人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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リッカ「これでなんとかなったね!」

ベリル「…世界規模の問題をなんとかできちまうか、フツー?」

リッカ「もう私は普通じゃないからね」

ベリル「!」

リッカ「アブノーマルではなく…スペシャルな方で!!」

ベリル「あぁ、そういう事かい。だがまぁ…ほんと、ありがとよ」

リッカ「ん!高天ヶ原にお礼参り忘れないでね!」



アフロアジーカ【(けふっ)】

アンリマユ【おーおー、ファンキーになったなぁ】

アフロアジーカ【やりきった女の髪型】

アンリマユ【マジでお疲れさん。ま、お前には損だったかもしれねぇが…】

アフロアジーカ【問題ない】

アンリマユ【おん?】

アフロアジーカ【みんなの笑顔が報酬】

アンリマユ【…へっ。お前、悪龍にしとくのは勿体無いぜ】



ニャル【ベリル!】

ベリル「おぉ旦那!大丈夫かい」

ニャル【手厚いサポートのお陰でな。さぁ、伝えに行こう。悪夢の夜は、もう終わりだと──】




エピローグ〜なんか小さくてかわいいやつら〜

「本当にありがとうございました!ありがとうございました!」

 

ちいかわワールドを襲った、とても恐ろしくて怖いやつ。アンリマユの来訪を全員で退けた後、鎧さんよりお礼を受け取るニャルとベリル。先んじて、伝えておいたのだ。滅びが来ると。

 

【構いません。湧きドコロや報酬の分配は伝えた通りに】

 

この一連の事件は、王が在るカルデアにちいかわワールドの価値を示すための試験の側面を有していた。窮地において、ちいかわ族は手を取り合うか、足を引き合うか。滅びを乗り越えられるのかと。王は慈善で人を救わない。価値あるものを手にするだけだ。至尊の魂を有してもそこは変わらない。

 

そこでニャルは絶対悪に協力を仰ぎ、展開をシンプルとした。巨悪に挑めるか、滅びに向き合うか否か。それをニャルはできると信じ、王に盟約を取り付けたのだ。

 

「これより報酬を配る!」

 

「「「「ワーイ!!」」」」

 

それは、王が宝物庫を開放し提供した物資たち。一ヶ月分の報酬であり、上質な武具であったりと、一人ひとりに必要なものをエアがアンケート集計により厳選したものたちだ。勇気ある種族に、報奨が与えられていく。

 

「エーヘヘヘ」

 

ちいかわは自分の写真が入ったはなまるMVPゴールドカードを手にする。それは怖いやつに立ち向かった証であり、皆に勇気を見せた誇り高さを示したものだ。

 

「ワァッ!こんな、豪邸…いいのッ!?」

 

洞窟ぐらしのひもじいハチワレには、奮発し14LDKの豪邸を進呈。洞窟に接続し両方使える親切仕様。念願のマイホームに、ハチワレは涙を流す。

 

「こんなっ、豪邸…住めると、思ってなかったからッ。泣いちゃった…!」

「ゥン、ゥン!」

 

「ね、シェア、しよッ!皆で住もうよ!」

 

「ワァ!」

 

「イィィィィィーヤッッッハァァァァァァァッ!!」

 

ハチワレはちいかわ、うさぎとその豪邸を共有したのは言うまでもない。うさぎは、ハイグレード湧きドコロの場所が記された地図を手にし、冒険に出掛けることとなった。

 

「ヤハヤハ!ヤッハァ!」

 

安定した暮らしより、血潮が滾る未来へ向かって。彼の選んだ道に従い、本能に従い、彼は突き進んでいくだろう。

 

「アハハ、待ってー!」

「ワァ〜!」

 

傍らにいる、大切な仲間と共に。なんか小さくてかわいい奴らの大切な日常は、終わりの後も続いて行くのである。

 

 

