マナカ「おめでとー!ママおめでとうー!」
フォウ『加減を知らないのかお前は!もう角しか見えないじゃないか!?』
マーラ【記録で拝見しましたが、やっぱりティアマト神はひと味もふた味も違いましたね。この目白押しのギミックとスキルに宝具。とてもじゃないですが相手にしたくありません】
マナカ「そんなママの凄いところをいっぱい纏めたからね!カルデアがどんなに苦戦して四苦八苦したか、いっぱい懐かしんでねティアマトママ!」
『はい…わざわざありがとうございます、皆様…うぅ』
フォウ『まぁまぁ、賛美なのは変わりないからねティアマト!』
ゲーティアスピーカー『称えるがいい!!』
フォウ『…カルデアの者なんて別名義名乗るくらいならこっちにも顔出せよな!スピーカーうるさいんだぞ!』
「まず古さと神秘がそのまま魔術パワーになるこの時空において、最古の母っていう肩書と実績がもう強いよ!強すぎるよティアマトママン!エレシュキガル、イシュタル、そしてマルドゥークを始めとした最古の神たちの更に古い女神!もう強くない訳ないよ!すごいよ!」
マナカは興奮気味に、ティアマトの美点と長所をあげつらう。彼女はビースト組においてもシンプルに地上に顕現した経緯を持っており、やはりその痛烈な暴れぶりをマーラやキアラのカルデアからも集めた結果ほぼ王手をかけていたといっていい記録を打ち立てているのだ。無理もないだろう。
「スキルもすごいよね!アミノギアスやネガジェネシス!怪力だったり真正面からは絶対勝てないのに、生命の母の概念として他の命がある限り絶対死なない!触ったら一発アウトな泥で海を侵略しながらやってくる!もうこれ、どうしたらいいの!?教えてティアマトママ!」
『え、えっと。海を干上がらせれば、移動速度は大幅ダウンします。冥界には命がないので、落とされてしまうと、辛いです』
(一個人組織にどうこうできる問題じゃなさすぎる…)
マシュ大好き藤丸のカルデアの記録を参照したところ、最終的に生存した民は数名。そう、ほんの数名であった。全滅必至であった命を繋げた藤丸の奮闘は、大いにビースト間で讃えられた偉業である。
【そちらのカルデアも大変な苦労をなさったでしょう?準備に準備、研鑽に研鑽を重ねた大立ち回り。記録は御覧になりましたよ、フォウさん?】
『まぁな。ギルとエアは最終的にこの特異点を見据えて動いていた。ティアマトに対するために用意したものを可能な限りリストにまとめた。これを見てティアマトの凄さを是非思い返してくれ』
フォウのまとめたリストは、文字通りあらゆる全てを結集した証の名称がつらつらと綴られている。それはともすれば、ジョークとも言えるものですらあるほどの荒唐無稽なものばかりだ。
手始めに最高に上機嫌な英雄王、体調万全な賢王たるギルガメッシュが二人。
土着の女神、地の女神エレシュキガル、天の女神イシュタル。
その眷属グガランナに冥界そのもの。
人類最高峰の水準のウルクの民達に、集合無意識ネットワークで募集をかけたカルデアの協力者ブイン族。
そして、世界を燃料として起動する超抜級魔力炉心『界聖杯』を六つ使用した人類の最終到達点たる決戦神体にマルドゥークの魂を宿した英雄神そのもの。
リッカ、フォウという二人の人類悪、人類愛。
ロムルス、マーリン、キングハサンというグランドクラスのサーヴァント。
南米の太陽神ケツァルコアトル。
メドゥーサを宿した、ゴルゴーン。
ティアマトの直属の子、キングゥ。
天の鎖、エルキドゥ。
何より、転生せしティアマト自身の魂。
そして──この世界のみの魂たる、英雄姫。
ありとあらゆるものを総動員し、ありとあらゆる天命を注ぎ込み、ようやく彼女との戦いで誰も犠牲にしない成果を手にすることが叶ったのだ。
正直なところ、これほど入念かつ丹念に準備を進めた特異点攻略はビースト達の観点からしてみても記憶には薄い。というより、存在しないと断言してもいいかもしれない。それほどの準備と対策を講じ、頭を悩みに悩ませたのがティアマトという創世の女神の力なのだ。
『それに何より、これだけやって楽勝だなんて口が裂けても言えない大苦戦だったんだ!』
フォウが捲し立てるように、これだけの総力を込めてなお、彼女への孝行は困難に困難を極めた。
ティアマト神を冥界に落とすため、アジ・ダハーカとグガランナが全身全霊で戦闘を仕掛け、飛来したティアマトをウルクの総力を以て迎撃。ロムルスの壁とナピシュテムの大牙で留め、キングゥの変化した天の鎖で捕縛、ゴルゴーンとケツァルコアトルが、無理やり冥界に叩き落とす。
