ウタ(15)「じゃーん!どうよルシファー、ゴードンさん!また新しい曲作っちゃいました〜!」
ゴードン「ハイペースだね、ウタ…!こんなにもアイデアをうみだせるものなのか…!」
ウタ「そりゃああたし、新時代の歌姫ですから?普通の歌姫じゃないの!新時代の!歌姫!」
ルシファー「大したものだよ。レッスンも毎日欠かさず行っているし言う事なしだ。立派だね、ウタ」
ウタ「えっへへ…。こうしてる間にもたくさんの人は苦しんでる。そしてルフィもきっと海賊王になるために頑張ってる。1日だって無駄に出来ないから!」
ルシファー「そうそう。君はひとりじゃないんだ。いつだって忘れちゃいけないよ。君の夢には…沢山の人がついているのだから」
ウタ「うん!」
ルシファー「さて、ゴードンさん。今日も打ち合わせを行いましょうか?」
ゴードン「ああ…。本当にありがとう。ルシファー君」
ルシファー「礼などいりませんよ。これは絶対に必要なものですから。…エレジアの復興は、ね」
「エレジア、ちょっとずつだけど直ってきたね!ゴードンさん!」
「あぁ…まさか、こんな日がまた来るとは思っても見なかったよ…ありがとう、二人共…」
六年の歳月。ウタが15になった頃合い。一年の歳月を重ねるごとに並行し、失われたエレジアの復興にルシファーは着手を始めていた。
まず、エレジアとカルデアの時空の流れをずらし、エレジアの一年をカルデアの一日とした。その上でカルデアと一年に一度の交流を行う。つまり、ウタの十年はカルデアの十日という事となる。そうすることにより、カルデア側のタイムスケジュールを逸脱させぬようにエレジアを復興させるように仕向けた。
「カルデアの皆、全然変わんないね。あたしなんて学生みたいな歳になったのにさ〜」
「向こうには向こうの時間の流れがあるからね〜」
そして物資の提供と支援をルシファーが取り付ける。ギルには海の宝を献上する代わりに、復興に必要なものを数多取り揃えてもらう事により外界に気取られぬ復興を水面下にて進めることに成功。
「まさか、都市一つを復興させる私財を有する王が存在しているだなんて…」
「それがカルデア。カルデアには常識は通用しないよ、ゴードンさん」
そして復興作業に着手するのは…ルシファーが抱える地獄の軍勢の悪魔達。彼等はルシファーの私兵であり、彼の命令を絶対遵守する。それ故一人一人が能力者のようなもので、圧倒的な作業効率を誇る。
「ルシファーって偉かったんだ!すっごく不思議なようなしっくり来るような…」
「ま、当然だよ。こう見えて人気者なのさ、僕!」
カルデアと地獄。同盟を組んだ者たちがエレジアを復興させる。それが、新時代における中立の音楽国家に必須なものだと信じるが故に。
「ゴードンさん。新生エレジアの国王は勿論あなただ。あなたが新時代のエレジアにて、誰にも屈さぬ姿勢を見せることでこの都市は完全に復活する」
「ルシファー君…ありがとう。私は全力で国王としての任を果たすと誓おう。そして、ウタを護り抜く事もまた、誓わせてもらうよ」
「よろしくお願いしますよ。この世界の情勢において中立を貫くのはとてつもない覚悟と力がいる。それはゴードンさんとウタが頑張って築いていかなきゃいかないんだからね」
「責任重大…!頑張ろうね、ゴードンさん!」
「あぁ!」
「いい返事だ、二人共。僕もあれこれ手は打っている。少なくとも、エレジアの情報は外には漏れないようにしているし…新時代の布石は打ち始めているしね」
ルシファーはこの六年、自己の研鑽を究めると同時にエレジアの情報規制を徹底した。エレジア周辺をレヴィアタンにより天候を操り誰一人近付けぬようにしたり、世界経済新聞社に『ご挨拶』をしに行き、善意の情報や天竜人の動向を『個人的』に教えて貰う代わりに、その時が来たならエレジア関連の情報を回すなどといった裏工作。
「非加盟国も随分と回った。翼六つに見聞色の覇気を共鳴させれば『偉大なる航路』のどこだろうとそこに介在する意志を読み取ることができるようになったからね」
そんな中、ルシファーは宣言通り海を飛び回り、世界政府非加盟国にコンタクトを繰り返した。王達に詩人として謁見し、その美貌とハープで懐柔。文化と王家の芸能の伝授を条件に自らの羽根を譲渡。サタンの悪魔の羽根を渡した事により、そこを自らの縄張りと定義。近付く海賊、世界政府に加盟させようとする海軍に『天罰』をもたらす事により、非加盟国の尊厳を防護することに専心しているのだ。
「新聞読んだ?ゴードンさん。また『天竜人』が海で行方不明になったんだって!ざまーみろ!」
