茨木「まさか生で変身を見れるとは…!」
カグツチ『感無量…』
〜5分後
ミラアンセス『長い!?』
カグツチ『一人あたり一分』
ニャル【ノーカットは剛の者過ぎない?シュテンとスイカちゃんのイカ腹と二人のバッキバキの腹筋に対しイブキのエチエチがさぁ…】
ハスタン【性癖歪まんかこれ】
ばらきー「名のりが来るぞ!!」
キュアオンラ『天地神明!キュアオンラ!!』
キュアイブキ『八脈怒涛!キュアイブキ!ちゅっ♪』
キュアシュテン『天衣無縫、キュアシュテン』
キュアスイカ『不羈奔放、キュアスイカ!うぉー!』
キュアユウギ『怪力乱神…キュアユウギ!!』
キュアオンラ『天地引き裂き、国を興せし五体が鬼神!!』
『『『『『集いし無双!我等はオニキュア!!』』』』』
キュアオンラ『さぁ──さっさとお家に帰るといいぜ!』
茨木「うぉおぉおぉおぉおぉおぉお!!!」
カグツチ『わぁー!』
ニャル(ハスター、ハスター)
ハスター(ん?)
(これ女児向けだよね?勇ましすぎない?)
(鬼の女児向けなんじゃろう)
(そっかぁ…)
ボルシャック(最近のヒーローこえ〜)
【ぬぅう、いくらオニキュアが揃おうとわえの敵ではない!これでも喰らえぇ!!】
オニキュアがついに全員集合を果たし、計画されていたイベントもいよいよ最終局面を迎える。ドラランド…というより、特異点のリソースを費やした親孝行が終わりを迎えるのだ。それはオニキュアショーという本懐が果たされるという事にも他ならない。クライマックスとばかりに、邪悪なる竜ヴリトランが極太の漆黒光線を撃ち放つ。
『きたきた!見るからにクライマックスっぽいの来たわよ、オンラ!』
『面倒やさかい、さっさと打ち返して宴の続きと参ろか?なんやここ、鬱陶しいもやもやもあるさかい狭苦しゅうてかなわんわぁ』
キュアイブキ、キュアシュテンの催促に従い、オニキュア5人が立ち並び必殺技の構えを取る。
「おおっ!!あの構えは来るか、オニキュア5人の究極技『天地開闢!鬼窮婀至純覇轟撃』!!」
【その字に全く可愛げが感じられない技とは!?】
「オニキュアは基本好き勝手に戦い、チームプレーなど微塵もしない。それも相手を引きちぎる、引き裂く、叩き潰すといった残虐かつ猟奇的なものばかりである事を憂いた開発スタッフが一クール終わりに考案したメルヘンみ溢れる必殺技だ。オニキュア達の醸し出す鬼神の如き闘気を重ね合わせ、導き出された覇王が如き圧を叩きつけ敵を完全粉砕する奥義」
『トドメは全部これ。手を触れずとも相手を塵芥に還す強さの極地ともいう描写が大人気の秘訣になって、若干ドン引きされてたオニキュアをシリーズ化する要因になった…』
『えぇ…要するにすっごく強い波ァって事?ま、まぁCGとかエフェクトで誤魔化すんだよね?ね?』
『『『『『『うぉおぉおぉおぉおぉおぉお!!鬼窮婀!至純覇轟撃!!』』』』』』
アンセス…ルゥの杞憂ごと粉砕する闘気を自前で捻出するオニキュア5人。え?え?となるルゥ達の前にハスタンとニャルニャルが来たのはつまりそういう事であり。
『塵に滅せよ!!波ァァァァァァァァァ─────!!!』
【女児アニメという体面は何処にぃ〜〜!?】
5人の闘気により産み出されしオーラの鬼神が金棒を持ち、ヴリトラン渾身のブレスと拮抗する。その余波で周囲のものは吹き飛び、力の奔流にて竜巻が巻き起こる。
「ぬぅうぅう!?これこそが、オニキュア渾身の必殺技!画面の向こうからも伝わる迫力が凄まじいというのにそれをよもや直で!味わえる日が来ようとはっ!!吾は、吾は感無量だぞっ!!」
『ヒィ~ン』
余波で吹き飛ばされるルゥをニャルニャルがキャッチし、感涙にむせぶ茨木童子。もはやショーと現実の境はどこか解らぬ大立ち回りの中、ボルシャックが叫ぶ。
『見ろ!ヴリトランの野郎、それでも拮抗してやがる!』
【きひひ、ひひ…!度し難いアホの子とはいえ、ミラアンセスの力は紛れもなくこの星における頂点!力の一端とはいえ、貴様ら木っ端の鬼ごときに遅れは取らぬ!ぬぇえーい!】
『ぐうっ!ぐっ…!!』
それでもなお、ヴリトランはオニキュア渾身の一撃を相殺、あまつさえ押し戻してみせる。ミラアンセスの力を掠めていた分、ブレスを食らってもなおその力は衰えを知らぬのだ。
『まずいぞ、手を貸してやりたいが俺達はポップコーンに力を込めすぎてこれ以上動けねぇ!』
(真面目な台詞なのだが一字一句が面白くて敵わん)
【あのままでは押し返されるのも時間の問題じゃ。味方にすると頼もしいが敵にすると恐ろしいを地で行くのぅ、ミラアンセス】
『ごめんなさい…。む!力の一端で私、閃いた予感!』
ミラアンセスがポンと頷き、茨木に向けて告げる。そう、それこそが最大の一手。
『茨城県ちゃん!今こそあなたがオニキュアになって皆を救うんだよ!』
「誰が都道府県名か!!わ、吾が…オニキュアに!?」
『そうしないとオニキュア皆死ぬよ!主に私のパワーのせいで!』
【事実じゃがはっきりと言うでないわい】
べしり、とハスタンに折檻されヒィンと鳴く傍ら、茨木童子はオニキュアを見やる。大咆哮を上げながら拮抗する鬼神と黒き邪竜の最終決戦。
「果たして、吾があのような極限の場に立ち入れるものであるのか…?吾のような…」
『できる』
温羅や酒吞にくらべなどと、告げかけた言葉を遮ったのはカグツチ。茨木に心を救われた、一人の神。
『茨木なら、できる。強さを極めたオニキュアじゃない、優しいオニキュアとして』
「カグツチ…」
『ショー限定のオリジナルオニキュアとか、珍しい事でもない。ばらきーなら、オニキュア大好きなばらきーならきっとなれる。皆を助ける、オニキュアに』
【これまでだ!死ぬがいい、この世の神秘の残滓どもよ───!!】
カグツチの言葉、ヴリトランの一際強くなった攻撃。火急の事態にて茨木に求められる決断。ショーとしてでも、自身の推しのヒーローになれる勇気があるか?
