少年魔導王ギルくん「こんにちは。訓練は終わりましたか?時空管理局・裁定統括下へとようこそ。歓迎しますね」
イリヤ「何やってるのギルくん!?」
ギルくん「何って、言ったでしょう。組織の再編と再構築と。使えないものは切り捨て、必要なものだけを用意する。人員不足も不要な対立も解決するための管理局最高機関。それがここです」
イリヤ「その格好と肩書きは!?」
ギルくん「あぁ、僕もキャスター業務をやってみたくなって、キャスターの僕の真似、真似事の真似事です。似合ってますか?」
なのは(ふ、二人とも…どういう事?)
フェイト(実は…彼が突然最高評議会に殴り込んで…)
〜
『雑種を頭に据えるから混乱と腐敗を産むのです』
『僕の大切な人が夢見る世界の旅路に、あなた達の管理は不要です』
〜
はやて(どういう訳かあの格好で反対派ねじ伏せてトップ名乗ってしもうたんや…。で、次元航行部隊と地上部隊も無理矢理一纏めで自分が統括するなんて無茶苦茶を通して今に至る、っていうのが久々に帰った時空管理局の現状ってわけなんや…)
なのは(そ、そんな事可能だったの…!?)
フェイト(立派な人材が育つまでは、上に立つ責務は僕が全部やりますと言って…信じられない事にできていて…)
はやて(派閥は無くします。僕とそれ以外なので争う必要はありませんなんて…あかんでなのは、ちびギルは御機嫌王さまよりずっとおっかない王様や…)
なのは(えぇぇ…)
ギルくん「あぁ、無限書庫に用事でしたっけ?話はつけてありますから…いや、まぁその前に、時空管理局がどんなものかくらいは説明しておきましょうか。まだまだ改革は始まったばかりなので。さぁイリヤさん。お勉強の時間ですよ〜」
イリヤ「こっちでは頭のお勉強なのぉ…?」
時空管理局。これはなのはさんたちが在籍する世界に存在する軍事組織であり、惑星どころか次元の枠を超えた強大な組織としての威容を誇る組織です。
通称『管理局』、または単に「局」とでも呼んでください。
成立理念は「他世界の存在を知り、次元間の移動を可能とした技術を持つ世界『次元世界』の管理と平和維持」
となっており、高度に魔導技術が発展した次元世界「ミッドチルダ」を「第一管理世界」として扱い、本部が置かれています。いました、といったほうが正確ですかね?今では。
抱えているアドバンテージの都合上、「極度なまでの魔法至上主義」的な側面も持ち合わせている事から、質量兵器に対する否定的思想が非常に強いのが特徴ですね。
管理局によって管理される事になる「管理世界」では、面倒な事に所属する管理局の部隊(後述の地上部隊)が設置される代わりに「質量兵器一切の破棄」が義務付けられていました。
これは実質的に「対象の次元世界において犯罪の抑止力や防衛の手段でもある軍事力の完全撤廃及び没収」を意味しています。ちょっと詳しく言えば、兵器や武器を扱う軍人、警察官達も職を失わせる程の締付けなので、次元世界の中には管理局の所属下に降る事を拒絶している世界も存在しています。まぁ当然ですね。
また管理世界とは逆に、そちらの高町なのはさんの出身である世界の様に、管理局の所属外で次元間の移動技術を保有しない世界は「管理外世界」と呼称されています。当然ながら、次元間に存在する他世界についても認知されていません。新暦65年の時点では管理局に所属する立場にある管理世界の数は35に及び、逆に管理外世界は150を超える膨大な数となっていて、現在も数年おきにおいて新たな世界の存在が発見・確認される事になっている…というのがこの組織のおおまかな現状ですかね?
