ネモマリーン「アトランティス・ボーダー異常なーし!」
ネモマリーン「全システムオールグリーン!」
ネモエンジン『エンジンも快調だ!このまま大気圏離脱だってできるぜ!』
ネモ「御苦労。これから突入シークエンスに入る。総員、気を抜くな!」
オルガマリー「カルデアがサーヴァントユニヴァースで手に入れたポセイドンの神体をフル改造して新生させたアトランティス・ボーダー。マルドゥーク神の随伴艦の役目を果たす、切り札の一つ。単独の大気圏離脱と宇宙航行可能な高速戦艦…それをこの作戦に使うわ」
ロマン「南極カルデアを動かすわけにはいかないからね。ワープシステムを使った人員移動はできるから安全さ!」
パパポポ『私が突入ゲートを手掛けよう。現地にも汎人類史としての楔を打っておいた。向こうの協力者を探しておくれ』
ムニエル「神か?間違いなく神だったわ」
パパポポ『皆の父だっポ』
ルシファー『やほー、ルシファーだよ。カルデアの皆、出張?あの槍に挑むのかな?』
リッカ「ルシファー!?」
ルシファー『なら、留守は同盟として僕らが護るよ。安心して活躍してきて!あの呪い、ぎりぎりまで掬い取るからさ!』
レヴィアタン『サタン様の推しは私の推し。お気を付けて』
アスモデウス『勝利の美酒、取ってきてね』
リッカ「皆…ありがとう!」
オルガマリー「助かるわ。では──突入、開始!」
光速を越え、ワープモードを行うアトランティス・ボーダー。数kmに渡る巨体が、瞬時に消え去る。
妖精國…踏み入れた彼女達は、その概要を知る──。
「これは───」
妖精國。その響きがもたらす幻想的で、儚げな印象を懐いていた大小の認識。それは目にされた景色において否定され崩れ去る。それは、正しく表記すれば【地獄】としか言いようのないものだ。ありとあらゆるものを否定し、飲み込み、破壊するようなかけ値なしの地獄絵図。
まず、空が黒い。曇天、暗雲どころの話ではない。差す光はほんの僅か。分厚い雲は星の光や日の輝きすらも遮るほどに分厚く、絶え間なく雷鳴と土砂降りの雨を叩き落とす。アトランティス・ボーダーが生存のためのフィールドを張らなければ、航行も危ぶまれるほどの大豪雨。
そして、地表には【何もない】。建物も、生命の息吹も、営みの跡も、何もかもが観測されない。黒塗りの漆に潰されてしまったかのように、大地にはただただ無が広がっている。
「あの…なんで、こんな有様なのかね…?」
その異様極まる事態に、ゴルドルフは困惑を口にした。ロマニもまた、努めて冷静に事実を探す。
「…ロストベルト、つまり異聞帯は宇宙が不要とした歴史だ。発展を極めた、エンドを迎えた歴史はそれに該当する。それはハッピーエンドと…」
「全てが滅び死に絶えた、バッドエンド…どうやらこれは、後者のようね。このロストベルトは…既に、滅んでいる」
オルガマリーの推論に異を唱えるものはいない。一欠片の命も光もないこの状況は異様かつ異質、何より微塵の希望も持たせない憎しみに満ちている。宇宙からも捨てられた歴史であることは、明白だ。
「だが、現実としてこの異聞帯は呪いの槍として俺達の歴史に牙を向けている。見過ごして良いタスクではないはずだ」
「でもこれ…私達が何をすれば…?」
ルルの言葉に、匙を投げる蛍。誰が見ても滅びた歴史。誰が見ても終わった歴史。なのに続いている。それが最早、矛盾かつ不気味を極めている事態。
「オルガマリー所長。一先ず地表にセーフティポイントがあると我等が父は言った。アトランティス・ボーダーを下ろすことを提案したい」
「ええ、キャプテン。まずは…何かの痕跡を、探しましょう」
そう告げ、覚悟を決めた一行が次の瞬間。
──妖精國に満ちる【ソレ】が、牙を剥く。輝ける者達へと。
〜
【始祖の厄災】
【BEGINNING SIX FAIRY】
〜
【ゆるされよ ゆるされよ】
「!?」
その声を、カルデアのメンバー達は聞き及ぶ。不気味なほどに無邪気な響きをもたらす、その声。六つの重なりを響かせる声。
【われらのつみを ゆるされよ おわびのいけにえは いまここに】
「お詫びの、生贄…?」
『うわわわ!こちらマリーン!外が大変な事になってるよー!?』
それは、急転直下の激変であった。突如雨が荒れ狂い、風が猛烈な嵐となり、アトランティス・ボーダーを呑み込まんと勢いを上げ襲いかかってきた。そう認識する他無い状況が一同に齎されたのである。
「フィールド最大出力!神聖領域を最大展開、エンジンフル稼働!嵐を抜ける!」
『こちらエンジン、今やってる!だがどこに行くつもりだ!?』
『こちらもマリーン!なんか、なんかバリアの向こうがおっかないよー!!』
