人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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おっさん「成る程、考えたな。俺達の推しに届けるか!」

りつか「えぇ。情報を届けるには最適です」


リツカ「ナイスアイデア!流石恋する男子、冴えてるぅ!」

立夏「まず腰を上げんだろうが…少しでも可能性を高めるぞ」

立香「はい!」

全員が手を重ね、それぞれのサーヴァントに願いを託す。

おっさん(ブーディカ…また君に会いたい…!)

リツカ(えっちゃん!必ず戻るから!)

立夏(締切は無ければ無いで退屈だぞ、アンデルセン…)

りつか(ラーメス。今参ります)

立香(マシュ────!!)


その気迫は、願いは。全く同時に。



ブーディカ「!」



えっちゃん「マスター…!」



アンデルセン「…夢のない話だ」



オジマンディアス「フ。揺らがぬな、お前は」



マシュ「立香さん…!」



確かに、届いていた。


無法を叩き潰す無法

遥かな空を、赤き軌跡が疾走する。南極の白き大地が瞬く間に遠のき、青き空が遥かな蒼になるまでに速く、遠く、遠く雲の上まで。やがて成層圏、おおよそオゾン層しか存在しない領域付近まで彼女らは──ブライド・ペンドラゴン、並びにリッカは飛翔を極めた。

 

『規定位置へ到達!ホバリング待機!マスター、どうぞ御存分に!』

 

【ありがとう、ブライド!行くよ、アジーカ!…セーヴァー!】

 

勢いよく跳躍し、空の海へと飛び出すリッカ。自殺などではない。確信を持った打破である。

 

【いざぁ】【おうよ!存分にやりな!】

 

半身、並びに相棒へと声を掛け、身体中の魔力──悪性情報を完全解放する。此度は次元を、時空を、遥かに超越した救出作戦。ならばこそ、彼女はそれを全身全霊にて果たす。

 

その姿こそ───

 

 

【挿絵表示】

 

 

アジ・ダハーカ、アンリマユ、そして藤丸龍華の力の完全開放。全長数百から1kmに至らんとする超絶巨大邪龍悪神形態、あり得ざる獣の頂点たる姿へと変容を極める。次なる一射に、全精力を注ぎ込む為だ。

 

【オルテギュアー、展開!アルテミス、力を貸して…!】

『オッケー!リッカ、思いっきり行っちゃえー!』

 

巨大な邪龍神の左腕に、超巨大な弩弓が装着展開される。それは月女神の弓矢、オルテギュアー。アルテミスの権能を具現化した神造兵装、月女神の神体そのものの弓矢。

 

【イザナミおばあちゃん、お願いね!貴女の慈愛を、皆に届かせて!】

『あなや、お任せたもう!日本の子らを、おばばは必ずや見落としはあり得ませぬ故!』

 

右手には、日本の至宝にして国造の礎たる創造神の証たる天沼矛。イザナミとイザナギの認可を経てリッカに託された、世界を掻き回した日本創生の矛。

 

【キラナ!光輪だ、ここらを神域にして神秘を満たせ!】

『うん、わかった!』

 

セーヴァーの言葉と要請に応え、カルデアより光輪が射出。雲を見下ろす蒼空の端から端まで、善神の祝辞を顕す光輪の紋様が描かれ、力と祝福が満ち溢れる。それはゼウスが行う神代環境へのフォーミングと同じ、物理法則の書き換え。

 

【雷位、開帳!絶技装填開始!】

 

邪龍神の身体中に、紅と黒の雷が迸る。圧倒的な暴虐の雷とリッカを守護する紫電。同時に介在する事を確認しながら、邪龍神はゆっくりとオルテギュアーに天沼矛を番える。

 

【ぐっ、ぬぅう……ぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおっ!!!】

 

絶大な魔力と権能を有する弓と矛を一つの神器として、渾身を超えた渾身の力で引き絞る。限界と道理を遥かに超越した一撃を…時空を、次元を、空間を駆け抜け届かせる絶技にして奥義を、撃ち放つ。

 

渾身を超えた絶技を放つ際、莫大な力が必要だ。魔力、神秘、それこそ現代のテクスチャに穴を開けるクラスの、世界そのものに穴を空ける程の空前絶後の一撃が。それらを地上で行えば、即座に世界が砕け散るか耐えきれずに消え去るかの領域の反動、余波が。故にリッカは最強種の竜、ペンドラゴンと共に遥か天空へと至った。

 

世界を保護するアフラ・マズダ。彼女の身体を護るアジ・ダハーカにアンリマユ。絶技を与える丑御前にアルテミス。時空を越えるイザナミ。これ程の力を束ね放つリッカに、一切の迷いは無く。

 

【地巌、断割──!!】

 

大気が震え、軋むようにバチバチと稲妻を放つ。蒼空が歪み、邪龍神の存在強度に悲鳴を上げる。空のキャンパスに描かれた白き神文字は、輝きを増す。

 

【天驚、霹靂──!!】

 

渾身の力を込める矛を引く右腕には、無双の剛力。人の身体など粉々に砕け散るであろう負荷から、邪龍神と月女神の加護が守護する。

 

(私にかけられた想いと願いの数だけ、私はどこまでも強くなる。限界を越えて強くなれる!)

 

邪龍神の悪そのものの力を、彼女は藤丸立香が持つ揺るぎない善性と燃え盛るような人間性の相反で引き出す。悪神の中心に心臓として燃え盛るのは、彼女が胸に抱く灼熱の正義感と使命感。

 

(私は、私の大切な人達が生きる世界を…私を受け入れてくれた世界を絶対に護る!そしてそれは、あらゆる世界の藤丸立香も同じ!)

