オグリキャップ「おお…っ。見渡す限りのご馳走だ…!」
アイリスフィール「あなたの事を聞かせてもらったわ、オグリキャップ。とっても食いしん坊で人気者なあなたをもてなすため、マスターとしての本懐を示しちゃう!そしてここには!」
バトラーの赤マント「行くぞシンデレラグレイ。胃袋の容量は充分か──!」
アイリスフィール「最高のコックさんもお抱え!さぁ、心ゆくまで召し上がれ!」
オグリキャップ「で、では、お、お言葉に甘えて…いただきます!」
霊亀『人であり、馬でもある?アイリちゃん、わし、ぼけとるんかのぅ。どっちかわからんのじゃあ』
「大丈夫よ霊亀さん!私もあんまりわかってないから!」
オグリキャップ「むぐ むぐ むぐ」
エミヤ(タマモクロス…君は今どこで戦っている…)
(夜勤疲れで眠いので、感想とメッセージは2日かけて行います)
「そのまま食べながらで、聞いてくれるだけで良いわ。オグリキャップ。あなたは…グランドウマ娘、なのね?」
(こくり)
エミヤと魔力で産み出されたありとあらゆる地平線御馳走を食べながら、オグリキャップは右手を見せる。そこには三女神を模した真紅の紋様、ウマ令呪が確かに存在している。つまり彼女は、単体でグランドクラスのウマ娘という事実に他ならない。
「汎人類史における彼女は、地方からメジャーな土地にやってきた後に大活躍を魅せ、馬の歴史に燦然と輝く大人気と実績を刻み込んだ英雄馬の中の英雄馬なのだよ、御婦人。まさに芦毛のシンデレラ…私も尊敬する名馬に、まさかお目にかかれるとは」
(むぐむぐ…)
エミヤの料理の腕とただの優しい食堂のあんちゃんぶりと化している性格がより現れているのは、目の前にヒーローがいる時の少年の心地なのだろう。正義という概念が大量殺戮者だの掃除屋だの一殺多生だのと歪曲されるこの世界において、憧れは止められないらしい。
「そうだったの…オグリちゃんの事、何も知らなかったわ。マスターなのに、ダメダメね」
「むぐ、ん…いや、気にしないでいい。私もいてもたってもいられず、不躾に訪ねた落ち度があるのだから。タマには『大人しく待っとるんやで!絶対やで!』と言われたのだが…逸ってしまった」
(タマモクロス…そちらも小さき身体にパワーを備えた名馬だな。トレセン学園…ウマ娘の中でも上澄みの中の上澄みが鎬を削る大激戦区ではないか。英霊で言えばギリシャだろう)
オグリキャップは無尽蔵の食欲で用意された食事を平らげながら、そこまで逸った理由をぽつりぽつりと語り出す。
「私、会長、ゴールドシップは初めからウマ令呪が刻まれていたんだ。二人は解るが、地方上がりの華がない私にその大役を任された意味が掴めなくて…会長に、質問した。何故、私なのかと」
「…会長は、なんて答えたのかしら?」
「『君が君であるからだ』…と、言われた。そして私は、カルデアの成すべきことの説明を受けた。世界を救うために、日々奮闘する善人たちが集まる組織だと。無敗のギルガメッシュトレーナーが率いる、正義と自由と平和を護る組織だと」
(揺るぎなく他人にそう説明できるのは、揺らがぬ信頼あってこそ。やはりギルガシャナ姫を有する英雄王は、掛値なしの賢王でもあるようだ)
「『君を支えてくれたたくさんの人達の明日こそ、カルデアの皆が何より護りたいものなんだ』…とも言われたとき、私は絶対にカルデアに力を貸したいと願ったし、グランドウマ娘になれて良かったと心から思えた」
「ふふ…あなたには、沢山の愛する人たちがいるからかしら?」
「あぁ。故郷の人達…私を支え、愛してくれた人達の明日と未来を重んじてくれるのなら、私が力を貸したいと思うには充分すぎる理由だからな」
ウマ娘の彼女もまた、地方からやってきた存在なのだろう。そこで沢山の人達に愛され、後押しされ、強豪英傑ひしめくトレセン学園に彼女が足を踏み入れるきっかけになったのだろう。
彼女は、そんな人達の愛を重んじれるウマ娘であった。また、自身を支える者達の愛や想いを感じ取れるウマ娘でもあった。故にこそ、彼女は願ったのだろう。
護る側に、私も立ちたい。
自身の力と走りは、愛する人々が生きる世界の為に活かしたい。
彼女が自身からマスターに接触を求めたのもそれが原動力であるならば、その精神性はまさに英雄たる者に相応しい。彼女にとって、世界や故郷の人々の明日や平和を護るのはまさに至上の命題であるのだろう。
「改めてお願いさせてくれ。アイリスフィール、君がマスターであるのなら、是非私をスカウトしてほしい。私の走りを以て、故郷の皆が生きていく世界を護りたいんだ」
