人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ヤマト「私はトリニティ総合学園中の監視カメラの映像の洗い出しと、ミラージュコロイド(透明装置)ドローンを設置してイジメの証拠を集めることに終止する。学園生活を両立しつつね。イジメの摘発には、第三者が納得する絶対的な証拠が必要になるんだ。それをルルと協力して洗い出す」

サラ「私はイジメの主犯格の動機を尋ねてみよう。そして放課後は調査に出ようと思う。勘だが…退学や停学にまで追い込むほどの苛烈なイジメには何か裏があるように思う。それをオルガマリーさんとブラックマーケット周りに赴いてあぶり出すつもりだ」

アスカ「それならピッタリですね!ヤマトさんの力になれるし、サラの調査にも一役買える…!」

サラ「考えがあるといったな?下手の考え休むに似たりとも言うが」

ヤマト「アスカはこういう時外さないよ。聞かせてくれる?」

アスカ「勿論です!コソコソやる奴らを炙り出すために…私がいじめられてやればいいんですよ!」

ヤマト「え…!?」

サラ「またお前はそんな事を…」

アスカ「私は本気です。へへ…まぁ見ていてくださいよ!」


三者三様のリアライズ

三人はトリニティ総合学園へと編入されてすぐさま行動へ移った。三者三様のアプローチにて、イジメの証拠集めと摘発の為の準備を行ったのだ。まず三人は、非凡な才である事をそれぞれ示す。

 

ヤマトは筆記試験において、サラは体力試験において、アスカは二人の次につくようにトップをマーク。目立ちながらも圧倒的な差を見せつける事を意識。即座に話題となることを目指した。

 

他の追随を赦さない記録をマークした後、早速三人はそれぞれの行動に着手する。それは、三人毎のイジメへの弾劾の為の確信に満ちた行動だ。

 

「これ程大きい学園なら、監視カメラもそこに映らない死角もいくらでもある。イジメやいびりを行う為の場所を徹底的に炙り出す。カメラの映像も月単位で遡って確認するんだ…」

 

ヤマトは即座に総合学園全域に手作りの透明ドローンの散布と監視カメラ記録映像の洗い出しに着手。カルデアのリソースを使った解像度で映像の割り出しを福山ルルと協力して担当。

 

『お前の作ったドローンに集音機能もつけておいた。音声記録も付与すれば裁判や追求において言い逃れはできまい』

 

「ありがとう、ルル。助かるよ」

 

『だが数十ものドローンを管理把握するのは、お前並の空間把握や情報処理能力を以てしても並大抵の事ではないぞ。その覚悟はあるのか?』

 

「勿論さ。…イジメなんて、許しちゃいけない。リッカともし中学で一緒なら、あんな事絶対に許さなかった」

 

『…ヤマト、お前は…』

 

「愛されることに、理由や資格や見返りなんていらないんだ。あんな哀しい事、二度と誰にも言わせちゃいけない…」

 

常軌を逸したキーボードタイピングにモニターを睨むヤマトの表情は静かに、しかし確実に…イジメへの怒りに燃えていたのだ。

 

 

「ぐっ……!!」

 

アスカの体当たり調査の極地とも言えるイジメへの摘発方法。それは自分自身が標的となるあまりにも無茶なもの。黒髪にパッチリとした紅い眼、生来の明るさに人懐っこさに手先の起用さは、瞬く間に注目を集め人気者になる事に成功した。

 

「転入してきたばかりの喧しい山猿が、随分と調子に乗っていらっしゃいますのね?」

 

その躍進と、お近付きの印にと手作りのアップリケやキーホルダーの配布という気配りを小賢しいと感じた存在が、早速アスカをイジメの対象とする。体育館の死角に連れ込まれ、水をかけられ石を投げつけられる。

 

「ここは気品のある選ばれし生徒の神聖な学び舎…あなたのような手芸が得意な山猿がいていい場所ではなくてよ?」

 

「その通り。こんな小賢しい売り込みと媚び、浅ましい点数稼ぎなど恥を知らないのかしら?」

 

