くま「……しかし…」
サタン【信じるか信じないかは勝手だけど…僕は五老星を足蹴に出来る立場だ。サターンが持ちかけた契約なんて、横紙破りなんて容易い】
くま「…おれは…また、会えるのか?娘に…ボニーに…」
サタン【親が子供に会いに行くのに誰の許しが必要なんだい?胸を張って会えばいい。君という一人の父親として。怨敵天竜人の種の娘すら育て上げた君の平和主義は、美しいと思うよ】
くま「…お前は…いや、あなたは。何者だ…?」
サタン【サタン。美しい物を愛するだけの存在さ。…あと、これ。革命軍と会った時、渡されたんだよね。音声記録されたやつ?】
くま「…?」
女性の声『くまちー…』
「!!」
『ずっと……ずっと大好き』
くま「………おぉ……ジニー……!!」
サタン【………】
〜
ルフィ「必ず戻ってくる!ここで待ってろ!」
ハチ「ニュ〜!麦わら、大丈夫か!?」
ケイミー「リッカちんも…!」
リッカ「大丈夫。天下の麦わら海賊団は…こんなところで終わらないよ!」
ルフィ「頼む!メリー!船が…!仲間がピンチなんだ!!」
サタン【大魔王サタン】
「うわぁあぁあぁ!!なんだこいつら!同じ顔がやたら出てきたぞォ〜〜〜!?」
ルフィとリッカが、コーティング屋との待ち合わせ場所にケイミー達を合流、避難させた同時刻。41グローブのサウザンド・サニー号停泊池には絶体絶命の危機が訪れていた。
『『『『『『……………』』』』』』
「スリラーバークで会ったバーソロミュー・くま…!見るからに同じ姿なのはどういう訳だ…!?」
サンジの言う通り、それは瓜二つの見た目をした大量のバーソロミュー・くま。サウザンド・サニー号を取り囲むその風体は、不気味かつ異様そのものであった。
「一緒の顔なのは当然。こいつらは人間兵器パシフィスタ。海軍が製作したプロトタイプ…!」
そしてそれらを統括する立場の、童話の金太郎のようなマサカリと髪型をした男が一味の前に現れる。
「わいは世界一口の固い男『戦桃丸』…!迅速にお前ら海賊を捕らえにゃならない事情がある。シャボンディ諸島のためにも…情けはかけてやれねェ…!」
「ぐうっ…!!」
「ゾロ!?どうした、傷が痛むのか!?」
今の一味において最も戦闘力が高いゾロが不調に呻く。彼はスリラーバークでバーソロミュー・くまの『慈悲』を受け、ルフィのダメージを全て肩代わりした。それから間もなくその相手の顔を見たとなれば、身体が拒絶反応を起こすも已む無しであろう。
(無理もねェ…!マリモがアテにならねぇなら俺がやるしかねぇ!)
(ルフィとリッカが戻るまでなんとしてでも持ちこたえなきゃ…!)
