ルゥ「じゃーん。チャンピョンベルト〜」
イザナミ「あなやまぶしき!ルゥちゃんは覇者に?」
ルゥ「最強生物に選ばれました〜。うれしいなぁ」
イザナミ「実に、実に素晴らしいことです!私もなー。アンチエイジング選手権とかあれ、ば…」
ルゥ「…?イザナミ?」
イザナミ「………特異点」
ルゥ「?」
イザナミ「八番出口…五人……廃棄物集積…2024…!?」
ルゥ「ふぁ?ふぁ?」
イザナミ「あなやこれは…!五つの世界崩壊の危機!!」
ルゥ「!?」
イザナミ「非常事態宣言ー!!!(ばたばたばた)」
ルゥ「なんのはなしぃー!?」
「さて。奇しくもここにいる全員は藤丸立香…正確には呼称や、漢字が微妙に違う並行同位体という体で話を進めるとしよう。特異点攻略…全員人理を修復した経験のある名うてのマスターのようだからね」
ホームに集められた、藤丸立香と瓜二つの外見…或いはリッカと酷似した外見の四人。眼鏡をかけ、二十代前半の青年がその場を取り仕切る。
「俺は藤丸立夏。ミステリー作家をしている。魔術協会だの、聖堂協会だの時計塔だの魔術師だの…世に蔓延る謎やミステリーが世間に暴かれていないことに腹を立て筆を執った。何かネタが無いかと歩いていたら、献血を募集していた輩が魔術師の息のかかった人間と見抜きカルデアに潜入する。その際にカルデアで例の爆発が起き、なし崩し的に俺がマスターになった。ネタ集めのついでに世界を救ったが…どうなったかは藤丸各位の知っての通りだ」
ネタ集めのついでに世界を救った。それだけで彼がどんな人間かは想像がつくものであろう。彼は作家に漏れず特異な存在のようだ。
「相棒はアンデルセン。マシュ・キリエライトは後見人のつもりで接している。デザインベビーにデミサーヴァント扱いした輩にはツケを払わせるつもりだ」
(あ、いいオレだ。絶対)
「ギリシャ異聞帯まで攻略完了している。…大人になったアデーレにマカリオスとは。惨いものを見たな、立香」
「…はい。ありえないと解っていても…」
「後で可能な限り二人の見た目を教えてくれ。アフターエピソードを書き下ろす。俺の自己紹介は終わりだ。次は…」
「はーい!私はリツカ!国民的人気アイドルグループ「Flower」の不動のセンター!英語で読んでね!」
朗らかに手を上げるのは、誰もが振り向くオーラと笑顔を見せる輝くような少女。リッカの溌剌で安心する笑顔とはまた違う、人を狂わせる類の笑顔だ。
「カルデアに連れてこられた時は正直爆発事件が起きるまではドッキリだと思ったけど、世界が滅んだらファンの皆も消えちゃうなんて許せない!って気持ちで世界を救ったよ!今は…その、地球がクリアクリーンだから休止中だけど、アイドルに戻った時いつでも復帰できるようにトレーニングは欠かしてないんだ!
身体の傷には気をつけろってすごく言われてる!ユガ・クシェートラまで攻略してるよ!相棒サーヴァントはえっちゃん!君も立香なんでしょ?」
「う、うん」
「皆で力を合わせよう!私達はこんなとこで足止めされてる場合じゃないから!」
グッと手を握るリツカ。その時、立香の指輪に気付く。
「あれ、結婚してるの?」
「式は上げてないけど…マシュと」
「〜そっかぁ!!尚更無事に帰らなきゃね!ちなみにこっちは私のパートナーアイドルです!」
パシパシと肩を叩き笑うリツカ。その仕草はアイドルに相応しい、輝くようなものだった。
「次、藤丸さん。お願いします」
「…あぁ、俺か。俺は藤丸…ややこしいから藤丸おじさんでいい。小学生の頃に日本をチャリで一周して、中学生で全国の電車に乗って、高校生の夏休みにバイクでアメリカ大陸を大型バイクで横断した。大体の乗り物免許は持ってる。乗ってないのは女だけ。マスターとボーダー操舵の二足のわらじ。ナウイ・ミクトランまで攻略。蜘蛛は二度と見たくねぇ。以上。…あ、相棒サーヴァントはブーディカ。結婚したい。受肉させて家庭を持ちたいのが本音」
少々気だるげなのは、その脅威の乗りこなしを全く活かせない環境だからだろう。しきりにアクセルを踏むような貧乏ゆすり、クラッチを操作する挙動不審な操作は禁断症状なのかもしれない。割とピーキーさでは一番だろう。
「あの、マシュは…」