〜
特徴としては治安維持を担う軍隊や警察、そして法務執行を担う裁判所としての機能を合わせ持っていて、階級は日本の自衛隊式である。大尉とか大佐、大将とかですね。
治安維持の実行部隊としては、次元間の航行移動を可能とした「次元航行艦船」。
大気中の魔力素を吸収して魔力を取り込む精神機関を備えた「リンカーコア」を保有する戦士である「魔導師」で構成された武装隊。
これらのような非常に強大な軍事戦力を保有していました。伊達に時空を管理だなんて大言壮語は吹いていないということです。
ですので、管理世界では管理局以外の戦力を独自に保有する事は認められていませんでした。まぁ管理外世界の並の軍隊では全く太刀打ち出来ない程の力を持っているので無理を通して道理を潰していたのですね。
しかしそれは魔導師の人材が圧倒的に少ないという欠点が浮き彫りでした。
高ランクの魔導師になればなる程、その数はかなり限られる事となり、当たり前ですが構成員はリンカーコアを持たない人間が圧倒的に多いんです。
また、リンカーコアを保有する人間は若い内より魔導師としての訓練を受けさせた方がより強力な魔導師になれる可能性が高く、10代前半という若年層の魔導師…魔法少女をしていたなのはさんやフェイトさんも管理局員として所属していますね。勿論、正式配属前に専門の訓練は受ける事になりますが。
普通の管理外世界の価値観でこの様な事態は有り得ない事ではありますが、管理局だけでなく、本部の存在するミッドチルダ全体の価値観では、むしろ当たり前な事となっていたんですよね。
まぁ僕のプリズマコーズの魔法少女達も、高町ヴィヴィオを始めとする魔導師の資質を持った若年層の少年少女達と空手や柔道、剣道といった武術の感覚で、魔導師としての戦闘訓練を受けさせていますのでそこは有効活用させていただいていますが。
〜組織形態
管理局の組織形態も教えておきましょうか。まず、僕がプリズマコーズと共に付いた『裁定局』或いは『統括局』が全体の管理と監修を行っています。何故この処置をとったかは後述で。
組織全体を統括していた『最高評議会』の下に、次元の海に本局を置く「海」こと『次元航行部隊』。
第一次元世界であるミッドチルダに本部を置く「陸」こと『地上部隊』の二つにおおまかに分かれていますね。
次元航行部隊が各世界をまたに掛ける形でロストロギアの回収、魔導犯罪者の追跡・逮捕を担うのに対し、地上部隊は各管理世界そのものの治安維持を担っています。
次元航行部隊と地上部隊とでは、主に受け持つ案件の違いから異なる性質を有していました。
地上部隊が管理外世界の通常の警察や軍隊と同様に社会秩序を重んじて規則にも厳格であるのに対し、次元航行部隊の方は犯罪者に対する人情人事や情状酌量も考慮した柔軟さを持ち合わせており、1年に満たない短期の更生期間を経て社会復帰を認め、優秀な才能と本人の協力意志さえあれば、時空管理局員として迎えようとしていました。
天涯孤独の身の者の場合は、一部の管理局員と養子縁組を結ぶケースもあります。また、例え管理外世界出身の者であっても、魔導士として優秀な素質を持つならば、機会を見て人材としてスカウトしようとする事もあったようですね。
『魔導師という希少な人材を1人でも多く戦力として確保する』というこの本局や次元航行部隊側の方針は、良く言えば
『才能ある若者には、短期間の更生によって未来を生きていく機会・権利を与えるべきである』となりますが、悪く言ってしまえば『魔導師の戦力確保の為なら犯罪者の前科を免除して取り込む事を厭わない無節操』『『管理局』という組織の都合だけで無罪の人間を有罪にしたり逆に有罪の人間を無罪にも出来てしまう』
という危険な側面も内包していました。法務執行において犯罪者の断罪を担う検事が、裁判官どころか弁護士までも兼任している様な状態ですね。
実際、フェイト・テスタロッサや八神はやて、ナンバーズとやらの場合も、優秀な才能に大きな利用価値があった事から短期の更正期間だけで済まされていたに過ぎません、彼女達のやらかしは、いずれも大規模な死者を出し兼ねない重罪であったのは紛れもない事実でしょうし。
〜組織の軋轢
そしてこれが歪みの根幹なのですが…
