人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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アダム「私は学園都市キヴォトスにて、『シャーレ』の顧問を担当している。シャーレとは…」


パパポポ『先生のアダムを顧問として、キヴォトスで暮らすあらゆる生徒の相談に応じ、同時に所属や学籍によらず不特定多数の生徒の協力を仰ぐことのできる、キヴォトスの勢力図における特異点。連邦生徒会長によって付与された権限のもとにあらゆる規約や法律による規制や罰則を免れる超法規的機関の事だっポ。生徒担当のなんでも屋っポね』


アダム「あぁ。学園がそれぞれの自治区を統治するこの超巨大学園都市にあって、連邦生徒会名義では介入の難しい諸問題にも積極的に関与する事が可能な、その活動可能範囲は生徒たちの協力を得ることで増幅される…生徒達と二人三脚で運営する部活だ」

リッカ「アダム先生の活動拠点かぁ…!こうして見るのは初めて!楽しみ〜!」

アダム「フッ…気合が入るな…」


義父の職場見学〜連邦捜査部S.C.H.A.L.E編〜

学園都市におけるD.U.(District of Utnapishtim)区内。連邦生徒会拠点から30㎞離れた外郭地区にビルがあり、その中に独立したオフィスを有するシャーレの本拠地。ビルそのものがシャーレとして機能しており、建物内部には居住区を含めた複数の設備を有する。そのため、しばしば自宅に帰りそびれている先生の事実上の別宅を兼ねている。そこへ、アダムに誘われリッカは学園都市に足を踏み入れた。

 

「ここがシャーレのオフィス…!生徒達のなんでも屋さん…!」

 

リッカはアダムの活動拠点を輝きの眼差しで見やる。透明感のある配色のインテリア、片付けられた室内。それは彼のイメージを損なわぬ整然としたもの。パパポポがアダムの机にパタリと留まる。

 

『組織としては完全に中立、というよりも…活動内容を一任されてアダムがキヴォトス全生徒の支えとなるべく東奔西走している故、相手が連邦生徒会に盾突く生徒であろうと必要な助力は惜しまない方針だっポ。強力な権限ゆえ、取り扱う広範囲の業務が主要スタッフであるアダムに伸し掛かる上に、以前は連邦生徒会が対応していたような案件も請け負っているため、本来は手伝いにやって来る生徒たちが事務処理を分担してもなおタスクが渋滞する量なのだけれど…』

 

並べられた机を、六つほど埋め尽くす書類の山。しかしそれらは全て、アダムが一人で確認し終わらせたタスクだ。

 

「問題ない。エデン管理の経験を活かし一日の仕事は半日で終わらせている。生徒に使う時間を少しでも増やしたいので、早く仕事は終わらせるようにしている」

 

『連邦生徒会の仕事も回されてコレだっポ。先生として見出した私の英断は間違ってなかったっポね』

 

手に取り書類を見渡せば、サインや編纂と言った難解な処理も完璧に終わらせている。彼はエデンの王であり、取りまとめに凄まじい適性を持っていたのだ

 

「うわぁ…!先生ってこんなに忙しいんだ…!榊原先生もそうだけど、凄い…!」

 

「流石に書類の運搬や報告は人手がいる。生徒たちに「当番」や「日直」として、輪番制の私設秘書のように業務を手伝ってもらってもいるな」

 

『「募集」という名目で常に生徒たちに声をかけているっポ。募集に応じた生徒が自発的に力を貸してくれて、アダムを支えている。同時に連絡先も交換するため、トークアプリ「モモトーク」では日常的にやり取りが発生しているな』

 

「へぇ〜…!!」

 

『ちなみに電子戦や電子作業はアダム先生、ダメダメです!なのでこのアロナが先生を支えているんです!見てください!パソコンにパスワードが張ってあります!』

 

「アダム先生!?」

 

「すまない…忘れるのが不安で…」

 

『ハッカーが得意な生徒にあれほど詰められたのに…改めるっポよ、アダム』

 

『それだけじゃありません!アダム先生、アビドスの柴関らーめんにどハマリして毎日3食ラーメンだった日があります!リッカさんからも言ってあげてください!』

 

「お義父さん!?!?!?」

 

「すまない…豚骨が濃厚でつい…」

 

『始まりの人類でなかったらマジで生活習慣病待ったなしっポよ…ほら、設備の説明もするっポ』

 

「あ、あぁ。こちらの資料を見てくれ。見取り図だ」

 

シャーレのビル自体は六角柱を複数連ねた形をしており、一階はエントランスを囲むように図書室、教室、射撃場、実験室、格納庫などが存在する。またエントランスに向かわずに左の通路を進むと先生が普段利用している事務室や40人以上を収容可能な視聴覚室がある。右側にはバスケットコートやテニスコートを備えた体育館がある。

 

事務室には先生の補佐として当番を担当する生徒たちがそれぞれの学区から入れ替わりにやって来る。

 

エレベーターで上がった先には居住区が存在し、そこにはトレーニングルーム、キッチン付きの食堂、ゲームセンター、休憩室、自習室、シャワールーム、コンビニなどがある。

 

「バイオハザード起きても大丈夫そう…」

 

『暴徒モードオンにしたグラセフみたいな場所だから今更だっポよ』

 

「案内するつもりだが、今回は私の『ファーム』に招待しよう。生徒達にも人気の場所だ」

 

「ファーム?」

 

『アダムが世界放浪で保護した者達の…居住区画だっポ』

 

 

「わぁ…!!」

 

扉を開けたその先には、なんと新たに大地と空、オアシスのような空間が広がっていた。

 

