人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ベルゼブブ【カルデアとの共同作戦が決定した。魔王達に通達しておけ】

アスモデウス【了解したわ、ベルゼブブ。…カルデアの皆と上手く協力していきたいわね】

ベルゼブブ【レヴィアタンの件もそうだが、お前達は大罪を抱えるものだ。くれぐれもやりすぎるな】

アスモデウス【解っているわ。レヴィアタンも反省している。お互いフォローし合いましょう?仲間だもの】

ベルゼブブ【うむ。協力とまではいかなくともスタンドプレーのチームワークは目指せ】

アスモデウス【任せなさいな。…ところで…】

ベルゼブブ【?】

アスモデウス【土下座には…服を脱いで全裸でやると良いとシュブちゃんネルでやっていたけど、本当かしら?】

ベルゼブブ【……さぁ………?】


魔王の心へ

「グランドマスターズ、揃っているわね?ではこれよりブリーフィングを始めるわ。我々カルデアはこれより、ワンピース世界に伝わる【歌の魔王】たるトットムジカ征伐作戦に臨みます」

 

オルガマリーの号令により、管制室にはマスター達とカルデア首脳陣が集められた。それは勿論、王の勅令たるトットムジカの討伐作戦の為の作戦会議であり、一大作戦扱いであることは疑いようもない。エレジアを滅ぼした魔王…ワンピース世界における【魔王】たる存在に挑むのだ。

 

「ワンピースは読み込んでるつもりだったけど…ウタもトットムジカも実は見たことが無いんだよね。2017年よりも向こうのワンピースの存在だとは思うんだけど」

 

「リッカ、油断するなよ。悪魔の実やら四皇やらがいる世界で【魔王】の名を冠する存在だ。生半可な訳ないんだからな」

 

カドックの危惧する通り、ワンピースの世界は大海賊時代という混迷の極み真っ只中だ。海賊にも海軍にも能力者が満ち溢れ、悪魔の実が偏在する人外魔境だ。

 

そんな中で魔王の名を冠すると言う事は、それ程凶悪を極めた存在ということに他ならない。カドックはワンピース世界と交信した時点からワンピースを2017年まで読破しており、事前知識を蓄えている。ちなみに漫画初体験だ。

 

「そうだ。我々の世界における創作と、あちらの世界の事実は大いに食い違う。推理に挑むには絶対的に情報が不足している。…そこで我々は、ウロヤソク聖、レタッソク聖が教育、更生させた大量の天竜人部隊によるエレジア資料室の調査において情報を収集してもらった」

 

ホームズの言葉とともに、エレジアの資料室の映像が映し出される。サタンの大破壊により拉致した天竜人はレタッソクとウロヤソクによりケイオスカルデア更生プログラムを施され、愚民政策から解放されたのであった。

 

そのメンバーで構成された【天竜部隊】と呼ばれる彼等の手腕により、エレジアに保管されていた情報のほぼ全てが編纂、解析され、トットムジカにおける情報がカルデアに渡ることととなった。ホームズがそれを解説する。

 

「【人の恐れ、人の迷い。トットムジカの名のもとに。怯えよ、逃げよ】…という読み取られた文面、そして【ふれてはならないもの】。そう評価されるエレジアに伝わる存在。それは意志を持つ楽譜であり、かつてのエレジア崩壊の折、ウタ少女の力を行使し、実体化し暴虐の限りを尽くしたとされる」

 

「現場には赤髪海賊団がいて、なんとか沈静化には成功した様だけど…これは倒したと言うより、中核を担っていたウタちゃんの精魂が尽きた事による消滅という側面が強いわね」

 

「シャンクスの海賊団総出でも倒しきれなかったという事か…」

「撤退させたんだけど、エレジアは…」

 

「…はい。顕現したのはほんの数十分から1時間。その時間でエレジアは市民が全滅し国家は滅亡に追い込まれています。楽園カルデアにおいても相当の強敵になることは間違いないと思われます」

 

シオンの言葉に一同は神妙な顔持ちになる。赤髪のシャンクスはあちらの世界の指折りの実力者。それがあくまで場当たり的の撤退にしか追い込めなかったとすれば、その脅威は推して知るべしであろう。

 

「討伐、とは言ったものの…あまりにも情報が少なすぎてどう対策を練ればいいのかも不明瞭よ。そこで、リッカ。あなたにはまず【魔王の楽譜】に宿る意志と対話を試みて欲しいの」

 

「あ、成る程!直接聞いてみるって事ね!」

 

「リッカを疑うわけではないが…大丈夫かい、オルガマリー?相手はウタ少女を騙し顕現するような悪意を有する魔王…リッカの力を差し引いても危険な賭けだと思うが…」

 

