立川文庫『霧隠才蔵』により創作された架空人物。
「真田十勇士」の一人。江北の大名浅井家の家臣霧隠弾正左衛門の遺児才蔵は、伊賀流忍術の百地三太夫に忍術を学び、その極意を受けた忍術名人となる。真田幸村の家来となってからは、甲賀流忍術使いの猿飛佐助と並び、大坂の陣では大活躍、徳川勢を悩ます。
当然実在していない筈だが?
「待てを覚えたのは大層な進歩だ、うん。僕もそこは大変良しと認めよう。後はその狂犬思考を矯正するのみだな。一般の往来に首を並べようとするな首を!なんの呪祭だ!」
開口一番、牛若丸を叱り飛ばす妙齢の女性…女性に見える振る舞いの存在。牛若丸は叱られた生徒のように丸くなっており二の句を告げられずになっているが、無慙からしてみれば業務や公務を妨害する輩は全て敵なので剣呑に警告する。
「誰だ貴様。牛若丸とオレは警備職務中だ。知己であろうと世間話は後にしろ」
「やぁやぁ、これは失敬した夏草の鏖殺者。というか改めて見て凄まじい憤怒と義烈の人だな!人の身でこんな魂の苛烈さがあり得るのかと改めて驚きだ!かんらからから!」
まともに受ければ反社会的勢力の構成員ですら失禁する無慙の威圧すらさらりと流すことから、人でない可能性は十分以上に存在する。とりあえず任意同行の事情聴取か…とゆっくり警棒に手を偲ばせる無慙。
「すまない、邪魔をする気は無かったんだ。僕の名前は鬼一法眼。そこな馬鹿弟子、牛若丸の師匠である。幻想郷なる秘密の里にて隠匿中だったのだが、紫からあなたの狂犬が夏草でやらかさないよう見ていてほしいと連絡が来て罷り越したというわけだ!」
「鬼一法眼…義経の師匠。天狗と同一視され、牛若丸に秘匿の書物を盗み見られたボンクラか」
無慙殿!?目を剥き驚く牛若丸にも微塵も揺らがず無慙はその素性を照らし合わせる。既に彼の中では不審者であり、不審者に示す礼儀は無いのである。
鬼一法眼。法師陰陽師にして兵法者。
西国最古の剣術流派“京八流”の開祖と伝わる存在であり、鞍馬天狗こと大天狗・鞍馬山僧正坊としばしば同一視される。江戸期の浄瑠璃『鬼一法眼三略巻』では、鬼一法眼の正体は鞍馬山の天狗・僧正坊である、と記されている。
幼い牛若丸に戦闘術を伝え、兵法の極意である『六韜』『三略』を授け……
「見せるつもりはなかったんだが、そいつ勝手に盗み見てな!しかも僕の娘を誑かして!本気で殺そうか悩みに悩んだ素敵な過去があるんだ、素晴らしいだろう!かんらからから!」
「その節はその、大変に御無礼を…しかし私は兄上のため、どうしても必要であったのです!お師匠の武具の極意が!」
「まだ言うか!サーヴァント故、根の変わりようは期待しておらぬが後悔も反省もしていなさそうだな!うん、知っていたつもりだけど腹が立つ!半殺しもやむなしか!」
そんな師弟の微笑ましいやり取りを見つめていた無慙だが、そこに気配の違いを感じ取る。牛若丸と鬼一法眼、そこには徹底的な違いがあり、悪を滅ぼす悪の敵たる無慙はそれを見抜いた。
「影法師、ではないな貴様。存命しているのか」
そう、鬼一法眼は生きていた。遥かな昔、牛若丸に兵法を盗み見られたその日より地続きの命にて今ここに生きている。つまり、サーヴァントではないのである。そこが最も異なる、無慙が見抜いた事象であった。
「いかにも。僕はまぁちょっと普通の人間とは違うからね。だからこそ遥かな時を生きながら歩むという事も往々にしてある。鬼神殿の勇退に頷き隠匿していたのだが、実は面白い人材を見つけたのでカルデアに売り込もうと思ってな!」
「面白い人材?もしやお師匠様、新たなる弟子を取ったと言うのですか!?私以外の弟子を!?」
「秘匿盗み見た分際で面の皮が分厚いな!まぁいいか、無礼のお詫びに紹介しようか!いでよ才蔵!霧隠才蔵!」
霧隠才蔵。日本在住の無慙故名前は知っている。歴史に名を残す忍びであり、当然存命の筈がない存在だが…
