【――藤丸、立香、か。人類悪を担う少女・・・語り合うは、必然なのやも知れん】
「おじさま、お通りしてもよろしくて?」
【通るがよい】
「――私も、彼女達の力に」
【構わぬ】
「ちょいとカッコ悪かったもんでよ。名誉挽回をしにいってもいいかい」
【天命は下った】
「うむ、山の御仁よ。通らせていただけるかな?」
【整理券、勅令と心得よ】
【――我が廟、来賓を招くか。――何をもたらし、何を導くのか――】
「さて、次は敵方の縁か。蹴散らし、砕くだけの凡愚どもを来賓として招くとは・・・」
ふむ、と玉座に腰を下ろしながら愉しげに笑う
「まこと奇妙な感覚よ。本来我に刃を向け、敵対した者などに与える温情など無いというのにな」
――それもまた、このカルデアの・・・英雄王の財の素晴らしさ、ですね!
心からそう思う
ワタシは思う。争い、戦う理由に一方的な善、一方的な悪など無いと
あるのはただ・・・対立、立場の違い、主義主張の違いのみ
滅ぼされるべき理念、絶対に討ち果たされるべき矜持、存在の優劣など、世界には無い
あるのはただ『多様性』。世界を産み出し、紡いでいく『可能性』だけなのだ
だからこそ――『敵』『味方』だけで終わらせることはなく、敵対した者たちへも手を伸ばせるこのカルデアは・・・とても、好ましく感じることができる
(リスペクト精神、本当は敵なんていない・・・だね、エア)
――うん!ワタシとフォウが、こうやって解り合えてるみたいに、ね!
(うん!)
目の光が消え、倒れ伏し消滅し、エアへの尊さにより黄金のミラクルフォウとして甦る
――な、なんだか凄い復活だね!?
(コスモス的な感じ!)
《光の巨人、そして復活芸に手を出したか。フッ、精々エアに飽きられぬよう足掻くのだな》
満足げに笑い、足を組み指を鳴らす
「十把一絡げに蹴散らした者共ゆえ、誰が来るかは我にも読めぬ!さぁ、年始の福袋がごとき召喚、こなそうではないか!」
――福袋!素敵な響きだね、フォウ!袋にいっぱいフォウがいたりしたら・・・買い占めたい!
(そうなったらボクはエアに雪崩れ込むぞぅ!)
顔を見合わせ、笑い合うフォウとエア
「うん!――と言っても・・・必ず、来てくれるとは思うけどね」
ぐっ、と彼女は手袋を握る
「私の呼び掛けに答えてー!」
そのまま回り出すサークルに手袋を叩き付ける
サークルが輝き、やがて虹色に光り、やがて収まる
現れたのは――
「――えぇ、確かに聞こえたわ!小癪にして勇敢、輝ける私の宿敵!」
桃色の髪、白いコート、手にした女王の威厳を表す鞭
「むしろ当然よね!私の唯一対等と認めた唯一人の同性――その呼び掛けに、コノートの女王メイヴ!確かに応じたわ!」
無垢にして淫蕩、あらゆる男を虜にしたアルスターサイクルを代表するスーパーケルトビッチ。女王メイヴが誇らしげに降臨したのだった
「女王メイヴ――!あ、そうですね・・・先輩と決闘しましたものね・・・」
「そうよ!身体と身体でぶつかり合うその戦い・・・本当に素晴らしかった!最後の身体の全てを滅茶苦茶にする九回の攻撃!本当に素敵だったわ、リッカ!」
うっとりとしながら、即座に顔を引き締める
「でもそれは王女の王道ではないわ!王女の戦いそれすなわち関節技!すなわちサブなミッション!大コノー峠の寝技の真髄、アナタに徹底的に叩き込んであげるから覚悟なさい!」
王女はけして忘れていなかった。同性でありながら、どんな雄よりも徹底的に己を捩じ伏せ、蹂躙した『女』を
だからこそ、必ず召喚に応じると決めていた
「――うん!宜しくね、メイヴ!」
必ず、何としてもこの縁を手放さぬように
「うふふっ。私の手袋、大事にしてくれてたみたいね。ありがとう!」
それは、彼女すら気付いていない『友情』の発露であることを・・・自覚するのはもう少し先の話である
「よくぞ来た、と言うには些か烏賊臭い女だが、まぁたまにはゲテモノもよい。まずは楽園を適当に散策するがよい。クー・フーリンに逢えるやも知れんぞ?」
それを聞いたメイヴは楽しげに笑う
「クーちゃんがいるのね!リッカのクーちゃん!是非それはお話ししてみたいわ!じゃあまた後でね、リッカ!次は必ず殺して、首を私の戦車の一番目立つ飾りとして飾ってあげるから!」
「望むところ!アロガント・スパークとか色々極めたい技あるし、宜しくね!」
そのままリッカと硬い握手をし、投げキッスと笑顔を贈りメイヴは召喚室を後にした・・・
――なるほど!二人は全力でお互いをリスペクトして、見据えて、尊重してる!これもまた友情なのですね!
