカに話しかける生徒が現れた。その顔を、アスカは把握している。
「あ!シンナーくれた子!尾張メイ!」
「あっ、覚えていてくださったのですね…はい。尾張メイです。その…鈴村アスカさん。あなたとお話がしたくて…」
「私と?何々?…あ。い、いや。イジメに巻き込まれるから…」
「いいんです。…今は寝ていますから…」
「寝ている…?」
メイはおずおずとアスカの横に座り、口を開く。
「アスカさんは、どうしてそんなに強いんですか?私や皆が、心を折ってしまったイジメを、もう何日も受けて…」
「あぁ…イジメに対する所感かぁ…」
どうせなら何かデザインしてほしいみたいな話が良かったなぁ…と思いつつも、自分なりの対策は彼女達にも使ってもらえるかもと感じたアスカは伝えることとする。
「私は間違ってないからだよ。イジメなんて、やるほうが悪いんだ」
「えっ?」
「なんで悪いやつのために、自分の人生を曲げなきゃいけないんだ。間違えてるのはあいつらだし、私がイジメに立ち向かうことは、イジメが悪い事だって確信してるからだ。だから私は絶対に負けないんだよ」
シンプルかつ、当たり前の事だ。何故、自分が理不尽に下を向かなくちゃならない?下を向くべきは、イジメを詫びる時のお前達だと、その紅い瞳は睨みつけているのだ。イジメを受けている中ずっと。
「やられっぱなしじゃ終わらない。私には頼れる仲間もいる。だから叫び続けてやるんだ。イジメは悪い事で、私は間違ってない。間違えてるのはお前らの方だって。何度でも、何度でも」
「…イジメは、間違っている…正しいから、諦めない…」
「本当は皆そう思ってるはずなんだ。間違えてるのはお前らだろって。でもやっぱり、イジメを受けるのも痛いのも怖いのはよく解る。私も、一人っきりならきっとこんな元気でいられない。…だから、声を出せないみんなの代わりに私が叫ぶんだ」
理不尽に怒る。不条理に憤る。夏草において学んだこと。卑劣なイジメは許さない。邪悪を赦してはいけない。
イジメは邪悪だ。赦されないことだ。痛みや暴力でその道理を覆そうとする悪意を、真っ向から叩き潰す為に。
「私の見立てじゃ、イジメに加担してる連中は今私に夢中だろうしね。私一人に舐められてコケにされてるようじゃ、向こうも面子が丸潰れだ。…決戦はもうすぐだ」
「……はい。私達が受けていたイジメが、その……」
「無くなった!?」
「は、はい。…私達、あなたを、犠牲に…ターゲットから…外れて…」
「良かったじゃないか!!」
「えっ!?」
歓喜の笑みで、アスカはメイの手を握る。それは、アスカにとっての狙い通りになったのだ。
「今のイジメのターゲットは私だけになってるなら、今学園にイジメられてる人はいない!それって、一時的にもイジメは無くなったってことだよ!」
「あ、あなたが!イジメられてるじゃないですか…!」
「いいや、違うよ。これはコケにしてるんだよ。私がアイツらを。何人も集まって、私一人折れない惨めなアイツらを私が圧倒してるんだ…!」
アスカにとって最早それはイジメですらなかった。敵による攻撃。反撃を待つガード。喉笛を食い千切る瞬間を待つ猛犬の待機だ。
「イジメに傷付く皆に言ってあげてほしい。もう苦しまなくていい。もうすぐイジメは無くなる…無くす!私達が、絶対に!」
「アスカ、さん……」
「助けがくるかもわからない中、怖かったよね。でももう大丈夫!もうすぐ、トリニティは変わり始めるんだ。優しくて、暖かい学園に…絶対に!」
「私達…私達は、何も。何人も、助けを求めた人を、見捨てて…怖くて…自分たちが次にイジメられたらどうしようって…」
「そう思う事は当たり前だよ。それは仕方ない事なんだ。痛いのは、誰だって嫌だ。それを…」
「だから!…だから!これを…!」
そうしてメイは、携帯を見せた。そこには、『アスカちゃんを応援する会』というグループモモトーク。
「もう、見て見ぬふりはしたくない…遅すぎるけど、アスカちゃんが折れたら、もう本当におしまいだから…せめて、せめて応援を…」