「こら、ウタ。天竜人への悪感情は前に出してはいけないと言っているだろう?」
「いーじゃん!嫌いなものは嫌い!…もしかして、これもルシファーが?」
「ふふ…さぁ、どうかな?」
天竜人がヒューマンショップという名の奴隷市場に向かう。民を害しに海に出る。それにより必ず神罰と言う名の雷が落ち海の藻屑となる。それらはこの六年間繰り返され、もっぱら天竜人は下界を恐れ聖地への引きこもりを強める事となった。海と空を制した天竜人がいないように、天地のうねりを支配できる者など何処にもいない。世界貴族の暴虐など、ルシファーからしてみればそんなものだ。
「そのうち、非加盟国や奴隷に落とされた人達がこのエレジアに沢山やってくる。それまでにはしっかり立派な国家として復活してもらわなくちゃね」
「まさか天竜人が海の事故に巻き込まれるだなんて…」
(復興が完成目前になったら、一仕事やらなくちゃね)
エレジアの復興が完成次第、ルシファーは計画を立てていた。それは聖地マリージョアへの襲撃。かつての英雄、フィッシャー・タイガーのように奴隷を解放する…のは二の次。
(聖地襲撃により世界を激震させ、世界情勢を混乱に叩き込む。誰もエレジアや、ウタウタの実やトットムジカ…ルフィ君の海賊の門出に目がいかないようなタイミングを作り出す。それだけの注目は、世界自身が作り上げたものだ)
世界の聖地に、かつてのタイガー・フィッシャーの再演が起こる。天竜人も穴熊を決め込み、海軍も対策に追われることとなろう。手薄になった海賊への天罰はルシファーが行えば、一人で三大勢力のコントロールは成る。国民予定の奴隷も大量に手に入る。一石三鳥だ。
(既に『手駒』は確保し、カルデアに送っている。そこで再教育した輩を放逐すれば、天竜人の動向は何もかも筒抜けだ)
定期的に会っているイムとの交流も続いており、ウタの新曲を誰よりも先に聞かせている。世界の頂点としての軟禁生活には中々の刺激らしく、『もっとムーに聞かせよ』『グッズとか作れ。Tシャツとか』『ライブまだ?』といった好感触をいただいている。
(もう割と世界の統治が惰性入っちゃってたからなぁ…。着実に世界が変わりゆく準備はでき始めてる)
残り四年。ウタが19になり、ルフィが海へと出る頃合い。そこになれば、彼女を会わせる事ができるだろう。シャンクス…エレジアの悲劇の根源へと。
(そこで、あらゆる全てが始まる。ウタも、エレジアも、ルフィも…大いなる激動が世界に齎される)
そして、ルシファー本来の目的…魔王トットムジカの楽譜もその時に。
(必ず手にしよう。ウタのこれからのために…エアのとびきりの御祝の為に)
「?ルシファー?」
「あっ…ごめん、考え事してたんだ」
「ほらほら、今日のレッスン始めるよ!遠いんだから、私の夢は!」
「…〜そうだね。じゃあ…始めよう!」
エレジアが国家として成り、大いなる新時代のうねりになるその日を夢見て。
ルシファーは彼女と、エレジアを見守り続ける。海の天罰となりながら。
(楽しみだ。色んな事が!)
そのあれこれを、一人の存在としてルシファーは自由に楽しむのであった。
おまけ
ウロヤソク聖【な、何が起きたんだぇ…海に出たら、空が光って…】
レタッソク聖【なんてことだえ!せっかくお気に入りの奴隷が出品されたところだったのにえ!許さんえ!】
?【ようこそ、天竜人。歓迎するえ】
【【!?】】
ニャルラト聖【今からお前達は教育され、生まれ変わるえ。この心清らかな…ニャルラト聖により】
ナイア聖【補佐のナイア聖アマス。よろしくお願いアマス】
【なんだえお前らはァ!!】
【そんなばかみたいな格好してどういうつもりだえ!衛兵!こいつを…ホデュァアァ!?】
ニャルラト聖【貴様らだけには言われたくないえ。わちきも含め皆思ってるえ】
【レタッソク聖!貴様ぁ、こんな事をしてただで】
ナイア【愛の棺桶アマス!】
【ホデュァアァァァァ!?】
ニャルラト聖【愛の教育は始まっているえ。今から貴様らは『人間』に生まれ変わるんだえ。心するんだえ】
ナイア聖【更生アマス】
【ホデュァアァ……】
【こ、こんな事をして…わちきらを…人間に…!?】
ニャルラト聖【伝説の尊厳破壊のオダセン聖の寵愛をくれてやるえ。覚悟するえ】
ナイア聖【徹底教育アマス】
【【ギャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!】】
不幸にも『海難事故』にあった天竜人の教育は続く…。謎の天竜人コスプレした変な親子の手によって…
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