オーロラ「…トネリコ様と同じ様に、仲間の皆はトネリコ様の幸せを願っていた。それが、すれ違ってしまったのね」
ビリィ「僕達は……近くにいながら!トネリコ様の苦難を、悲しみを…!理解できていなかった…!」
ホープ「…ごめんなさい、なんて…私達の方が、ずっとずっと…」
チルノ「涙に涙で報いるな」
一同「!」
チルノ「哀しみでは誰も幸せにならないぞ。この記憶はトネリコの過去、過ちだ。受け止めたお前たちも泣いてどうする」
バーヴァンシー「親分…」
ウーサー「そうだ。……出来上がった聖剣に、小言の一言くらいは言ってやれ」
ルイノス「なんでもかんでも、背負いすぎ!…なんて!」
ホープ「は、はい!…だめだよ、私達!強く歩まなきゃ!前を向いて!ここまで来たんだから!」
ライネック「あぁ、その通りだ…!挫けた分だけ、立ち上がらなくてはな…!」
(だろう、エクター。ウーサー…)
〜ちょっと離れた場所
CCA「ヴォエッ……!!!」
モルガン『…気持ちは解るが、その音と姿はなんとかならぬ者か』
CCA「こ、これを乗り越えればヴォエッ!!」
キャストリア(汚いマーライオンだなぁ…)
オベロン(ミニ)「…次は、夏の記憶か」
ブランカ(チチ…)
(明日は休みなので、明日にもかけて返信します)
夏の記憶。夢のため、理想の為、未来のため、がむしゃらに駆け抜けた記憶。鮮烈で、煌めくようなその記憶は、確かに私の中にも残っています
『いらっしゃい。救世主とその大切な仲間達。私はブライド。皆様の来訪を心から歓迎するわ』
『『『『□□□□□!(いらっしゃい、いらっしゃい!きゅうせいしゅさま、いらっしゃい!)』』』』
「無理!帰る!!!」
まことしやかに噂されていた、ウェールズに破棄された大妖精。恐ろしい虫たちの女王だとか、穢らわしい瘴気の魔女だとか。私達は、都市を避け潜伏できるような場所を求めていました。
そして、その中で。自らの素敵な民達と呼べる者達。そして何より。
…盟友。或いは友と言えるような。かけがえのない存在へと出会ったのです。
〜
「凄い…知恵が、知識が、何より力が溢れてくる…!」
『あなたの傷付いて忘れていた力、眠っていた力。それを引き出しただけ。何も特別な事はしていないわ』
大妖精ブライド。醜い森の魔女と貶められていた彼女は、事実あらゆる妖精を凌駕する先祖返りにして、超越的視座と慈愛を有した傑物でした。私と、仲間達に惜しみなく魔力と叡智を与え、祝福を良しとしたのです。
『今まで、辛い目にあってきたのでしょう。辛いことばかりだったのでしょう。誰も言わなかった事を言わせてちょうだい。…私達の為に頑張ってくれて、本当にありがとう。私達の救世主、トネリコ』
彼女は私の使命を、理想を、願いを理解し。心から労り、労い、そして協力を申し出てくれたのです。
数多無数の涙を流しましたが、幸福のあまりに涙を流したのは今回を含めたった数回。余りにも大きい、私への報酬。ブライドは未来を見据え、私の魔術と力を研ぎ澄ましてくれた師匠でもあったのです。約千年間、彼女の下であらゆる技術を学びました。
『『『『『□□□□□(できるかな、できるかな。今日はお触り、できるかな?)』』』』』
「ううっ、う〜〜〜〜〜〜〜…………っ………………」
「挫けるなトネリコ!」
「頑張るんだわ!」
「何を恐れる。恩人だぞ!」
そして、妖精達に虐げられ、気持ち悪いからと追いやられたブライドの仲間達。はじめはみすぼらしい虫だった皆は、ブライドの庇護にて魔力を受け取り、人間大にまで強く大きくなった心優しい虫たち。カブトムシ、クワガタムシ、トンボ、カマキリ、ハチ、アリ、チョウチョ…それらは今や、ウェールズとブライドを護る、牙を越える超強力な集まりとなっていました。
「〜〜〜〜〜あぁあぁぁあ!!!」
『『『『『□□□□(やったー!さわった、さわった!さわってもらえた!きゅうせいしゅ、さわってくれた!)』』』』』
そんなブライドの仲間達は、幼稚な妖精とは異なる純真無垢。暖かく柔らかな、本来の意味における妖精の意味を有した命たち。ブライドの庇護を受けた彼等との接触は、個人的な感覚により500年の歳月をかけました。
『□□□□(みにくいぼくに、さわってくれてありがとう!)』
「…いいえ。こうして見れば、とっても愛くるしいフォルムをしているのですね」
彼等との触れ合い、ブライドとの語り合い。理想の国を作るための、極めて有意義な研鑽の日々。これこそが、私の中の夏の記憶。
ウェールズの森の日々。それこそが、私の青春の日々とすらいっていいほどにキラキラと輝いていたのです。昆虫と戯れ、甲虫と仲間達が競い、ブライドと願いのために高め合う。本当に信頼できる仲間達との、素敵な日々。
