人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ギルくん「というわけで、カルデア組の防衛プログラムに対する戦力の声掛けをお願いしますね。色々と手続きを踏まないと、溜め込まれた負債というものは精算できない。イリヤさんも宿題を溜め込むと後悔する羽目になりますよ?」

イリヤ「うっ…気をつけます…」

黒神「リッカ、これはレポートとして提出するべきであろうか。間違いなく最重要機密になるべき案件だが…」

リッカ「大丈夫。オルガマリー、ロマン、ギルにむけて作るレポートにしよう。あの皆なら、絶対正しく扱ってくれるよ」

黒神「──うむ。信じるぞ、リッカ。では作成は私に任せておけ!」

『タイプライター』

ヘラ『なぜそのようなアナログなものを…』

黒神「インターネットやハイテクは必ず傍受の危険がつきまとう。時空管理局の最重要区画を借りて撃ち込まねばな…!」

ヘラクレス「では、私は時空管理局を周りめぼしい戦力に声をかけよう。カルデアへの報告は頼むぞ、リッカ」

リッカ「うん!実はすでに候補は絞ってあるんだよねぇ〜」


カルデア・ウィザード・ブリーフィング

「アカシック・グレイル…全能の聖杯。そしてそれが介在した事による世界の願望機化…時空管理局と名乗るだけあって、その事実をいち早く掴み取るとは流石の一言ね…」

 

黒神がタイプライターで打ち込んだ時空管理局最重要機密のレポートを受け取り、オルガマリーへと渡したリッカ。そこには時空管理局の全面的な協力も取り付けたサインも同梱されている。並びに『リィンフォース召喚作戦』もだ。

 

「闇の書から管制人格を切り離して、作り上げた夜天の魔導書に結び付けて召喚の要石にする、っていうのが命題みたい。オルガマリーから必要な魔術的人材って目星が付くかな?」

 

「愚問よ。今から挙げる二名と、更にローリスクウルトラリターンの彼にあなたが約束を取り付ければ何も心配はいらなくなるはず。というわけで…出番よ、ロマニ」

 

「うん、ボク自身も出番かなぁって思ってた!任せてくれ二人とも、魔術が絡むなら雑にボクと誰かでいいからね!」

 

ご飯といえば味噌汁、魔術と言えばロマニ。声をかけない方が舐めプに当たるレベルの人選にリッカは一言、知ってたである。

 

「可愛い愛弟子の推薦とあらば一肌ならぬ一ローブを脱いでしまおうかしら。マスター、くれぐれもソロモンのオマケだなんて考えないでくださる?」

 

「私がそんなこと、ジョークでも考えると思う?」

 

「ふふ、知ってるわ。誠実さではあなたに勝る人間はいないでしょうからね♪」

 

そしてオルガマリーの魔術の師匠メディア。ここにモルガンもいれば完璧なのだが、今はプププランドでトネリコライフをしているので活躍は別の機会に。メディアとロマニ、文字通り最高峰の二大魔術師のエントリーだ。

 

「確か、遥か昔からのデータアーカイブのコピーというかレプリカを作るんだっけ?要石としての役割だからそんなに精巧なものでなくていいのかな?」

 

「だめよ、ロマニ・アーキマン。例えそうでも制作に手を抜くなんてモデラーの名折れ。芸術は、定められたラインを越えて始めて後世に名を残す。今回はそういう領域をあなたには目指してもらうわ」

 

「うわぁい、出処が胡散臭くなった指輪のせいで無茶振り案件まみれだぁ!でもやるよ。大事なことだしね」

 

「即答できるようになったことが、あなたの何よりの進化よロマニ。恐らくメディア師匠に求められているのは、コアとリィンフォースの切り離しでしょう」

 

「ええそうね。私の宝具ルール・ブレイカーはあらゆる契約を破棄させる。防衛プログラム、闇の書から管制人格を切り離せばいいのでしょう?サーヴァントとして喚ばれたものなら容易いわ、きっとね」

 

例え魔導であろうと、魔術絡みであるなら可能性は多分にある。それに加え、更なるダメ押しも次善として用意している。

 

「エミヤ連れてきたよー!」

 

「やれやれ、贋作者を真作者の目の前に引っ立てるのは勘弁してもらいたいが…そうも言っていられないか」

 

リッカが呼び出したのは厨房の赤マント、エミヤ。剣におけるものなら自身の固有結界に記録しておける彼は、短剣のルール・ブレイカーを使用できる。憑依経験のローディングで効果も再現した上で。真作にはならないが、全く同じ効能の贋作を作れる錬鉄の魔術師もそのお眼鏡に叶ったのだ。

 

「私とあなたのルール・ブレイカーであるのなら、万に一つの間違いもなく防衛プログラムを切り離すことができるでしょう。懸念事項の、防衛プログラムの再構築も防ぐ事もきっと可能な筈」

 

「契約の二重破棄か。入念な事だが、備えあれば憂いなしと言う。喜んで協力させてもらうとしよう」

 

「エミヤって本当になんでもできる英霊なんだねぇ〜」

 

「元来、そう取り柄の無い男でね。一つを極めるより多くを収める道を選んだのさ。多目的ナイフや十徳ナイフも、切れ味はチープでも多くの役に立つだろう?それと同じだよ」

 

