ルル「トトロットから無数の飛来物が高速で接近!!」
シオン「ネモ!回避を!!」
ネモ「わかっている!しかし速すぎる…!!」
瞬間、アトランティスボーダーを縛り上げるソレは、黒と赤色の『糸』であった。海神の巨体すら捕らえる、裁縫糸。
ネモ「エンジン!出力は上げられるか!」
ネモ・エンジン『やってる!やってるが、くそっ!なんて力だ…!ビクともしやしねぇ…!』
ルル「いけないぞこれは…!トトロットより更に高エネルギー反応の奔流!」
ロマニ「呪をぶつける気だ!魔力障壁!!」
オルガマリー「対呪厄コーティング急いで!!」
ネモ・マリーン『やってるよー!』
『ダメだ、速すぎて間に合わないよー!』
『間に合えー!!』
マシュ『大丈夫です!心配ありません!』
騎士王『我々が防ぎます』
瞬間、マシュと騎士王が宝具を展開し、アトランティスボーダーを覆い尽くす。それは、呪いの直撃を間一髪で防ぎきった。
ゴルドルフ「た、たた、助かった…!」
ネモ「エンジンフル稼働!振り切れッ!!」
エンジン『わかってらぁっ!!』
ムネーモシュネー『甲板部分に大量の反応あり』
ゴルドルフ『まだ何かあるのかね!?』
ムネーモシュネー『モースです。…どうやら、ブリテンにいる限り呪いに晒され続けるようですね』
オルガマリー「これが…恩讐の厄災…!グランドマスターズ出撃!アトランティスボーダーの防護を!リッカ!あなたは地上のトトロットと相対してちょうだい!」
リッカ『いいんだね!?』
オルガマリー「あなたはアンリマユであり、アジ・ダハーカでもある。きっと呪いなんてねじ伏せられるわ!マシュ、騎士王は…」
モルガン『私が行こう。我が妻とともに、トトロットを制する』
オルガマリー「…お願いします!アトランティスボーダー、令呪使用!モルガン陛下とリッカをトトロット前に!」
ロマニ「わかった!頼むよ、ふたりとも!」
リッカ「はい!!」
「我が妻、気合を入れて刮目なさい。…あれこそが、この国に積み上げられた憎悪と罪。我が騎士の形をした、呪厄の化身そのものだ」
遥か上空のストーム・ボーダーより真下、大穴の眼前。リッカとモルガンは静かにその存在の前に立つ。ブリテンに降り立った頃より邂逅した時とは比べ物にならないほどの呪層。リッカが宿したアンリマユ、アジーカがいなくば即座に狂死する程の動く憎悪。罪と呪いの化身。
「妖精騎士…厄災の女王、トトロット…」
【……………────】
最早心を喪ってしまったのか、何も語ることをしない。トトロット…いや、最早そう判断できる要素は手にした針と鋏しか存在しない。ドス黒いシルエットに、赤き血のような紋様。人間大に押し込められた呪い。それが眼の前に、佇んでいる。
「…これは、他ならぬ私の罪。私ならぬ私、トネリコの罪。救世主よ、見るがいい」
【────────】
「我等の、己を省みぬが故の歩みが。自らの騎士をこの様な末路に成り果てさせたのだ…」
悔やむように告げるモルガン。しかし告解の余暇は与えられなかった。
「!!モルガン!!」
瞬間、トトロットの背後の翼から無数の腕が伸びる。絶死の呪い。妖精達を侵し滅ぼす怒りの呪い。モルガン以外のサーヴァント、リッカ以外のサーヴァント達を総動員して防ぎきっている呪いの大奔流。それらが襲い来る。
「我が妻、私の後ろに!…迎え撃つ…!」
『一緒にやるよ!』
鎧を纏い、剣と化した選定の杖を振るい、オルテギュアーにて迎撃するモルガン、並びにリッカ。四方八方から迫りくる呪いは、トトロットより無限に湧き出る。
『じゃんぬ、まじんさん!力を…!』
「なりません、我が妻。この呪いの前で影とはいえサーヴァントを招いては。霊基が無事では済まないでしょう…!」
『…そっか…!モルガンを信じ抜くだけって事だね…!』
【─────】
呪いの翼をはためかせながら、ズシリ、ズシリと足音を響かせトトロットが迫りくる。踏みしめた妖精の死骸が、一瞬で腐り果てていく。
「くっ…!!」
瞬間、モルガンとの凄まじい鍔迫り合い。衝撃により、モルガンが大地に腰近くまで沈むほどの衝撃。苛烈にして重厚なるケルヌンノスの呪いが、女王に叩き付けられる。
(私はケルヌンノスの顕現を見なかった。しかし、これ程だとは…!)
