アフロリッカ「大丈夫、あなたのリッカがファンキーになっただけだよ問題ないよ!」
モルガン「なら良かった…。時に我が妻、あなたにお願いがあるのです。我が娘であり、トネリコの娘たるバーヴァンシーの事です」
リッカ「あ。あの悪いのは口だけな娘だよね?」
モルガン「はい。彼女は私が授けたギフトにて動けている状態なのですが…妖精獄にて受けた傷と呪いは、祓えたわけではありません」
リッカ「…まだ、安静にって事?」
モルガン「えぇ。…このキャメロット・オークニーにて、彼女を害するものはそうそう無いはずですが…」
〜
ウェールズの森
バーヴァンシー「ここが、ブライド様やお母様が打ち立てた善性の森…」
(フフ…森に来たらやることは一つだよなぁ?)
バーヴァンシー「よーし!森林浴で森からパワーを貰うぜ〜!日光浴最高〜!」
〜
モルガン「…何事も、無いと良いのですが…」
「はぁ〜…皆が作った理想郷ってところが最高だぜ。この国、皆で頑張って維持していかなくちゃな。私も、やれることはなんでもやらねぇとな」
妖精騎士トリスタン…のギフトを受け継いだ妖精バーヴァンシー。悪いのは口だけともっぱらの評判の彼女は今、キャメロット・オークニーにて創られたウェールズの森にて一人で日光浴にてマイナスイオンを吸っていた。
正確には、彼女は妖精ではない。妖精獄にてケルヌンノスの巫女が切り離した善性…それが妖精の自然発生のサイクルを借りて形となったもの。つまり、彼女は切り離された自我…巫女のアルターエゴとも言うべき存在だ。故に、妖精騎士トリスタンを別の次元で受けていたバーヴァンシーの【悪辣であれ】という殻を纏い、脆弱な霊基を補っている状態である。故に、彼女は未だ妖精獄の呪いと悪性に弱りきった絶対安静の状態なのは変わらない。だが…。
『ん〜。うーん』
『どっちなんだろうねー』
「あん?」
彼女を構成しているのは、切り離された巫女の善性、その性分が、トラブルや困惑を聞き流すことなど出来るはずもなく。
「おいおい、シケた声が聞こえたぜ?どうした?私で良ければ相談に乗るけど?」
悪いのは口だけ、即座に親身になる彼女が声をかける。ウェールズの森にて、困っていたのは二匹の大甲虫。
『わぁ、巫女さんだぁ』
『こんにちは〜。相談に乗ってくれるの?』
ヘラクレスオオカブト、並びにギラファノコギリクワガタ。ウェールズの森において最強の二匹が、その勇姿に似合わぬ穏やかな様子でバーヴァンシーに歩み寄る。バーヴァンシーの数倍は巨大な体躯だが、彼女は恐れず2匹に触れる。
「当たり前だろ?お母様の国にいるなら皆仲間だろうが。水臭い遠慮とかいらねぇ、話してみろって」
『優しいなぁ〜。実はね、僕とギラファくん、どっちが凄いの?って皆に聞かれちゃって…』
「どっちが、だぁ?」
『そうなんだ。挟み上げられる僕か、相手を投げ飛ばす彼か。一体どっちが凄いんだろうね?って悩んじゃって…』
『どっちなんだろうね〜』
お互いは全く敵意を感じさせず、どっちなんだろうねー、とギチギチ装甲を鳴らしている二人。どうやらその体躯ならではの最強議論の元になってしまっているようだ。
「…確かに皆の気持ちは解るぜ。めちゃくちゃ強そうだもんな、お前ら…」
『そう〜?妖精獄では森に火を付けられちゃったけど、もう負けないよ〜』
『安心してほしい。あの頃よりずっと強いよ!僕ら!』
ウェールズの森がかつて妖精獄にて滅んだ時、それは放火による燃え落ちであり、彼等ウェールズの妖精たちは敵対勢力に決して遅れを取ることはなかった。たった一匹も逃げ出さず、身体に火が付こうと戦い続けた。ウェールズの妖精とは、ブライドの優しさと昆虫の強さをかけ合わせた最強クラスの存在なのだ。
「ふーん。そんなお前らのどっちが、ねえ…ぷっ、あははははは!」
そんな二人の悩みを聞いたバーヴァンシー、突如大笑いを披露。彼女からしてみれば、それは悩むまでもない愚問であったが故だ。
「なんだお前ら、こんな簡単な事で悩んじゃってるワケ?ウケる〜!わかりきった事じゃんか、こんなの!」
『『ほんとぉ?』』
「おうよ。『どっちも凄い』に決まってんだろ。ヘラクレスだったか?そっちはどんなものでもぶん投げられる。ギラファってのはどんなものでも挟み潰せる。お互いがお互いに、出来ないことが出来んじゃねぇか」
『確かに…ギラファみたいに挟んで締め付けるのは僕、できないなぁ!』
『うん、僕もヘラクレスみたいにものを遠くまで投げられない…凄いや!僕たち!』
