人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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(筆が乗ったのでマテリアルと順序逆にお贈りします)

ザッハーク【アフラ・マズダ…そしてアンリマユ…!天の供物たるヤツに、神髄を授けるか…!】

アンリマユ、そしてアフラ・マズダ。ゾロアスターの二大最高神が共に現れ、リッカの指示に呼応し姿を顕す。

カレイジャスハート『バリアジャケット、生成!』

カレイジャスハートの号令により、天空に光輪が現れ上空からリッカを潜り、アフラ・マズダとアンリマユをパーツに変換する形で装着する。

ザッハーク【その、姿は…!】

それは、ザッハークがあざ笑い踏み躙ってきたかつての聖王、並びに光輪の使者キラナの意匠を有した服と共に、長髪となったリッカ。白き3対の翼と、頭上に至宝たる光輪を有す姿はまさに天女、女神の類。開発部が頭を悩ませ創った魔法少女の究極体

リッカ『思い知るといいよ、ザッハーク。今から私が証明する。悪意だけじゃ砕けない、人の想いと強さを!』

その力を束ねしリッカが、龍頭となった篭手をザッハークに指差す。

ここに、カルデア時空におけるベルカ式デバイスを使用せし初の『魔導師が』誕生した──。


悪辣なる夢の終わり

『ガングニールモード!!』

 

カレイジャスハートに指示を飛ばし、自身はその力を振るう。先程の部分展開とは違う、全身全霊のフルパワー状態。カレイジャスハートのサポートありの、必殺形態の一つ。

 

【ぐぉおぉお!!!】

 

対応する暇すら与えられず、先程とは比べ物にならない程にザッハークの顔面に拳がめり込み、遥か彼方へと吹き飛ばされていく。目にも留まらぬどころか目にも映らぬ渾身の拳に、ザッハークは血反吐を吐く羽目になる。

 

【こ、この力はッ…!!】

 

悪の化身であるザッハーク、その力には覚えがあった。それはかつて自身が、何もかも踏み躙った女。かつて自身が破滅に追いやった聖王。

 

【シャムシード…!まさかそのデバイスに仕込まれているのか、光輪が…!!】

 

『御名答!アンタみたいな腐れたカスをぶっ潰すための、聖属性マシマシモードよ!』

 

カレイジャスハートが自慢気に謳う。そう、リッカは一時的にウォフ・マナフ形態やアフラ・マズダ形態にならなければ、聖属性の攻撃を扱えない。出処がアンリマユ、アジーカであるからだ。

 

ならばと開発部は、アフラ・マズダとキラナ・シャーンティ、そしてシャムシード、クルサースパ等の善なる者等の力をカレイジャスハートの主軸にした。悪同士で喰らい合うのではなく、人の心が生み出す光が力となるように。

 

【セファールに負けて、いよいよ破綻したか!アンリマユとその依代に媚びるとは、アフラ・マズダ!】

 

『シャムシードさんの心と身体、何もかもを踏み躙ったお前に!彼女らを嘲る資格は無いッ!!』

 

【ぐがぁあぁあぁあっ!!!】

 

その苦痛は先のリッカの拳とは比べ物にならない。先はアンリマユ、アジ・ダハーカの力を有していたが故の同属性同士であったが故、大した痛打では無かった。しかし今は、アジ・ダハーカの上位に値する概念、アフラ・マズダの力そのものを行使している為、ザッハークは善悪相殺による対消滅を起こしているのだ。対消滅ならば、より強い出力が勝つ。アジーカとアンリマユたるリッカが、ザッハークの力を上回っているのだ。

 

【供物如きが図に乗るな!!貴様如きにオレがやられるものか!!】

 

とはいえザッハークもまた悪辣な王、。難儀な相手に変わりはない。抉れた身体、各所から不浄の怪物を撒き散らしながらリッカを襲わんと叫ぶ。

 

【貴様は供物だ!神の力を安々と使っていい立場では無いッ!】

 

『力を借りてるわけでも、使っている訳でもない。私は皆の力を合わせ、束ねて、お前のような悪党にぶつけてるんだ!!』

 

【ほざくなァ!!】

 

襲いかかる、なのはの最大出力に届かんとする魔力行使。当たれば瞬時に溶けただれる不浄の極みが迫りくる。

 

『トリニティモード!恭也さん、士郎さん、住職さん、フェイトさん…行きます!!』

 

ガングニールから、両手に小太刀を持ち替える。カレイジャスハートが分離し、リッカの後部の羽根と連結合体し、ブースターの形を成す。

 

『神速閃光、始動!!』

 

【な───】

 

ザッハークが捉えられたのは、そこまでだ。超高機動状態になったリッカが視界から消え、黄金の軌跡が煌めいた瞬間、

 

【ぐごぉあぁああぁあぁあぁあぁっ!!!!】

 

自身の身体が、雷光に撃ち抜かれたような苦痛を刻み込まれる。魔術詠唱すら間に合わないようなまさに閃光の斬撃が、ザッハークの身体を切り刻んだのだ。トリニティモード…つまり宇宙の穴に干渉するほどの超絶パワーをカレイジャスハートが制御し、奥義の神速をシステム解析しサポート。リッカの肉体の反射と動きをデバイス側が思考制御。即ち、思考が神速に追いついている状態だ。これにより、相手の脳の電気信号より速く神速を行使することが可能となる。

 

人外魔境の技術を、科学により補助する。ザッハークが戦っているのはリッカではない。今まで人間が積み上げた歴史と成果そのものと戦っているのだ。

 

