人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「そろそろ出番ですかねぇ?なーんかこの小説では『月のマスターはギルルートしか通ってないから』ってお達しで、あえなく独身に成り果てた私・・・本筋とは違って『心に決めた方』すらいない寂しい独り身・・・界隈が荒れに荒れたからって設定の皺寄せが私にくるのはどういうことなんです!?こちらのマスター、女性ですよねぇ!呪術でなんとかできはしますけどぉ~。私、出来れば健全なお付き合いをしたいっていうかぁ・・・まぁ、言っても仕方ないですねぇ。良きイケ魂に出逢える事を祈って、ロンドンにでも傷心旅行と参りましょう・・・腹いせに花嫁修行して産み出したタマモナインの鉢合わせは勘弁してほしいですねぇ・・・」

「まぁ、あなた様もろんどんへ?よろしければ、ご一緒しませんか?」

「はい?――げっ――!!あなたは――――!!」

「うふふ、雷光に呼ばれし『頼光』・・・源氏ジョークです♪では、いざ!」
 
「みこ――――――ん!!待ってください心の準備がぁ――――!!」



雷・電・降・臨

輝ける聖剣にて、魔神柱を滅した一行

 

 

 

 

――だが、戦いはまだ終局には至らなかった

 

 

 

『サーヴァントの反応、確認!そこに召喚されてくるぞ!』

 

 

「えっ!?マキリって人はいなくなったよ!?」

 

 

「あの機関が産みだせし霧、辺りに満ちる魔力が召喚の肩替わりをしたのだろうよ。――フン。死に際の足掻きにしては最善手を打ったな、肉塊」

 

――励起される魔力、形作られる気配

 

 

 

間違いない、サーヴァントが招かれる前兆だ・・・!

 

 

 

辺りに地鳴りが起き、大気が鳴動する

 

 

 

「このタイミング・・・もしや、セイバー!?」

 

 

「なんでセイバーなんだよ!?解るのか父上!?」

 

 

「古来からラスボスはセイバーと決まっているのです!悪堕ちしたセイバーはラスボス!お約束です!」

 

「雑念に堕ちた貴様との対面はもう御免だぞ。全く、いつになったらセイバーは理想を抱いて我が前に参ずるのだ」

 

 

「私がセイバー!アルトリアです!私がナンバーワンセイバーだといつ認めるのですか、ギル!」

 

「貴様は貴様であろう。貴様に誰の面影を重ねるつもりはないわ。我と会話に興じるようなアルトリアは貴様だけだ、たわけめ」

 

「――――」

 

「ゆえにそれはそれとして――ッ!何故チョップをかますのだ貴様!?」

 

 

「――ギルの癖に、心を惑わすのは止めてください。手元が狂って貴方を斬ったらどうするんですか」

 

「案ずるな。トレイターか戌を犠牲にする」

 

「ナイスアイディア!」

 

――クー・フーリンさんの当たりが酷すぎるような気がします・・・何故?

 

「セーブポイント、はアパルトメントかぁ。最近のゲームって連戦の時は体力回復してくれるんだよね。難易度やテンポに関わるから賛否両論だけど、私は好きだな。救済措置を用意してくれるっていう、開発の心意気が」

 

「な、成る程。勉強になります!」

 

『緊張感!緊張感を忘れないで!?』

 

「大丈夫。敵なら倒すだけだから!今更大抵のことで怖じ気づいたりしないよ!乙女は度胸!女は愛嬌!」

 

 

「ふむ、妙だな。貴様には度胸も愛嬌もあるが・・・乙女とは呼べぬぞ?漢字が異なるのではないか?」 

 

 

「止めてぇ!私は乙女でいたいの!女ヘラクレスとは違う乙女な名前が欲しいの!」

 

 

「大丈夫です先輩!先輩はとてもカッコいいです!」

 

 

「カッ――あ、ありがとう・・・ありがとう!うわぁあぁん!」

 

「来るぞ!気を付けるんだ皆!」

 

 

マナが高まり――

 

 

 

 

「ははははは!ははははははは!はははははははははははははははははははははははははははは!!」

 

 

まるでこのタイミングに備えていたようなバリトンボイスが辺り一帯に響き渡る

 

 

「ふむ、腹から出ているよい笑い。ちと喧しすぎるのが難点だが。何者か?」

 

 

 

「――――諸君!!このような形で君達と対峙すること、誠に遺憾に思う!」

 

 

辺りに響き渡る声が、朗らかに謳う

 

 

「だが!!善も、悪も、正義も悪逆も!総てが我を求めたというならば!この新たなる神!全く新しき雷神はそれに答えよう!!例えそれが『文明の終焉』を担えという願いだとしてもだ!!」

 

 

――天より響くと錯覚しそうなその声音、自信と確信に満ちた声は魂に響く

 

 

――その声音は、あらゆる困難を越え、あらゆる理不尽を『開拓』せんとする自信に満ちていた

 

 

「そう!!私はこの地に降り立った!碩学達の願いを受け、今ここに破滅の神話を打ち立てよう!我が身に授けられた狂化!それに従うのがサーヴァントなれば!」

 

 

「・・・間違いないです。皆さん、警戒を!確実に来ます!ヒーローにあだなすヴィラン、悪の電流交流のやべーやつ!私は、この声を知っている――!」

 

 

聖剣を構えるアルトリア

 

 

「新たなる神話!救世の勇者達に問おう!!」

 

 

――問い?

