人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ロマニ『マシュ、キャメロットの調子は大丈夫かい?皆の生命線、しっかり頼んだよ』

マシュ「お任せください!グランドシールダーの名にかけて、全ての厄災を退け皆さまをタクシー致します!」

CCA「冷静に考えてなんですか、移動するキャメロットって。ギャラハッドにすらできないことやってません?」

キャストリア「あ、やっぱりこんなめちゃくちゃな事できないんだ…」

マシュ「それはですね!!」

ロマニ『彼女のユニット、オルテナウスの一つ一つはギャラハッドの宝具として稼働できている。それらをマシュの円卓で総起動!展開すれば移動式騎士の故郷の出来上がりさ!』

モルガン『…まさか宝具を再現する装備とは。あちらのマシュといい勝負ですね』

リッカ「あちらの?」

モルガン『…失言でした。忘れなさい』

騎士王「この護りは王の太鼓判が押されたもの。私の知る中で最も硬き城。皆、マシュを信じ揺るぎなく進むように」

妖精達「「「はい!!」」」

ルイノス「わぁ…皆、カッコいいです…!」

ウーサー「あぁ。誉れ高き人類史の刻んだ偉業、英霊達の輝きだ」

リッカ「勿論あなたたちだって同じ…ん?」



【】

リッカ「…何アレ?」

ビリィ「モース。呪われた妖精の魂の成れの果てだよ。まさか…」

【】【】【】

CCA「………増えてません?」


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モルガン『驚くことはありません。国民が全て呪われたならああもなるでしょう』

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CCA「…どれだけいるんですか…?」

ホープ「こん、なに…」

バーヴァンシー「厄災は…続いているの。ずっと、ずっと…」

チルノ「うぉお、わんこそばみたいだ!」

キャストリア(つ、強い…!精神が!)



妖精の英雄

『なんの反応も無かったぞ!?あれは厄災なのか!?呪いという話だけれどどうなのかなビリィ君!?』

 

妖精國、即ち汎人類史の人間の人智の及ばぬ領域。キャメロットを隔てた地平線を埋め尽くすモースという呪いの塊。それらが一斉に迫り殺到する光景にヘタレが呼び起こされ動揺を起こすロマニ。概要は説明された通り、あれらはケルヌンノスの呪いに呑まれた罪人たち。反省することなく滅びた妖精達の末路にして成れの果て。

 

「妖精達は楽園に帰れず、咎人として未来永劫苦しむ事となった。ケルヌンノス神の怒りは妖精達を罰するために湧き出続ける。あれはその証。呪われし妖精、モース」

 

「呪いに触れた妖精はモースになり、モースは更に妖精を襲い、また新たなモースを生み出していく。大厄災の大いなる滅亡の一つとトネリコ様は言いました。私達だけじゃ何処にも行けなかったのは、これが理由だったんです…!」

 

敷き詰めた絨毯のように、モース達が湧き出キャメロットにへばりつく。それは清らかなる城に逃げ込み救いを求めるような動作を見せる。気体のような影のような姿に二つ目の黄色が、一斉にリッカ達を睨みつける。

 

「ひぃっ…!」

 

「……」

 

ホープはバーヴァンシーと共に慄き、ビリィは二人を護りマッスルポーズを見せつける。どうやらモースは、赦されし妖精三人を見つめ狙っているようだった。当然ながら、それは友好的でなものでは決してない。

 

『赦されぬ罪人は、償いの意味も分からず免罪符を奪い去ろうとしている。ホープ、ビリィ、バーヴァンシーを妬み、同じ様に引きずり込もうとしているのでしょう』

 

「馬鹿なのかな?姉さんが差し伸べた手を払ったのはあなたたちの意志でしょうに」

 

「やめましょう、CCAさん。馬にも鹿にも失礼です」

 

「だから、滅びたのだな」

 

話している間にも、モースはなんとびっしりとアリのようにキャメロットにへばりつき、中をじっと見つめていた。誘蛾灯に迫る蛾と同じ、眩しい輝きに誘われ救いを求めている。

