人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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『じゃあ今日も行くよ――!!』


『ミニマムアジダハーカアーマー、童子斬を構えながら突撃するリッカ』

「タンマ――――!!!」

『ん?』

「なし!化生になるの無し!!触ってアウトとか無理だから勝負にならないから!」


『そう?あなたには本気でいかなきゃダメかなぁって』

「侮られないのは嬉しいですけどね!?もっと手心を加えていただければと思いますわ!切実に!」


『勝ちを譲られて貴女は嬉しいの!?』

「!!」

『――むむ、ブリーフィングだ!じゃあ、また後でね!』


(潜り込めば剛力、鍔ぜりあえば無窮の業、離れれば弓矢。・・・そして、余すことなく身体を覆う穢れの鎧・・・何者なの・・・彼女。何より・・・)


「・・・カッコ良すぎない・・・!?」







悲劇を破壊し、総てを繋げ!

北米大陸、アメリカ。イ・プルーリバス・ウナム

 

 

 

巨大な一でありながら、あらゆる多彩を認め、それでいて一となりし巨大な国家

 

 

世界になくてはならぬ構成要素

 

 

それを脅かすはケルト。強大な一が、あらゆる多を押し潰し、更地にせんとする暴威

 

 

(いよいよだね、エア)

 

 

そのアメリカの危機に・・・

 

 

――うん!

 

北米に集いし多彩・・・あらゆる可能性が今、立ち向かう!

 

 

 

「――集いし雑多!凡百なりし英雄どもよ!」

 

 

レジスタンスの小さな街、その演説台に立ち、声を張り上げるは英雄王ギルガメッシュ。人理救済の要にして、人類総てを背負う力の大黒柱

 

 

そのギルガメッシュが、満場一致でレジスタンスサーヴァント同盟の総司令を任されるのは当然の帰結と言っていいだろう

 

目の前に集いし、一騎当千のサーヴァント達を睨みながら、高らかにその威光を放つ

 

 

「我等の戦力は此処に集った!これより始まるは総力戦!アメリカの未来を懸けた、決戦である!!」

 

集うサーヴァントは一様に表情を引き締めている。彼等もまた感じているのだ。ここが天下分け目の戦いの気勢である事を

 

「それを踏まえ、我等は完全勝利の布石を打つ!戦場を完膚なき迄に蹂躙する備えを固め、万全の体制を整えるために、貴様らに命を下す!」

 

異論を挟むものはいない。皆一様に、気を引き締め、真剣な顔で勅令を待っている

 

その誰もが『ギルガメッシュの王命』を待っているのである

 

 

《エア、後戻りは出来ぬぞ。本当にこれで良いのだな》

 

――はい!英雄王!どうか皆様に、ワタシの研鑽の成果をお伝えください!

 

 

王に戦略を命じられ、昨日の夜から考えに考え抜いた作戦を捧げる

 

――人事を尽くし、あとは皆の力を信じるのみ!

 

 

「まずはクー・フーリン!貴様はケルトサーヴァントを引き連れ、敵の本拠地、ホワイトハウスに向かえ!」

 

クー・フーリンに指を突きつけ檄を飛ばす

 

 

「いいねぇ、宣戦布告かい?」

 

それだけで意志を感じとる戦場の王、光の御子が獰猛に笑う

 

「然り!我等が戦備を整え終わる三日後に、戦火を切ると伝えよ!それを以て開戦の狼煙とする!」

 

「構わねぇが、ケルト組雁首揃えて宣戦布告とは豪気に過ぎねぇか?別に俺だけでもいいぜ?ひとっ走りで済むからな」

 

「たわけ!言ったであろう、万全の勝利をとな!貴様一人では奴等が要求を飲まぬ可能性がある!更に言えば『其処に必ず留まらせる必要がある』のだ!」

 

 

「――どういうこった?」

 

訝しげに眉を潜めるクー・フーリン

 

――そうだ。クー・フーリン、彼等率いるケルト戦力は何よりも強く、戦場で猛威を振るう戦場の支配者

 

それが敵本陣、自らの喉元に来るとならば、女王メイヴとて泰然としてはいられまい。必ずクー・フーリンを護衛に回し離さないはずだ

 

聖杯を躊躇わずクー・フーリンに使用した彼女ならば、自ら以外のクー・フーリンを見逃すはずはない。そういった精神的な動きも含め、彼等には宣戦布告を行ってもらいたい

 

 

万が一にでも女王メイヴがその場で戦闘を仕掛けたならば――そこが、彼女達の終演だ

 

 

「貴様らは宣戦布告を行う使者であり、囮である!奴等の切り札、狂犬を釘付けにしている間、我等は部隊を三つに分け軍備を更に整える!」

 

 

そう、宣戦布告はあくまでこちらの軍備を整える為の障害を釘付けにする楔に過ぎない。

 

 

こちらが戦争を起こすには不完全、懸念となる箇所を順に潰していくのだ

 

