人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「・・・招かれている」



「・・・が。連戦に次ぐ連戦、その終わりを衝くなどあまりにも浅ましい」


「・・・全く、仕方無い。チョイ役にそれなりの意義を付与するとするか。行くぞ、ラムレイ」

(どうせ原作でも台詞在りませんしね)


不穏

『サーヴァント反応、全消失!辺りに敵反応もない!――お疲れさま!皆!』

 

 

『えぇ。――作戦終了よ。リッカ、マシュ。皆。お疲れ様』

 

 

 

――頼もしい二人のサポーターが、閉幕を下げる

 

 

 

「ふん、漸くこの下らぬマキリの魔霧が終わったか、く、く、マキリの、魔霧ふははははは!!」

 

 

――一つのギャグを長く楽しめる。流石です、王様。つられて笑ってしまいます。はははは

 

 

(お疲れ様、無銘。今回も無事に生き残れたね)

 

――うん。こうして無事にフォウと話せること、凄く嬉しくて安心する。真っ先に自分を労ってくれて、ありがとうね

 

(だ、ダメだよ。ここで消滅したら怪しまれる。続きはカルデアで、ね)

 

 

――うん。抱きしめて眠らせてね

 

 

(あっ――)

 

 

――粒子!フォウ粒子!

 

 

 

「やったぁ――!マシュ!金時兄!モードレッド!私達の勝ちだよ!やった!やったぁ!」

 

 

「はい!先輩のお陰です!本当に・・・!」

 

「リッカもナイスガッツだぜ!胸張って、頼光の大将に挨拶にいこうや!」

 

「うん!!」

 

「よっし!ブリテンは護った!俺以外の奴に荒らされなかった!どうだ!父上!!」

 

「お疲れ様でした。円卓としての働きはこなしましたね」

 

「――お、ぁ・・・あぅ。・・・そ、そうだぞ。モードレッドはすげぇんだ」

 

 

『僕からも賛辞を。君は誉れある、円卓の騎士だ!』

 

「アーサー・・・うるせぇ!そ、そんなもん。当たり前だ!・・・当たり前だ!」

 

目を潤ませながら叫ぶモードレッド

 

「随分とリップサービスが達者になったな、アルトリア」

 

「労働には労いをかける。そうでしょう。ギル」

 

 

「そうさな。王として、それは最低限くれてやらねばなるまい」

 

「――長いようで短かった特異点もこれで終わりですか」

 

「愉しかったか?アルトリア」

 

「はい。・・・不思議なものです。今の貴方といると、セイバーを殺すとか、アルトリアを殺すとかいう目的が、どうでも良くなっている自分がいる」

 

「職務怠慢だぞ。座に還れ」

 

「そういう訳にはいきません。私がナンバーワンセイバー。ナンバーワンアルトリアなんですから。こればかりは譲れません」

 

 

「――そうか。では、これだけは覚えておけ」

 

「?」

 

 

「――貴様は、我が背を赦したただ一人のアルトリアだ。その栄誉、座の本体に叩きつけるがよい」

 

「・・・必ず返品されると思います。天地がひっくり返ろうと」

 

「ふはは、であろうな。でなくば面白くもない」

 

「ですから――他のどんなアルトリアにも、この記憶は渡しません。血迷ってはっちゃけ、ギルに闇堕ちさせられたダストデータとして、未来永劫抱え落ちします」

 

「ふん。精々下らぬ想いと共に溺死せよ・・・あぁ」

 

「はい?」

 

「今の貴様と我、目の当たりにしたセイバーめの顔、見物だとは思わぬか?」

 

「――ショック死が期待できますね」

 

「ふははははは!これはなんとしても呼ばねばな!」

 

「心と身体を殺す!!ナイスセイバー道!!」

 

「なんとしても呼ばねばな!貴様と同じ顔をしたアルトリアと我は親しいぞとな!セイバーめの顔、さぞや酒を美味に変じさせよう!」

 

――この一件で、随分アルトリアと器の距離が近くなった気がする

 

 

「ギル」

 

「?」

 

 

「――また、ギルギルスタリオンに乗りましょう。そうですね、次はキャメロットとかどうでしょう?」

 

「・・・機会があればな。どうせヤツは恥じらう余りに容易く参ずるまい。ならば、消去法で貴様しかシートの乗り手はおらぬからな」

 

「誰にも乗せないでくださいよ、このシートは私のものです」

 

「ふん。さっさとセイバーが来れば貴様も用済みであるというのに」

 

「えぇ、早く切り捨てたいものです」

 

――仲が良いのか悪いのか・・・

 

 

 

・・・ん?あれ?