更にそこには燃える火の鳥、空気を踏みしめ駆ける麒麟、白き毛並みの獅子などといった超常存在が和気藹々と暮らしていた。皆、のんびりと平和を楽しんでいる。

 

「私がキヴォトスに招かれた際、パパポポから託された『神のカード』。それを使い、エデンを再現し彼等を保護、養育している。癒やしの空間として、生徒達にも解放しているな」

 

『シャーレのお仕事も手伝ってくれるんですよ!皆さんとても賢い方々です!』

 

〔おや、アダム先生。こんにちは。そちらの方は…カルデアの?〕

 

すると、リッカより二回りほど大きい見事な毛並みの九尾の狐が眼の前に現れる。神通力により、リッカに語りかけてきたのだ。

 

〔こんにちは。私は九尾のコンと申します。シャーレのファームへようこそ。我々は全ての方々を歓迎しますよ〕

 

「わぁ…!リッカです!よろしくお願いします!ツヤツヤ毛並みだぁ…!」

 

「コン。キヴォトスに変わった様子はあったか?」

 

〔そうですね…アビドスの緑化状況にさらなる進展がありましたね。対策委員会の宝物庫周回より借金満額返済も近いですし、そろそろ本校修繕に着手するときかと〕

 

「解った。後でアビドスに足を運び、書類を作成しよう。…リッカ?」

 

「アッ…モフモフ…モフモフ…」

 

〔おやおや。よしよし…〕

 

尻尾に包まれてへなへなになるリッカを、コンは優しく迎え入れる。その様子を微笑ましくアダムは見やる。

 

「ファームを一望できる場所にカフェがある。憩いの場だ、行ってみるか?」

 

「行きまひゅぅ……」

 

「良し。コン、すまないが頼めるか?」

 

〔お任せあれ。ささ、皆様こちらへ…〕

 

案内された先には、カフェなる施設。多目的施設であり、ファームの中核を担う。アダムの場合はファーム自体がカフェの模様であり、神のカードがその中核を担っている。

 

「アダム先生がよく使う神のカードって、どういったものなのかな?」

 

彼がここぞという時に取り出す、輝かしい黄金のカード。ビースト戦において、未来から生徒を呼び出す奇跡すら起こした規格外のアイテムの存在をリッカは問う

 

『並行世界の先生が使う『大人のカード』を私の力で製作したものだっポ。神がもたらす奇跡…そしてアダムのエデンの王、グランド霊基の力を凝縮した、因果律干渉願望実現システムといった感じだろうか?』

 

 

「だから神のカードなんだ!?三幻神?とか想ってたけど!」

 

それならば反則であるのも理解できるだろう。アダムと本来の唯一神の力が固形化しているのなら、むしろ世界に収まる事自体が奇跡の代物。人の手には余るものだ。

 

『先生の切り札であり、生命線の凄いカードです!そしてこのスーパーアロナとシッテムの箱が、アダム先生のスーパーパワーを支える根源なんです!えっへん!』

 

「彼女がそのシッテムの箱の管理者たる…」

 

『改めまして、アロナです!よろしくお願いします、リッカさん!』

 

 

彼女は「シッテムの箱」と呼ばれる謎のタブレット型デバイスのメインOS「A.R.O.N.A」。

青いセーラー服とスカートを着用しており、スカートは白色で裏地はピンク。ヘイローは感情などに応じて色や形状が変わる青い輪。髪もほぼ同じカラーリングで、大きな白いリボンをしている。またパンツは水色と白の縞模様なので空と雲をイメージしているのかも知れない。

 

『パンツの説明必要でしたか!?』

 

また、髪型で左目が隠れていて分かりづらいが赤と青のオッドアイである。

 

「私の戦い方は直接戦闘と戦闘指揮があり、そのどちらもサポートしてくれる心強い相棒だ」

 

『えっへん!先生のサポートはお任せください!』

 

『神のカード読み込ませてたら性能がエライことになってね。声も聞こえるようになったっポ』

 

「うん!よろしくね!カルデアでもメインシステムをよく補佐してくれて助かってるってダ・ヴィンチちゃん言ってた!」

 

『ふふん!アロナの優秀さはとどまりませんね!やっぱりアロナがナンバーワンです!』

 

「君なしでは先生として活動できない。これからも末永く…よろしく頼む。アロナ」

 

『は…はいっ!末永く、アロナがお支えします!』

 

『こういうとこだっポ、リッカちゃん』

「こういうとこだねぇ、パパポポ様ぁ」

 

アロナと仲睦まじく触れ合うアダムを見て、シャーレの先生の本懐を知るリッカであったとさ。




アダム「さて、話にもあった柴関らーめ」

アロナ『アビドス高等学校です!』

アダム「そ、そうだ。アビドスに足を運ぼう。カルデアで顔を合わせているし、話しやすいだろう」

リッカ「はい!あ、今日の当番は結局誰だったんだろう?」

アダム「確か…」


黒服【クックック。お邪魔していますよ先生…】

マエストロ「オルガマリー実習生は元気かな?藤丸龍華君」

ゴルゴンダ「桃鉄99年耐久やりませんか?」
デカルコマニー「そういうこった!」

リッカ「どちら様!?」

アダム「………ラーメン屋台の飲み仲間だ」

リッカ「そうなんだ!?」

パパポポ『先生大好きクラブだっポ』

デカルコマニー「そういうこった!」

アダム「私は外す。ファームの世話を頼むぞ」

黒服【はーい♡】

アロナ『さぁ行きましょう!アビドスへ!』

リッカ(突っ込むところ…?突っ込むところ…?)

困惑を胸に、リッカはアビドスへと向かったのだった…

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