だが、ちいかわワールドとは厳重な管理社会である。ちいかわ族は突如、化け物に変化する可能性を秘めた危険生物の側面を持っている。キメラ型、でかつよが無秩序では、いずれバランスは行き詰まるだろう。

 

「あはっ、あはっ…こんなに、こんなになっちゃった…」

 

普段通り生きていたはずが、突然化け物になる。笑い合っていた仲間が、命を狙う狩人になる。強きキメラになれたらいいが、そうは行かず絶望の追放を味わうものもいるだろう。

 

「こんなになっちゃったら、もう…ネ…」

 

【──そんなに悲観するもんじゃないよ。居場所なんて、意外にどこにでもあるもんさ】

 

「エ…」

 

【うちにおいで。ちゃんと、皆でご飯が食えるからね】

 

その対策として、でかつよやキメラの管理者にニャルの妻、魔獣の女王エキドナを襲名。捕食者として、バランスを保った間引きとキメラになってしまったちいかわ族達の受け入れを担当する事となった。

 

『ぱっぱ・ティリティリ♪ぱっぱ・パヤイヤ♪』

 

【次は集落を間引くよ。2週間後にね】

 

世界の法則は変えても、在り方は変えない。ただ、ほんのちょっとだけ優しさを。それが、ニャルが目指した管理型社会の縮図であった。

 

 

「オレは、湧きドコロが尽きていないか調査をする役割を担った」

「わぁ!」

 

ラッコ、そしてないあるは管理者側の権限を与えられるほどの名声を得た。ちいかわ族ではなく、魔力を地脈から満たすことで食べモノを湧かせる湧きドコロ。その枯渇と独占をさせないための世界の調査である。ラッコは、アンリマユの言葉を聞いていたのだ。

 

「この世界で、皆が生きていくためにも…これは全員で乗り越えなくてはなッ」

 

「うん!だいじょうぶ!」

 

あなたなら、きっと大丈夫。彼女はラッコへそう告げる。実感と確信の詰まった、安堵の太鼓判。友達のラッコへと。

 

「きみは、これからどうする?」

 

「ァ…」

 

そう、先程からないあるは別世界に転送されない。世界を滅ぼす原因を排除したなら、現れる筈のワープゲートが開かないのだ。

 

「うぅ…だいじょうぶじゃない…」

 

正義の味方を続けられなければ、自身は他に生き方が分からない。そうでなくても、それ以外に出来ることがないのだから正しくこれは死活問題だ。困り果てるないあるに、ラッコは首を振る。

 

「いや、だいじょうぶだ。君にはちゃんと、帰るべき場所がある」

 

「?」

 

「君が守ったものが…この世界には、キチンとあるんだ。さぁ、行こう」

 

ラッコはないあるの手を引き、彼女を導く。戦い、救うばかりだった彼女が持つ、かけがえのない場所へと。

 

「さぁ、ここだ。扉を開けるといい」

 

「ァ…」

 

そこは、ないあるの部屋。ちいかわワールドにて過ごしていた、彼女のねぐらであり家でもある。

 

「……」

 

そっと、ないあるはもう訪れない筈の扉を開ける。すると…

 

 

【お帰り、ないある】

 

「!!」

 

「やっぱりアンタはだいじょうぶだったな。出来が違うぜ出来がよ」

 

友達…ニャルとベリルが、細やかなパーティーの準備を進めていたのである。彼等は当然ながら、生きていた。生きて、ないあるを待っていたのだ。

 

「世界を救ったなら、お祝いがねぇとなぁ?抑止力も気が利かないと思わねぇ?」

 

【あぁ。今日くらいはゆっくり休むといい。これからどうするかは、のんびり考えればいいさ】

 

「ァ…ァ…」

 

ないあるが慌てる中、ニャルは彼女にそれを渡す。はなまるのついた契約書を。

 

【君の契約は確かに果たされた。君は世界の皆と、世界を救うことができたんだ】

 

「!」

 

【本当にお疲れ様だったな、ないある。君が、君たちが。この世界を救ったんだよ】

 