時空管理局創設より100年近くを経た現在、2大戦力である次元航行部隊と地上部隊の間で発生している軋轢が深刻化の一方を辿っていました。調べたところ、その原因は本局及び次元航行部隊側の地上部隊側に対する一方的な締め付け政策にありましてね。
本局は「次元世界全体の平和」という組織の本来の理念を何よりも重要視していました。
そのため、世界をまたぐ形でロストギアの回収や犯罪者の追跡を行う次元航行部隊側に対して、レアスキル保有者を含む優秀な魔導師ばかりが優先的に配属されるだけでなく、優秀な功績を治めた人員の配備や最新の設備の導入といった本局側の支援が惜しみなく行われ、提供される予算もあり余るまでに潤沢である等、さながら「エリート部隊」であるかのようなまでの扱いを受けていたんですね。
反面、管理下に置かれている各管理世界の治安維持を担っている地上部隊側の活動に関しては、「事件の規模が小さい」という理由で、本局や次元航行部隊の双方共に軽視している傾向が強く、酷い場合、『次元世界全体の平和維持という大事の前の、各管理世界の治安悪化という小事には目を瞑る』
という危険な思想を持った者、本来なら対等な関係にあるはずの地上部隊側を、まるで格下の存在であるかの様に差別している者も少なからず存在していたんです。
まぁ、そういう輩はもうここにはいないと考えてください。不要になったので。
そして地上部隊側の本局側の扱いは年々に酷さを増す一方となっていました。ロクな人員も予算も無い状態でやり繰りせねばならない状況が原因で、対応出来るはずの事件でさえ対応が出来ずにいる状態が続いていたんです。地上部隊本部が存在している第一管理世界であるはずのミッドチルダでさえ、犯罪発生率が低下するどころか増す一方になっていて、視察してみたところ首都であるクラナガン周辺のスラム街も同然の光景であり、事件発生後の土地の整備さえままならない事になっていたんですね。
そして人員、設備、予算のいずれにおいても満足のいかなくなった地上部隊は、その後も治安維持活動において失態を繰り返す事態となってしまいました。次元航行部隊側の見落としが原因で魔導犯罪者によるミッドチルダでのテロ事件が発生した際、その全ての責任を地上部隊側が押し付けられてしまいます。高レベル魔導師の殆どいない地上部隊側だけで魔導犯罪者のテロ活動を未然に防ぐのは無理難題にも関わらず…です。
次元航行部隊との間に「暗黙の上下関係」が生まれたも同然となり、辛酸を嘗め続ける事になったのですね。
まぁ、その後の事件はそこにいる当事者たちに聞いてください。僕は組織の再編と次元の観測能力、魔法少女たちの斡旋が主題であるので。
ギルくん「概要はおおまかに理解していただけましたか?」
イリヤ「そ、その百年近く続く軋轢をギルくんはどうやって改革したんですか…?」
ギルくん「簡単な話です。足りない人材を魔法少女達で解決し、腐った頭を挿げ替えて、海と陸に十分な物資と力を提供したというだけ。簡単な話でしょう。最高評議会も本部も、僕より優秀な人間はいなかったので優秀な人材を残し体系を残し解散していただきました。各次元に即座にCからAランクの魔法少女を派遣できるプリズマコーズを有している以上、無能な頭と腐敗したエリート組織は不要です。そうすればあとは単純な資材や人材不足を解決するだけ。簡単でしょう?」
フェイト「か、簡単に言うけど…」
ギルくん「解りにくかったらこう考えてください。『必要なものは全て残し』、『不要なものは全て捨てた』。『足りないものは全て賄い』『素晴らしいものはより素晴らしく』。僕が手掛ける以上、そこにあるのは理想の組織形体以外あり得ませんから」
はやて(遠い目)
ギルくん「質問はありませんか?では、無限書庫の書記長に話しておきます。どうかごゆっくり」
なのは「あ、あの、ギルくん」
ギルくん「はい?」
なのは「君への負担が、凄いと思うけれど…大丈夫なの?」
ギルくん「あぁ、お気になさらず。どうせ…」
腐った組織に期待などしていませんでしたから。むしろ優秀な人材が意外と残り助かりました。
天使のような笑顔で、ギルくんはなのはにそう返したのであった…。
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