トトロット本人、そして翼からの呪いの乱打。モルガンが救世主として磨いた剣技を魔術で後押しして辛うじて拮抗する、絶望そのものの質量。それが呪いに染まらぬは、モルガン自身のトトロットとの絆故か。
『援護するよ!御祓ならこれ!力を貸して、おばあちゃん!』
リッカが素早く左手に天沼矛を構え、突き刺し周囲を撹拌する。天地創造の渦は流石のケルヌンノスの呪いすらも巻取り洗い流す。離脱したトトロットを除き、全ての攻撃呪は浄化を果たされる。イザナミの力なくば、ここで二人は死んでいた。
【──────】
だが、それは海からほんの一杯だけの水を濾過したに等しい。数万年、呪いだけが築かれた獣神の積層はアルビオンが掘り進めた穴へと匹敵する。それらを全て祓うは、対界宝具を使うか核たる部分を破壊する他不可能なのだ。
ゆらり、と鋏をトトロットが振り上げる。攻撃には間違いない。だがそれは直接的ではない、しかし即死につながるもの。
「運命裁断…!」
それは呪詛によるもの。相手の運命力を断ち切り、即座に死に至らしめる呪術の根源。マスターたるリッカの運命力を断ち切らんとしたトトロットに、モルガンは対処を迫られる。しかし──
【………!】
瞬間、鋏が龍鱗に覆われ砕け散る。リッカでなければそこで死んでいた呪術を阻みしは、内に眠る悪神と悪龍。悪たる神でありながら、悪たる龍でありながら彼女らは外に出なかった。
いや、出れなかったのだ。妖精国の呪詛はあまりに濃く膨大で、アンリマユとアジーカはそれからリッカの魂を護っていた。廃棄口に叩き込まれる妖精らの悪性情報。厄介なことに模倣ばかりな為味も悪く、栄養にもならない廃棄物。それらを魔王リムルと懸命に処理していた為に現れられない。王や神すら辟易させる、妖精どもの業がリッカの全霊を封じていた。
【────】
だが、トトロットはそれを力とする。無限に呪い、無限に憎み、無限に怒り、無限に積み重なる呪詛と嘆き、怒りと憎しみ。トトロットがふわりと浮かび上がり、大穴の中心へと移動した。撤退か?否、真逆である。
【──砲身、恩讐で固定】
「……!」
大穴からせり上がりしは、妖精を消し飛ばし雨の氏族をチリにした最悪の厄災砲、ブラックバレル。寿命を削り取る概念武装にして、ケルヌンノスの呪を込める無限砲台。それらがモルガン、リッカにへと向けられる。
「マスター、宝具を展開します。…目を、逸らさないで」
『勿論!一歩も逃げたりしないよ!』
そんな絶望に、リッカはモルガンを信じた。モルガンはマスターを案じた。玉座を仮想展開し、宝具を起動する。呪いを迎え撃たんが為に。
【『
「『
充填される呪いの砲撃。展開される理想郷への道。最も熾烈で最も哀しき宝具のぶつかり合いが演じられる。
【『
「『
極大の赤黒き死に、何重にも重ねられたモルガンの嘆きが立ち塞がる。砕けた先から宝具を重ね、押し返し無力化を果たしていく。拮抗、せめぎあいが出来ているのはモルガンの神域の魔術の腕前故だ。
「っ……!!」
質は互角。しかし量があまりにも違い過ぎた。片や規格外かつ無限とはいえ人間の魔術回路から回される魔力。片や神の遺体から怒涛のように叩き込まれる大瀑布の呪詛。一度に放たれる総量は、モルガンとリッカを護るのみの展開に留まり押し返すに至らない。
「トトロット…!貴方は、これほどまでに…!」
【─────】
「…ですが…負けません…!これ以上、失わない…失いたく、ない…!」
「モルガン!令呪、持っていって!!」
リッカが即座に令呪参画をモルガンに切る。そのバックアップは確かに、その場を打開する魔力として振るわれる。
