ラオウ「という訳で、場所を提供させていただいた。秘匿という事で地下スペースかつ秘密裏、という条件付きだが」
オルガマリー「十分です。ありがとうございます、市長」
ラオウ「人理を救うための活動、協力を惜しむなどありえないからね。私の力と夏草の在り方で良ければとことん活用してくれ、所長」
オルガマリー「重ね重ね、感謝いたします。必ず、人理を守り抜く事を皆様に誓います」
ラオウ「うむ。星見たる君達に導きがあらんことを」
会場前
牛若丸「栄えある会場警備に抜擢されました!不審者の首はお任せください!」
無慙「殺すな。最悪は半殺しに留めろ」
牛若丸「むむ、首を吊るして厄除け悪よけにするのは犯罪抑止の最適解だと私は思うのですがどうでしょう?」
無慙「どんなクズにも人の形をしている以上人権と法律は適用される。殺していいのは反社会的勢力や戦時中の敵だけだ」
牛若丸「難しいですね…。わかりました!腕程度に留めます!」
無慙「欠損もまずい。…最悪骨折に留めろ」
「はい!」
無慙(危うい奴だ…)
「という訳で面倒な準備と移動は全て我が終わらせておいた。夏草の展示会場地下にて行われる英霊召喚、英霊紹介の場!貴様ら一般人において良き歴史の授業になろう。楽しめ!とく楽しめ!先達に学ぶは成長の近道よ!我が財としてより一層の輝きを期待するぞ!」
校長の話めいた王の言葉を受けた後、さっくりと自由時間に移行することとなる。千葉夏草、幕張メッセの地下。ロマニ謹製の隠匿魔術付きのカルデアイベントが幕を開けた。それは久方ぶりの楽園の財集め、その準備とも言える英霊達の展覧会である。
「実際に召喚する際にはアナウンスを行いますから、自由に巡ってください。各ブースには土地ゆかりのサーヴァントの皆がガイドをしてくれたりもしています。気軽に話してもらえれば、深く知る事も出来るはずよ」
所長がダ・ヴィンチちゃんと制作したパンフレット片手に、メッセの広大なスペースを巡る夏草メンバーやカルデア一般職員達。彼らもまた、英霊の履修は大切な業務の一環だ。
「オルガマリー所長ってなんかこう…デキる女!って感じが凄いよね…」
「人の上に立つものとして大切なものは決断だ。そして彼女はそれを培い続けていったのだろう。あれは天性のものでなく研鑽の結果と私達は見ている」
『うむ。宿している幻霊はオペラ歌手であったか。勿体ない…ギリシャの女神のいずれかも引く手数多であったろうに』
アカネや黒神、夏草メンバーは思い思いの展示スペースを巡る。それはどれらもこれから巡り合うやもしれぬ英霊たちであり、共に戦うか立ち塞がるかの英雄たちなのだ。
「へー。北欧の魔獣ってフレスベルグとニーズホッグが有名なんだ…知らなかった…」
「流石にそれはものを知らなすぎだぞ、飛鳥。根をかじる蛇と留まる鳥。相互に敵対関係である重要な存在だ」
「サラって博識だよね。私や飛鳥はあんまり神話に聡くないから助かるよ」
「というかこのロキって神様、凄く既視感あるな…」
「カルデアにいる、あの黒い神父衣装の…」
「娘さん大好きな…」
【ロキは元祖トリックスターだからねぇ。出会えたらきっと仲良くなれるよー】
「出たぁ!?」
北欧スペース、ラグナロクにて全てが滅びゆく寂寥と必衰の神話の人物…
「中国と言えばまぁ朕であり、朕と言えばまぁ中国であるな。若人たちよ、存分に中華の華々しき歴史と偉人達を知るがよい!始皇帝とか始皇帝とか、始皇帝とかマジオススメであるぞ?」
(めちゃくちゃ始皇帝推してくるこのサイバネティクスな人は一体…)
「中国って日本が弥生時代くらいに三国志の争いやってたんだっけ?歴史の濃密さ凄い…」
「日本のゲームでは孔明がビーム出してたぜ。最初は荒唐無稽と笑ったもんだけど…」
「呂布とか見ちゃったら、全然あり得ると思えちゃうのが凄いよな…」
中国のコーナーには謎のルーラーが推薦を行っており、桃園の誓いを行った三英傑や三国志、皇帝や悪政を敷いた王などの紹介資料が展示されている。日本の近隣文化と比べてみれば、その歴史の偉大さや奥深さを否が応でも知れると言うものである。
「インドはいいですよー(棒読み)素晴らしいですよー(棒読み)」
「カーマ、もうちょっと愛想よく…!目が、目が虚ろですよ!?」
「ドゥルガーやカーリーがオススメですよー」
「カーマ!?」
インドスペースにおいては最早展示も別格であった。分厚い辞書のような経典がずらりと並び、フューチャーされている英霊の逸話には基本世界がヤバいことしか書いていない。大体神の転生体だったり神の武具や祝福の預かりであったりするその規格外さは、見るもの全てを圧倒する。
「シヴァやパールヴァティーはガネーシャがイメージ深い動物だけど、ヴィシュヌにはガルーダっていう乗り物動物がいたんだね」
「霊薬手に入れる過程で大抵の神様叩きのめしてるんだって。…強すぎないですか?」
『私のいちおしですよ、ガルーダ。カルデアに招かれたなら是非よろしくしてあげてください』
((頭に直接声が!?))