御馳走を半分以上喰らい尽くしながら、彼女は真っ直ぐとアイリスフィールを見つめた。その視線と言葉には迷いも揺るぎもない。己のできることを、全身全霊でやる。そういった強者としての風格と礼節を宿した、まさに威風堂々たる振る舞い。それは英雄そのものであった。
「…お願いさせていただくのはこちらの方よ、オグリキャップ。あなたは素晴らしいウマ娘だわ。何よりその心が」
アイリスフィールもまた、彼女の曇りなき高潔さを知ることによりスカウトを躊躇う理由などあり得なかった。彼女こそ、世界を救うために走るウマ娘であると確信すら持つことができた。
トロフィーもなく、レコードもない。ただ、沢山の人達の当たり前に来る明日こそを護りたい。そう言える彼女を拒む理由などどこにもありはしない。ウマ令呪にそっと触れ、アイリスフィールは頷く。
「力を貸して、オグリキャップ。あなたのその艶やかな芦毛の髪と誇り高き心を、世界を救うための力とさせてちょうだい。あなたに相応しいかは解らないけれど…全身全霊で支えさせてもらうわ」
「あぁ、嬉しい。そして頼もしい。宜しく頼む、アイリスフィール。私も全力で、カルデアの力となってみせる」
固く手を重ねる二人を目の当たりにし、エミヤはうんうんと後方面で頷く。ここに比類なき強力なコンビが誕生したことを、彼は確信したからだ。
(ギルガメッシュ王はシンボリルドルフ、キリシュタリア・ヴォーダイムはゴールドシップ、そしてアイリスフィールはオグリキャップ…順当な実力者の下に、順当なウマ娘が集まったと言ったところか)
チルノや虞美人は特例でグランドウマ娘探しを免除され、ベリル・ガットは保留中。ならば後は、リッカを残すのみといった状況だ。
「彼女が契約できない、というのは万に一つもありえはしないだろうが…となると、問題は誰と契約するか、だな」
誰とでも契約できる資格と風格を持つ彼女だからこそ、彼女に相応しい相手と言うものがまるで読めない。彼女はいったい、どのようなグランドウマ娘を見出すのであろうか。
「君なら大丈夫だとは思うが…あまり油断しすぎないよう、忠告の一つくらいは飛ばしておいた方がいいだろうな」
あまり女性に気を持たせないように。そんなアドバイスをリッカに贈ろうとするエミヤは、それがどれだけ自身に返ってくるかの意味合いまでは理解していないのだった。
…完食した後、彼女の走りを見た二人は瞠目、同時に刮目する事となる。
芦毛を靡かせながら疾走する、その破壊的な重圧と走り。己のランニングシューズすら潰すほどの圧倒的走破力は、まるで地割れを起こしながら走っているかと見紛う程の鮮烈さと豪快さを併せ持っていたのだ。
彼女もまた、その走りにおいて他者を捻じ伏せ、羨望を一身に束ねることのできる絶対的強者たるもの。カルデア最強マスターの一角たるアイリスフィールに相応しい、グランドウマ娘の本懐。
「改めて、オグリキャップだ、一緒に世界を救おう、アイリスフィール」
「えぇ…!あなたや皆がいれば、なんだって出来るような気がするわ!」
(…まさか、これ程とは…)
エミヤはその現場を目撃する。誇張ではなく、霊亀領域における、彼女が刻んだ轍。それは最高加速に至る際の踏み込みにより、大地が刳り割れている事が示されている。
(彼女の異名…ウマ娘であろうと、一切陰ることなく健在と言うことか…)
…そのあまりに鮮烈で、圧倒的な俊足を完璧かつ端的に表す渾名として、こう謳われている。
───『芦毛の怪物』。彼女は地方からやってきたシンデレラであり、あらゆる同期のライバルを震え上がらせる怪物でもあるウマ娘であったのだった──。
アイリスフィール「ちなみに、エミヤ君はとても詳しいのね?オグリキャップに」
エミヤ「あぁ、今風に言えば…推しのウマ娘だからね」
アイリスフィール「あら、そうなの?」
エミヤ「地方から、輝ける中央へと華麗なる転身。摘まれる事なく輝き続けたシンデレラグレイ…地方の英霊としては、非常に勇気をもらえる存在だからね」
アイリスフィール「あぁ、なるほど…」
御当地的存在に、さりげなく肩入れしてしまうエミヤでありたしたとさ。
さらなる余談として、オグリキャップは霊亀領域の食料をほぼ一人で完食にまで持っていった。
その健啖ぶりは、霊亀の心臓に生えた毛を数本抜き落とした程であったという。
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