「やれ!PXー1から4!船を落とせば海賊は終わりだ、攻め立てろ!」
戦桃丸の号令と共に、パシフィスタ達が戦闘態勢に移る。口から、掌から光弾をチャージし、サウザンド・サニー号を狙ったのだ。
「あいつらスーパー容赦ねぇ!!サニーをやられたらおしまいだぜお前ら!!」
「大丈夫、眼の前にいるなら止められるわ」
素早くロビンがハナハナの実により腕部を展開し、パシフィスタの口と掌のチャージを阻む。一斉射撃の攻撃を阻むことにより、パシフィスタ達に隙が生まれた。
「指揮官を潰しゃあ隙が生まれる…!そいつはお前だってのは解ってんだ!!」
「ほう。世界一ガードの固い男のわいを狙うか」
「クソ金太郎!さっさとオロしてこっからトンズラさせてもらう!」
「行け〜〜〜!!やれサンジ〜〜〜!!」
サンジが渾身の蹴りを戦桃丸に叩き込む。指揮系統の麻痺を狙った速攻であり、悪魔風脚を使用した渾身。
しかし……
「足柄独行!!!!」
「ぐぁア!!!」
なんとサンジ渾身の蹴りは、戦桃丸の張り手で一瞬で弾かれ無力化され、吹き飛ばされてしまう。仮にもサンジの最強技の一つである技を、戦桃丸はあっさりと無力化したのだ。
「悪くない気迫だが…覇気の乗らない攻撃は届かねェな」
「サンジ君!!」
「サンジ〜〜〜!!」
「なんだ、こいつの打撃は…!芯に響く様な衝撃だ…!!」
サンジが受けた一撃は、覇気を練られたもの。新世界における最低限の素養…。能力者本体にすら打撃を打ち込む武装色の覇気。技の威力を何倍にも上げるものだ。
「わいは世界一口の固い男。覇気も知らないルーキーはこの先は生きちゃあいけねぇ」
「………!!」
「ここで死ぬのが、お前等の為でもある…どの道シャボンディ諸島にいる海賊はおしまいだがな…」
「何…!?」
「わいは世界一口の固い男。今このシャボンディ諸島には『海軍大将』が三人やってきている。お前等覇気も知らねぇルーキーが逆立ちしても勝てる様な相手じゃねぇよ」
「…!!!」
「海軍大将…青キジクラスが、三人も…!?」
「どう考えても過剰戦力なんだが……天竜人の報復では留まらない何かが今のシャボンディ諸島にはある…お前等は『ついで』だ。そういう意味じゃあ、運がなかったな。…おっと、今のは自発的にわいが教えたんだ。聞かれて答えたわけじゃ…」
瞬間、パシフィスタの頭部が爆発を起こす。次々と爆発する原因…それは戦桃丸が侮っていたはずの、ルーキーたる麦わら海賊団のもの。
「やっぱりだ!口ん中に放り込んでやれば誘爆する!人間兵器だってんなら、そいつはどうしたっても避けきれねぇ!」
「うぉ〜〜!!ウソップスゲ〜〜〜〜!!」
「もう船を失うのは懲り懲りなんだよ!来るなら来い!!キャプテン・ウソップが船を護りきってやる!!」
パシフィスタのチャージなど、ウソップの狙撃の前にはあまりにも遅い。
「必殺!!『火の鳥星』!!」
無数に放たれた火の鳥星が、確実に口部に放り込まれ爆発炎上していく。包囲した事により、逆にウソップの射程に入り込んだ形となったのだ。
「ウェポンズ『左』!!」
「口を狙えばいいのね!サンダーボルト=テンポ!!」
着々と他の一味もパシフィスタに攻撃を加えていく。きっかけさえ掴めば、諦めずに押し返していくのは紛れもなく、偉大なる航路前半の踏破者だ。
「いつまでも寝ぼけてるわけにもいかねぇ…リッカに副船長と呼ばれた手前、意地は見せねぇとならねェ…!」
「ゾロ!!」
「百八煩悩砲─────!!!」
一味等が一丸となって、パシフィスタを迎撃していく。スペックで見るならば敵う筈もないパシフィスタが押されているのは間違いなく麦わら海賊団の底力であった。
「顎を跳ね上げるんだな!ランブル!『刻蹄・桜吹雪』!!」
「リッカさんにも良いところを見せなくてはなりません!ヨホホホ〜〜!!」
額面上のスペックなど容易く覆す。彼等の潜り抜けてきた旅路は、生半可なものではないのだから。
「見た限り、船長も不在だってのによくやるもんだ…。伊達に億超えのルーキーの一味というわけじゃねェか…」
「余所見してるんじゃねェ!!」
サンジが戦桃丸に食らいつく。瀬戸際の攻防にて、サウザンド・サニー号と一味の存亡を懸けた激闘が繰り広げられる。
(オジキら大将は別のルーキーのところか…?合流が遅い。海賊共が集まっているのが逆に枷になっているって訳か…)
「おぉおおぉお……!!!」
(手痛い抵抗は続けているが…所詮は悪足掻き。パシフィスタはいずれ行動パターンを把握し対処する。それはほんの数分で済む。その瞬間が麦わらの一味の最期…)
「うわァ!!手からも出るのかよビーム!?」
「気を付けてウソップ!私の手による対処にも限度がある…!」
(所詮は少数精鋭…崩せば総崩れになるのは早い。となれば…)
「!!」
(仕留めるのは戦闘要員…!)
