謎丸「なんか周りバキバキいってますけど!?これ大丈夫!?」
ククルカン『聖杯をブチ貫けばこうもなりましょう。うーん、コマンドー。では固めておきましょう』
立香「え?」
ククルカン『はい結晶』
瞬間、辺りの崩壊が結晶空間に上書きにされ、振動崩壊が停止するのを全員が見る。
ククルカン『時空や次元に干渉できなくちゃ、長らく最強は名乗れません。さぁ、リヨぐださん』
リヨぐだ【うむ】
リヨぐだが大いに腕を長く伸ばし…
ロマニ『よし!レイシフトアウト──!』
一同は、特異点より脱出する…
「うわぁっ!?…こ、ここは…」
立香達が閉ざされた八番出口より救出され、辿り着いた場所。そこは青空に白い雲、白い花の草原が広がる壮麗な空間。白い階段に玉座の間たるそこは、誰もが見覚えのある空間である。
「時間神殿……玉座の間……」
そう、ゲーティアがソロモンの遺体を悪用していた際、人理焼却作業を行っていた場所。最終決戦の場。そこに彼等は招かれたのだ。
「なんだ、まだ幻覚を見てんのか?ロマニのやつはもう…」
「………」
彼等、彼女らの辿った結末は同じ。ロマニ・アーキマンは最初にして最後の自滅宝具を使い、全能ごと完全なる無に至った。会うことはない。会える事はもうない。
「おーーーい!皆〜!無事かーい!」
「「「「「………!!」」」」」
だが。その声を誰もが覚えている。頼りにならないようで安心させるその声を。
「イザナミおばあちゃんの気遣いは凄いね!ギリギリまで聖杯を壊すの留まってくれててさー!皆いるよね!大丈夫だよねー!」
玉座から、階段を駆け下りてくるその姿を。
「う、うそ…本物…!?」
「───あぁ。こんな素晴らしい並行世界ならば、あれほどの荒業も納得です」
間が悪く、あまりに突然の別れとなった大恩人の姿を。
「やぁ皆!どこの時空の藤丸君も、無事で良かった!」
ロマニ・アーキマン。両手に指輪を嵌めた、かつての姿その存在を見た四人の藤丸は…
「ロマニ〜〜〜〜〜!!」
「テメェこの野郎!!いきなりイイとこ持ってきやがって!!」
「何故生きているのか詳しく聞かせてもらおうか!秘密主義者め!」
「積もる話と想いがあります。付き合ってもらいますよ」
「あいたたたたた!?なんで壮絶なリンチなんだい!?」
涙を浮かべ、ロマニをストンピングリンチするのであった。
〜
「詳しくは言えないけど、アルス・ノヴァの効果を代わりに果たしてくれた方がいてね。なんとかボクは消えずに済んだって事さ。特例も特例だから、真似は無理だと思ってたけど…。うん、やっぱりそうだったか」
『さっそうと現れて心に傷を残すとか不逞の輩ですね』
「恩人だから言いたくないけどよ、オメーがいうなや!」
『いきなりORT差別ですか?藤丸ッパリです?』
「あはは、急で申し訳無い。でも…君達を勝たせるためなら必要な事だったよ。ボクも、迷うことは無かったはずだ。十年の人生を投げ出すに値する、君達のためなら」
藤丸達に囲まれながら、ロマ二は頷く。そう──彼は本来ならば、消えていたはずなのだ。
「不思議なものだ。貴様には再会したら千の罵倒と不満をぶつけてやるつもりだったのだが…」
「大人な藤丸君怖くない!?」
「───生きている時空があるだけ、良しとする。座からも退去するなどと言われ、再会は無理だと思っていたからな」
「ロマニィ!マギ☆マリの次ぐらいに好きだったよが別れの言葉はさぁ!呪いじゃん!!そこはせめて同じくらいって言ってよぉ!!」
「あ、あははは…ごめんよ、ビミョーに空気読めないからボク…」
「何だお前、婚約指輪なんか嵌めやがって。結婚できたのかよめでてぇ野郎だ」
「シバとね。子供もたくさん作る予定だよ。君も他人事じゃないだろ?」
「抜かせ。カルデアスの後始末のせいでソレどころじゃねぇんだよ」
「………ロマニ」
「うん、りつかちゃん」
「善き人生が続いていることに祝福を」
「…お、大人だなぁ……」
「ふふ、ミュータントですので」
「皆激烈な藤丸だぁ…俺埋もれてない…?」
『大丈夫ですよマスター。何も分からなくても私まで辿り着いたヌルい旅路を乗り越えた藤丸としてオンリーワンです』
「そんなことないやい!!フォーリナーでめっちゃ苦戦したんだからね!!」
一同はロマニと語り合う。もう二度と会えないと思っていたロマニと、近況や…とりとめのない雑談を。友人と再会したかのように。
ロマニもまた、並行世界の別人だなどと無粋は言わない。彼にとって並行世界のどんな藤丸であろうと、彼や彼女が立派に生きているとするならそれで十分なのだから。