他を隔絶したヤマトとサラと異なり、『背伸びしている目障りな転入生』としてアスカのリアルな成績が癪に障ったのか、狙い通りにアスカは同学年、並びに三年の混じったグループに目をつけられたのだ。アスカは陰湿ないびりに晒されることとなる。

 

「デザイナー志望ですって?こんな幼稚なものを配ってトリニティ総合学園の品位を下げないでくださる?」

「山猿としては上等ですわね。人間の猿真似としては上出来ですわ」

「私達に何か、言わなくてはならない事があるのではないかしら?あなたのような山猿が何故こんな場所にいるのか…謝罪と服従の誓いが必要でしょう?」

 

アスカの見た目は、愛くるしい妹タイプだ。ともすれば絶好のカモだったのだろう。しかし…

 

「説明…?ハッ。よってたかってイジメにかかる卑怯者に、何を説明すればいいんだよ?」

 

「なんですって…?」

 

「私は何も悪いことはしてない。アップリケやキーホルダーだって、私が胸を張って作ったんだ!仲良くなりたくて配った自信作だ、お前らなんかにどうこう言われる筋合いはない!」

 

だがアスカは、その見た目の下は闘争心と反骨心の塊である。譲らないものは絶対に譲らないし、理不尽には絶対に屈しない気丈さに満ちあふれていた。イジメなど、彼女の反骨心に油を注ぐだけの卑劣な行為である。

 

「トリニティの品位を下げてるのはお前らの方だ!私は絶対に屈しない…!お前ら卑怯者なんかに!絶対に!」

 

「この山猿…!」

 

「……その発言、後悔なさいますわよ。この学園に来て、我々に逆らうとどうなるか…」

 

「黙れ三下!コソコソ隠れてるウジ虫みたいなリーダーに伝えろ!鈴村アスカは屈しない!ってな!」

 

毅然とした態度に、イジメグループはアスカを睨みつけ退散する。今のは気弱な生徒の心を折る為のものだったのだろう。これよりは激化するはずだ。

 

『取れてましたか、ヤマトさん?』

『うん、バッチリだよ。だけど…これから君は…』

『大丈夫ですよ。これで奴等は総力を挙げて私をイビりに来る。…上等だ。皆をイジメから護って、イジメの証拠を沢山抑えてやる…!』

 

ヤマトと協力し、イジメの矢面に立つアスカ。

 

「見ていろよ…こんなイジメ、絶対に許さないからな…!」

 

その瞳は、燃え滾るような怒りに揺れていた。

 

 

サラはオルガマリーと高級焼肉を食べに来ていた。

 

「リストによると、グループは全学年に点在しています。恐らくこれは上位学年の隠れ蓑と、トカゲの尻尾…恐怖と同調圧力により、下位学年にイジメに加担させたがゆえの組織の広がりと考えます」

 

「つまり……自分の保身の為に無理矢理イジメをやらされている生徒もいる、という事ね」

 

「はい。そしてイジメを受けた生徒の所業ですが…」

 

お代はオルガマリーとスーパー便利屋持ちであった。

 

『な、なんですってーーーーーーー!?(便利屋社長に届いた主にサラが食べた領収書)』

 

サラはオルガマリーと高級寿司を食べに来ていた。

 

「ほぼ全てが停学、そして尻尾切りの退学へと追い込まれている。ですがその生徒の何割かが『行方不明』となっている…」

 

「……学園だけでなく、何か外部との繋がりを匂わせるきな臭さね」

 

「私もそう感じました。憂さ晴らしや派閥闘争にしてもここまでする必要はない…予測するにこれは『合図』などでは無いでしょうか?」

 

「合図…退学者や停学者の身柄を『必要』とする何か…イジメグループのバックがいるという見立てね?」

 

お代はオルガマリーとスーパー便利屋持ちであった。

 

『な、なんですってーーーーー!?(便利屋社長に届いた主にサラが食べた激長レシート)』

 

 

