人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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夏草・派出所前

無慙「夏草に暴力団の影がないのは喜ばしいが、変わりに若気の至りのバカどもが他県で散見されるな」


(近々問題となるのだろうな。修学旅行などで問題を起こされたら事だ。さっさと潰すに限るが…)

「…夏草を離れるわけにもいかん。掃除は他の担当に任せるか…」

(しかし最近は急激な増加が見て取れる。早急な対応が必要だろうな…)

「「「にゃー」」」

「…そうか、ちゅーるの時間か」

(いつの日か、俺が不要になる世の中が来てほしいものだ…)



エピュラシオン・ファミリー

【ニャル、暴対法ってご存知?】

 

マルドゥークの解析を行い、楽園への参戦を決めたマイノグーラ。ケイオスカルデアに滞在を行い、作業しながら従弟であり仲間であるニャルに振った話題の第一声はそんな突拍子もないものだった。

 

【暴力団、暴力組織をきつく締め上げる為に制定された法律だろう。お陰様でヤのつく自営業は大変窮屈な想いをしていると聞くが、それがどうかしたのか?】

 

そう、あらゆる暴力団、言ってしまえばヤクザを弱体化させた法律は一見社会の清浄を担っており、事実かなりの組織が規模を縮小させたと報告が上がっている。だがそれは所詮、人間社会がもたらした人間に対する法律だ。今更カルデアがいちいち気にするものではないとニャルは告げるが、マイノグーラはそこに否を告げる。

 

【確かにヤーさんはこれで大分致命傷を負ったデータが出ている。でも、それよりも質の悪くこの法律で縛れない輩たちもいちゃったりするのよ、残念ながら】

 

【…愚連隊。もっと進んだ言い方をするなら半グレというやつか】

 

そう、不良グループや独自に設立された若者達の組織がこれらに当たるものであり、彼等は暴力団ではないためこの法律で縛れない。だが彼らもまた、行うことは暴力団と似通っており、ともすれば更に質が悪い。

 

【仁義も何もない彼等は平気で一般人にも迷惑をかけるし、暴れ回る。本来なら縄張りを守る暴力団の人たちが粛清したりするんだけど、さっき言った暴対法でまともに機能できないほどに弱体化した彼等では大っぴらに粛清もできない】

 

【法も目の上のたんこぶもない以上、好き勝手に暴れ出すのは必然か。それはまあ確かに不愉快な事だが、所詮は社会不適合者の愚かな活動だろう?姉貴殿が気にする事には思えないが】

 

そう告げるニャルに、マイノグーラはモニターにデータを示す。そうも言っていられない事情、それをニャルへと伝えたのだ。

 

【これは…】

 

【現地球に滞在している不法侵入者のリストよ。明確にリストアップしてみたら結構な数になったわね。日本地区に絞ってみてもこれだけの組織が人間社会に紛れているわ】

 

それは、まだ地球が外星人への交流技術や星間レベル的に未開の土地であることを活かし地球へと不法入国していた宇宙生物のリスト。マイノグーラはその情報網をフルに活用し、エンジェルグレイブの力も借りることで瞬く間に突き止めたのだ。

 

【この中には、日本で根を張り海外マフィアと契約を締結し、武器や薬物を日本に仕入れ半グレに配ったり流通ルートを開拓し薬品市場にしようと目論む外星人の会社もあるわ。グールカンパニー、原生文明に潜み利益を吸い上げるグールの集い…知ってるでしょう?】

 

【あぁ…何度も何度も潰した経験のある名前だ。成る程、いつまでもクズが消えないと思っていたら焚き付けている輩がいるとはな】

 

ニャルからしてみれば、そういった組織を炙り出すノウハウはマイノグーラ程でもない為わずかに後手に回っていた。夏草には徹底した警官や市長がいるため浄化はほぼ完璧だとしても、いずれそれらが利権を求め夏草を狙おうとしても不思議ではないだろう。早急の対処が求められる事案だ。

 

【私はカルデアに在籍して、地球という極めて希少性のある星をなるべくありのままの状態で保護したいの。マルドゥーク神の存在が、逆説的に宇宙有数のテクノロジー技術を有する人種であることを証明した今、こういった人類に過干渉する存在は排除しておきたい】

 