『『『『□□□□□(トネリコのおくに、できるといいな!トネリコのゆめ、かなうといいな!すてきなみらいが、まっていますように!)』』』』
「ありがとう。でも、その国には皆だって一緒ですよ」
『『『『『□□□□□(ううん、ぼくらはだめだよ。いっちゃだめ。トネリコのおくにには、いけないよ)』』』』』
「そんな、どうして?皆は私の大切な…」
『『『『『□□□□□…(…ぼくらはみんな、つみびとで、ぼくらはみんな、ゆるされない。ホープやビリィ、バーヴァンシーとは、ちがうから)』』』』』
「………───」
…その時に。私の夢のカタチが変わったのです。ブライドと語る、国の在り方。
『そう、あの子達が…そんな事を…』
「何故ですか!!ブライドも、皆も!何も悪いことなんてしてない!!ただ無慈悲に虐められて、ただ残酷に捨てられただけの被害者です!そんな彼等が、何であんな哀しい言葉を口にしなくちゃいけないんだっ!!」
私は、この日ほど妖精の業に怒った日はありません。ただ、罪人の末裔というだけで。本能的に自身の救いを諦めなくてはならない理不尽。
皆を國に招きたいと確信していました。自身の国に来てほしいと願っていました。そんな願いすら、邪悪なる妖精に阻まれた事実こそ、余りにも許せなくて、腹立たしくて。
「くそっ、ちくしょうっ…!!くっそおぉおぉおーーーっ!!」
悔しさに嘆く私に、ブライドは静かに声をかけました。それは、たただだ静かに、悟りを得ているように。
『仕方ないわ、トネリコ。私達は、どう償えばいいかも。罪がどれほど重いのかも解らないの。ホープやビリィ、バーヴァンシーとは、どこまでも違うのだから』
「…!」
『ただ、私達は救われてはいけない、報われてはいけない。申し訳ないと、ごめんなさいと願うなら。私達は死に、亡びることこそが償いだと。私も含め、皆そう思っているのだから』
…それは、自分の『理想の国を作る』といった理想の穴を告げる言葉でもあったのです。
赦しを得た妖精しか居場所を与えないのなら、ホープとビリィ、バーヴァンシーだけしかいられぬ國になってしまう。ライネック、エクター、トトロット達も切り捨ててしまう。
終わらない罰に喘ぐ妖精達を全て見殺しにするのなら、大切な仲間達を切り捨てることになる。ブライドや、大切な虫達も切り捨ててしまう。
償う意志を見せない罪人が間違いであるように、終わらない罰もまた間違いだ。
魂を毒酒で砕かれていながら、赦しのシステムを有していたのはケルヌンノスがそうであると気づいていたから。
私の国は、いつの間にか選抜と剪定のディストピアとなっていた。それを、ブライド達は教えてくれた。過ちを糺してくれた。
「…なら!なら、私の国は『共に歩む国』とします!罪も、過ちも、私と国が一緒になって背負えるような、そんな強く優しい国に!」
ブライド達が未だ許されないというのなら、共に罪を背負い赦しに歩むような。どこにも居場所の無い人を、最後に柔らかく受け止めてあげられるような。
「あなたたちを捨てた奴等に見返してやる。私の国の、素敵な民だと示すことで。ブライド、だからそんな哀しい事を言わないで!私は皆を民として、仲間として、大切な…大切な…」
『トネリコ…』
「大切な、友人として…!絶対にいなくちゃいけない存在だと信じているから…!」
ホープ達さえいればいい。そういった、女王にあるまじき視野の狭さをウェールズの森の皆は正してくれた。
まだ、救うべき妖精たちはこんなにもいてくれた。
彼女たちのためにも頑張るのだと、奮い立たせてくれた。
『…ありがとう。本当に嬉しいわ。では、約束よ。私達は友人として、民と女王として。お互いを絶対に欺かず、裏切らない。いつかトネリコの国に住まわせてもらう誓いとして、この約束は永遠よ』
「えぇ、勿論!ブライドは私の国の偉大なる象徴として。虫の皆は最強の国家軍隊として頑張ってもらいますから!」
『まぁ。私にできるかしら?ふふっ、そんな未来が来るのが、本当に楽しみね──』
…彼女たちは、本当に本当に。私に大切なものばかりをくれました。
その誓いを、たった一人も破らずに。私の夢と理想を、心から信じてくれました。
彼女たちこそ私の国の民。彼等こそ妖精国の誉れ。
ブライドや皆と過ごせた千年こそ、私の胸に熱く滾る青春の日々。色褪せぬ、夏の記憶であるのです。
夏の記憶は、これでおしまい。
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