サラはオルガマリーと共に三ツ星レストランにやってきていた。

 

「キヴォトスにはブラックマーケットという非合法の市場があります。そしてキヴォトスにおいて、行方不明者や失踪者は別段珍しい事ではない…オルガマリー所長。教育実習生であり、便利屋所属のあなたにも協力を願いたいのです」

 

「解ったわ。もしかしたらこれは、イジメグループを利用した悪辣な大人の下劣なビジネスが関わっているかもしれない…という事ね」

 

「はい。是非ともよろしくお願いします。私はイジメに加担した生徒達が、本当に情状酌量の余地が無い存在なのかを見極めようと思います」

 

「イジメグループに接触するの?その心は?」

 

「……リッカの、リッカらしくない物言いが心残りで。ああまで片方の立場で他者を断罪するような物言いは、彼女にとっては珍しい」

 

「……確かにね」

 

「犯罪者であるというなら、尚更無理矢理加担させられた存在には更生の機会が与えられるべきです。ヤマトもアスカもやる気ですが、友達としてリッカの立場に同調しすぎている。私は一歩、目線を引こうと思っています。勿論、リッカの気持ちや境遇は決して無下にしませんが…」

 

「解っているわ。……アスカちゃんの手段は両刃の剣。メンタルケアも忘れないようにしないとね」

 

「はい。──下らない青春の気の迷いで済めばいいのですが…」

 

「アダム先生にリッカは停学者に接触する予定よ。…私達は私達で、やるべきことをやりましょう」

 

「はい……あ、お代わりお願いします」

 

お代はオルガマリーとスーパー便利屋持ちであった。

 

『な、なんですってーーーーー!?(主にサラが食べた電子決済の額)』




更衣室

アスカ「ん……あれ…?」

(な、無い…!?私の下着が!パンツも、ブラも…!?無くなる訳ないだろ…!?)

生徒「あら、アスカさん。ご機嫌よう」

アスカ「…!」

生徒「なにか探しもの?見つかるといいわね。あと数分後のチャイムまでに。うふふ…♪」

「………そういう事かよ…!」

ホームルーム

生徒「探しものは見つかりましたか?アスカさん」
生徒「全く、山猿はおっちょこちょいで困りますわね?」

生徒たち「「「「くすくす………」」」」

アスカ「…見つからなかった」

生徒「は?」

アスカ「見つからなかった。だけど私は遅刻しないでここにいる」

生徒「何を………」

アスカ「解らないの?今の私はノーパン!ノーブラって事!ほら!見たけりゃ見せてやるからちゃんと見ろ!(ガバッ)」

生徒「きゃああぁあぁ!?」
生徒「は、破廉恥よ!破廉恥だわ!」
生徒「この山猿…!」

アスカ「残念だったな!山猿に恥じらいなんて概念はないんだよ!ウッキー!!」

生徒「あぶっ!?」
生徒「ぞ、雑巾…!こいつ…!!」

アスカ「こんな下らないイタズラで、私を折れると思うな!!おととい来るウキー!!」

遠巻きの生徒「…!」
遠巻きの生徒「アスカ、さん…」


放課後

【死ね】【トリニティの恥晒し】【野蛮な山猿】【消えろ】【塵屑】

アスカ「ロッカーへのイタズラ書き…定番のやつだな。クッソぉ…!!油性で書きやがって…!!」

?「あ、あの…」

アスカ「!?」

?「こ、このシンナー…良かったら…」

アスカ「ありが…いや、じゃない!私と話しちゃだめだ!君もイジメのターゲットにされる!」

?「で、でも…」

アスカ「ありがとう!いいから行って!」

?「は、はい…!」

「名前は!?」

「メ、メイ…!尾張メイです…!」

アスカ「ありがとう、メイ!」

(負けてたまるか…!こんな優しい子が安心して過ごせる学園にするんだ…!)

アスカ「落ちにくい…!クッソォオォオ!(ゴシゴシゴシゴシ)」


メイ「…鈴村、アスカさん…」

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