くま「サタン、君は…」
【言っただろう?静かにすると。不要な騒ぎを、鎮めにいくのさ。少しの間時間がある。ゆっくりと考えなよ】
くま「………!」
【娘と、自分にとって…どうするのが正解なのか、ね】
くま「……………………!!」
「これ以上、おれの仲間も船も傷付けさせねぇ!おれが相手だぁ!!」
間一髪に間に合ったルフィとリッカ。ルフィは戦桃丸にぶつかり、その気迫において仲間を護らんと意気軒昂を見せつける。ギア3の開放からもそれは一目瞭然だ。戦桃丸はそれを肌で感じ取る。
(麦わらのルフィは勿論最重要ではある。あるが…これが全身全霊だとするのなら、新世界のレベルにまるで追いついちゃいねぇ)
ギア3の直撃すら受けた戦桃丸は徹底して冷静だった。麦わら海賊団の状況と、眼の前の正体不明の存在における危険度、優先度を静かに測っているのだ。
(パシフィスタに麦わらの一味は右往左往していた。となればその他の仲間のレベルはその程度、今に恐れるに足りる相手ではない。ならば眼の前の相手はどうだ?)
【……─────】
(七武海の鷹の目じゃあるめェし、どんなカラクリを使ったのかと問い詰めてぇが…この力がもし、本当に麦わら海賊団の一員のものだとしたら)
それは間違いなく海軍の、並びに世界の敵となる存在であろう。今の新世界に求められるレベルに到達しているのが、あの正体不明の鎧だったとしたら。
「…ここは無理をしてでも、あいつを討ち果たさなくちゃいけねぇらしい…!」
「余所見してるなお前ェ!!おれが…!!」
「引っ込んでろ!!『足柄独行』!!!」
パワーのルフィの攻撃を、戦桃丸はまるで意に介さず受け流し返す刀のぶちかましをルフィに叩き込む。それを対処しきれず直撃し、サニー号に叩き込まれるルフィ。
「ゥ………………!!!」
「ルフィ…!」
「ルフィ〜〜〜〜〜〜〜!!!」
「新世界に挑むには何もかもが足りねェ。わいに苦戦するような強さがどうして偉大なる航路を踏破できる」
「…!!」
「その弱さは罪以外の何者でもねェよ、麦わらのルフィ…。…問題は、こいつだ…!」
【!】
パシフィスタを全て寸断、討伐した謎の存在をこそ戦桃丸は警戒を顕にした。船長よりも実力を有する船員というのは中々にレアな話だが、そうであるのなら遠慮と躊躇は必要ない。
「麦わら海賊団であろう何者か!わいは世界一ガードの固い男戦桃丸!お前を今より対処させてもらう!!」
ルフィをあっさりと下した勢いのままに、リッカへと猛然と突撃していく戦桃丸。彼は冷静かつ大局を見据えられる優秀な存在である。それ故リッカに狙いを定めたのだ。より凶悪な危険分子になり得る彼女を。
「このマサカリを使うに値するとお見受けした!さぁいざ、わいと立ち会え!!」
正々堂々とした様子で、巨大なマサカリを担ぎ猛然と突進する戦桃丸。リッカはそれを受け、童子切をただ構えた。
【ここで、麦わら海賊団をやらせはしない。其の為なら…あなたを迅速に無力化する…!】
「出来るものならやってみせろ!わいは世界一ガードの固い男、戦桃丸だ!!」
マサカリを、渾身の勢いで振り下ろす戦桃丸。船すらも両断するであろう必殺の剛力により叩きつけられるそれは、とても華奢な女性が受け止めきれるような規模の一撃等ではない。
「消え───」
戦桃丸が目にしたもの、それは手応えや討伐の証ではなかった。眼の前にいた鎧の存在が、忽然と消え去った事…それへの思考停止であった。
奇術や妖術の類ではなく、幻覚や幻の類ではなく、まさに忽然と姿を消した。音すらなく、まさに瞬間移動の如くにりマサカリは、大地をただ強く破壊し蹂躙したのみとなる。
(いかん!追撃が来る…!対応しなくては…!!)
見失ってしまった以上、予定かつ推定されるのは手痛い反撃。戦桃丸は素早く全身を集中させ金剛のように身体を硬くし、、反撃に対応出来るように意識を巡らせる。
(!見つけたぞ…!いや、待て。なにをしている、お前は!?)
その集中力がリッカを捉えた時、不可解な光景に戦桃丸は困惑した。なんと自身に背を向け、静かに刃を納刀しているではないか。刃を仕舞う。戦闘放棄に等しい行為。
(血迷ったか…!?降参するとでも言うのか、今更…!?)