【ぐ、く…供物の分際のカスがよくもこのオレを…!!ザッハークにしてアジ・ダハーカたるこのオレをよくも…!!】

 

最早余裕綽々の態度は剥がれ落ちた。そして、先の余裕とその態度をリッカは看破する。

 

『アジ・ダハーカにしては、貴方は弱すぎる』

 

【何ィ…!!】

 

『あなたはザッハークではあるけれど、ザッハーク本人じゃない。英霊の座に繋いでない召喚をしないで現れたって事は、英霊ザッハークを乗っ取って無理矢理現れたって事』

 

リッカにはその理屈が把握できていた。三度も現れた理由。ザッハークはあくまで、獣が現れるための依代でしかない。

 

『あなたはアジ・ダハーカの肉体、精神が見ている夢。何体倒そうと、微睡むアジ・ダハーカ本体がいる限り現れる。あなたはアジーカのように、本体から抜け出たレム睡眠の産物に過ぎない』

 

【貴様ァ…!】

 

『だから私に遅れを取るんだ。天の供物、神様に渡す可愛い可愛いひつじやヤギさんポジションの私に!』

 

見る間にザッハークの顔が歪む。リッカの仮説を、これ以上なく補強する形となり叫ぶ。

 

【だったらどうだと言うんだ!貴様に何ができる!アジ・ダハーカはビーストα、神話における不死なる龍!消し去ることなどできはせん!!】

 

『言ったはずだよ、貴方はもうすぐ死ぬんだと!カレイジャスハート!』

『えぇ!ホーリーリング展開!ワープドライブ!座標、『汎人類史、ダマーヴァンド山!』』

 

【ダマーヴァンド山…!!】

 

瞬間、ザッハークの顔色が変わる。それが何を意味するのか、ザッハークもリッカも把握しているからだ。

 

『ビーストαには眠ってもらう。もっともっと、深く目覚めないような眠りに!』

 

【そんな事がァ!!】

 

リッカはザッハークを掴み、最大出力にてワープドライブを果たす。ワープアウトの先に現れしは、ダマーヴァンド山の上空。火口を下に望む位置。

 

『あそこの遥か下にいるのが本体…!ザッハーク、ビーストαを産み出す大元!アレを睡眠、ううん、気絶させればビーストαは当分活動できない!サーヴァントと似た、夢として活動するお前は!』

 

【や、やめろ!】

 

『皆に迷惑をかけるのもこれで最後だ、ビーストα!討伐されるその日まで、大人しくして待ってなよ!!』

【やめろォオォオォオォオォオォオォオッッッ!!!!!】

 

フルブーストで、火口に突っ込んでいくリッカとザッハーク。ザッハークは全力で抵抗するが、アフラ・マズダの祝福を受けたリッカはびくともしない。

 

【やめろ、考え直せ!こんな事を!お前もただではすまんのだ!アジ・ダハーカはお前の本体、本質!意識が断絶すればどうなると思う!!】

 

『私は死なないし平気だよ。アジーカはアンリマユが大切に抱えて護ってる。ただお前が、この世界に来れなくなるだけ!』

【アジ・ダハーカは不死なのだ!死ぬことなどない、いつか必ず復活する!無駄なことを、馬鹿な事をやめろ!離せ、離せェ!!】

 

今までの戦術的敗北とは訳が違う。もう夢としてビーストαは顕れられない。誰かがビーストαを起こすまで、もう世界へ干渉できなくなる。

 

それは、愉悦の獣たるザッハークにとって…死以上の敗北。完全無欠の敗北に他ならない。討伐を果たされる最期の目覚めを待つしか無くなる運命であった。

 

『復活するその日まで…死んだように生き続けろ!悪趣味な愉悦はここで終わりだよ!!ザッハーク!!』

 

【うぉおぉおぉおぉおぉおぉお!!!こんな、こんなカスの小娘一匹に!このオレが!アジ・ダハーカが断然させられるだなどと!!そんな事が、そんな事がァ!!】

『末期は潔くしなよ!ボスとしてまた出てきたいんだったらね!さぁ──夢から醒めろ!アジ・ダハーカ!!』

 

最大速度で火口に突っ込む。その真下の、悪辣な夢を見続ける封印されたアジ・ダハーカに向けて。夢そのものたるザッハークを叩き返す。

 

【このクソッタレのカス野郎共がァァァァァァ!!ぐぎゃあァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーッッッ!!!】

【■■■■■■■■■■■■ーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!】

 

ザッハーク渾身の断末魔、並びに、封印されしビーストαの頭蓋への渾身の一撃。二つの絶叫が、ダマーヴァンド山を激震させる。

『次に出てくる時は、本当の決着の時。その時まで、二度とその面見せるな!ザッハーク!ビーストα!!』

 

リッカ諸共火山へ叩き込まれた瞬間、悪を焼き尽くすかのように光輪の作用により白きマグマが大噴火を起こし、リッカが抑えし二つの獣を焼き尽くしたのであった…。




ナハトヴァール【…!】

イリヤ「ほぇ!?」

ナハトヴァール【マスター…マスター…!】

なのは「リッカちゃんが、やったのかな!」

ナハトヴァール【…よくも】

イリヤ「あ、あれ?」

ナハトヴァール【よくも、私のマスターを…!】

イリヤ「な、なんで!?」

ナハトヴァールは、ザッハークのマスターを失い機能停止…など、する事無く。

【薄汚い人間ども…報いを受けろ…!】

より一層、敵意を剥き出しにしイリヤ達に襲いかかる…!

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