 

『罪なきもののみ、通るがいい。とうに門は閉ざされている。マシュ、跳ね飛ばしなさい』

 

「だそうです!潰れるかもしれませんがいいですね、先輩!」

 

「関係ない。GO」

 

リッカ、モルガンの言葉に従い、加速を加えキャメロットは進軍していく。城そのものな質量に、モースたちは轢き潰しの要領で圧殺されていき、荘厳に押し潰されていく。

 

 

「この期に及んで救いの目を阻むか。こんな悪魔共がかの六人と同じ妖精の括りにあるというだけで腸が煮えくり返る」

 

「ウーサー…」

 

「罪は犯した事が罪ではない。罪は重ねた事が罪ではない。罪を犯した事すら知ろうとしない事こそが罪なんだ。もはやこいつらに、慈悲などない」

 

吐き捨てるように紡ぐウーサーはあまりの怒りに震えていた。友を、世界を救った六人の妖精と起源が同じだなどと、例え滅びた歴史においても容認できない程の下劣さ故に。

 

「どうやら有害な生物のようです。リッカ、魔力を回してください。聖槍を抜錨させます」

「オッケー!」

 

騎士王は当然、リッカと共に露払いを行わんと前に出る。当然ながら、騎士王は数多無数の栄光と加護を有せしアーサー王。木っ端の妖精の怨嗟など物の数でなく、リッカにとってこの程度の悪性など幼稚な癇癪、水しぶきに等しい。

 

「うう…」

「こっちを、見ているのね…」

 

だが、ホープやバーヴァンシーにとってそれは悪魔の葬列に等しい現象だ。虎視眈々と呪いに犯そうと見つめるそれは、あまりに幼稚な感情の発露。

 

何故お前たちだけが。どうして僕達がこんな目に。不公平だ、不平等だ。僕達だけなんて間違っている。お前たちも、同じ目に逢え。

そのように腐りきった、永劫に赦されぬ罪人たちの思考回路。幼稚極まる手前勝手な妬み嫉み。それがケルヌンノスが罰し続けている穢れた魂共の全て。それは間違いであるがゆえに純粋で、混じり気のない呪いの発露。ホープ達はその呪いから解き放れた数千年の三人の者達。さぞ眩しく、美しく輝いて見えるのだろう。最早永劫に赦されぬ魂として、手を伸ばすしかできない程に。

 

「私達も…少し間違えていたら…」

「怖い…恐ろしいわ…」

 

恐怖に震える二人。だが、もうその恐怖は過去のものだ。

 

「マシュマロ!あたいをキャメロットから出せ!」

 

「えっ!?チルノさん!?」

 

そんな中、驚天動地の提案をせしは妖精の親分たるチルノであった。やや思慮が足りないチルノは、開けろといいながらキャメロットの外に出、モース達と相対する。当然それは、その身一つで呪いと相対する無謀極まるものだ。

 

「ホープ!ビリィ!バーヴァンシー!顔を上げろ!!言ったはずだ、お前たちは何も悪いことはしていない!こんな奴等に弱気な姿を見せるな!」

 

「チルノさん…」

 

「お前たちは自分たちの事でないことにもごめんなさいをするつもりなんだろ?それは誰にでも出来ることじゃない!お前たちは凄いんだ!こんなごめんなさいが出来なかったバカどもとはちがう!」

 

だから前を向け。胸を張れ。悪いヤツに謝るな。それは汎人類史の妖精にして、幻想郷において罪とすら呼ばれた魂と精神の頑強さを持つチルノだから、妖精から妖精にしか託せぬ激励。親分としての矜持。

 

「始まったばかりの旅だ!前を向いて歩かないと迷うぞ!!」

 

『いいから早く戻るんだ!モースが君に集まってくるぞ!?』

 

ロマニの懸念通り、輝かしい魂を引きずり込もうと迫りくる大量のモースたち。しかしチルノは動かない。鼻を鳴らしどっしりと胸を張る。

 

