人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ウソップ「ま、まさか…」

ルフィ「ウソップ…」

ウソップ「ルフィお前…幼馴染と文通するぐらいの気遣いできたのか!?」

ルフィ「どういう意味だ!?」

サンジ「俺は聞いてねぇぞ!?道理で届いた手紙をニヤニヤ見てると思ったらお前…お前ってやつは…!!」

ナミ「別にいいでしょ、手紙くらい!ルフィだって人間が出来る最低限の気遣いはできるのよ!」

ルフィ「それフォローなのか!?」

ゾロ「いいじゃねェか…見直したぜ。大事にしろよ」

ルフィ「おっ、ゾロは解ってくれるか!いやー、悪い悪い話の腰を折っちまってよ。続けてくれ!」

リッカ「は、はい!」

(感想とメッセージは明日から返信します!)


同盟として、仲間として

「今から10年ほど前、エレジアは魔王トットムジカの手により滅びました。封印されていた筈のトットムジカは意志を持っていて、長らく封印された哀しみと寂しさから自分の存在を解き放てる力を持った女の子の力を使って。それが、赤髪海賊団の音楽家…ウタちゃんなんです」

 

リッカは語る。今に至るまでの経緯と、これからに起こる懸念を極めて分かりやすく努めた語り口にて麦わら海賊団へと伝える。

 

「エレジアは完全崩壊してしまいましたが、赤髪海賊団の頑張りで国王とウタちゃんは無事でした。そしてファンと協力して、今の今まで復興作業を続け…新生エレジアはもうすぐ完成する直前までやってきました。そこは身分や立場の関係なく、誰もが歌で幸せになれる国。そんな新時代の国を目指した、新しい場所として生まれ変わる予定の国なんです」

 

「そっか…ウタのやつ、ホントに手紙の通りに頑張ってたのか…」

 

「……心神喪失なのは間違いなかったとはいえ、よくその責務と重圧に潰されなかったものね…とても恵まれたのね。ルフィの幼馴染さん」

 

ロビンの言葉にルフィは笑う。事実ウタの手紙にはパワーとエネルギーが満ちており、悲嘆や悲哀は欠片も感じなかったと彼は頷いた。だからこそ、解るのだと。

 

「でも、その理念で興した国は今の大海賊時代ではとても危険よ。海軍や海賊、それに天竜人…中立の立場を貫くには敵が多すぎる」

 

「いや!天竜人は聖地に【大魔王】が乗り込んでしこたま暴れ回って数が激減したって噂だぞ。何せ一夜でいきなり懸賞金54億6666万ベリーの大海賊が現れて、なおかつ今の海で誰もそいつを見たこと無いってめちゃくちゃな話だからな!」

 

ウソップの言葉にロビンは懸念を伝える。

 

「…天竜人は世界の中心にして頂点。その聖地を襲撃したのであればこの破格の懸賞金も理解できる。同じ様に聖地を襲撃したフィッシャー・タイガーと違い、明確に天竜人と聖地を狙った海賊行為だったのなら、世界的危険度からも納得がいく…。…!まさか!」

 

「どした、ロビン!?」

 

「リッカちゃん、今エレジアはファンと一緒に復興したと言ったわね?一夜の伝説の大海賊、大魔王サタンは…そのファンでは無くて?」

 

「…はい。天竜人と聖地を襲撃し、数多の天竜人を行方不明にした張本人。世界政府への反逆者【サタン】は、エレジアにおけるウタのファンであり、支援者です。(ロビンさんの理解力が早すぎる…!)」

 

一同は騒然となった。ちょうどルフィが海賊として出港した日に壊滅的な被害を受けた聖地マリージョア。海賊王に次ぐ懸賞金をかけられた謎の存在サタンの手配書。そのサタンが、エレジアやウタのファンであるという事実にだ。

 

「そっかー!ウタのやつそんなすげェ海賊もファンにしちまったのかー!ファンってそういう事か〜!なっはっはっはっ!!」

 

「何嬉しそうにしてんだルフィ!?お前の幼馴染、大海賊の手に落ちてるんだぞ!?」

 

「サタンってヤツは悪いやつじゃねェよ。エレジアでシャンクスと別れたウタが毎日楽しいことを手紙に書けたのは、きっとそのサタンやゴードンってやつのお陰だ。多分、本当に心からウタのファンだっておれは思う」

 

「…そうよね。もしサタンがエレジアを支配する気なら、毎日ウタちゃんに手紙なんか出させないだろうし。多分、天竜人の好き勝手なエレジアへの干渉を防ぐために…」

 

「あぁ。ウタの為に世界をぶっ飛ばしたんだ。そんなヤツがウタを支えてくれてたんなら、おれはサタンにお礼が言いてェな!会ってみてェな〜!会えるかな、リッカ!」

 

ウソップからしてみれば、カヤという近しい立場の人間に近付いた悪党の件があり穏やかではいられなかったが、ナミとルフィの結論は希望的なものだった。

 

「勿論!今も彼はウタを支えています!…でも、そんな彼と、彼の同盟者である私の組織が協力しても、復活するトットムジカを鎮めるのは非常に難しくて…」

 

「そんなにヤバいのか、トットムジカってのは。リッカちゃん」

「面白ェ。いい力試しになりそうだ」

 