「───えぇい!!こうなればやぶれかぶれよ!一度でいい、吾をオニキュアとして使い倒してくれ!皆を助けるために!!」
『──うん!』
『良く言った!それでは溢れる祖龍パワーをどーん!』
ニャルニャルがアンセスの指示に応え、爪先程の龍のパワーを茨木に注入する。
「あんぎゃあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあ!!!!」
【これトドメじゃないかや!?】
断末魔もかくやの茨木の絶叫と共に、カルデアスタッフ総出で作った茨木オニキュアの変身バンクが展開される。カグツチは茨木の専属精霊となり、黄金と紅蓮のオニキュアが生誕を果たす。
【ぬぅ!?】
『あら、茨木…』
『その姿は!』
『──な、名だたる鬼神たちよ!一時であれ肩を並べる無礼を許せ!吾はあり得ざる、そなたらを応援する全ての者等の代表者!』
『仁義の頭領…キュアバラキー!』
現れしは幻のオニキュア、キュアバラキー。オリジナルオニキュアに応援するファンを変身させる、粋極まる脚本の極地がここに結実する。
『皆を後押しする!行くぞカグツチ!』
『了解!』
キュアバラキーは5人の背後に回り、最後のダメ押しをと気迫を込める。この拮抗を打ち払う、必殺の拳。
『ぬぁあぁあぁあ受けてみよ!これがオニキュアの絆にして一撃、最大の応援!!』
『いけー!』
『火之迦具土!!大縁起ーーーーッッッッッ!!!』
カグツチと放つ渾身の一撃が、ヴリトランの光線を撃ち返す。それはヴリトランの予想を遥かに上回る一撃であった。
【ば、馬鹿な!そんな小娘一人増えただけで何故わえが押し負ける!?】
【当然だろう。貴様の持つアンセス様の残滓はケシカス程度であったが、こちらの残滓は一円玉程。多さのケタが違う】
【加えて、神の全力応援付きじゃ。いくら強かろうが、調和した強さには敵わぬよ】
【舐めるでないわ!我が愛娘、カグツチの力ぞー!】
『そういう事だ。力を合わせる奇跡の前に、単なる最強は負ける運命なんだよ!』
拮抗は押し負け、遂にヴリトランに終幕の時が訪れる──。
『くたばりやがれ!!ゲストカゲがよぉ!!』
【ぐ、ぐっ──ぐぎゃあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあっ!!!】
全身の骨という骨を砕かれ、全身の穴という穴から血を吹き出しヴリトランは死んだ。グロテスクと言ってはいけない。オニキュアの幹部や敵怪人はみな一様にこういった末路を迎える。繰り返すが、オニキュアは鬼向けヒーローである。映像ではいい感じに加工されているのでご安心されたし。
『はぁっ、はあっ、はぁっ、はあっ…』
キュアバラキーが力を使い果たし、倒れ伏す。それほど、オニキュアの力は凄まじいものなのだ。
『…ありがとうな、茨木』
『キュアオンラ…』
その身体に手を置く、リーダーキュアオンラ。後ろにはウィンクするイブキ、やれやれと首をふるシュテン。居眠りを始めるスイカ、あくびをするユウギがいる。
『いや…キュアバラキー!』
『…!うっ、う…ううっ…!』
推しのヒーローに手を握られる。ファン冥利に尽きるショーの閉幕を司るバラキーは、涙混じりに握手を返す。
『……………』
【カグツチやー!皆、素晴らしかったー!】
それを感無量で見守る二人の親。大喝采のドラランド。ここに、ドラランドにおけるイベントの全ては幕を閉じたのであった──。
差し替えられたシーン
ヴリトラン【ぐわぁあぁ〜!こ、このわえが!このわえが〜!(泡になって四散)】
キュアオンラ(さわやかめ)『見たか!これがオニキュアの、絆と結束の力だ!』
ミラアンセス(プリンセス成分多め)『ありがとう、オニキュア達。いい感じに世界は救われました…』
キュアオンラ『いつか鬼と龍も、こんなふうに仲良くなれたらいいな』
ミラアンセス『きっと出来るはずです。だって今、私達は確かに調和できたのですから…』
ここからキュアバラキーとの触れ合いに戻る。
視聴者の意見は『誰だお前』『綺麗な祖龍』『別パターン全部円盤収録して』という、中々好評なものだったという。
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