そこには全学年の、イジメの被害者からのアスカを応援するエールが綴られていた。キーホルダーやアップリケを、自室に飾っている者。寄せ書きの写真。
「あ!私の下着!買い戻してくれたんだ…!」
「素敵なデザインだから、デザインした人を知りたがってたデザイナーのお父さんの子がお話したいって…私達は、ずっとずっと傍観者でいたの。怖くて、辛くて…沢山のアスカちゃんを、見捨ててしまった…」
メイは告げる。それでは、加担してると同じ事だと。アスカに、頭を下げて願う。
「お願い!アスカちゃんは…イジメに絶対に負けないで!アスカちゃんの、絶対に屈しない姿は…私達の希望なの!」
「…!」
「私達、見捨ててしまった友達皆をこれから助けたい…!イジメを見過ごした罪を償いたい!あなたから、その力を貰いたいの…だから…!」
「──勿論!大丈夫だよ。私ならもう大丈夫!」
先ほどまでは、怒りと反骨心のみの反抗だった。しかし今は違う。
イジメはイヤだと、変わりたいと思う者たちがいて。自分はそんな皆の支えになれている。
自分の事を、応援してくれている人がいる。
自分の反撃は、無駄じゃなかった。
その事実が───鈴村アスカを、キヴォトスの超人と化した。
「えっ、わっ…!?」
するとその時、アスカの頭上に変化が起きる。ホログラムテクスチャだった映像が消え、なんと──
「これ、ヘイロー…ってやつ!?」
紅き翼に、桃色の色彩の翼膜がついたヘイローがアスカの頭上に現れる。同時に、彼女の五体にチカラが漲る。希望と言う力が。
「よぉおし!!やる気出てきたぁ!!メイ、ありがとう!」
「わ、わっ…!」
「みんなにも言っておいて!私、負けないからって!!」
また、イジメの地獄に向かうとは思えぬ笑顔を見せるアスカ。教室に戻り、翻る背中程度に伸びた黒髪を…
「…ヘイロー…彼女にも、神秘と奇跡が宿った…」
メイは、静かに見つめていた。
高級料亭。
オルガマリー「榊原先生からの預かりものよ。この時の為に創り上げた世界で一つの専用プラモデルアーマー素体…受け取って」
『ストライクフリーダムガンダム144スケールPG‐EXFS』
『デスティニーガンダム144スケールPG‐EXFS』
『インフィニットジャスティスガンダム144スケールPG‐EXFS』
アスカ「デスティニー!!やった!榊原先生作ってくれたんだ!!」
サラ「このスケールでPGなんて…一体どうやって…」
ヤマト「金型から制作してくれたんだ。私達の為に」
オルガマリー「伝言も預かっているわ。『生徒の自由を、あなたたちの正義を、皆の運命をよろしくね』…と」
アスカ「ありがとうございます!!これさえあれば、あんな奴等なんかに…!」
サラ「…すみません、無茶なのは百も承知で…榊原さんに頼みがあります」
『アカペロロプラモデル素組品』
「これを…榊原さんの手でプラモデルアーマーに変えてもらえませんか?ジャスティスと、併用したいのです」
オルガマリー「これを?ジャスティスと?…………わ、解ったわ。頼んでみる…」
リッカ「アスカ!ヤマト、証拠を救護騎士団と正義実現委員会に提出したって!」
ヤマト「反撃しよう。──明日に」
アスカ「はい!!…いよいよだ。見てろよ…!!」
オルガマリー「…リッカ。榊原先生はあなたにも」
リッカ「!」
『ヴァルキュリアガンダム キラナホーリーリングエディション』
「これは…!」
オルガマリー「憎む戦いではなく、救う戦いを。…あなたに、この言葉と共に託されたものよ」
リッカ「榊原先生……はい…!使わせてもらいます…!」
──そうして、決戦の前哨たるイジメ撲滅は間近に迫る。
カルデア
榊原「う、うぅん……どうやって、ジャスティスにこれを落とし込もうかしら………」
『アカペロロ』
同時に、アカペロロ+インフィニットジャスティスのビルドは榊原のモデラー人生で最高クラスの難産であったという。
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