『『どっちも凄い!ありがとう、巫女さん!』』
「フフン、だろ?心配になるから、二度とつまんねぇ事で悩むんじゃねぇぞ?」
悩みを晴らし、自慢げに胸を張るバーヴァンシー。じゃあな、と踵を返そうとすると…。
『あ!御礼をさせてよ、巫女さん!』
「御礼ぃ?」
『うん!ウェールズの森、一緒に飛ぼうよ!』
「別に御礼なんて…うひゃあぁあ!?」
いらねぇよ、と言う前にギラファに挟まれ、ヘラクレスの背中に乗せられるバーヴァンシー。そして、ヘリの離陸もかくやの風圧を撒き散らし、ギラファとヘラクレスと共に、空へと彼女は舞う。
「ごご、強引だぞお前ら!?別に御礼なんて欲しかったわけじゃねぇ!」
『僕達が御礼をしたかったんだよ〜。ありがとう、巫女さん〜』
『どっちが凄い、じゃなくてどっちも凄い!うん!喧嘩なんて起きない素敵な言葉だね!』
「〜。大袈裟だっつの。ばーか」
彼女としては、誰もが自分にできない事が出来る。それだけで、素晴らしい、凄い存在という認識だ。当たり前の評価を下しただけで褒められるのはこそばゆい。が…。
『あら、ギラファにヘラクレス。巫女さんとお散歩?』
『楽しそうね!わたくし達も混ぜてくださる?』
オオムラサキ、スズメバチといった妖精達も合流し、皮切りに後続にウェールズの森の妖精が続々と集まり、青空に妖精達の大飛行軍団が出来上がる。
『彼女達も、皆凄いんだよね。巫女さん!』
『皆、自分にはできない事が出来るんだもんね。僕達は、皆が皆凄いんだ!』
「…あぁ。そうだよ。だから、絶対につまらねぇ事でお互いに喧嘩したり、傷つけあうんじゃねぇぞ」
ヘラクレスの背中を、ポンポンと叩くバーヴァンシー。彼女にとって、融和と平和は何より喜ばしい事だ。
(誰もが手を取り合う、平和な国。あなたがずっと望んでいた国ですものね、お母様。ブライド様…)
枕元に聞いていた、母トネリコの夢と理想。ブライドが望んでいた夢想。それが今、キャメロット・オークニーで形になっている。
ならばこそ、この国を崩す訳にはいかない。誰もが笑顔でいる為に。誰もの理想の国である為に、自分もやるべきことをやらなくてはならない。彼女はそう自身に言い聞かせ、そう在るように周囲に振る舞わんと決意していた。
『でも、一番凄いのは巫女さんだよね〜』
「あぁ?私が?」
『そうだよ。誰かの事を凄いって言える人が一番凄いって…僕達は思うよ!だって、ブライド様はそうやって僕達を助けてくれたから!』
ブライドに見出さられる前、彼等は皆妖精達に破棄された者達だった。知能が足りず、力が足りず、不要とされた者達。
ブライドは、そんな彼等こそを愛し、祝福した。己の力を、偉容を分け与え、分かち合い、微小なれど完全な安全圏と平穏なコミュニティを築いてみせた。
『ブライド様と同じだなんて…。凄いわ、巫女さん!』
『流石、トネリコ様自慢の娘様ね』
「ブライド様と同じ……自慢の娘…」
善良なる妖精たち、それらから齎される祝福にも似た太鼓判。それは、褒めることはあれど褒められる事など母と恩師以外に皆無であった彼女の心を大いに満たした。
「……嬉しいこと言ってくれるじゃん。虫のくせに。ばーか、ばーか…」
『あれぇ?どうして泣いてるの?』
「知らねーのかよ…嬉しい時にも涙は出るんだぜ?知らないなんて…やっぱり頭はちょっぴりお馬鹿だな、お前ら」
『えへへ、これから皆で賢くなっていこうよ〜』
『うん!ずっと一緒だよ、僕達!』
『アナフィラキシーショックはご存知?護身用にいかが?』
『羽ばたきのコツなんてどう?羽の使い方なら自信があるわ』
「…おう!やってやろうぜお前ら!皆でこの国、護っていくぞー!」
『『『『『『おーっ!!』』』』』』
…未だ、彼女に刻まれた傷は深い。
しかし、必ずやその傷は癒えるだろう。この、キャメロット・オークニーにて。
モルガン「…なるほど。しばらく問題はなさそうですね」
リッカ「あったけぇ…ウェールズあったけぇ…」
モルガン「流石はブライド。あそこならば彼女の傷もきっと…」
バーヴァンシーの声「お母様ー!おーい!」
モルガン「おや…」
昆虫妖精合体巨大ロボ・ウェールズ『お母様〜!』
リッカ「なんだあれーーーーー!!??」
モルガン「…流石私の娘です(思考放棄)」
後に霊基再臨のノリで戦隊ロボみたいになったウェールズの森の妖精であった。
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