「モニター回して!総員対ショック!戦闘配備!」
オルガマリーは素早く指示を飛ばし、一同もそれに倣う。マリーンの言葉通り、外には異様極まる光景が広がっていた。いや、正確にはアトランティス・ボーダー以外の全てがそうであった。
「なんだアレ!?手!?手なのか!?」
「べ、べったり張り付いてきてない!?怖いんだけど!?」
そう、それは手。神の力を使った遮断、対粛清防御を使わなければ秒で飲まれていたであろう恐ろしき呪いの手。それらは地表から絡みつくように伸び、バリアに無数に張り付いてくる。
「雨量増大!暴風領域広大!こ、これはハリケーンクラスの風量です!」
「嘘だろ!?こんな一瞬で成長する台風なんてあってたまるか!」
「実際に目の前にあるんだよなぁ!」
「オルガマリー!多分これ、さっきの声に関係してるよ!」
「そうね、リッカ。生贄…どうやら私達は誘き寄せられたといったところかしら…!」
上等よ。オルガマリーは気合を入れ直す。先のルイノスの苦痛はこのためなのだろう。この悪意の主は、生贄を欲しカルデアを陥れた。その真意は、まだ掴めないが──
「はいそうですかとくれてやれる命は無いわ。何が何でも脱出するわよ!」
「う、うむ!ちなみにその、具体的にはなにがあるのかね所長!」
「ゴルドルフ副所長、ネモと共にハンドルをお任せします。乗り切ってください!」
「うむ!…はぁ!?」
「こんな事もあろうかと五感で操縦できるモードも用意しているよ!さぁゴルドルフ君、意地を見せておくれ!」
ダ・ヴィンチちゃん、オルガマリーに丸投げされ五感操縦に放り込まれるゴルドルフ。突如として放り投げられたカルデアの命運に、顔面蒼白の副所長。
「え、え、ええい!やらねばならんのだろう!いい加減恰幅のいいコックおじさん以外の活躍をせねばならんと思っていたところだ!」
『早く早く!急いで〜!』
「地表に降りれば良いのだろう!アトランティス地表車輪は出しておくのだぞぉ!!」
気合発破にて運転を行うゴルドルフの技術は、果たしてカルデアメンバーの窮地を完璧に救ってみせる。迫りくる手を突き放し、嵐の最中を決して迷うこと無く機体を制御し、みるみるうちに高度を成層圏から下げていく。
「むおぉ素晴しい!素晴らしいぞ諸君!諸君らが作り上げたアトランティス・ボーダーは私がかつて乗っていた愛機よりも自由だよ君ィー!!」
「危険暴風域から離脱!高度下降中!観測された手もどうやら追っては来ないようです!!」
「うわぁい、凄いぞゴルドルフおじさん!流石僕等の副所長だ!」
「だまりなさい三十路おじさん!というか君ソロモンだろう、魔術的なアレでなんとかしたまえ!」
「そういえばそうだった!パパポポさんからランデブーポイントの霊脈データを貰ってたんだった!リンクすればワープで辿り着ける筈だよ!」
「「「「「早くやってください!!」」」」」
「くそぅ、皆必死だ当たり前だけど!やってやる!やってやるぞ!妻帯者の力を見せてやる!」
「高機動物体、アトランティスボーダーに接近!は、速い…!バリアを突き破り甲板に激突します!」
「何だってぇ!?」
「障壁強化!総員対ショック!!」
「「「「「「うわぁあぁあぁあぁあっ!!」」」」」」
瞬間、激震。大振動を巻き起こす激突の衝撃が、超巨大な戦艦を凄まじく揺らす。
「モニター!甲板の様子を!敵の姿を──」
「……──なんだよ、アレ…」
オルガマリーの指示と同時に、ムニエルが呆然と言葉にする。それを、甲板に取り付いたソレを、一同は捉えたからだ。
「アレが…この世界を、こんなにしちまったのか…?」
誰もがその存在における世界の変革を疑わなかった。誰もが、この世界を滅ぼした者だと確信を得た。
『うわぁあ!気持ち悪い気持ち悪い!見たくないよー!映像切ってー!』
『あんなの、この世界にあっちゃいけないよ!早く早く、振り落とさなきゃー!』
ネモマリーン達の所感はまさしく総意だ。何百、何千、何万、何億の呪いと恨みを、一纏めに固めたような黒甲冑。
新聞を百度折り畳めば、銀河系の直径以上となるという。それを呪いでやれば、まさに宇宙を呪い尽くす呪詛の完成。
誰もが感じ、誰もが直感した。アレが、アレこそが。このロストベルトを滅ぼし、自分達の世界を滅ぼすものだと。
【■■■■■■ーーーーーーーーーーーーッッッッッッッッッ!!!!!】
全てを呪い、全てを滅ぼし尽くす存在が、今──咆吼と慟哭を高らかに叫んでいた。
【復讐の厄災】
【VORTIGER】
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