優しく諭すような言葉に、ないあるは涙を浮かべこみ上げる感情を必死に堪える。

 

いつの間にか、泣くことなど無かった。ただ、自分を鼓舞し世界を救い続けてきた。

 

だが、その戦いに勝利はなく、誰にも一度も理解されない。

 

ないあるはずっと、たった一人で新しい朝焼けを見つめてきた。…それが今、終わるのだ。

 

【もしよかったら、新しい斡旋先としてカルデアに来ないか?その…私が、身元引受人になろう】

 

「!!」

 

【君を新たに、家族として迎え入れたい。君をもう、哀しませないと約束しよう。カルデアで…一緒に生きないか?】

 

ニャルは彼女に手を差し伸べる。そこには、なんの偽りも企みもない、純粋な親愛が宿っている。

 

「大丈夫だ、ないある」

 

迷い、とまどうないあるにラッコがそっと背中を後押しする。新たな友の旅立ちを、笑い祝福する。

 

「いつでも帰れる場所が家であり、いつでも繋がっているのが、友だ。俺と君はいつでも一緒だ」

 

「ぁ…」

 

「そして、ここは君の家だ。懐かしくなったら、いつでも帰ってこい。歓迎するッ」

 

ないあるの抱えた哀しみと寂しさを理解したからこそ、ラッコは告げた。君の居場所はきちんとある。ならば次は、新たな居場所を見つけてこいと。

 

「だから、行け。新しい人生が、君だけの頑張りが待っている場所へ」

 

「……ありがとう…!」

 

「水臭いことを言うな。これは、友の誓いだ」

 

ラッコは剣を、ないあるは刀を抜き放ち重ね合わせる。それが、時空を越えて巡り合わせるだろう。

 

「安心してくれていいぜないある。この御方は身内には優しいんだ。何せ契約をなんとかするためにいででで!!」

 

【余計なことは言わなくていい。──もう君を、悲しませはしないよ】

 

「……パ」

 

【?】

 

「…パパ!」

 

【─────あぁ。私は今から、君の親だ。ないあるよ】

 

その声音は優しく、眼差しは穏やかに。ニャルは彼女の頭を撫でる。

 

「しゃあ!じゃあとりあえず派手にパーティしようじゃねぇの!」

 

「スイーツはあるかッ」

 

【オフコース!】

 

「ヤッ!!!」

 

「ホントスイーツ絡みは性格変わるなアンタ」

 

新しい人生、新しい歩み。

 

「───エーへへ!」

 

きっとそれは、素晴らしいものだろう。大切な友達を見て…

 

──彼女は久方ぶりの、心からの笑顔を示すのであった。

 




後日カルデアにて

ナイア「わァ…!ァ…!」
ないある「エーへへ」

ナイア「し…ししょー!」

ナイアはないあるの可愛さに骨抜きにされ…

ラッコ「店長!いつものっ!」

じゃんぬ「はいはい、毎度!」

ラッコもついでにカルデアを兼業し、スイーツじゃんぬのじょうれんになり常連になり。

ラッコ「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」


『大終末の潮牙』

ハチワレ「ここが、配属先!頑張ろうね!」
ちいかわ「ゥン!」

二人は、カルデア怪異討伐隊にスカウトされ。


キヴォトス トリニティ学園

うさぎ「ヤハヤハ」
マリー「あら…うさぎさんが、何故ここに?」

うさぎ「イヤァァァッハァァァァ!!」

マリー「!?」

うさぎはレイシフトを使い、様々な世界の冒険家になりましたとさ。


ハチワレ「アァア〜〜〜〜〜アァア〜〜〜〜ア〜♪」

「「「ワーーーーッ!!!」」」

ついでにハチワレはカルデアで歌手としてブレイクすることになるのは別の話。


ベリル「旦那よぉ」
ニャル【ん?】

ベリル「悪くねぇ休暇だったな?」
ニャル【…そうだな】


ベリルとニャルは、今日もケイオスカルデアにて暗躍するのであった。

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