【同窓会は終わったか?なら次は報酬の話をしよう。お前達の石の数を言え。九割私が貰う】
「リヨぐだ君!?がめつすぎない!?」
【命が助かったのなら安いものだ。特におっさんと立香はブラックバレル濫用でもう長くないだろうから受け取ってやろう。さぁ教えろ】
「あ、なら全部持っていってよ!」
【え?】
「石などまた貯めればいい。命があるのだから。450個持っていけ」
「うんうん!ありがとね!ヘンテコな私!265個」
「ブーディカがいれば別にいいわな。ほら、803個だ」
「すみません、リソースとして活用しており300個しかありませんが…どうぞお受け取りください」
「オレはフレンドポイントサーヴァントとマシュがメインだから、900個ある!どうぞ!」
【………き、君達…】
「オレは零個です!!!」
『爆死してばかりですものね。大丈夫。グランドフォーリナーが全てを解決しますよ』
【え、あの、いやあの。…お、奥ゆかしく百個くらいでいいかな…?】
人類悪無事に生き恥を知る。藤丸にはとことん弱い人類愛なのであったとさ。
「皆のカルデアから、それぞれフレンド登録という体で連絡が来ている。無事に君達は帰れる筈だよ」
「あ!ロマニがいるなら…!」
「所長はいねーのか?地球大統領はよ」
「地球大統領????あぁ、彼女なら…」
「……合わせる顔がないから隠れていただけよ。ちゃんといるわ」
続いて、藤丸達の無事を確認しにやってきたオルガマリー。それを目の当たりにした藤丸達は勿論…
「オルガマリ〜〜〜〜〜〜!!!」
「えっ、リッカ!?やけに似て、おぐぅ!?」
「まぁ…!本当に素晴らしいカルデアですね!」
「元気に所長やってるか?顔付きが随分キリッとしちゃってよぉ」
「…支えられながら、ね」
「その身体…エーテルか?サーヴァントに?」
「聖杯よ。私は聖杯と一つになって、魂と聖杯を融合したの」
「成る程……なんであれ、あんたがいいならそれでいい」
先の幻覚とは違う、本物のオルガマリー。一同は更に賑やかに、二人を受け入れた。
「このまますぐにでも戻れるけど…うちのリッカが全員とフレンド登録をしたいと申し出ているわ。よかったらどうかしら?」
「異議なし!リッカちゃんに会ってみたい!」
「規格外の藤丸立香…スペース・コブラや北斗の拳、シティーハンタータイプの自分は是非知り合いたい」
「男の立つ瀬がねぇが、今はそういう男尊女卑は流行らねぇわな」
【私と同じスペシャルマスターだ。仲良くしてやれ】
((とんでもないんだな…))
「私は、私であることから逃げない。…こんな素敵な言葉を言える御方、会わない手はありませんね」
『楽しみですね…ORTVSアジ・ダハーカ&マルドゥーク。興行収入80億は間違いないです。見なければ世界が滅ぶのですから』
「ねぇ謎丸君どうやって彼と契約したの!?」
『フリーレン構文はご存知ですか?大体あれですよ』
「何もわからん!!」
「決まりね。では皆、これからもよろしくお願いするわ。リッカのこと、きっと気に入ってもらえるはずよ」
「そうとも!何せ彼女は…意思があれば誰とでも仲良くなれる娘だからね!」
こうして、小さい特異点から大いなる絆を手に入れた楽園カルデア。
無法の条件がなくば、今少し黒幕は楽しめたろう。しかし、ルールから外れたことにより、酷いちゃぶ台返しの憂き目にあった。
楽園カルデアは、ルールに沿う事自体が慈悲である。なんでもありならば、まさに無法の極みなのだから。
(そういやエラい目にあったなぁ…)
元祖無法の洗礼を受けたイアソンは、ぼんやりと想いふけりながら藤丸達の交流をモニターで見やるのであった。
おっさん「おい、件のリッカはどこにいるんだ?」
オルガマリー「もうすぐ帰ってくるわ。今成層圏から…」
リッカ【皆ーーーー!!大丈夫だったーーー!?】
一同「「「「「「すごいのきたーーーーーー!?」」」」」」
りつか「おぉ……健やかな成長……!」
ククルカン『物怖じしませんね、りつか嬢さんは』
こうして物語は、一つの区切りのエピローグへ向かう…
どのキャラのイラストを見たい?
-
コンラ
-
桃太郎(髀)
-
温羅(異聞帯)
-
坂上田村麻呂
-
オーディン
-
アマノザコ
-
ビリィ・ヘリント
-
ルゥ・アンセス
-
アイリーン・アドラー
-
崇徳上皇(和御魂)
-
平将門公
-
シモ・ヘイヘ
-
ロジェロ
-
パパポポ
-
リリス(汎人類史)