人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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メッセージは明日以降やります!

サタンの部屋

ルシファー『いらっしゃい!来てくれたんだね、ありがとう!』

ラマッス仮面「呼ばれたら来る。ジョーシキラマッス」

ルシファー『本当に嬉しいよ。僕達の声、聞き届けてもらえたんだ』

ラマッス仮面「神でないからこそ、小さな願いは聞き逃さないラマッス。そしてプレゼントリクエストラマッスが…白紙、でしたよ?」

ルシファー『うん。僕のプレゼントはね…君とお話したいんだ。君が知ったものや冒険を、また聞かせておくれ!僕より美しき君よ!』

ラマッス仮面「──喜んで。では、この仮面を取りますね」

ルシファー『待ったぁ!』

ラマッス仮面「?」

ルシファー『その正体、リッカちゃんたちのクリスマスプレゼントにしたらどう?』

ラマッス仮面「て…天才ラマッス!」

フォウ(あっ、天然なんだルシファー)

ツッコミは不在であった。


皆が信じる方のパパと地獄がいちばんあったけぇ日

「皆様、サンタクロースでーす!プレゼント、プレゼントをどうぞー!」

 

「いっぱいあるよ、みんなの分あるよー」

 

【【【【【【うぉおぉおぉおぉおぉおぉお!!!】】】】】】

 

場面は代わりここは地獄。唯一神的に異教徒や邪悪が堕ちる地の獄であり恐ろしき場所。カルデアとの世界をかけた決戦を控える空間であるが、今回ばかりは歓喜の怒声が響き渡る。

 

【ありがとう、ありがとう…!】

【プレゼントだぁ…私達への施しだぁ!】

 

悪とされ、見放された者たちはひたすらに優しさに飢えていた。神なき者たちには縋るものが無かった。だがルシファー…サタンは神ではなく、友たるエアに地獄の皆へのプレゼントを願った。それは再び、見放された者達の心を暖めたのだ。

 

『魔王には手渡しで。迷える悪魔たちは私がまとめて。ポー』

 

【うぉおぉ光の中からプレゼントがぁあぁあ!?】

 

【眩しいっ!こんな輝きがサタン様以外にぃい!?】

 

地獄の軍勢に、触れたらプレゼントが手元にあるガチ神の奇跡を披露し瞬時に地獄全域へのサンタクロース業を完遂させるパパポポ。それに甘え、リッカ達は七つの大罪を担う魔王達へとプレゼントを託す。

 

「アモン…マモンさん?はい、どうぞ!」

 

【ありがとよ、ありがとよ!うぉお、一度奪うんじゃなく渡されるってのやってみたかったんだぁー!】

 

強欲のマモン。彼は人の欲望を司り、常に何かを欲している。それは身を滅ぼす望である故に彼は強欲の魔王として、下界で暴れ回った過去を持つ。

 

【マモンは実は何度も人間を助けたりしていたの。強欲だから自分以外が奪うのは許さないーって。そしたら意外にも受けちゃって、現れた名前がアモンなワケ。ありがと、お嬢様方?】

 

筋骨隆々なマモンとは逆に、桃の髪と柔肌、極めて煽情的なボディ、見た目の色欲の女魔王アスモデウス。彼女はプレゼントである便箋とレター、ペンを大切そうに抱えている。

 

【プレゼント…これでサタン様と交換日記したり、手を繋いだり、一緒に映画を見たりせっせした後、あの御方の名前を呼べるのね…あぁ…幸せだわ…】

 

【名前を呼ぶ方がセックスより後とか、恋愛観イミフすぎて笑いますよね。あ、あの。私はレヴィアタン、リヴァイアサンの方が通りがいいかな。プレゼント、ありがとう】

 

青髪のペンギン衣装に身を包みし嫉妬の魔王、レヴィアタン。彼女もまた、ハイスペックPCを大切に抱きかかえている。

 

【これで、あらゆるスレやTwitterの動向を見守り炎上に繋げることが可能に…ふっふふふふ、幸せを妬むのが私の仕事。ありがとうございますね、皆様の幸せ、祈っています…】

 

「は、はい!マモンさん、アスモデウスさん、レヴィアタンさん!メリークリスマス!」

 

【あっちの時空じゃあ俺達の熱い戦いの日だな。最後に勝った方が星を全部貰う!わかりやすくて最高だ!】

 

【手加減はできないけれど、お互いの事はキチンと理解して、わかり合って、リスペクトしながら戦いましょう?濃密な時間は、互いを知ることが大切なの】

 

【負けたからって、勝ち負けを変えたりはしませんから御安心を。神ではなく、人と未来をかけられる事にマジ感謝】

 

「はい!その時は是非、よろしくお願いいたします!」

 

一人ひとり、固い握手と宣誓を受けるリッカ。彼等は自由と混沌を愛しているのであり、野蛮では決してない。ただ、堕天し神と袂を分かったのみ。

 

【リッカよぉ〜!お前は地獄なんかに居場所ねぇからなぁ!これからも来るような真似するなよなー!】

 

【ふふ…キラナちゃん、あなたはもっと素敵になるわ。おしゃれメイク、やってみない?】

 

「えっ?スーパービューティーキラナ?」

 

【割とポジティブゥ〜。まぁそうじゃなきゃ神の化身になんてならないかぁ。いいなー、キラキラしてていーなー】

 

「え?キラキラキラナ?」

 

【無敵か、こやつ…】

 

魔王達も、強者たるカルデアの面々には一目を置いている。彼等にとってリッカらは怨敵でなく、最高の好敵手なのだ。

 