 

 

「神!そう――神だ!神とは――なんだ?」

 

 

『はい?』

 

 

「神話に語られる、神。その神とはなんたるか!君達は答えられるかな!?さぁ!神とはなんだ!?」

 

 

「比類なき汚物」

 

「セイバーばっかり増やす諸悪の根源。切り捨てます」

 

「聖職者の飯の種だろ」

 

「人々が健やかなる日々を祈るものだ!」

 

「神話体系にて、カタチを与えられる存在、でしょうか?」

 

「100回コンテニューできる才能を持った人!」

 

『・・・神代の住人?』

 

『うーん。神様なんてあれこれ言ってくるだけのめんどくさい奴ってイメージだなぁ』

 

 

(世界のはじでいじけてる連中)

 

――自然現象が信仰にて形を為したもの、そして、宗教を興すために人間が作るシステムと器は語っていた

 

 

 

思い思いに告げる一同

 

 

 

 

「否!全て否!そう!真理を言葉にするは我が一撃!ここに示そう!!神とは――!!」

 

 

召喚が、果たされる

 

 

 

「雷だ!!」

 

 

雷鳴と共に現れし、その人物

 

 

「私こそ、新たなる雷神!!インドラ、ペルクナス、サンダーバード!ゼウスすら越えし、この星に交流をもたらせし偉大なる天才!あえて、あえてこの言葉にのせよう!!」

 

 

マントを翻し、高らかに告げる

 

 

「人類神話・雷電降臨!!我が名、そう我が名は!!」

 

 

 

「ニコラ・テス「キャプテン☆ニコラ!!」

 

 

「――何だと?」

 

自らの言葉を遮る叫びに、面食らう紳士

 

「サーヴァントユニヴァースから迷い出ましたか!ヴィランとしてそちらに立つのは道理ですねそうですね!私というヒーロー!ならばそちらは敵陣営につくは道理!」

 

 

――またアルトリアの発作が・・・

 

 

『ニコラ・テスラ。交流を発明し、人類の電気文明を切り開いた偉大なる科学者だ』

 

『彼がいなければ、人類の電気文明は大幅に遅れていたとすらされている、人類史のターニングポイントとされる英雄です』

 

 

「成る程、星の開拓者か。ドレイクと同類とはな。そんな輩が人類の敵に回るとは、まこと皮肉なものよな、運命とは」

 

 

――星の、開拓者・・・

 

困難、不可能な難行を『人間力』で突破し、未来を切り開く者の総称。ならば・・・

 

財を選別する

 

 

紛れもなく、強敵だ・・・!

 

 

 

「何をしに来たのです、キャプテン!まさか本当に星を邪悪交流ライトニングで滅ぼすと!?」

 

 

「ははは、レディ。キャプテン・ニコラではなく、ドクター・ライトニングの方が交流的ではないかね?」

 

「答えなさい、キャプテン!」

 

 

「キャプテンかぁ・・・まぁいい!心得た!レディ!そして人理を救う勇者達よ!聞くがいい!我が企みを!我が使命を!」

 

高らかに告げる、キャプテン・ニコラ

 

 

「私は私の纏うこの雷電にて!魔霧を活性化させ!森羅万象総てを覆い尽くす!目指す先はバッキンガム宮殿の上空!そこに我が雷電の一撃を加えしとき!人類史は終演を迎えるだろう!」

 

「あなたの意思じゃ、もうどうにもならないの!?」

 

 

「そうだ!たくましきレディ!我が身には狂化の影響があり、自らの意思は抑圧されている!その道理は覆せぬのだ!」

 

 

「なら――私達が止めるしかないってことだよね!交流キャプテン!!」

 

 

「そう!そうだ!だが私を打倒するならば気をつけたまえ!我が雷電にて魔霧は強化されている!近づけば人間たる君は勿論、サーヴァントも取り込まれるだろう!」

 

 

「そんな――!?」

 

「・・・確かにヤツの回りの霧、とうに致死量を上回る帯電が為されている。シナジー効果、というヤツか。随分と有効にサーヴァントを使役するものよな。・・・人類史を焼いておきながら、計画を英霊どもに頼りきりというのが滑稽極まるが」

 

 

――虚言ではない。確実にサーヴァントすら悪影響を及ぼされる量だ

 

まずは、あれをなんとかしないと・・・!