「一つはジェロニモ率いるレジスタンス、そしてはぐれサーヴァントどもは西部に残る兵士をかき集め、指揮系統を構築しておけ!サーヴァントを将に、個別の部隊を編成せよ!」

 

ジェロニモ達、レジスタンスを率いる彼等ならば、こちらが命令をするより遥かに効率的に事を運べるだろう。それを踏まえた上で彼等にはレジスタンスという組織を一枚岩にしてもらう

 

「承知した。ここが戦いの要であると確かに伝えよう。精霊に誓い必ずや、この土地に根付く反抗の意志を整えて見せる」

 

「うむ、失敗など万に一つも有り得ぬと知れ!貴様らの集結を以て、反逆を為す牙とする!」

 

後顧の憂い、無用な犠牲は完全に断つ。西側全体を完全に掌握し、一丸となり戦に当たらせるのだ

 

「そして――マスター、マシュ、ナイチンゲールにはプレジデントハウスに向かい大統王を名乗る病人を療治し、我等が傘下に迎え入れさせよ!」

 

「うん!!任せて!!」

 

力強く頷くリッカ

 

――いくらこちらが一騎当千のエースばかりと言えど油断はけして許されない。ケルト兵はメイヴが産み出せし兵、彼女がいれば無限に湧き出る兵隊だ

 

数は力。王が無限の財にて英雄の頂点に立つように、それは無視できない要素なのだ

 

 

――不安要素は叩き潰す。そう、背中から撃たれ混戦と言う最悪の事態と、数を頼みに攻められ、あちらのクー・フーリンに各個撃破されるという可能性を無に還す

 

 

エジソン率いる機械化兵団を完全に戦力に取り入れる。女王メイヴの暗殺を阻止した謎のアーチャーに対応するランサー、カルナさんをも戦力に取り込む

 

 

かつてカルナさんが言っていた。道が今、交わる時なのだ。そしてそれを――

 

「此は間違いなく時代の明暗を分ける交渉だ。抜かりはないな、お前達」 

 

一人の、絆を紡ぎし少女、対話の傑物に託す

 

「任せて!エジソンをガツーンと対話して、目を覚まさせるから!」

 

バシリ!と対話するには不適切な拳を鳴らす動作を取るリッカ

 

「彼は病を、熱病を患っています。ドクター・リッカの投薬は効いているでしょう。――完治させる頃合いです」

 

きゅっ、と手袋を嵌め込み、揺るぎなく前を見つめる鋼鉄の天使、ナイチンゲール

 

 

「任せる。アメリカを取り戻すというならば、ヤツを蔑ろにするわけにはいくまい」

 

ふはは、と愉快げに笑うギルガメッシュ

 

――気を付けて、リッカ、マシュ。ナイチンゲール

 

『待った待った!君とラーマ君はどうするんだい?』

 

 

慌てた様子で語りかけてくるロマン

 

「ハッ、無粋なヤツよな。まこと貴様は空気の読めぬ軟弱者のドルオタよ」

 

『ええっ!?』

 

『あなたはロマンを名乗っているのにロマンが解らないの?』

 

オルガマリーがじと目でロマンを睨む

 

『彼女がいるのに、鈍感ね・・・』

 

「フハハハハハハ!そういうなマリー!生まれたての人間には難しい問題であろうよ!」

 

――これは最も小さな戦いで、かつ最も大切な戦いだ

 

 

「うむ!余とギルガメッシュ王はアルカトラズに渡り、我が妻シータを取り戻す!!」

 

高らかに叫ぶ、コサラの王ラーマ

 

 

「ヤツの憂いを絶ち、最後の布石をここに打つ!インドの大英雄の傍らに妻あらば、こやつに敗北はあり得まい!」

 

――そう

 

ワタシ達が特異点を修復した際に残す記録に、かけがえのない永遠を残すために

 

どんなに危険だろうと、どんなに非効率的だろうと

 

 

この戦いを、譲る気はない・・・!ラーマくんとシータの再会を以て、悲劇を完全に討ち果たすのだ!

 

そう、ワタシの戦う敵とは・・・悲劇、憂鬱、理不尽に他ならないのだから

 

「事此処に至って、我欲で動く余を赦してくれ――だが頼む!余は、シータも、世界も!救いたいのだ!!」

 

力強く剣を掲げ、ラーマは謳う

 

 

「僕が、僕であるために!!」

 

「との事だ。文句や意見、不満があるなら聞き届けよう!我が総て対応するがな!」

 

・・・沸き起こったのは、不満ではなく

 

 

「いよっ!!よくぞ言ったラーマきゅん!泣かせるわねぇ!」

 

「うむうむ!命短し人よ恋せよ!であるな!」

 

「絶対取り戻しなさいよね!アタシ、喉を鍛えて待ってるから!」

 

「ご武運を、ラーマさん!」

 

「シータを抱き締めて!銀河の果てまで!!」

 

「ぐすっ、ぐす・・・コンラ、コンラも・・・応援していますっ!!」

 

「うむ。情欲のままにたぎらせよ。小僧」

 