【ベルゼブブのやつもプレゼント受け取りゃいいのに、いっつもクリスマスにはいなくなるんだよなぁ】

 

【無理もないわよ。もうアレ、魂レベルでアンチだもの】

 

【暴れるくらいなら隠居…。気遣いの達人過ぎて哀しい、哀しい…とりあえずタンドリーチキンはとっといて渡すくらいの仲間意識…】

 

マモン、アスモデウス、レヴィアタンもベルゼブブ…バアルを案じている。ベルゼブブは比類なき強者、魔界の二番手。皆のまとめ役にして最強の魔王なのだ。

 

「あ、それなら大丈夫!私達のスタッフが行きましたから!」

 

【【【スタッフ?】】】

 

「そ。パパポポ!」

 

 

『ベルゼブブ。いや、バアルと呼ぶべきだな』

 

地獄の遥か下層、誰もが凍える最終地獄ジュデッカ。静かに佇むバアルに、パパポポが降り立った。

 

【三位一体、聖霊か。私に何のようだ。死にたくなければ今すぐ消えろ。クリスマスなど、忌まわしい日でしかない】

 

彼は本能的に神を、連なる全てを敵視している。それは最早本能であり宿命だ。だが理性が、皆が愉しむクリスマスを壊してはならぬと彼を離れさせた。

 

『バアル。かつて私達は共に館にて歓待された事を覚えているか?』

 

【……?何を言っている】

 

パパポポの問いは、バアルには意外なものだった。侵略や尊厳死ではない道があったのだと鳩は告げる。

 

『お前の民と恵みは、素晴らしいものだ。私は覚えているよ』

 

【何を巫山戯た事を…。それら全てを踏み躙った貴様が言うのか。その言葉はカナンの死すらも侮辱するという意図でいいのか、聖霊】

 

『…やはり、無いのか。お前と私は、この世界では敵対者でしか無いのか』

 

深い嘆きと哀しみを、パパポポは吐く。それはまるで、違う未来を見たかのような物言いだ。ベルゼブブ…バアルは問う。

 

【私に殺されろ。カナンの無念を晴らさせろ、唯一神、四なる文字】

 

『殺されるわけにはいかない。だが、償いはさせてもらう』

 

鳩はパタリと飛び立つと、ベルゼブブに触れる。そっ、と、彼に足が触れた瞬間。

 

『なっ、何…!?』

 

刻まれた蝿の身体が、辺りを舞う蝿が、たちまち浄められ本来の姿を有する。偉大なる、豊穣の神バアルとその聖霊たちへと。

 

『カルデア勤務をルシファーから受けていたな。その姿は、カルデアに行くときの為の私からのプレゼントだ』

 

『な、なんのマネだ唯一神!呪い、それをまた解く!何がしたいのだ!まるで…!』

 

『心が二つあるーっ。だが生憎、因果は事象から生まれるものだ。この世界では残念だが、確かにあるのだ。かの神とバアルが、同じ館にて乾杯し共に葡萄酒を飲んだ記憶が』

 

パパポポは淀みなくバアルを見つめる。そしてベルゼブブの呪いは、やはり神がもたらしたものであることを確信するのだ。

 

『その呪いのメカニズムで目星はついた。我が嫉みが迷惑をかけたな、バアル』

 

『ま、待て!いきなり来て私の憎しみや怒りを解決するな!わ、私は、私は貴様を憎んでいるのだ!』

 

『そうか。でも、私はお前を愛しているよ。私なんかよりずっと慕われ、民を愛し、愛された神よ。偉大なる豊穣の神バアルよ。メリークリスマス』

 

それだけを告げ、パパポポは飛び立つ。神らしい問答無用で解決手段をプレゼントするのは、間違いなく神の所業である。

 

『ま、待て!待ってくれ、お前は一体…!』

 

バアルは最早わけが分からなかった。あの日糞山の王と蔑んだ神と、あのように愛と労りに満ちた神が同一人物だなどと考えられない程に乖離していた。自身の中に、ベルゼブブとしての力も残す労りぶりも含め、最早理解不能な変わり身だ。

 

『…わからない。お前はいったいなんなのだ、唯一神たるお前よ…』

 

『ポー、ポー』

 

煌めきながら飛び立つ鳩を、困惑のままに見上げるバアル。奇しくも、かつての姿を取り戻してしまったバアルはやがて思う。

 

『神は…何かを知ろうとしているのか…?』

 

漸く止んだ羽音の中で、バアルは思う。この世界の神とはなんなのか、と。

 

…ルシファーとラマッス仮面の対話が終わった頃、地獄よりサンタが旅立つ。

 

【【【【【ラマッス仮面とその仲間に光あれー!!】】】】】

 

「またこっちのクリスマスであおうね〜!」

 

『負けたらキチンとカルデアに協力するんだぞ、お前たち』

 

「あ、どこいってたの?ぎゅ」

『ポー。カウンセリング』

 

ラマッス仮面らは、次なる場所ヘ向かうのであった…

 

 




ゾロアスター領域 悪の摩天楼

パパポポ『なにここ、ハラジュク?』

パパポポの言葉は決して的外れではなかった。そこに、立ち並ぶビル群。割拠する車、未来都市。

キラナ「ジャングル!コンクリートの!」

ラマッス仮面「ラマッス仮面が上京してしまったラマッス…」

リッカ「現代都市めいてるー!?」

ゾロアスターの世界は…何よりも現代の町並みに近かったのだ──

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