「犯罪になるだろ、手を出したら」
「じゃあ、最後はわたしだね。わたしは藤丸りつか。お父さんとお母さんにあいたくて…マスターになったの。6歳になりました」
「6歳!?…人理修復も、君が…!?」
「誰かがやらなければならない、私がやるべきことだったから。お父さんとお母さんの生きる世界を救うのは、当たり前だもの」
その歳にはあまりに相応しくない、決意と覚悟の籠もった眼差し。神童…それはこの娘のためにあるが如くに。
「心構えに、身体が追いついていない部分はみんなが助けてくれたの。相棒のサーヴァントは、オジマンディアス。太陽王様がずっと一緒」
「オジマン、ディアス……」
太陽王を相棒と呼べる。その意味が…このマスターが世界を救うに相応しい存在だと否応なしに理解させた。
「自己紹介は完遂したな。俺達は皆、この八番出口に閉じ込められた。特異点として解決しないことには、俺達は元の世界には帰ることはできない」
「だから協力して!立香くん!皆のカルデアに帰るために、私達が力を合わせなくちゃいけないの!」
「はい、それはもちろん!…でも、大丈夫でしょうか。帰れるのは、一人とか…」
「それは、問題ないです。あちらをみて」
りつかの指さしたパネルには先の案内パネルと同じように言葉が綴られていた。
〜
全員が引き返すか、引き返さないかを経験してから通路に出ること。
〜
「要するに、全員が一度通路の異変をパスしてから八番出口から抜け出せ、という解釈だろう。君は二つの異変をくぐり抜けたんだな?」
「は、はい。アデーレにマカリオス…ケイオスタイドを」
「そうか。ならあと俺達が四つそれぞれパスし、二つの通路を抜ければクリアだ。…この中で、異変を見つけれたのは俺とりつかだけでな」
「リセットされちゃったの!あー、悔しい!」
「乗り物乗れず集中力が保たないんだ…」
「身体が弱いので、意思や感性は磨き上げていますから」
「2回リセットで途方に暮れていた訳だ。立香、君の成功に便乗しつつ精神的な負担を軽減し合おう」
「は、はい!必ず、皆で脱出しましょう!俺達の…カルデアに!」
如何なる世界の藤丸と言えど、極端な例外を除けば共通するのはその善性。他者を出し抜く、他者を蹴落とす真似は、彼個人ではありえない。
「じゃあ準備がてら、互いの事をもっともっと知ろうよ!フレンド登録とかどうかな?ね?」
「愛車はニンジャ400」
「もー!そういうバイクとかの話じゃなくてー!」
「バイクはいい…馬力は俺を裏切らない…」
「さっきの話の続きだ藤丸立香。アデーレとマカリオスの大人外見を詳しく聞きたい。どんな感じだった?見た目を含め詳しく」
「もう、そういうデリケートな話題はあまり掘り下げてはいけません、大人でしょう?ポリシー、デリカシー、プライバシーですよ」
「はい、誠に申し訳ありませんでした」
「お互い子供に諭されていたら世話がねぇな…」
(オレとの共同…頑張らないと……!)
数奇な縁もあったが、藤丸立香であるならばどこにいようとやることは変わらない。
必ず帰還し、自分自身の戦う場所へと舞い戻る。それこそが、自分達のやるべきことだと全員が理解していた。
騙し、裏切り、策謀が定番となりうる脱出ゲームにおいて…
そのような行為には無縁な人材で固められた事は、立香にとってはまさに僥倖であったことだろう。
(待っててくれ、マシュ。必ず帰るから…!!)
立香は静かに、最愛の少女へ決意を捧げ奮い立つのであった──。
おじさん「最後に来た藤丸は…なんというか普通だな」
藤丸立香「一般人マスターなので…」
おじさん「いやいや、とっくに普通の領域ははみ出てるだろ俺達。せっかくだからお前もアピポイント教えてくれよ」
藤丸立香「そう言われても…」
リツカ「あ、じゃあマシュとの事教えて!結婚までしたんでしょ、気になる〜!」
藤丸立香「マシュの事でいいなら!えっと、五時間くらい貰うよ?」
一同「えっ」
……その後、マシュの馴れ初めから今に至るまで、膨らんだ会話も含め七時間は語り続けた。
一同は理解する。
彼は藤丸立香の中で、最もマシュを愛した男なのだと──。
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