思考の空白は生まれたが、だがそれは好機でもある。戦桃丸は体勢を整え、無防備なリッカに反撃を加えんと動き出す。
(わいの勘違いだったか?しかし、それならパシフィスタの全滅をどう説明し────)
戦桃丸が思考を巡らせる事が出来たのは、そこまでだった。戦桃丸の視界はぐらつき、暗転し、やがて電源を切ったかのようにブラックアウトを起こす。
(こ、れは……いけねぇ……………)
全身の弛緩、その場への平伏。全く言う事を聞かない身体…そこまで受けて、戦桃丸は現状を理解した。
(既にわいは…『負けて』いたのか────)
マサカリを振り下ろす寸前に抜刀は終わっており、振り下ろした直後に一閃を重ね、気付く頃には残心の境地。何も映すことも、何も追いつく事も叶わない瞬速の一閃。それにより、戦桃丸は下されていた。パシフィスタを全滅させたのもその力の一端であったのだ。
(まるでオジキ…あんたそのものじゃあねェか………)
光の速さに類するかのような不可視な斬撃、至高の剣技。披露されたそれは、まさしく黄猿ボルサリーノが如し。
(とんでもねぇヤツが…いたもんだ…───)
称賛とも、危惧とも知れぬ言葉と評価を残し。戦桃丸はその意識を手放した。
「う、うおお〜〜〜〜!!リッカスゲ〜〜〜〜〜〜!!」
「あの戦桃丸を…倒したの?一人で…!?」
「いや、そもそも倒したのか!?俺にはすれ違った後、勝手に倒れちまったように見えたんだがよ…」
「あれは、居合という抜刀術…ですがその精度と剣技が鋭すぎて知覚すらできなかったのでしょう。その領域にまで、リッカさんの一撃は極まっていた…!」
「…何が下っ端、海兵だ……爪を隠してたって事かよ…」
「…情けねェ…!リッカになんとかしてもらってばかりだ……!!」
【戦桃丸とパシフィスタはなんとか出来た。なら急いで一味の皆の態勢を立て直さなきゃ…!】
ジェットメリーから見た光景に、燃えたぎるマグマと氷漬けの大地が垣間見えた。それは即ち、赤犬と青キジが来ているという証。最早一刻の猶予も許されない。避難するにせよ、逃げるにせよ、囲まれてしまえば勝ち目はもう存在しないのだ。。
【せめて、バーソロミュー・くまが来る前に……!】
ニキュニキュの実の能力者。強制的に相手を弾き飛ばす七武海が現れる前に、今後の方針を持ちかけねばならない。ルフィ達サウザンド・サニー号に駆け寄ろうとした、
──その時であった。
「おやぁ?見ない顔だねェ〜〜〜」
【!!】
「死ぬといいよォ〜〜〜」
瞬間、リッカを横殴りに殴りつけた様に吹き飛ばす影が現れる。リッカは目にも止まらず、マングローブへと叩きつけられる羽目になる。それは、人間の反応速度の遙か先の一撃。
「リッカ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
「見ない顔だから思わず蹴ってみたけれど…特に問題は無さそうだねェ〜〜〜〜…………」
間延びした声で語りかける、長身の男。黄猿、ボルサリーノ。
「流石は億超えのルーキーども。面倒にも手こずらされちまった。勘弁してほしいぜ、全く………」
「!!」
「よう、ニコ・ロビン。何度も何度も会いたくねぇよな、お互いな」
氷漬けの海に変化する停泊所。青キジ、クザン。
「パシフィスタは全滅…戦桃丸も伸びちょるとはやってくれたのぉ、ドラゴンの息子…!!」
灼熱のマグマを迸らせながら、頑然と歩み寄るは赤犬、サカズキ。歩む度に、マグマの熱量が大地に炎を刻み込む。
「だが、お前らはここでおしまいじゃぁ麦わら海賊団。わしら海軍大将の前から…逃げおおせるとは思わんことじゃけぇの!!」
「海軍大将が………三人も…」
「こんな…これ、どうするのよ……」
麦わら海賊団の一味は、あらゆる困難を乗り越えてきた。離散の危機も、空へと飛び立つ時も。
その心は決して折れることはなかった。…しかし。
「もう…おしまいだ俺ら…」
「…………」
彼等は理解せざるを得なかった。
今この眼の前の光景こそが……絶望という概念そのものでる、と
マングローブ部分にて。
リッカ【……やっぱり。ここを退けるのは、これしかない】
リッカは、決断した。
【アジーカ、アンリマユ】
アジーカ【ほい】
アンリマユ【あいよ、どした?】
【──力を貸して。大将三人を…討つための】
太陽神ならざる…【悪神】と、その眷属の力。
その本懐を──解放する事を。
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