『ん〜。贋作者(フェイカー)に大きい顔をされると困る部分はありますが、御機嫌な僕もここにいる僕も今や組織の運営者。私情は抜きに考えましょう。よろしくお願いしますね』

 

すると通信モニターに現れしは少年魔導王ギルくん。経過を確認するためにモニターしにきた辺り、本当に細々とした気遣いに余念がない。彼がウルクを治めた際、誰もが彼を理想の王と称えた側面をキャスタークラスにて前に出しているようだ。

 

『こちらの戦力は言うまでもないでしょうが、高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやてを派遣します。後は好きなようにスカウトするなりして増やしてください。魔法少女達は貴重な人材なので、こういう一大決戦に投入できる人はいないので不参加です』

 

「ギルの言う、奴隷すら減らせぬ無駄のない有り様ね」

 

『流石は所長、その通りです。手抜きというわけでなく、時空管理局最大級戦力は任命している為御容赦くださいね。御機嫌な僕からも認可はもらっていますよ。『構わん、好きにやれ。敢えて言うならレプリカやフェイクは気に食わん、手掛けるなら新たな真作を手掛けよ!』だそうです』

 

「こういうイベントだと、ギルは自重する傾向なんだよねぇ…」

 

「なんでもできるが無粋となるタイミングを見極めておられるのよ。認可はしてくださるから、最上の成果を以て報いましょう」

 

「うん!」

 

『あぁ、それとリッカさん。プリズマコーズ特異点で使っていた技、ありますよね。確か、ワールドエンドブレイカーでしたか?』

 

なのはのクラスカードを使った全力攻撃による必殺技。まだ女子力が無かった頃の為名称があまりに物騒だが、それをギルくんは提唱する。

 

『あれ、出来ればキメに使ってください。そういうリクエストが届いているので』

 

「リクエスト!?だ、誰に?」

 

『いつも一緒にいる大切な誰かですよ。多分、トリプルエースが全力を放つでしょうからその時にでも』

『リッカさん!私も戦いに参加させてくださーぃ!』

 

通信の向こうで手を上げるはイリヤ。彼女も防衛プログラムの戦いには意欲を見せているようだ。

 

『魔法少女として、サーヴァントとして、リッカさんや大先輩の三人と戦える機会は逃せないから!是非私を選んでください!』

『自爆技込みでまだまだなのはさんたちに並ぶには早すぎますが、戦いではあなたと彼女を僕もサポートします。後悔させませんし、やる気だけは評価してあげてもいいのではないですか?』

 

『ギルくんの評価が辛辣…!で、でもやります!頑張ります!』

 

「やる気第一!採用!」

 

『わーい!』

 

リッカからすれば戦力目当てでサーヴァントや仲間を見てはいない。自分が出来ないことができるならそれは既に最高の仲間であり協力者だ。イリヤを拒む理由はどこにもない。

 

「じゃあマシュやじゃんぬにも声を…」

 

『あまり数が多すぎるとスポットライトが散ってしまうので、イリヤさんが爆発四散してから追加するのはどうでしょう?』

 

『するのぉ!?』

 

「それもそっか!ギルくんやイリヤの活躍も見たいしね!」

 

『わざわざメインヒロインズを押し退けた気分はどうですかイリヤさん?これは責任重大ですよ〜?』

 

『の、ノリと勢い提案が大変な事に…!が、頑張ります!!』

 

「決まりね。では改めて確認を。ロマニ・アーキマンは夜天の魔導書の制作補助。メディア師匠は防衛プログラムコアへルール・ブレイカーの使用。エミヤはセカンドルール・ブレイカーの待機。メインはリッカ、ギルくん、イリヤで決定ね。頼むわよ、リッカ」

 

「うん!スムーズに話を進めてくれてありがとう、オルガマリー!」

 

「ふふ、それが私のあなたの支え方だもの。では早速準備にかかりましょうか」

 

『おー!!』

 

『ふふ、楽しくなってきましたね。これが学園祭準備の気持ちでしょうか?』

『ギルくん、割と俗い…!』

 

「英雄王ギルガメッシュ…このカルデアに来てから、新たな側面に驚かされてばかりだ」

 

『ふはははは!増えるは貴様やアルトリアばかりでないと知れぃ!』

 

「うわ!?なんでいきなりギルが!?」

「この為だけに回線を開くとは…常に見守っているのだな」

 

『あ、エアさんによろしくお願いしますね〜』

 

『解っておるわ。さぁ行け魔法少女共!マスコット枠として貴様らを応援してやるメポォ!!』

 

ふはははは!!やっぱりこれがなくちゃ始まらない。姿が見えなくとも遥か高みでかぶりつき最前列鑑賞するのが御機嫌クオリティなのであった。




オルガマリー「あ、そうそうリッカ。報告してくれたアカシック・グレイルだけど…」

リッカ「うん」

オルガマリー「『器』は、もうギルが保護しているわ。安心して」

リッカ「!良かったぁ…!!」

オルガマリー(…となれば、ビーストΩにヴェルバー、異星の神とやらにもますます負けられなくなったという事ね)

全てが終幕とすらなる自身らの敗北の意味に、オルガマリーは目を細めるのであった。

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