【その意見には大変興味がある。ならば具体的にはどうするのかな?魔人ブウよろしく異星人や外来生物だけピンポイントで皆殺しにでもしてみるか?】

 

ニャルの問いに、マイノグーラはモニターのページを送る。そこには、依頼書としての文面が添えられていた。

 

【あなたの娘さん、ナイア。彼女は狩人でもある。話は聞いているわ。相当腕の立つともっぱらの評判よ。私は彼女とあなたに正式な依頼という形でお願いしたい】

 

【社会の闇に蠢くゴミ達を掃除しろ…姉貴殿はそう言いたい訳だな?】

 

そう、人間社会に潜み甘い汁を吸う小賢しい組織を世界から抹消する依頼。狩人として、外なる者や旧支配者の息のかかった連中を始末するのは業務の一つだ。マイノグーラは依頼人として、それを果たすように願いを立てる。

 

【放置しておけば、彼等は政治社会の人間とチェンジリングして政界に進出するでしょう。人間社会は知らない内に彼等に乗っ取られ、異星人達に隷属することとなる。予め後顧の憂いを断つという意味でも、これは必要な事と信じるわ】

 

【成る程ね。私がやっているようなことを、国会議員でやられては確かに面倒だ】

 

ニャルはそういった政治的アプローチを行う輩の危険性を評価する。真っ当な侵略手段に頼らずこうした手段を取る輩は、間違いなく厄介な存在になるというものだ。

 

それに先は、アザトースやクトゥグアを信仰するようなテロリストも湧いて出ていた。そういった弱小組織が、地球に潜伏し力を蓄えるというのもあり得る話ではある。

 

【…わかった。依頼としてこの件は受け取ろう。ナイアにも話を通しておく】

 

正式な依頼であり、また人しれない案件だと言うならこれはケイオスカルデアの事案だ。地球に巣食う虫は、さっさと駆除するに限る。

 

【地球に滞在しているグループと、衛星軌道に待機している母艦の情報を掴んでおいた。どちらも処理してもらえたなら報酬は倍にさせてもらうわよ】

 

【それは大変太っ腹な事だ。よし、では娘と共に私も出よう。身柄はグランドスターズに明け渡し、更に恩を売るのも悪くない】

 

【生命の有無は問わないわ。迅速に処理してくれたならそれでいい。いきなりで申し訳ないけど、どうかお願いね】

 

こうしてニャル親子は、マイノグーラの依頼により地球に不法滞在している者たちを正式に狩る事を決定することになる。

 

【一応王様にも企画を通しておかないとな。組織の秘訣はホウレンソウ。裏切りと誤解されたらエライことだからな。…!】

 

【あら、どうかした?】

 

【あー、姉貴殿。その依頼…ちょっと救援スタッフを募集してもいいかな?】

 

そう、ナイアと二人経営していた頃とは何もかもが違う。取り逃しや見逃しが発生しないための次善策は必要不可欠だ。

 

【ナイアは最早一人ではない。より素晴らしい仕事を…御覧に入れようじゃないか】

 

【〜?】

 

ニヤリと笑うニャルの真意を、未だにピンときていないマイノグーラであったが…

 

その意味は、すぐに知ることとなる。最早狩人は、一人ではないという事を。




グールカンパニー

グール「地球は素晴らしい。これほど美しく文明が発達していながら、原住民は猿にも劣る無能な輩ばかりだ」

グール「我らに少しずつ社会基盤を乗っ取られているのにも気付かない、馬鹿な者共だ」

グール「だが、馬鹿は金になる。いずれはこの星を我等グールが掌握しより良いビジネスを始めるとしよう」

グール「地球人は様々な用途がある。欲しがる輩ははは引く手数多だ…」

ニャル【成る程、馬鹿には分からんようだな。人間とはそう使うものではない】

グール「誰だ!?」

ニャル【愛と正義のパパン、見参】



ナイア「速やかに、ブチ殺します」

XX「いえ、半殺し程度に。グランドスターズから報酬が貰えなくなります!」

ナイア「九割殺します!」



モア「速やかにお縄に付きなさい!てゆーか天地神明?」

仮面ライダーディーヴァ『夏草付近にいたのが運の尽きね!』



エキドナ【よーし、始めるよ!】

マイノグーラ【皆、よろしくね!】

日本の膿を、ニャルは家族で一掃する──!

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