 

 

「――む?終わりは良いのだが、我等は何か・・・どうでもよい事を忘れてはおらぬか?」

 

 

――器の言葉に、少し思考を巡らせる

 

忘れた事・・・

 

 

――考え始めたその時

 

 

 

『立つ鳥、跡を濁さずという極東の言葉がある。後片付けをするまでが戦いという意味の格言だ』

 

 

声と同時に、僅かに漂っていた霧が猛烈に一ヶ所に集まる

 

 

「む?絞りカスの霧が集まっていくな。何事か?」

 

 

『――嘘!サーヴァント反応!?』

 

オルガマリーが声をあげる

 

 

「マジかよ!?空気読めねぇな、ここは終わる雰囲気だろうが!」

 

 

「文句はあと!皆、構えて!」

 

 

「そう身構えることもあるまい。触媒となる大気に漂った霧は極僅か、精々数分の現界しか保てまいよ」

 

「まぁ、セイバーかどうかは見ておきましょう」

 

『来るぞ!これは――!』

 

 

「――戦場に在りて、手緩い真似は命取りになる。瀕死の悪党は、ささいな隙で息を吹き返す」

 

 

 

霧の総てを吸収し

 

 

「このように、浅ましくその利をすすり上げる者が現れるからだ。まだまだ甘いぞ、カルデアの者達」

 

 

――現れたのは、騎士

 

右手に黒い槍を持ち、黒き鎧、眼を真紅に光らせる馬に騎乗している

 

 

「――あんたは・・・!!」

 

 

――知っている

 

 

その顔を知っている、知っていた。その静かながら冷利な眼差しを、かつてうけた事があるからだ

 

 

「――よもや嵐にまで成り果てているとは。神は余程我の理想を穢したいと見える」

 

 

はぁ、とうんざりげに呟く器

 

 

「――勝鬨を阻むような非礼、まずは詫びておこう。どうにも私を招きたい者がいたようでな」

 

「アルトリア・・・!?」

 

 

――その顔は紛れもなく、アルトリアそのものだった・・・

 

 

「来ましたね!石田なアキラが提案した三つの案で躊躇いなく神により豊満であれと願われた悪ふざけの私!!ランサーで顕れたがうぬが不覚よ!!私以外のアルトリア!成敗!!」

 

 

「あれ?マシュ、あれ槍だよね?」

 

「は、はい。アーサー王は聖剣使いでは・・・?」

 

 

『僕が解説しよう。あれはロンゴミニアド。アーサー王が所持していた、世界の表と裏を繋げる槍だ。そして――』

 

「オレを刺し殺した槍だ」

 

いいよどむアーサーにすかさず繋げるモードレッド

 

 

 

「・・・何を今さら出てきやがった」

 

「――モードレッドか」

 

「そんなもんまで持ち出して!オレを殺しに来たのか!アーサー王!!」

 

――圧倒的な風格の、ランサーが向き直る

 

「アルトリア、ポリ袋はあるか。口からエーテルを吐き出しそうだ」

 

「汚いですね!ビニールにしてください」

 

 

「理想から眼を背け、嵐に堕ち、王として成長したなど気は確かか描く神・・・アルトリアとは名ばかりの別人ではないか・・・日本のゴジラと外国のゴジラほどちがうわたわけ・・・」

 

「フッ、貴様の無様な姿を見れただけで意味があったというものだ」

 

「カリバァアァア!!」

 

斬りかかるアルトリアをランサーが容易くいなす

 

「案ずるな、アサシン。私はすぐに消える」

 

 

「は!?」

 

驚きを現し、階段から落ちかけるアルトリア

――あぶない!