戦桃丸は狙いを定める。目論見はサンジの『戦闘不能』。
「ほいさ!!!」
「!!!!!」
渾身の張り手の連撃を加え、サンジの意識を刈り取らんとする。覇気の篭ったぶちかまし、それに加え───
「うちのコックに何をしやがる…!!!」
「やはり来るよな、ロロノア・ゾロ」
「!!」
「『足柄独行』!!」
サンジを処したのは、カバーの為にやってくるであろう戦闘要員の連鎖的対処。不調を押したゾロが崩せるほど、戦桃丸は容易な相手ではなかった。
「サンジ!!ゾロ〜〜〜〜〜〜!!!」
「………!!!」
「ぐっ…………ゥ…!!」
サンジ、ゾロ共に立ち上がれない程のダメージを受ける。戦桃丸はすかさず指示を飛ばす。
「麦わらの右腕と、左腕は奪った……押し込め!パシフィスタ!!」
瞬間、動揺を押し込む様にパシフィスタがチャージを開始する。フェイントを交えるように、掌のビームを交えながらの口の本命のチャージを進める。
「クソぉ!!止めろォ〜〜〜〜!!」
「船は止めてくれェ〜〜〜〜〜〜!!」
「オジキらの手は煩わせねぇで済んだか……」
決着がついた…戦桃丸がそう感じ、空を見上げたその時。
「な────」
「ギア3!!骨風船…!!『ゴムゴムの巨人銃』!!!!!!」
「麦わらのルフィ…!!」
戦桃丸に向けて叩き込まれる、巨人族の腕。それに加え──
「なんだ、あいつは…!?」
戦桃丸は───ルフィと共に舞い降りる、漆黒の【龍】を見た。
リッカ【パシフィスタ───!もう一刻の猶予も無い!】
〜
ルフィ『なんだおれは……!仲間一人!救えないっ…………!!!』
〜
リッカ(もう漫画の向こうの出来事じゃない…!ルフィ船長に曇ってほしくない!一味の皆にも!!)
パシフィスタ『『『『『『────!』』』』』』
リッカ【なら──ここで仕留める…!!四天王抜刀術──】
リッカは童子切を引き抜き、着地に至るまで居合を無数にパシフィスタに撒き散らす。そして着地と同時に納刀し…
【『頼』!!】
牛頭天王の神性を解放。それにより───なんとパシフィスタが全て『細切れに寸断』された。プロトタイプは全て、全滅の憂き目に逢う。
戦桃丸「な─────」
フランキー「なんだァ!?スーパー細切れになっちまった!?」
ナミ「あれ…リッカなの!?ルフィと落ちてきたし…!」
ウソップ「あいつあんなに強かったのかァ!?トビウオライダーズん時!隠れてろって言って悪かったァ!!」
チョッパー「ウォオ〜〜〜〜〜!!リッカ〜〜〜〜〜!!!」
ロビン「フフ、流石は人類最悪のマスター…!」
ブルック「あの剣技…!私やゾロさんよりも遥かに…!?」
戦桃丸「……聞いてねぇぞ…あんなヤツを引き入れていたのか…!麦わら…!」
ルフィ「もうやらせねぇ!!あと!リッカ!!」
リッカ【!】
ルフィ「本当にありがとう!!」
【(コクッ!)】
光明を見出す麦わらの一味。
しかし…
バジル・ホーキンス『』
クザン「バジル・ホーキンス…あぁ、こいつもルーキーか…」
ウルージ「ぐあァ!熱ッ゙!!」
ボルサリーノ「戦桃丸くん…大丈夫かねェ〜……」
サカズキ「邪魔じゃァ!ひよっ子共ォ!!」
ロー「ぐっ…!!」
キッド「化け物、め…!!」
破滅の時は、着々と迫っていた。
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