人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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マナカ「このランキングはね、私が色んな観点から見て決めたんだー!だから独断と偏見なんで、肩肘を張らずに楽しんでね!」

フォウ『そりゃそうだろ。話半分に聞くさ、人によって一番なんて変わってくるんだから。ね?ティアマ』

ティアマト(そわそわ、きょろきょろ)

フォウ『……ティアマト?』

ティアマト『ふぁっ?あ、え、どうしました…?』

フォウ『だ、大丈夫かい?物凄くキョドっているけど』

ティアマト『だ、大丈夫です?問題ないですよ?はい』

フォウ(何故にそんなキョドっているんだろう…)


やっぱりそうだね!特異点ランキング!〜後編〜

「さぁ次から次にやっていこー!さぁ行くよ、いよいよ上位陣の発表ー!最も人類を絶望に叩き込んだのはだーれかなぁー!」

 

より人類を絶望に叩き落したという物騒極まるランキング。人類にとっては傍迷惑極まりない、酒の席の楽しみという観点の世迷い言でなくては真に受けてはいけないランキングに、ティアマトは挙動不審を極めながら見守っていく。

 

【じー】

【うふふ…】

 

(視線が…視線が突き刺さります…)

 

まるで何かを期待しているかのような視線を受け止めながらも、ティアマトは逃げることなく受け止める。楽しみに水を差すこともせず、ひたすらに結果を見守る羽目となる。

 

『これがママンの宿痾なんだねぇ、ティアマト…』

 

ティアマトの決意を察し、彼女の頭の上でそっと癒やしのプレシャスパワーを放射するのであった。

 

 

4位 セイレム(ボス ガタノゾーア クトゥルフ ニャルラトホテプ)

 

「というわけで!なんでもあり、ルール無用のフォーリナーの本格進行のニャルラトホテプ主催、セイレムがこの順位にランクイーン!いやもうホント、ボスの欄から見ても本当にえらいこと、大変な事になってるのが一目瞭然だねー!」

 

降臨者フォーリナー、その大本たるニャルラトホテプたる存在が地球に仕掛けてきた遊戯にして、娘の楽園への紹介。悪意ある邪神の末路と幸福な結末を導いた彼の寸劇は4位となった。

 

「これは最近明らかになった、『その気になれば地球上の命を容易く一掃できる』っていう邪神達の恐ろしさを含めた上でのランクインだね。というか遊んだり家族絡みじゃなかったら本当に詰んでたんじゃないのかな?」

 

『当たり前のように全人類を眠らせていたわけだしね、ニャルのヤツ。全盛極めた這い寄る混沌、クトゥルフ、追加にガタノゾーアってどんなメチャクチャだよって話さ』

 

【うわぁ…味方の戦力は潤沢で容易い旅路とばかり思っていましたが、全然そんな事は無いんですねぇ…】

 

『イージーモードじゃなくてダイナミックモードなんだよマーラ。敵も味方もまるで自重しない。お互いミサイルランチャーや戦車で殴り合ってると思えばいいんだ』

 

【マスターの人選からして推して知るべしですもの。ですが私、感動致しました。邪神も、人への愛にて心を宿すことへの事実に…】

 

そう、実際のところ本気で侵略を仕掛けていたのならば、ニャルラトホテプとクトゥルフのタッグを相手取らねばならなかった。そうならなかったのは、ニャルラトホテプに大切な娘ができていたからだ。授かり方が、皆とは違うだけの愛娘。それが、彼自身すらも倒すべきものと位置づけた。

 

彼はカルデアの礎となり、神格を捨てた。ニャルラトホテプはもう、楽園の敵となることはないであろう。

 

『再現性もなく、結局は負けたかった』事を加味した4位である。その結果に、異を唱えるものはいなかった。

 

 

〜3位 最終黙示録アンゴル・モア(モア、ピア、メシア)

 

「来てしまった黙示録!罪深い人間に与えられた最後の慈悲!楽園最高峰の全てを繋げてどうにかこうにか説得ができたアンゴル・モアちゃんがランクイン!ボスというより、助けるべき相手かな!」

 

星へ、命へと向けられる最終審判。自らの罪で潰れぬように裁き救う免罪と慈悲。地球へと降り立ったもう一人のニャルの娘達、アンゴル・モアたちがここへとランクインした。

 

「本人的には、罪深すぎる人類を助けたいという一心で行ってくれた行為ですが兎にも角にもスケールがでかい!固有結界がなければ地球は粉々になっていたし、理想魔術が無かったら1kmの流星群で地球は木っ端微塵だったし、皆の頑張りが無かったらモアちゃんたちは助けられなかった!それくらいにギリギリにギリギリを重ねた奮闘が、新しいながらも3位にランクインする快挙を成し遂げたよー!」

 

『モアちゃん的には戦うつもりですら無かったというね。人間と、星の行末を本気で案じてくれた上でのこれだから本当にギリギリだったよ。思い出しただけであの根源的恐怖にはブルっとくる…』

 

フォウも言うように、ニャルのように本人にカルデアや人類を滅ぼさんとした意識は全くの皆無だ。ただ、罪深き生命に赦免を、許しを与えに来ただけにすぎない。

 