《まずは殺し合いをせねば恋慕も友情も産まれぬのがこの世界の原則よ。思えば我とエルキドゥもそうであったな――》
懐かしげに目を細め、遠くを見るギルガメッシュ
――ウルクの皆様、本当にお疲れ様です・・・!えへへ、じゃあフォウとワタシは特別だね!殺し合いなんて、全然してないもの!式ちゃんと、ネフェルとも!
(うんうん、ボクは抵抗もできず一方的に浄化されるのみだから――)
白銀の羽根に舞い散り、卵となり、外郭が翼となり新生するフォウ
(望むところだけどね!)
――どんどんフォウが綺麗になってく!凄い!
《もはや芸人の域よな。次は土管でも使うか?》
(それで100回は行ける!)
「よし、では次だ!さぁ、我が傘下に下るは如何なる敵将だ?」
掛け声と共に、ミドラーシュのシバにゃんがコンソールをいじる
「福袋とは言い得て妙ですね~♥いきまーす♥」
「せ、先輩・・・メイヴさんとは如何なる関係で・・・?」
「ナインライブズの全部を引き出した好敵手。――次は誰の始祖の技を極めようかな~・・・やっぱりアロガント?でも容赦なさ過ぎるんだよなぁ・・・やっぱりタックルから入れる千兵殲滅落とし・・・?」
ぶつぶつと呟くリッカを見て、オルガマリーは言葉を漏らす
「リッカには接近戦を挑みたくないわ・・・ヘラクレスさん譲りのホールドで確実に技を極めにくるの。あらゆる動作から一撃必殺に繋げてくるから集中力が片時も途切れさせられないのよ・・・最悪掴まれただけで骨が折られるし・・・」
「あはははは、アマゾネスもビックリだ」
若干声が震えるダ・ヴィンチちゃんであった
「僕の知ってる女子と違う・・・」
顔面蒼白になるロマン。マギ☆マリペンダントを握りしめる
「ふはは、女傑とはお前達の為にあるような言葉よな!では次だ!サークルを回せ!」
王の言葉に応え、サークルが回転する
――いつか、マスターやオルガマリーと汗を流す未来も、迎えられるといいなぁ・・・
(お願いだから怪我しないでね!本当に!)
《案ずるな。ウルクアーツは100人程度なら一人で容易く圧倒できる。どのような相手であろうとな》
思い思いの所感をあげながら、サークルが輝きまた収まる
「さぁて、だーれだ?」
現れたのは――
「――サーヴァント、アルジュナ。これより私は、あなたの総てに従いましょう」
褐色の肌、黒髪、手にした弓矢
マハーバーラタの主役、カルナのライバル・・・アルジュナが涼やかに顕現を果たした――
「フッ、カルナめに惹かれてきたか。シミュレーションの精度検査に丁度よい」
――あの人は・・・?