女性陣からの熱い後押しと声援

 

 

「いい女なんだろ?今度は離すんじゃねぇぞ!」

 

「うぉおぉおぉお!!ラーマ、シータうぉおぉおぉおぉおぉおぉお!!!」

 

「夢を叶えろ、ラーマ。クラナドもそう言っている」

 

「ファイト!ラーマ!」

 

「あー、金ぴかの旦那がいるんなら戦争味方にしてるようなもんだし大丈夫じゃないですかねぇ?」

 

「君の戦いに、精霊の祝福あれ」

 

「呵呵呵呵!青いな!だが儂も人のことは宣えぬな!励め!!」

 

男性陣の熱い後押しであった。誰も異を唱える事はない

 

 

惚れた女のために戦う男を励ますのに、同性として理由はいらないのだ

 

 

「皆――ありがとう!!」

 

涙ぐみ、深々と頭を下げるラーマ

 

「ラーマ、きゅん・・・!む、唐突に閃いた♥!」

 

 

鼻血を抑える武蔵ちゃんは、見なかった事にする

 

 

「以上だ!我等の動きは最早決戦の様相を呈している!貴様らの活動の合否に、アメリカの、人類の未来が懸かっていることを心得よ!!」

 

 

今こそ、決戦の狼煙が上がる

 

 

「貴様らの命運、我が預かる!!励めよ!!我等が未来を、この手に掴まんが為に!!!」

 

 

「「「「「「「了解!!!」」」」」」」

 

「「「「「「応!!!」」」」」」

 

王の言霊に、是非の大合唱が大気を振るわせた――

 

 

 

「じゃあ行ってくるわ!しくるなよ嬢ちゃん!」

 

「そっちもね、兄貴!」

 

「再び巡り会う事を、心から願っている」

 

 

戦車に乗り駆け抜けるロイグ達。それより早く走るクー・フーリン、スカサハの二人

 

 

「先輩!ナイチンゲールさん!騎馬は、このマシュが担当します!」

 

鉄馬『ましゅ・きゃめろっと』にサイドカーを付け、マシュとナイチンゲールらリッカが出立する

 

「行ってくるね!ギル!」

 

「なんの心配もしておらぬ。湯だった頭を叩き直してやるがいい!」

 

「ドクターと共に、最終治療を開始します」

 

「では、ご武運を!」

 

 

短く告げ、低燃費、低排気ガス、エコロジーなましゅ・きゃめろっとが130㎞の速度でプレジデントハウスに向かっていく

 

 

「さて、界聖杯は既に埋めた。我等も向かうとするか、ラーマよ」

 

 

海を睨み付けるラーマの背中を力強く叩く

 

 

「あいたっ!う、うむ!頼むぞ英雄王!余を、シータを、その威光で照らしてくれ!」

 

――フォウ、良かったの?こっちは多分、一番危ないよ?

 

フォウは、こちらについてくると言って聞かなかったのだ

 

(危ないからこそだよ、エア。ラーマに付いていくと言って聞かなかった君と同じ理由さ。ボクは、キミより大事なものなんて無いからね)

 

 

――フォウ・・・!

 

(ヴィマーナのナビとコントロールは任せてほしいな。君達の帰る脚は、ボクが護って見せるさ!それに・・・)

 

それに・・・?

 

(ボクはね、ラーマとシータの再会を見て、思いきり笑う君が見たいのさ!!)

 

ドヤッと前足をあげて二本足でよたよたと立つフォウ

 

――うん!ありがとう!フォウ!

 

《フッ。我欲に忠実な獣よな》

 

(当たり前だろ、ビーストだぜ?)

 

――フォウ!ワタシはキミが――大好き!

 

(ファッ――)

 

――ずっと、ずっと一緒にいてね!ずっと!

 

晴れ渡る空より虹色の雷が落ち、青色と緑色の光に爆散しながら虹色の世界を渡る壁となるフォウ

 

フォウ――!?

 

(天の道を照らし、総てを愛する姫、エア!キミの尊さにボクは打倒されてしまった!おのれギルガメッシュ――!!)

 

 

「なな、なんだ!?何が起きた!?」

 

「気にするな!さぁヴィマーナに乗れ!鮮やかなる貴様の姫の救出劇と行こうではないか――!!」

 

《これで平成前半の死に様は極めたのではないか?》

 

(後は二期かぁ・・・小道具が増えるんだよなぁ・・・)

 

――王!フォウ!さぁ、行きましょう!

 

 

浮上するヴィマーナ

 

姫と獣を庇護し、今、二人の王が悲劇を破壊し、最良の結末を繋ぐ――!

 




「呪いが・・・そんな・・・」



「・・・逢えるの?ラーマさま・・・」


「・・・私は、ラーマさまに、あえるの・・・?」



「シータ!もうすぐ逢える!もうすぐ――!!」


(メモリ、メダル、スイッチ、指輪、ロックシード、シフトカー、アイコン、ガシャット、フルボトルかぁ・・・)

――フォウ?

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