「解っているわ、キリシュタリア。最大限のサポートを展開するのは当然よ。具体的には刹那・F・セイエイ監修の元対話を行うし、護衛のサーヴァントと同盟相手であるサタン軍より戦力も回してもらう約束も取り付けた。後は彼女のコミュニケーション力次第よ」

 

「そして得た情報を可能な限りシミュレーションで再現し、作戦成功率を高める算段です。デイビッドさん。超越的視座から何か解ることはありますでしょうか?」

 

「……戦力の二面展開が必要だ。見聞色の覇気、タイミング、同時攻撃。交信できた情報はこんなところか」

 

「交信とはねぇ。お前さんはどちらかといやぁ旦那みてぇなコズミックに生きてるよなぁ、デイビッドよう」

 

「オレはスワンプマンでもあるからな。だが、カルデアのグランドマスターズのデイビッドなのは変わらないよ」

 

「彼の予想は間違いなく活路となり得るわ。戦力想定はビースト、最大でティアマト神クラスをも想定してもいいでしょう。なんにせよ…リッカ。あなたのトットムジカとの対話にかかっているわ」

 

「当たり前のように大任ね、後輩。同情するわ」

 

「いいんだよぐっちゃん!戦力は十分、こういうところでオンリーワンを発揮していきたいと思ってるから!」

 

「戦闘ではあなたの負担を可能な限り軽減する努力をするわ。マシュとコンラの友人、新時代の歌姫をなんとしても助けましょう」

 

「ンー、王道よねェ…アイドルが笑顔じゃないと不安になっちゃうもの。やり遂げましょ、リッカ」

 

リッカは力強く頷き、作戦を了承する。そして今回の作戦はカルデアだけではない。

 

「これはグッドニュースなんだけれど…先も言ったように、大魔王サタン勢力も今回は全面的に力を貸してくれるわ。そうですね、バアル?」

 

『うむ。我等七大魔王も出陣し、エレジアの被害をなんとしても留める。我等はサタン様の配下。そのサタン様が是とするならば、我等が背信の可能性は皆無と思って良い』

 

バアルが頷き、説明するように、今回の作戦は地獄とカルデアの総力戦が想定されている。それはエレジアが復興した事による国家防衛の側面を担うが故の特例であった。

 

「はい、マシュ・キリエライトが質問します!麦わら海賊団の皆様には助力を仰げないでしょうか?間違いなく頼もしい戦力になってくれるはずです!」

 

「そうしたいのは山々だけど…あちらはあちらで波乱の冒険の最中よ。伝達はするつもりだけど、こちらの作戦に同調してくれるかは…未知数ね」

 

「ウタの事だから嫌だなんて言わないとは思うけど、ルフィって誰かの下で戦うって嫌そうだし…」

「彼が自分の意志で来てくれることを願うしか無い、か。…心理描写が皆無だから、単純そうで読みにくいんだよな、彼の心情…」

 

カドックやリッカの不安を締めくくりに、一同に指令が下される。最大級の作戦に対する厳戒態勢だ。

 

「礼装や魔力の調整は今のうちにやっておくように。こちらの一日はあちらの一年…猶予は二日よ、無駄にはできないわ」

 

「うわぁ…いつもながら無茶振り好きだなぁカルデア…」

「頑張りましょう、アルトリア。味方だって頼もしいのだから!」

 

「じゃあまずは私が、対話しに行ってくるね!必ず情報、持ち帰ってくるから!」

 

「頼んだわよ、リッカ。ではブリーフィングを完了するわ。リッカ以外の職員は待機!すぐにでも全力を出せるようにウォーミングアップは済ませておく事!」

 

「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」

 

人を助けるため、国を守るため、ルシファーの宝物を護るため、カルデアは全霊にて挑む。

 

『来たか、藤丸龍華。こちらの準備はできている』

 

「トットムジカの楽譜を預かってきたよ!よろしくお願いします、刹那さん!」

 

『無用な情報は僕とヴェーダ、カルデアが受け止める。本質を掴め、藤丸龍華』

 

「ありがとうティエリアさん!リッカ屋って呼んでもらっていいですか!」

 

『始めるぞ。──クアンタムバースト』

 

「ほああああああああ!!!!」

 

リッカの意識は、魔王の楽譜へ。トットムジカの意志へと触れる──。




楽譜の世界

リッカ「ここが、トットムジカの世界…」

黒き暗澹たる楽譜と旋律が舞う精神世界。そこにリッカが降り立ち目の辺りにしたものは…

?【ウゥ………ウ………】

リッカ「!」

?【ウゥ…………】

背中を丸め、涙する…大柄のピエロであった。

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