父『…………』
『誰だこのクソ野郎』
大天使((((あなたです…))))
立川。それは日本にある神がおわす場所。人類知らぬものはないパンチとロン毛が居を構えるバカンス避暑地。聖人たちが信じる父の息子と、悟りを開いた黒歴史でっぷり状態の仏像が山と作られているパンチの御方がアパートで過ごしているような日本の一角である。
「いやぁ、カルデアの皆の足跡もいよいよ西暦に届かんとしているよ覚者(○○○)。実にハレルヤ、喜ばしい事だねぇ」
こちらはジョニー・デップに似ているような救世主たるロン毛、日本語で言うハイと頷く答えの御方である。ちゃっかり異世界が見えるパソコンカスタマイズを行い、別世界である楽園カルデアをウォッチングしていたのだ。現代式救世主の戯れである。
「カーマ、ひいてはマーラと私の分身たるグドーシくんが仲良くしていたりラーマくんとシータちゃんが仲良くしていたり、カルナくんやアルジュナくんがわちゃわちゃしていたり…この世界軸でしか見られない栄養や功徳があるよねぇ」
対してこちらは慈悲プにて参戦したこともある御方、怖いので名前は伏せるがグドーシの大元唯一悟りし御方である。彼もまた、遊園地にてワイワイしている同郷の仲間を祝福し、涅槃イズ立川にて見守っていた。そう、大分前にカルデアに来たことのある二人は楽園の縁が結ばれているのである。
「最近ではアーケードでノア君も実装されたみたいだし、いよいよ聖人サーヴァントも極まってきた感じするね。そろそろ私もオファーがくるの…期待してもいいのかな?」
「それやったらいよいよサービス終了を危惧しなきゃいけない立場を自覚しないと駄目だよ救世主(○○○と呼んでください)気になったんだけどなんだかルーラー多くない?」
「そこはモーセ君が説明してくれたよ!『暴力と痛みは万物共通で平等だからね』って!…あぁ、うん…」
「流石君の父さんにも逆らった自由人、独特な観点だね…強ち間違ってないのが質悪い…」
「そ、それにしてもヴィシュヌさんって親しみやすいんだね!ガルーダさんのエピソード、暖かくて好きだなぁ…」
「あの方、威厳はシヴァやブラフマーに任せるスタンスを崩してないからね…自分は常に気楽な自然体がモットーだから…」
「まるで私服で会社に視察に来る社長みたいなノリなんだね…」
「当のガルーダも『空でばったり会ったのがヴィシュヌ様だった』って偉く驚いていたからね…私としてはグドーシ君とリッカちゃんが元気なら何も望む事は無いかな」
「流れ弾でカーマちゃんが愛の倦怠から脱出したね!」
「次のサバフェスではリッグド純愛をマハーバーラタ並みのボリュームで描くらしいよ。見に行ってみようかな?」
「…読み切れる?持ち帰れる?」
「確実に電車で検問されるだろうね…」
そんなこんなで、超越者達のゆるーいトークはカルデアの近況やら動向やらを語っていく。彼等もまた、ルゥやマルドゥークにのみ許された『戦う必要も意味もない』類の存在であるのだ。
「そういえば最近向こうのサタン…というか、ルシファーが出てきたね?」
「そうなんだよ!意外なことにあっちのほうがミカエルの兄弟っぽくて天界で話題になってたみたい!」
「こっちでは黒髪のいかにもワル、って感じだものね。まだ迷いの中にいるから、なんとか自分の美徳や価値観を確立してほしいよね」
「ミカエル達も『我々の出番まだー?』と言ってたし、参戦できたらいいよねぇ…」
(…確かルシファーが堕天するとき半殺しにして翼もぎ取っていたような…生きてるのかな…)
そんな話に花が咲く中、彼等二人の前に一羽の鳩が止まる。その鳩は無論、ただの鳩ではない。
『自らのやらかしが辛い』
「父さん!?」
そう、ロン毛が父と仰ぐ方、即ち天上の主。この世界における信仰上の頂点、その御方の聖霊である。聖霊とは救世主、大いなる主と同一視される三位一体が内の一つであり、愛にて人を導き世界を造るいわば大いなる主の善なる側面である。威厳に満ちた声音で彼は嘆きを漏らした。
『宗教や信仰を改めて敗者の側からつらつらと示されるとこちらの獣性が浮き彫りとなり凹む』
「あぁ…バアルさんやリリスさんへの仕打ち…」
そう、やってるときには何も思わなくても一歩引いて客観的に見ればそれはドン引きの所業わ、神様だって恐れ慄く悪逆無道の出来上がりである。父、ひいては信仰する人々が崇める善き側面の聖霊は嘆きに嘆いていた。
「ま、まぁそれは仕方ないよ…父さんいつの間にかヤルダバオトとか嫉む者とか言われたりしてるし、たまたま悪い側面がいっぱい集まっちゃっただけだって!」
『豊臣秀吉ばりにフォローが難しい』
(あぁ…あの超速思考日輪武将…)
『今更謝って済む話でもない。全て我が不徳の致す場所。しかしこれでは、真摯に信仰してくれた者等の思いもまた何処にも行けぬ』
彼は聖霊、恵みと愛を齎す側面だ。故に嘆く。ヤルダバオトたる自らの嘆きを。三位一体、要するに角から角は見えるのだ。
『どうしよう』
「ど、どうしようと言われてもですね…流石に貴方の召喚は難しいかと…」
『ゼウスも行けたからワンチャン』
「ぎ、疑似サーヴァントだから!疑似サーヴァントで本人じゃないからね父さん!ケツァルコアトルさんも割りとギリギリのラインだから!」
(カルデアのアウトは何処なんだろう)
説得される父。しかし、父の嘆きは本物であった。バアル、ルシファー、リリス。楽園時空での権威と評判の失墜はもう偉いことである。このままには出来ない。故に、父は決断した。
『過去は消せん。ならば1から積み上げよう。巡礼のように』
「えっ!?」
『聖霊と人の精神を持ち、あちらの聖霊とリンクしてカルデアに往く』
「まさかの同期方式!?」
「原作モルガン式だぁ…!」
ヤルダバオトの側面、聖霊にして父たる側面を鳩にして弱体化しながらあちらに飛ばす。意志と細やかな奇跡にて皆を支える道を父は選んだのだ。パンチとロン毛、これには驚き。
『信徒の信仰と人の為に飛ぶ。過ちはない』
「と、父さん…そこまで…!」
『事実を並べただけで悪の総帥になる今の惨状を変えてくる』
硬い決意の下、聖霊は飛び立つ。彼は父であり、そして父の善き側面を有すもの。あまりにも薄いあちらの善の側面と同期する道を選んだのだ。
「行っちゃった…」
「神様も大変だよね、色んな人が語るから色んな側面が知らないうちに出来てたりするもの…」
それをただ見守る二人。父の決意はとても硬い。相当に自らの事実陳列が堪えたのだろう。
「でも大丈夫かな。誰が見ても綺麗な白いハトだけど…」
「きっと大丈夫さ。信じよう、カルデアの善き人々を。そして…」
父さんの揺るぎない決意を…自らが積み重ねに積み重ねた悪行を少しでも覆すために、聖霊に全ての願いと想いを託し飛ぶ父であった──。
目覚めよ、全能を有す時空の聖霊よ。
人の心身を有し、嫉む者たる我の積み重ねた汚名を濯ぐのだ。
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