「あなたも、我が妻も…!二度と、取りこぼすものか──私の国を、二度と手放すものか──!」
それはまさに渇望の執念。数の多寡すら覆す女王の叫び。彼女こそ、何よりも理想を求めたブリテンの無冠の女王。
「私の国を、これ以上──壊させて、なるものか──!!」
その執念、渇望…かつての救世主の願いは、必然すら覆した。
【…!!】
ブラックバレルを押し返し、そしてトトロット…否。呪いの根源たる呪詛の翼を穿ち砕く。それから、トトロットを断ち切るかのように。ケルヌンノスの意匠を汲む鎧が、砕ける。
「よぉしっ!!」
呪いから、トトロットさえ切り離せれば。そう考えたリッカとモルガン。
──その認識は、果てなき苦難と言う事を痛感する。
【…………】
大穴より呪いが噴出し、トトロットに吸収されていく。補填された呪いは、最悪の状況を作り出す。
「…これが…呪詛の厄災の本領…」
「疲れ知らず、バテ知らず…ってコト…!?」
傷は瞬時に塞がる。魔力は即座に補充される。モルガンの、リッカの奮闘さえも呑みこむ程の呪いが満ち溢れる。
【………………】
翼は四枚、二対に増え、鬼神の相が如くに紅き光をもたらす。それは憎悪。それは怒り。
よくも巫女を。
よくも世界を。
こんな邪悪な生き物を、外に出してはいけない。
怒りは使命感に。怒りは無限に終わらぬ断罪に。荼毘に付しても燃え上がる。世界を滅ぼす呪いそのもの。
恩讐の呪い、ケルヌンノス。それは一つの事実を示す。
──全ての命に、呪いあれ。トトロットの心を無念で終わらせぬが故に。優しき獣神はその呪いを彼女に託すのだ。
モルガン「まだだ、トトロット…!我が妻、私の後ろに…!」
リッカ「モルガン…!大丈夫!今から打開策考えるから!」
モルガン「それは、有り難い。信じています、我が妻よ」
リッカ(サーヴァントの皆も頼れない、アジ・ダハーカにも今はなれない!令呪はソロモン製の一画、どうしよう、どうしよう…!)
【……………────】
リッカ(頼れない…頼れない…頼れない!?)
【────第2射、起動】
(ううん、ある!私には、頼れる人がまだいてくれる!)
モルガン「まだだ…私には、譲れない、ものがあるのだから…!!」
(間に合う?間に合わせる!来てくれる?来てくれる!信じる!きっと──!)
【……………────】
リッカ「──力を貸して!!私の『フレンドサーヴァント』!!」
モルガン「!?」
リッカ「『藤丸立香』!あなたの、一番のサーヴァントを此処に招いて!!私達にどうか、希望の光を見せて──!!」
放たれる第二射。存在を懸けて防がんとするモルガン。
?『──要請、心得ました。私達が受けた大恩、今こそお返しする時!』
だが、第二射目は弾かれる。その質量すら、容易く。
モルガン「───あ、あぁ。あぁぁ……あなたは、貴女は…」
?『──お久しゅうございます。陛下。勅令、承りました。この私、『マシュ・キリエライト』。──いいえ』
それは、藤丸立香最愛の存在。彼の運命、彼の伴侶。──そして、女王に仕えた、至高の盾。
妖精騎士ギャラハッド「妖精騎士、ギャラハッド!マスター・藤丸立香の意志に従い、藤丸龍華並びに女王モルガンに加勢します!さぁ…ブリテンを救う戦いを続けましょう!」
モルガン「マシュ…!あぁ、貴女なのですね…!」
リッカ「これが皆のグランドヒロイン!マシュ・キリエライトその人だぁあぁーっ!!」
紡がれた願いと絆は確かに此処に。
女王とその妻を護る騎士が、厄災を退ける盾となりて顕現する!
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