にも関わらず、彼女のもたらした一挙一動は星を容易く破壊するものだった。フォーリナー適性すらある彼女は抑止力すらもすり抜け慈悲をもたらした。それらを覆すのは、並大抵の難行ではなかったのである。

 

【人類悪の定義と似ていますね。愛や免罪のため、今ある生命を滅ぼしてしまう大いなる使命。モアさんもそうだったのでしょうか】

 

「彼女自身が本気で敵対してたら、どちらかが死んでたのは間違いないよね。本当によく乗り越えたね、先輩!」

 

『一度一緒に過ごしたのなら、乱暴に終わらせないのは当たり前だ。何でもできる組織が、全力で絵空事や綺麗事を実現させるために頑張る。その過程で生まれる、不条理を覆す力を一般的に『奇跡』って呼ぶんだよ』

 

「先輩は、モアちゃんの一連は奇跡だって思ってるんだ?」

 

『ちょっと違う。彼等の道は『必然』っていうものだ。奇跡なんて、必然を実現させる為の過程なんだから』

 

「…ふふ、早口なんだ」

 

マナカは先輩の評価を聞き、自身の選んだランキングに大きな齟齬がないことを確信するのであった。

 

 

第二位 創世日本異聞帯禍肚(伊耶那美命、天之逆)

 

「2位はこの、怒りと哀しみで切れ散らかしたおばあちゃんの勢力がランクイン!リッカちゃんに続くビーストIF、たくさんのまつろわぬ民、トラウマものの四凶!極めつけは死を支配する冥界の女神モードの伊耶那美命が凄すぎた事からランクイーン!」

 

夫が自らを2度も裏切ったと激憤し悲嘆した伊耶那美命が、世界中を包み込み死の冥府をもたらした日本の異聞帯攻略戦。大ボス、サブボス、雑魚や関門に至るまで、どこをとっても全く隙がない大型異聞帯がこの順位となった。

 

『何故攻略できたか?こちらにイザナミおばあちゃんがいてくれたからです。…なんだろう、こういう、敵ボスを倒せたのは味方側に敵ボスがいてくれたからって状況また起こる気がするな…』

 

『愛する子や、夫に裏切られたと考えてしまったのならばその絶望は計り知れなかった事でしょう。世界を冥界にしてしまうほどに…』

 

伊邪那美は女として、妻として捨てられたと嘆いたが故に世界を閉ざした。子を一人産み、新たなる世界を掴まんとして汎人類史に牙を剥いた。それらはあまりに苛烈かつ精強な壁となり、楽園すらも大いに苦しめた。

 

何故こうまで手こずったのか。それは無慈悲な侵略行動であるからでも、彼女やアマノザコが強力無比だったからでもない。

 

伊邪那美は、たった一人の娘の為に世界を掴まんと奮起した。

アマノザコは、拒否され拒絶された母のために世界を捧げんと立ち上がった。

 

世界の成り立ちと情報から、口にできなかった親子の絆。親愛の理ゆえに、強き力で汎人類史を滅ぼさんとしたが故の意地のぶつかり合いであったが故だ。  

 

【それを阻んだのが、二人で完結する親愛でなく、こちらのイザナミ様の博愛…という事、ですか】

 

『イザナミは、全ての子を愛しています。その言動は騒がしくとも、そこは絶対にブレはしません』

 

ティアマトが太鼓判を押すように、彼女は一人でも未来を護らんと立ち上がった。名前すら隠し、子供達の為に。

 

「結局のところ…子を想う親が最強だったってオチ?」

 

『ちょっと違う。…思っていたのは、親だけじゃない』

 

温羅の、親の諦めを吹き払う冠位の拳。

 

アマノザコの、拒絶された母を思いやる神威の発露。

 

憎しみと憎悪渦巻く特異点でありながら、そこにあるのは崇高で純粋な愛だった。故に、楽園は忘れないのだろう。

 

何よりも深い愛を持つ神がもたらした奇跡と困難を。

 

『お互いに気持ちの通じ合った親子が、最強なのさ』

 

何よりも──朗らかに笑いながら毎日を過ごす神々という奇跡を。このランクインに異を唱えるビーストは、誰もいなかった。

 

 




マナカ「さぁいよいよ第一位!!皆絶対納得してくれるよー!」

ティアマト(一位はダメです、一位はダメです、一位はダメです…)
フォウ(ホグワーツの組分けしてるハリー・ポッターみたいになってる…)

マナカ「並み居る強敵を抑え!文句無しの一位になったのは〜!」

ティアマト(もう6年近く前…トラウマはだめです〜………)

マナカ「メソポタミア特異点!絢爛豪華英雄記ギルガメッシュ!ボスのティアマトママ含めて文句無しの一位!おめでとー!」

ティアマト『Aa〜〜〜〜!(涙目)』

マーラ【納得の順位ですね、流石に】
キアラ【何一つ異論はありませんわ、ティアマト母様】

ゲーティア『称えるがいい!!』

マナカ「次の話でまるまる独占取材しちゃうよ!お楽しみに!ママ!」

ティアマト『あぁ……そんな…』

今尚燦然と心に刻まれているという獣たる自身の記憶。その重さに、涙目でふらふら頭を振るしかできないティアマトであった…

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