(インド出身、アルジュナ。授かりの英雄。なんでもかんでも貰える、イチゴ乳首さ)
――イチゴ乳首!?
意味不明の単語に目を剥くエア
――、ど、どういう・・・
《エア、あまりヤツを見据えるなよ。恐らく我とお前、マスターはヤツの『黒』など容易く見通せる筈であるからな》
――黒・・・?
王の言葉に思わず訪ね返してしまう
《ヤツは高潔な英霊であった。ありすぎた。そう在れと求められ、また己を律し続けた。あらゆる授かりを得た代償として、ヤツは『己自身』を剥奪された。人が人として懐く当たり前の悪意、悪戯心、そして自尊心を認められなくなったのだ》
――それは、つまり・・・
(悪の無い心なんて気持ちが悪くて仕方がない。悪意は必ず発展に繋がる。『誰かを喜ばせてあげたい』『誰かを驚かせたい』だって悪意さ。それすらもあいつは認められてないのさ。周りにそうあれと言われた故に、自分もそう在れと振る舞ってきたせいで。『誰よりも高潔で英雄である私に、一欠片の『悪』であろうとあってはならない』。それは恥だと頭を抱えて心を隠してね)
《まこと生真面目にすぎる。善のみを掲げる魂なんぞ清流の湖のようなものであろう。魚のひとつも住み着くまい》
堅苦しい事よな、と笑う王
――当たり前の悪心すら、認められない・・・
・・・英雄とは、あらゆる意味で規格外なのだと再認識する
栄光も、煩悶も。――彼の抱える『黒』と『闇』を、ワタシが知った風に語ることは赦されないのであろう
この身は英雄姫なれど・・・そこに宿る魂はけして『英雄』ではないのだから
・・・だから、せめて。彼の心の行く先を祈る
「こんにちは、アルジュナ!」
そんな彼にも、マスターは明るく声をかける
「これから宜しくね!『親しき仲にも礼儀あり』をモットーに!」
マスターは一目で看破した。『この人は、心を暴かれる事はけして望んでいない、と』
恥辱と感じるなら、敢えて触れず
未だその時でないのなら、心には踏み込まず
リッカマニュアル『土足で人の中に入るのは俗物』――ピンク色の髪の先生から貰った格言を、彼に対しては適用する
「――はい。貴女とは、良き関係を築けそうです。『主』と『従者』として」
それがいつか、確かな絆に繋がると信じて――
――アルジュナさん。貴方の目の前にいるマスターは、必ず貴方の心を受け入れてくださるマスターです
エアは、祈る
――だから・・・貴方もいつか、何者にも縛られず、ただ一人の『アルジュナ』として振る舞える日が訪れますように――
・・・細やかな悪意も懐けない心は、きっと・・・とても辛いものだと思うから――
「では、私はこれで。――」
召喚室を後にする刹那
「――ありがとうございます、英雄王」
彼は礼を告げ、頭を下げた
「フッ、我は何もしてはおらぬが?」
「いえ。――何か、良きものを戴けた気がしたので。・・・それでは」
頷きながら、アルジュナは召喚室を後にした・・・
(インドは勘がいいなぁ・・・)
《勘の悪い戦士など使い物になるまい。――エアめの気遣いに感謝するのだな、授かりの》
――さて!次の召喚は誰が来るのでしょうか!
これ以上、アルジュナさんの心に触れることはしない
――ここから先は、彼女と彼の物語だから
「インドの英傑が集った・・・このカルデア、戦力的にはなんの懸念もないわね」
感慨深げに、オルガマリーが呟く
「ウルク、ギリシャ、日本、インド・・・時計塔、国連、魔術協会と全面戦争でも勝てそうだよねぇ・・・」
「当然よ、それすら見据えているのだからな」
「――はい、ギル」
――それは、やはり・・・人理の先の・・・
《――先を見据えすぎると、今を疎かにしかねぬ。お前は目先に全霊を尽くせ、エア》
(君がいなきゃ、未来に意味はないからね!)