「はい。少なくとも…倒すには、ルフィが【四皇】クラスの実力を身に着けなくちゃいけないかもしれません」

 

「「「「「!?!?!?」」」」」

 

「四皇…!シャンクスと同じくらいか!気合い入れねェとな!」

 

ルフィを抜いた一同は愕然とする。要求される強さのあまりの高さにだ。しかしルフィだけは、バキバキと腕を鳴らし闘志を燃やす。それはまさに覇王の意志の一端であった。

 

「だから皆さんにお願いです!二年後に、エレジアに訪れ力を貸してください!」

 

『ログポースを皆に渡すね。時が来たら、エレジアを指し示してくれる。これが指し示すまでに…』

 

「めちゃくちゃに強くなって、ウタを迎えに行くんだな!──解った!リッカ、メリー!お前らの頼み、確かに受け取った!」

 

ルフィの力強い快諾に、リッカとメリーは笑顔で抱き合う。ルフィは決して力では言うことを聞かない。彼自身が頷くことが、唯一無二の最大の難易度だったのだ。

 

「ルフィさんだけを戦わせては一味として成り立ちません。我々も全力でお助けいたします。ところでリッカさん、パンツ見せてもらってもよろしいですか?」

 

「あっ、その!公共の場ではちょっと…!」

 

「何を持ちかけてんだクソ骨ェ!!!(ズガァン!!)」

「あっ蹴りが響きますねぇ〜〜!!骨だけに〜!!」

 

「と、と、とんでもないパワーアップをしなくちゃダメだぞ、オレたち…!」

「だ、ダメだチョッパー!俺は『魔王に挑むと腰が抜けてしまう病』が…!」

 

「そうなのか!?医者ァ〜〜〜〜〜!!」

「医者はオメェだ、オメェ」

 

「……本当は、ルフィの自由な航海を私達の都合に巻き込んでしまうのは気乗りしなかったんです。でも、どうしても。ウタちゃんにはルフィの力が無いと助けられないと思ったから…」

「にししし、気にすんな!命令されるのは嫌だけど、頼みやお願いなら聞くのは当たり前だ」

 

「ルフィさん…」

「わざわざ知らせに来てくれて、ありがとな。二年後…必ずエレジアに行くよ。これはおれがする、約束だ!」

 

ルフィの差し出された手を、リッカは力強く握り返す。彼は自由な冒険と示された願いを裏切らない。この海において自由を重んじる海賊だったからだ。

 

「よーし野郎ども!!二年後に備えて今から鍛えていくぞォ!!エレジアに向けて!めちゃくちゃ強くならなくちゃいけねェからな!!」

 

ルフィの船長命令に、一同は悲喜交交ながらも了承する。滾るもの、震えるもの。考えるもの。それでも否定する者はいなかった。

 

「伝えたいことはわかった。となると、もう行っちまうのかい、リッカちゃん?」

「えー!俺もっとお前やメリーとお話したいぞ!」

 

「私も、別世界や別次元の存在には興味があるわ。もう少し一緒にはいられないかしら?」

 

「えっ!?えっ、その…」

 

サンジ、チョッパー、ロビンの言葉に戸惑うリッカ。伝えるだけを伝えたら、早々に一同の邪魔にならないように去るつもりだったためだ。

 

「私的にも、妹分が増えるのは大歓迎なのよね〜…?」

「そうだぞ!次はこのキャプテン・ウソップの武勇伝を聞いていけって!」

 

「お前の剣技…世界一の大剣豪を目指す身としては見過ごせねぇな。もうちょい付き合えよ」

 

「この廃材!もしかしたら、メリーに連なる何かを作れるかもしれねぇ!スーパー頼む!!」

 

「ヨホホホ、楽しい場所ですよここは。保証致します!指紋がないのでハンコ押せないんですけど私!!」

 

「ル、ルフィはどうお考えで…?」

 

「ん、いいぞ?お前元気よくていいヤツだしな〜!よし!今日からお前は麦わら海賊団の『海兵』だ!」

 

「…………!!はいっ!!下っ端海兵リッカ!お世話になります!!」

 

「にししし!海兵は何でも出来なきゃダメだからな〜!頑張れよ〜!」

 

「心配しないでリッカ、セクハラパワハラしたら私がガツンと言ってやるから!」

「ふふ、女性仲間が増えて嬉しいわ。よろしくね。リッカ」

 

「こりゃあとびきりのレシピを作らなくちゃいけねぇな!」

「よーしリッカ!海兵になったならこのウソップの武勇伝を聞く義務が発生する!毎日聞きに来るように!!」

 

『ふふ、良かったね。リッカ』

 

「はい!!皆さん、よろしくお願いします!!」

 

力強く頭を下げるリッカ。これでリッカは暫定麦わら海賊団の下っ端『海兵』としての協力を取り付けた。

 

二年後の魔王鎮魂戦にて…希望が差した瞬間であった。




リッカ「ルフィ船長!私、あれが聞きたいです!」

ルフィ「ん?あれ?」

リッカ「海賊王に、ってやつ!」

ルフィ「ん、そうか!よーし、新たな仲間に宣誓の意味も込めて…!」

リッカ(わくわく!)


ルフィ「海賊王に!!!おれはなる!!!!!」

リッカ「ふぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」

サニー号にて、力強い宣誓が響くのであった──。

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