CCA「ほい帰還!マスターさんも姉さんも、勿論トトロットさんもご無事ですよ!御眠ですが!」
騎士王「よく戻りました。先の聖剣の輝き、こちらからも見えていましたよ」
キャストリア「うわぁ〜…力押しにも程がある魔術行使だったなぁって…」
CCA「うだうだ小細工やるよりゴリ押しできる場所ならそれが正解なんですって!アヴァロンの皆にはお土産で赦してもらいますよ!」
チルノ「そうか、許せたか。良かったな、こいつ」
リッカ「前に、自分の事を許せたらいいなって言ってたね。もしかして解ってたの!?」
チルノ「まぁな。ここに来てから頭もけんしきも冴え渡ってるんだ、あたいはな!」
リッカ「オーロラさんも、凄い読心術でした!」
オーロラ「実は私も驚いているの。あんなに正確に彼女の心を掴み取れるなんて…」
ウーサー「ウィンダ、これは貴女の力添えか?」
ウィンダ『風の妖精は風を読むもの。オーラや気を風で読み取るのもできないはず無いじゃない?扇動や他にも、できることはあるって訳♪』
キャストリア「こわ〜…」
オルガマリー『ともあれ、トトロットの救出は完了したわ。後はオーディン神の言う、アビス・ヴォーティガーンと星の蝗…』
騎士王「予想される通り、まずはケルヌンノス神の遺体を浄化させねば始まりませんか。リッカ、連戦となりますが私と共に巫女の聖体を…」
ロマニ「ちょ、ちょっと待った!ど、動体反応!真下のケルヌンノス神の遺体が…!」
CCA「今度はなんです!?」
ロマニ『『沈んでいる!』どんどん沈んでいるぞ!?穴部の計測深度1440キロ!オーディン神の予測していた深さにケルヌンノスが沈んでいってるんだ!』
バーヴァンシー「はぁ!?んな訳あるか、ケルヌンノス神は自分の身体の恰幅を使って抑え込んでたんだぞ、なんで今更沈んでんだ!?」
ロマニ『それがどんどん彼の体積が減って…ば、爆発的に動体反応が増えていく!千、万、億…!穴から出てくる!これは…!』
騎士王「…アビス・ヴォーティガン。或いは…星の蝗…!」
それは、ケルヌンノスの身体より生まれ出し存在であった。呪いによって重なったケルヌンノス神の呪層、遺体、神の肉体。アルビオンが裏側に向けて掘り進んだ穴より尚も巨大な大いなる呪いの遺物。
それらは言うまでもなく遥か巨大であり、底までは1,000Kmを越える奈落の虫たるアビス・ヴォーティガンの入口に当たる部分にすっぽりと覆いかぶさり、滅びの虫たるその本懐を果たさせまいと抑え込んでいた。トトロットに力を貸しつつ、ケルヌンノスは未来に繋がるブリテンそのものはギリギリまで守護せんとしていたのだ。本来ならば、それはケルヌンノスを祓い、そのまま奈落の虫を排斥する段取りの筈であった。
しかし──この異聞帯とは既にビーストΩ、その使徒たる存在が手を加えていた悪辣の歴史。悪妖精に落とし、一万二千年にもおける長き間に妖精達の救いがたき罪を重ね、世界そのものを【それ】への食い物、供物としていた。
妖精を呪うと同時に、ケルヌンノス神の遺体に【それ】の卵を仕込んでいた。それは呪いを食らい、罪を食らい、静かに孵化の時を待っていた。ケルヌンノスが呪いにて肥大化すればするほど、皮肉にも【それ】の土壌ともなっていた。大きく、貪欲に。ひたすらに巨大に。
世界の全てを回収され滅びた世界に、それを阻む抑止力なども存在する筈もなく。ゆっくりと、確実に。それは肉体の内側で覚醒の時を待っていたのだ。
誰も気付くことは不可能であった。呪層の塊を掻き分けて【それ】を見つけて処理する事は不可能に近かったし、孵化する寸前までそれは呪いをひたすらに喰らい続けていた。世界を滅ぼす呪を、ただただひたすらに。