――言い過ぎだよ、フォウ
フォウも、皆もいなきゃ!・・・だよ?
(――そうだね!いらないのはマーリンだけだ!)
頷くフォウ、決意に微笑むエア。愉しげに笑うギル
「よぉし!じゃあ次々~!」
そして、人理の先頭を駆けるマスター、リッカが元気よくサークルを回す
「誰が来るかなぁ?」
光は輝き収まり、現れたのは――
「よぉ。サーヴァント、ベオウルフ。名誉挽回がてら足を運びに来たぜぇ」
身体中に傷を刻む、最古の英文学の主人公――ベオウルフが現れた
「ツワモノ!?」
即座に覇気を感じ取り、リッカが握手を求める
「宜しくお願いしますベオウルフさん!」
「おう。まぁ仲良くやろうや。――なんだお前、滅茶苦茶鍛えられてるじゃねぇか。誰かを殴り殺した事、あるんじゃねぇか?」
「――地獄で、憤怒の化身を一人・・・」
「あん?――まぁ、楽しくやろうぜぇ?悪いことは、程ほどにな」
笑いながら、英雄王に向き直る
「もう恋路の邪魔はしねぇよ。世話になるぜ?」
「赦す。殴り合いの相手には事欠かぬのだ、存分に振る舞うがいい」
「おうさ。じゃあ、またな」
見た目とは合致せぬ、朗らかな笑みを浮かベオウルフは去る
「先輩を見る目が、凄かったですね・・・なんというか、川原で殴り合う相手を見つけた、というか・・・」
「グレンデルを撲殺した実績、ますますリッカ君の人外化が進むなぁ・・・」
マシュとロマンが苦笑いし、リッカを見つめる
「殴り合いはマリーですー!私は投げが本気なんですー!」
「アキレウス師匠が私はいるから。拗ねるのよ、あの人『オレの技じゃ不足なのかよ・・・』って」
――意外と可愛らしかった!アキレウスさん!
「ふはは!世界を救わんとするのだ、人類最強くらいにはなっておけ!では、最後としよう!」
召喚サークルを回転し、今回の召喚を締め括る
「ラースト!ラースト!誰が来るかなぁ?」
皆の緊張と期待高まる召喚
最後は――
「――やぁ。我が名はフェルグス・マック・ロイ。楽園にお邪魔させてもらうとしよう。さて・・・クー・フーリンはいるかな?」
「タケシだ――!!!」
「フェルグスさん・・・!」
リッカとマシュが声を上げる
・・・ケルトにこの勇士あり。気前よく、嫉妬せず、恐れを知らない男、フェルグス・マック・ロイが楽園に招かれたのであった――
「――――?」
「先輩?どうしました?」
「ん?・・・いや、なんか・・・」
「ちょっと、風邪?早く寝なさい?」
「ありがとう、マシュ、マリー。・・・ん?」
「・・・?」
「――カルデアに、鐘なんかあったっけ・・・?」
【――見える日、心待ちにしている。悪を担いながら、怠惰と堕落、劣化を知らぬ女よ】
「――?」
NG召喚
「スペースアーチャーだ。よろしくな。俺が誰かって?――当ててみな。ハワイにご招待するぜ」
「ヒューッ!」
「・・・左手にサイコガンのアーチャーなんて、調べるまでもないわね・・・」
『作者キャラ描写の難易度にギブアップの為自主退去』
「ババ様!大丈夫ですか!死ねましたか!?ババ様!」
「止めときな、コンラ。スカサハはさ迷ってるのさ。生死の境をな」
「ババ様・・・」
「・・・死のうが生きようが構わねえ。生きたら生きたで毒味役、あいつらのVIPファンで話をつけといてやったからよ。だから・・・悔いのねぇ道を撰べよ、スカサハ」
「・・・・・・・・・――――――」
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