 

 

『ヘッ、随分とビッグマウスを叩きやがるぜ』

 

 

通信機から声が響く

 

『中々に粋なライトニングじゃアねぇか。親父が雷神サマなオレっちにゃあいい啖呵だ!大将!ヤツとやるときぁオレっちを呼んじゃくれねぇか!』

 

「雷対決だね!いいよ!」

 

『恩に着るぜ大将!!』

 

 

 

「では!私は飛び立つとしよう!」

 

ふわりと浮遊するテスラ

 

 

「待ちなさい!遁走には早いでしょう!?」

 

「呼ばれた以上オーダーを果たすのが紳士の役目だよ星の英霊、肉体的には麗しくないレディ!」

 

 

「ぁ?」

 

「アルトリア、律せよ」

 

「私はこれより雷電がごとき速さで地表に降臨しよう!それを阻むこと叶わねば!君達の旅路!君達の歩みは終焉と相成ろう!――ここが人類史の分かれ道だ!逞しきレディよ!」

 

 

「――!」

 

 

「だが私は星の開拓者!真に人類と世界の終焉など望むことはないとも!人類史の存続は!我が交流文明の存続に他ならない!滅ぶべきは直流のみ!故に――!!」

 

「解った!イケボキャプテン!」

 

 

バシリ、と拳を鳴らすリッカ

 

「貴方を、力付くで止めればいいんだね!偉大な電気博士に、人類を滅ぼさせないように!!」

 

 

「はははははははははははははは!!そうだ!そうだ!!君は輝かしい!君の理解は美しい!期待をしよう!その君の短絡ながら真理に至る叡智に、私は一縷の望みをかけよう!――では!!ごきげんよう!諸君!!」

 

すさまじい速度、電磁浮遊で飛び上がり、地上へと飛び立つテスラ

 

 

「我が人類神話!君達の新たなる神話にて打ち破る事、期待している!!私は一足先に地表に赴こう!追ってくるが良い!希望の勇者たち!はははははははははははははは!!」

 

 

 

その姿は、あっという間に見えなくなった・・・

 

 

 

「・・・正しく雷鳴のような男よ。口伝するだけ口伝していきおったわ」

 

――財の選別は終わった

 

 

『吸引』の原典。神の呼吸を再現した掃除機を用意する。これならば・・・あの魔霧を吸収できるはずだ

 

 

「これだから劇場型のヴィランは・・・!会話を挟む余地があんまりありませんでした!まさか飛んでいくとは!」

 

 

『大将!ぼさっとしてる暇はないぜ!さっさと追いかけてしばきに行こうや!』

 

 

「うん!皆!行こう!」

 

 

グッ、と右手を突きだす

 

「これがきっと!この特異点最後の戦いだよ!私に最後の力を貸して!!」

 

「言われるまでもねぇ!ここまでやって滅ぼさせなんかするかよ!」

 

「行きましょう!先輩、皆さん!」

 

 

「あぁ、決着をつけよう!」

 

 

――勿論だ。ここからは、王の威光を示す局面だ!

 

「よし、では地表に戻るとするか!我が財に乗り込め!飛来したヤツとどちらが早いかは五分!精々拙速を尊ぼうではないか!!」

 

 

――最終局面が、幕を開ける!




地上


「さぁきたれ!我はこれより天へと進まん!運命の上空集積地帯へと至るがための足場を此処へ!!」

大雷電階段(ペルクナス・ラダー)

「今許そう!私を何処へとでも運ぶが良い!はははははははははははははは!!急げ勇者たち!破滅へ向けて!私は確かに足取りを強めよう!私を止める者なくば、世界は滅びを受け入れよう!!」


『――えぇ。では、『雷光』の呼びを冠し私が、我が子の為に、我が子の生きる未来のために。貴方様を阻みましょう』


「ぬっ――!?」


「――束ねられし雷に乞い願われ、か細き願いが胸を打つ。我が子を有し星見の一行、愛を知らぬ女子の道筋を切り開かんと、我が身を以て刃と成さん」

「――雷電の連鎖召喚!よもや雷雲が!新たなる雷の英雄を呼び寄せたか!」


「如何にもその通り。――牛頭天王の雷を此処に」

「――我が名はニコラ・テスラ!名前を問うてもよろしいですかな、レディ?」


「えぇ。――真名、源頼光」

「おぉ、おぉ――!」

「雷雲に招かれ、我が子の世話をして下さるマスターへの細やかな力添えを願うもの。――誅罰執行。先ずはその魔なる霧、虫を散らすように晴らさせていただきますね・・・――?」



(何やってるんですかこのモンスターペアレント!子供の喧嘩に口と手を出すとかどんだけ――!?ああっ、イケ魂旦那様探しの旅に、とんでもねぇのがついてきちまったってんです!金時さん!金時さ――――ん!!)



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