そして今、ヴォーティガンとケルヌンノスの意志を束ねていた妖精騎士トトロットの強靭な精神力が外された瞬間、【それ】はこの瞬間をこそ孵化、生誕の時と見定めた。
──六節、六足、六羽。遥か古来より最悪の虫として畏れられし悪魔の虫の皇。海の砂、空を埋め尽くす神の災たる眷属たち。それこそが、呪肉を喰らいつくし今こそを契機とする。
一匹が呪層を喰らい、突き破る。それに倣うように呪いの肉に敷き詰められし眷属が続き、貪り、突き破り、妖精國の空めがけ羽ばたきを見せる。それは漆黒に白き牙を有し、爛々と赤い目を輝かせる呪いの虫。
加速度的にケルヌンノスの遺体を突き破り、また飛来していく。それに比例し、溜め込んだ呪いを食われ縮小化していくケルヌンノス。彼の遺体は、最早食い荒らされし母蜘蛛が如き末路を辿った。
そしてそれは、ケルヌンノスが蓋をしていたヴォーティガン、かつての妖精王本来の姿たるソレを抑えきれなくなることを意味している。呪いを貪るだけ身体は小さく、矮小となり、やがて奈落の虫の巨大な口を、身体の大きさを下回ってしまった際にその逆転は起こってしまう。
地響きを残し、ケルヌンノスの遺体が奈落の底へと落下していく。彼自身が抑え込んでいた奈落の虫、アビス・ヴォーティガン。その深さはまさに1440にも及ぶ。落ちてしまえば、何百何千年の長い時間落ち続ける事になるだろう。
ブリテン──救世主が生み出す新世界の礎を守護していた神は奈落へと堕した。ならばその次は、最後の勤めを果たすのみ。
巻き上がった悪魔の虫達は、呪いの肉の中でそうであったように一箇所へ過剰に集中する。恐ろしき牙と黄昏を埋め尽くすその物量にて、無数のソレらは本能に従いその真体を顕す。
我等偉大なる王、神たる者の名の下に応え此処に集う。
血と虐を究め、その大いなる行軍の末に神の名まで想いのままとならん。
喰らい、貪り、埋め尽くせ。
【──────■■■■■■■■■■■■■■■■ーーーーーーーー!!!!!】
おぞましい咆哮を上げ、太陽の光すら遮る巨大な威容。辺りに海の砂が如くに展開される無数の眷属たち。
一万二千年もの育成をかけた、星の怪物。ブリテン…否。星そのものを喰らい尽くす【ガイアの怪物】。ビーストΩの悍ましき眷属にして、ブリテンを貪り尽くす最後の厄災。
その名こそは【破壊の場】【滅ぼすもの】【奈落の底】。世界一つを引き換えに作り出された、カース・ロンギヌスと並ぶ汎人類史への終末装置。
現れし、破滅の王。それこそが───
〜
【星の蝗】
【ABADDON】
〜
それらが顕現すると同時に、ブリテンの土台に齧りついていたもう一つにして【本来】の厄災が目を覚ます。創世記より用意されていた、汎人類史に組み込まれたアバドンとは別の終末装置。
遥か奈落を有する巨大極まる虫の在り方。奈落の王がアバドンならば、奈落の化身こそがこの存在。すべてを飲み込み、滅ぼすヴォーティガーンの真の姿。
トトロットに出力を一極化していたのは、彼女が虫どもの本能を上回るほどの憎悪を有していたからだ。ヴォーティガンの意志は滅亡の方針としてその意志を認め、妖精たちを無限に駆除するエネルギーを提供していた。
ケルヌンノスの遺体のみがかの虫を抑えきれていたのだが、奈落の王が目覚めたことにより食い荒らされたケルヌンノスは縮小、奈落へと落下。それにより自由となった奈落の虫もまた、飛翔を開始する。
ブリテン創世記により描かれていた滅びそのもの。アバドンが汎人類史の滅亡の尖兵であるならば、こちらはブリテンを跡形もなく消し去る滅びの具現。
姿を見せし、頭なき奈落。その名こそはこう呼ばれるだろう。
〜
【奈落の虫】
【■■■■】
〜
【ルオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!】
どちらも、空に浮かびしあまりにも巨大な二匹の虫。目覚めた二匹の虫は、互いに為すべき本能のままに行動する。
奈落の虫は、残りしブリテンの亡骸を完全に消し去らんと侵攻を開始する。その奈落にかかれば、大地そのものすらも飲み込むことが叶うだろう。
奈落の王アバドンの目的は、神託を受けし汎人類史。それらを全て貪り食い尽くすため、巨大な蝗の身体を動かし、飛翔を開始する。
アバドンの身体を構成せしは、ケルヌンノスの呪いを土壌に育った無数の蝗たち。それが汎人類史に解き放たれれば即座に全ては呪いに食われ、半日もせずに世界は滅びるであろう。
アバドンの総体は数億、数兆を越える蝗の集合体。これらを全て消し去る他、世界を救う方法はない。
対する奈落の虫もまた、ブリテンを吸い付くさんと虚なる身体を動かす。こちらは逆に実体がなく、直接的な攻撃が効くのかすら不明である。
カルデアにもたらされし勝利条件は二つ。奈落の虫と、奈落の王を諸共に排除すること。
ただ勝つだけでは意味がない。汎人類史、並びにブリテンの土台を崩す二匹の虫。それらが到達する前に倒さなくては戦う意味と前提が崩れてしまう。
数兆の実と、大いなる虚。滅亡の形をした【ソレ】を討ち果たさなければ未来はない。汎人類史にも、ブリテンにも。
赦免の旅路に立ち塞がる最後の障害。それこそが、かの二匹の虫たち。
【■■■■■■■■■■ーーーーーーーーーッッッッッッ!!!】
【ルオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーッッッッッッ!!!】
吠え猛る二匹の虫。その有り様こそがビーストΩが願った光景。
世界に滅びを。新たなる黎明、自らが降臨せし新世界の為の破壊を。
ノアの箱舟など用意されぬ、徹頭徹尾の邪悪なる救世欲。
「………───」
最早個の戦力で覆す事など出来よう筈のない絶望の光景を、白き外套の化身はただ静かに見守っていた──。
理想郷
ギル「いよいよ以てあちらは最終局面か。救世の際の膿がようやく姿を出したと見える」
──ギル!こちらも『赤き竜の王鎧』が出来上がります!後はブライドにアジャストするのみ!
フォウ『頼むよ、ブライド!君の出番だ!』
ブライド『おまかせ、です』
オベロン「………そうか。アルビオンにペンドラゴン。二つの竜を合わせるために」
ブランカ『チチ、チチ!』
オベロン「───────。よし、じゃあ、そろそろだな」
『チチ?』
オベロン「おい!金ぴか仲間たち!」
一言、呟き。オベロンはそれを投げてよこした。
『チチ〜…!?』
「もういらないからあげるよ。羽音うるさいし」
傷つけないように、精一杯の気遣いを込めて、エアに受け止められるように、ブランカを。『とあるもの』を持たせて。
──わわ!ブランカちゃん!?
オベロン「じゃあな。愉快な王様。世話になった礼だけは言っとくよ」
ギル「────立ち戻るか。本来の役割に」
オベロン「そういう事。飼い犬ならぬ、飼い虫に手を噛まれて残念だったな?ここで、お前たち汎人類史はおしまいだ」
ブランカ『チチ…チ…』
「あばよ、クソッタレな消費文明!清々するよ、ざまーみろ!じゃあな!」
それだけを告げ、オベロンは去った。ブランカに返事も返さず、語ることすらせず。
──!これは…!?
ブランカ『チチ…!?』
…彼が何よりも大切に持っていた、何よりも大事にしていた宝物を、まるで雑に捨てたかのように。
彼がいた場所には。『大妖精の大翅』が輝いていた。
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