 

「たわけ。我の手を煩わせるな。事故死などされては我が間抜けではないか」

 

袖をつかみ救出する器

 

 

「触媒となる魔霧が余りにも少ない。現界のみでそれも使い果たした。私は消える」

 

 

――それでは、まるで

 

 

「私は消えるために現れたまで。ブリテンを汚す霧を纏めあげて、触媒にしてな」

 

「じゃあ・・・」

 

 

声をあげるマスターに頷く

 

「――言っただろう。後始末は大事だと。ブリテンを覆う霧を道連れにするために、私は召喚されたのだ」

 

 

――では、彼女は

 

「ブリテンの守護者・・・些か遅いきらいはあったが、その責務は果たさせてもらう」

 

――彼女に敵意はない。既に退去が始まっている

 

 

・・・彼女は、反転してもなお、ブリテンを救うためにやってきたのか・・・

 

 

「嵐の王が優しきことよ。本当にそれが目論みか?」

 

「私以外のアルトリア死ね・・・!!」

 

「――不満があるなら一戦交えても私は構わないが・・・いや。お前達は勝利した。疲労した相手を一方的に狩るなどハイエナの所業。この槍に、そんな恥辱は犯させない」

 

「じゃ、じゃあなにしに来たんだよ!」

 

 

「――忠告だ。『地下の聖杯を忘れるな』」

 

 

――そうだ、聖杯だ!!

 

 

「――そういえば忘れていたな。身近かつ手頃で忘れていたわ」

 

ふはは、と笑い飛ばす器

 

――財の選別で見慣れていたからすっかり忘れていた!

 

 

『そうだったそうだった!地下にある聖杯を回収してくれ!それで本当に完了だ!』

 

 

「マリ~」

 

『げ、激闘だったじゃない!み、皆だって忘れていたでしょう!?』

 

 

「聖杯を忘れる・・・英雄王を知らなくば、けしてできないミスですね、先輩」

 

「あははっ!本当にね!」

 

「――――」

 

(・・・・・・)

 

――?

 

器もフォウも、なんだか沈黙している

 

 

「意味は解るな、英雄王」

 

 

「・・・ハッ、気を遣うではないか。貴様は暴君と化したのではなかったか?」

 

「・・・私の出番など取って付けたようなもの。多少の干渉などしても変わるまい。――警告は喚起した。私は霧を引き連れ立ち去ろう」

 

 

「セイバーでなく自主消滅とは命拾いしましたね・・・つぎはその過ぎたるは及ばざる駄肉を切り落とします!!」

 

「持たざるものは皆遠吠えをほざく。――聖剣を手にした己を呪え、アルトリア」

 

「ぁ?」

 

「――モードレッド」

 

消える瞬間に、黒きアルトリアは呼び掛ける

 

 

「な、なんだよ!?」

 

「――消毒液には気を付けるがいい」

 

 

それだけを伝えて、アルトリア・ランサーはロンドンの霧を道連れに消滅した・・・

 

 

「しょ、消毒液???」

 

 

「不思議な人だったねぇ・・・」

 

 

「・・・?ギル、どうしました?」

 

 

器が何か、やけに沈黙している

 

 

「――よし。アルトリア、モードレッド。貴様らはアパルトメントにて待機していろ」

 

「お?おぉ?」

 

 

「聖杯を取りに行くのは我とマスター、マシュだけでよい。アルトリア、貴様はこれをいじっておけ」

 

波紋からカメラを投げ渡す

 

 

「回収した後の写真に使う。万全にしておけよ」

 

 

「?わ、解りました」

 

 

「また地下だね!サクッと行っちゃおうよ!」

 

「はい。もう敵は確認できませんからね」

 

 

「――さて、な」

 

 

――器は、気楽とは無縁だった。身体中に気合いを入れ直しているのが伝わってくる

 

 

「さっさと帰ってこいよ!?退去始まるからな!」

 

「カメラは預かります。気を付けてくださいね、皆さん」

 

 

「はーい!」

 

 

 

――念のため、財の選別をしておこう

 

「・・・さて、下らぬままごとに付き合ってやるとするか」

 

 

・・・何か、危険な相手でもいるというのか?

 

(無銘)

 

――フォウ?

 

 

(――何があっても、ボクは側にいるよ。約束だ)

 

 

・・・?

 

(ボクを、君を・・・そして、ソイツを信じるんだ。いいね)

 

――う、うん

 

 

(さぁ・・・行こうか。――最後の試練だ)

 

 

・・・最後の、試練?

 

 




「我が偉業!」


「ん?どしたの先輩」


「我が誕生の真意を知れ!」

「あ、トイレ?行ってらっしゃ~い」


「この星は転生する!あらゆる生命は過去になる!」


「そっちを曲がって、そっちの次元を越えればロンドンだから、その先にトイレあるよ」


「讃えるがいい!我が名はゲーティア!人理焼却式!魔神王ゲーティアである!!」

「トイレットペーパーもファブリーズもあるから大丈夫大丈夫。気を付けてね~」

Aaaaa?(ゲーティアは?)

「トイレだって」

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