「お呼びですか?私今献血会場を探していたんですけど…」
瞬間、霧が突如蠢き現れ、その中より忍び装束にて黒髪の、男性にも見受けられる女性が現れる。ボーイッシュという名称が相応しい、麗人といった存在だ。
「あ、こんにちは。才蔵です。魔術用語で言う死徒で、欧州から流れて逃げてきました。仲良くしてくださると喜びます。ニンニン」
取ってつけたような忍者アピールだが、ポカンとする牛若丸と
人間ではない輩がもう一匹増えたな、法律は適応されるのか?などと考える無慙。その沈黙を挨拶失敗と受け取ったのか、才蔵を名乗る死徒は首を傾げる。
「あれぇ…ちょっと。教えられた挨拶受けないじゃないですか。どうしましょ、やっぱりドーモ、から始めるべきでした?というか自己紹介する忍びってそれ忍び?忍んでます?」
「愛嬌が足りなかったんじゃないか?」
「はっ倒していいですかね?まぁいいや…自分を師匠と思い込んでいる精神異常者だからまともな受け答えは期待してませんからね。ともかくよろしくおねがいします。夏草も幻想郷も好きです。ノット差別、素晴らしい」
人を喰ったような物言いに関わらず、牛若丸は警戒を示した。それは勿論、才蔵が醸す雰囲気が源氏の誅伐対象、魔の側であるからだ。
「師匠、その者は一体?魔の臭い、物の怪の類でしょうか」
「僕の弟子だと言わなかったか?まぁカルデアに売り込もうとした人材だよ。諜報の一環で日本の地理を叩き込んだイチオシのな。今から面接に連れて行こうかと考えていてね」
牛若丸は斬りかからんと刀に手を伸ばし、鬼一法眼は呑気に笑い、才蔵を名乗る女性は雲を眺めている。その状況を、無慙が取りまとめる。
「目的が警備の妨害でないならばいい。速やかに目的を果たしに行け。止める理由はどこにもない」
「かんらから!苛烈なようで、話が分かるな憤怒の羅刹殿。ではそういう訳だ馬鹿弟子。余計な真似をしてまた見捨てられるなよ?」
「まぁそういう訳なので。失礼致します〜」
二人は頭を下げ、横を通り会場に入っていく。無論隠蔽魔術は魔術関連のワードに対して発動もするので、今のやりとりが漏れた心配はない。
「お師匠様は御乱心なされたか!あのような物の怪を弟子と呼ばわり師事させるなど!これは弟子として憤懣やるかたない事態です!」
「お前も似たようなものだろう、狂犬。…しかし才蔵という忍者は存在しなかったはずだがな」
フィクションの忍者が実際にこうして存在する。嘘が真といえば聞こえが良いが、そこには何かしらの陰謀、策謀が絡んでいるものだ。何事もなくすべてが終われば良いのだが…
「まぁ…それはありえんだろうな」
何もなく平和が果たされるなら自分のような存在はおしなべて不要な存在だ。動乱あるが故に全てに抑止力が働く。きっとあれらは、カルデア組に波乱を齎すのであろう。
「最後は何事もなく終われ…」
せめてそう願わずにはいられない無慙であった。少なくとも彼の望みである、邪悪の根絶が果たされる事は今まで無かったわけなのだが。
「これは私がなんとかしなければならないのかもしれませんね…!」
「…能動的に動くのはやめておけ」
惨事は処理が面倒なのだ。鼻息荒い牛若丸を牽制する声音に、若干の疲労が見られる無慙でしたとさ。
霧隠才蔵「大丈夫ですかね?私、言われたように怪物側なんで魔術の組織に入れてもらえるかどうか」
鬼一法眼「なぁに問題ない!それに類する『手土産』を用意すれば納得するさ!」
霧隠才蔵「手土産?」
鬼一法眼「そうとも!木を隠すなら森の中!『死徒隠すなや英傑の中』だ!かんらからから!」
霧隠才蔵(また訳のわからないこと言ってるよ…面倒な事になりませんように…)
「さぁ刮目せよ!新たな出会いが、たくさん待っているぞぅ!」
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