「フン、バカな奴等だ!サイキョー親分とおまえらダメダメ妖精のかくのちがいを教えてやる!」

 

モースは瞬く間に合一し、うねる巨大な生物のようにチルノを巻き込む大瀑布として迫り、一瞬にして呑み込んでしまう。数多の呪いが、チルノに叩きつけられる形となる。

 

「親分として見せてやろう!これがあたいの『つぐない』のやり方だ!!」

 

『ま、魔力急速増大!これはブリュンヒルデが刻んでいた護法の原初のルーンのブーストのかかった…!ドクター!?』

 

『み、皆気をつけてくれ!恐らくチルノ君の罪というのは──!』

 

「エターナルフォース!!ブリ!ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァード!!!!」

 

チルノを中心に、氷の魔力の核分裂を利用した水爆ならぬ氷爆というべき魔力の凍結が瞬時に超巨大な魔術となって辺り一帯を瞬時に絶対零度の世界に変える。何匹モースがいようと、どのように増えようと関係のないその範囲にて、一行は驚愕に目を見張る羽目となる。

 

「あれは…氷の、御柱…?」

 

呆然とルイノスが呟いたように、そこには巨大な、暗雲に突き刺さるかのような数百メートルの氷柱が煌めきながら顕現していたのだ。それは地から生まれ出ずるモースを完全凍結させ、湧き出ていたモースを永久に完全停止させ、超巨大な氷の柱を生み出した。ブリュンヒルデがマスターに刻んでいた、氷のルーン。よく分からぬままチルノが使った、彼女の力の発露。

 

「こんな…凄い…!威力はもう、六氏族にまるで引けをとらない…!」

「先祖返り…否、彼女が妖精國にいたなら間違いなく氏族の長の座をいただいていただろうその力…。これが彼女の罪。強すぎるという罪なのか…」

 

「消え失せろ、雑魚ども!あたいたちの道を阻むんじゃない!」

 

瞬間、氷の柱は砕け、集まっていたモースは纏めて打ち砕かれる事となる。全長ゆうに100メートルをこえる氷もろとも、粉々に砕け散る。

 

「…チルノおやぶん…!」

 

「確かに悪いことをしたならごめんなさいだ。だが頭を下げていなきゃだめなんて決まりはない!謝ったら、にっこり笑って仲直りだ!だから、気にするな!」

 

チルノはピースサインを掲げ、にかりと破顔一笑を浮かべる。その明るさは、暗雲に差し込む光が如く。

 

「だから進め!みんなみんな、お前達の味方だぞ!!」

 

「「……はい!!」 

「なんというナウい激励…チルノ親分、ナイスでーす…!」

 

妖精達に憧憬の眼差しを受け、ご満悦のチルノ。彼女はこの地獄において、腹をくくっているのだ。

 

子分の願いを叶えるために、旅を完遂させる。そのダイヤモンドダストは、妖精國では奇跡であるものを当然のように映し出すのであった──。




リッカ「凄いよ、チルノ!流石グランドマスターズ妖精最強!」

チルノ「ふっ、あたいも少しは賢くなったかな!」

ウーサー「…ありがとう。君は俺の知る、かけがえのない妖精達と同じだ。心から感謝する」

チルノ「おぉ!ありがたく思え!」

ホープ「皆さん、行きましょう!親分の勇気に習って!」

バーヴァンシー「最期まで…やりとげる…」

キャストリア「…うん!」

チルノ「いちいち大袈裟だなぁ。あたいは当たり前の事しか言っていないぞ!ふっはっは!」

CCA「妖精國がみんなチルノみたいな妖精だったら良かったのになぁ〜」

モルガン『………………………平均学力を犠牲にした道徳心だと思えば…』
カービィ『ポヨ?』

ホープ達の笑顔を護りしチルノに、学力が無くてもその在り方を普及することを前向きに検討するモルガンであった。


場所は最南西。一同はひたすらに、北を目指す。

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