「こちらがカーリーの肖像画となっております。舌がチャーミングですねー。生首ネックレスに手の武器で大分台なしですけど」
「「「おぉ……」」」
「何故カーリーだけこんなにも肖像画系列が豊富なんですかぁ!?せめて、せめてドゥルガーにしてくださーい!?」
カーマとパールヴァティーの紹介のインドコーナー。時たまヴィシュヌ神のファミチキ通信も交えて大変霊験あらたかな場所となっている。マハーバーラタ、是非お手にとってご覧ください。
「メソポタミアには大抵の神話体系の原典が詰まっているラマッス…大洪水とか英雄譚とか死後の探究とか、ギルガメッシュ王の冒険には英霊の全てが詰まっているといっても過言では無いラマッス…是非この『3歳でもわかるギルガメシュ叙事詩』を手に取るラマッス…」
(エアが猛烈にメソポタミアを好きになってくれたのは嬉しいのだけれど、暑くないのかしら…)
「イシュタル人形販売中だよー。ムシャクシャしたら叩き壊そー」
「エルキドゥ、肖像権ってご存知?後で戦う?法廷行く?」
エレシュキガルとなぞのししめん(♀)、エルキドゥとイシュタルにより紹介されるメソポタミアコーナーでは、原典となったメソポタミア文化やギルガメシュ叙事詩などをわかりやすく、そして親しみやすく編纂した資料を無料配布していた。最古の文明としての在り方を伝えるコーナーに特化しており、粘土板文字書きやマルドゥークプラモデルも販売している。
「すみません!!マルドゥーク神の資料とプラモデルをいただけますか!英雄神とはカルデア最大最強のスーパーロボット!その核たる英雄神に非常に興味があるので!」
「素晴らしい心がけラマッス。マルドゥーク神は皆のアニキ。気さくなお兄ちゃんラマッス。あちらにコクピット体験コーナーもあるので是非」
「あぁ!僕はメソポタミア文化というロマン溢れる神秘に触れられて幸せです…!!」
『マルドゥークは大人気のようですね』
「はい、お母様。お兄様は古今東西、あらゆる神の2倍の強さを持ち、たった一人でお母様から世界を産み出した神の中の神ですもの。ゼウスやシヴァだって敵ではないのだわ!」
『ふふ…本人は自身の力にそう拘りは無いようです。成すべき時に成すべき事を果たしたまで。そう言って憚りません』
「流石は英雄神…なんという誉れ高き神でしょう。神を嫌う王が唯一宝物庫に存在を赦す神性たるは伊達ではありません…!」
「でもお兄様って、何故母さんを世界にした後姿を消したのかしら?そのまま神々の王として君臨していたなら、神の世は盤石だったんじゃない?」
「盤石になってしまうから、彼は姿を消したんだと思うよ」
『エルキドゥの言う通りです。私とマルドゥークは、戦った後に盟約を交わしました。母の亡骸を引き裂き世界とし、自身はその世に在る事なく去らんと』
「それはまさか、剪定事象たる故に…?」
『はい。彼は神の世にいては世界を固定してしまう。誰も彼に敵わず、誰も彼を王座より下ろせず、故に世界が拡がることはない。…それは彼が一番解っていたのです。神を越えた神であるが故に、彼は世界の黎明より先にいてはならなかった』
いるだけで、世界を始め終結させる神。王は人を越えた人であるが故に裁定者として自身を定めた。ならば神を越えた神とはどのようなものか。答えは、孤高と無敗のままの勇退。世界の開闢のみを果たし、彼はただ勇退を選んだのだ。
「おのれの時代を始める、ではなく、後は他の子達に任せるよと世界を託してくださったのね、お兄様は…」
『ですから今、こうして英雄機神として人理を護れている事に大変喜んでいます。ですから皆も、頼ってあげてくださいね』
ティアマトの言葉に、一同は頷く。
「マルドゥーク発進!!あぁ、早くその勇姿がみたいです!世界の大ピンチはまだでしょうか!?」
「危ないこと言ってない?彼…」
そんなメソポタミアの在り方と、世界を定めた一人の神を思いながら。英霊の紹介は続いていく──
牛若丸「異常なし!無慙どの、アンパンありがとうございました!」
無惨「張り込みにはこれだと決まっているからな」
牛若丸「私、防衛は面倒故に敬遠していましたが、無慙どのにならいじっと待つことを学びました!これには師匠もびっくりでしょう!」
?「うむ、お前に防衛を任せたカルデアの人選ぶりにもな」
「へ?─あ、あなたは…!?」
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