この際、生命を産み出す権能をフォウが殺し、新しき人類ラフムをエルキドゥが惨殺。冥界に叩き落とす事で命を唯一扱いにした上での冥界権能を注ぎ込み彼女を罰した。
並びにケイオスタイドをマーリンが封じ、グランドアサシンとしての冠位を全て懸けたキングハサンの一撃で死を付与。ギルガメッシュの天の鎖を引きちぎり、マシュの宝具でマルドゥーク神の木星権限解放による無原動力の叩き込みによりようやく彼女は沈黙したという程の、楽園カルデアにおける最大最高の作戦規模にてようやく勝利を収めた大決戦だったのである。最早、その強さを論ずる方が愚かであろう。
『本当に、本当に……皆、一生懸命に頑張ってくれました』
もぞもぞとクラッカーや紙吹雪の山から顔を出すティアマト。その顔には、母として親として、子を誇りに思う笑顔があった。
『この作戦は、私を倒すのではなく…私を慮り、気遣ってくれたものでした。自分達は立派に成長できました。あなたが見守ってくれたお陰です。…そういう気持ちが、伝わっていましたよ』
ティアマトの言う通り、ギルガメッシュ達はこれを幼年期の終り、親孝行作戦と名を付けた。ビーストクラスに墜ちたティアマトを母と仰ぎ、かつての神々の排斥ではなく、敬意と感謝と尊重の親孝行作戦と銘打った。
『あの日、フォウや皆様が見せてくれた景色を、喜びを、私はずっとずっと忘れません。本当に、本当に…幸せな光景でした』
蒼き星。マルドゥークが、ティアマトを礎とし築いた生命の楽園。そこに虹色の軌跡として書かれ記された、人類達の母へ向ける言葉。
『ありがとう、と…私に捧げてくれた言葉を、想いを。私はずっとずっと覚えています』
排斥ではない。ただ、親への子から贈る至極当然の感謝。かつてマルドゥークしか懐かなかったその想い、その感情。それが、ありとあらゆる生命が分かち合い示してくれた。
『こちらこそ、ありがとう。素晴らしき無二の生命たち。ありがとう、誇らしき自慢の子供達。かけてしまった迷惑は計り知れませんが…それでも、改めて。こうして御礼を言わせてください』
ティアマトはあの日を永劫忘れないだろう。星を飛び出し、垣間見た景色。虹色に煌めく子供達の尊重は、ティアマトにとっても永劫の宝物だ。
帰ってきてほしいと願う理の獣に、星の生命は示したのだ。
見守ってくれてありがとう。自分達は前へ進む。あなたの自慢の子供として。
立派に産んでくれてありがとう。未来を切り拓く為の意志を芽生えさせてくれてと。
『皆さんは、私の自慢の子供達。そして、かけがえのない、星に満ちる命です』
子供はもう生まない。ただ、母の眠るような回帰の喜びももう無い。
ただ彼女は、今を生きる生命達の行末を静かに、優しく見守り続けているのだ。
『ありがとう、本当にありがとう。自慢の子供たち。私はずっとずっと、あなた達を愛しています──』
その深すぎる愛は、今尚カルデアにて別け隔てなく発揮されている。誰もが過ごしやすい場所でいられるよう、魔獣達をサイバーワクチンデータやファイヤーウォールとして活用している。
彼女は空に飛び命を見守り、カルデアで今を生きる命を助け続けている。
【…あなた程の人が言うなら、否定するのも皮肉を返すのもバカバカしいものです】
【こちらこそ。人類はこれからもっともっと進歩致します♪】
『何はともあれ、もうボクたちはずっと一緒だ。いつか君もみんなと肩を並べて戦う日がくるかもしれない。その時は…』
『えぇ。ビーストの先輩として色々教えてくださいね、フォウ?』
『あぁ、勿論さ!』
「うん!目指せティアマトママの懐の深さ!それじゃあこれにてランキングは終了!お疲れ様でしたー!」
こうして、二度とティアマトは悲しみと嘆きの涙を流すことはないだろう。
──彼女が望んだ、子達の回帰。それは既に、皆の力で果たされたのだ。
そして翌日
キングゥ【………】
『───キングゥ』
キングゥ【!】
ティアマト『ただいま、キングゥ』
キングゥ【……お帰り、母さん】
彼女は待つだけでなく、赴く事も可能となった。
彼女はこれからも、皆の母で有り続ける。
彼女が望んだ、今在る生命の全ての母として。
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