 

彼女は理解していた。あらゆる意味で生い立ちが特殊かつ歪んでいた自分と違い、平穏と平和の中で生まれた藤丸立香が世界のためにただ戦える事の素晴らしさを。なんの変哲もない少年が、少女が。世界のため、誰かのため、生きるために戦うことの尊さを。

 

(あらゆる世界の藤丸立香は、世界を救うグランドオーダーの中心!藤丸立香の一人一人が…『愛と希望の物語』のかけがえのない主人公!)

 

ロマニが教えてくれた言葉。どれほど辛く苦しい試練が待っていても、それは人生の本質ではない。

 

人生とは、喜びと夢を積み上げていくもの。命を繋いでいくもの。それこそが、世界を連ねるかけがえのないもの。

 

愛と希望の物語───。彼等や彼女らが歩んでいる物語は全て、かけがえのないそういった物語であると。

 

……自分には、ちょっと眩しい道を歩んでいる皆の旅路を、横から台無しにする奴を絶対に許してはおけないと、リッカは躊躇いなく自身の最善を尽くさんとしている。

 

(私がいる限り、私の手の届く全てを!何もかもを奪わせはしない!護ってみせる、未来を!打ち砕いてみせる、理不尽を!)

 

世界が歪む。引き絞りきる頃合いには、ゲーティアが集めた光帯もかくやとばかりの圧倒的魔力と神秘の奔流が弓矢の形に凝縮されていた。身体がバラバラに引き裂けんばかりの負荷を受けながら、邪龍神は『ソレ』を待つ。活路を、彼等が懸命に掴んだ勝機。

 

(私がいる限り!!全ての物語の結末を───!!)

 

一瞬の瞬きでも、身体が千切れんばかりの負荷と反動に耐えながら、世界を打ち砕く雷の奔流を蒔き散らしただリッカらは待つ。必ず来る。藤丸立香であるならば。自分の知る立香ならば必ず。

 

(死と断絶では終わらせない──────!!!!)

 

全ての代償を、強靭な肉体…不撓不屈の精神、遍く者たちの祝福で捻じ伏せた刹那。

 

『リッカさん!私に──令呪に乗せて、あの人が!』

 

彼女の待ち望んだ『愛の絆』の報せ。

 

『あの人が──私を、呼んでいるんです!』

 

それを聞いたリッカは、放った。全ての絶望を打ち砕く一撃を。

 

 

月穹照射(げっきゅうしょうしゃ)────!!】

 

引き絞り、あらゆる次元の壁を撃ち貫く創造神と月女神の渾身の神威を絶技として撃ち放つ。雷位を完全解放した【弓】と【槍】の奥義。それこそが───

 

撥頼天神(はちらいてんじん)────!!!!!】

 

月穹照射・撥頼天神。彼女が誓願や祈願と共に撃ち放つ、次元を撃ち貫く究極絶招の一射である───!!

 

【行っけぇえぇえぇええぇえーーーーーーッ!!!!】

 

リッカの全身全霊の奥義たる一撃を乗せた天沼矛は、人間の定めた物理法則のルールも、現代のテクスチャも軽々と撃ち貫き、神の理そのものとなって飛来する。

 

即ちそれは『日本人への絶対干渉・救済』。令呪を乗せて放ったそれは、あらゆる魔術現象や抑止力すらもねじ伏せ、ただ届くべき場所へと辿り着く。

 

すなわち、囚われた藤丸立香を阻む特異点の中心へ。誰かの害意に晒されし愛すべき子孫たちへ。かつてイザナミから生まれた黄泉の雷神達の如く、八つの魔力の奔流を趨らせながら。

 

やがて、【世界そのもの】に矛は突き刺さり、ヒビ割り、砕き、辿り着くべき場所へと撃ち放たれ突き刺さる。即ち、それこそが───

 

 

「遥か上空のリッカ、絶技射出確認!次元探知!!」

 

「発見しました!!時空座標アンカー固定!聖杯に天沼矛、コンマのズレなく着弾!」

 

「聖杯に干渉可能!!」

 

「謎丸君をククルカンとリヨぐだ君と共にレイシフトさせて回収する!いいね、マリー!」

 

「勿論よ!リッカの頑張りを無駄にしないで!!」

 

 

リッカが切り拓いた活路と希望にて、悪意と悪辣の目論見が瓦解する瞬間である──!




八番出口特異点

リツカ「きゃあぁっ!?」

おっさん「なんだ!?上手く行ったのか!?」

立夏「空間が砕けていく…立香!これは!?」

立香「リッカだ!こんなめちゃくちゃな干渉、彼女にしかできない!届いたんだ、俺達のメッセージ!」

りつか「なんという…まさか、特異点そのものを破壊できる藤丸立香だなんて……」

謎丸「あ!いた!!」

立香「誰!?」

謎丸「話は後です!俺達についてきてください!!ククルカンの後ろに!!」
ククルカン『モンスーン、辛かったでしょう。でも御安心を。我々は貴方がたのサンタナですので』

おっさん「ひぇっ……お、おま、お前!!そいつ!!」
ククルカン『おや?ОRTにトラウマでも?』

リヨぐだ【石は用意しておけよ。脱出!】
リツカ「なんか作画違くない!?」

りつか「本当に、様々な私達がいるのですね…」

ロマニ『皆無事だね!』

四人「!!!!」

ロマニ『さぁ、帰ろう!君達のあるべき場所へ──!!』

──今度こそ、偽物ではない『彼』の声と共に。

リヨぐだ【げっ!聖杯ぶち抜かれてる──!!】

一同は、無法極まる特異点からの脱出を果たす──。

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