マホロア「とても素晴らしいお宝だヨォ…」
『聖杯は静かに輝いている…』
マルク「な、なに!?頭に声が聴こえるのサ!?」
マホロア「願い…願いを言え?」
『聖杯は静かに輝いている…』
マホロア「なら…」
マルク「僕たちは…」
「「カービィと、もう一度戦ってみたい!」」
マルク「ケジメは大事なのサ!」
マホロア「僕たち、後腐れない関係になりたいんだヨォ!」
『…聖杯は輝き始めた…!』
「「う、うわぁあぁあぁあー!?」」
「見事でしたよ、メタナイト。プププのつるぎ…おまえは確かにこの星の守護なる剣でした」
大歓声の中、メタナイトにモルガンが歩み寄る。仮面が砕けたメタナイトは本来は速やかに消え去るのだが、女王に礼を尽くすかの如くに跪いている。
「カービィの力、そして頑張りの力…それは何者にも縛られない自由なる在り方。春風の魂。それが主従、組織に組み込まれることで褪せてしまっているのではないか…それを私は、危惧しておりました」
「このコロシアムでの手合わせは、カービィの事を案じたものであったのですね」
「…押し付けがましいお節介であることは承知しています。…しかし」
しかし、強さの褪せたカービィでは意味がないと彼は語る。彼は何よりも自由であるが故に誰よりも強くあるという。それこそがメタナイトの見込みであり、彼が信じる己以外に宿る最強だと信じていたのだ。
「私は、腑抜けたカービィを見たくは無かった。私の認めた終生のライバルとして」
「──なるほど。おまえもまた、カービィを誰よりも愛する者の一人だったようですね」
モルガンはメタナイトの面を上げ、魔力でとあるものを編み上げる。彼女が渾身の魔術を込めて練り上げた──トネリコの仮面。
「女王、これは…」
「私の騎士を何よりも気にかけてくれたお礼です。おまえもまた誇り高き騎士。誉れ高きものを辱めるのは忍びありません」
モルガンの見立てでも、メタナイトの剣技は円卓の騎士たちにも十二分に通ずるものだった。無軌道なモードレッドでは捉えられるかどうか。トリスタンの弓というにはあまりにもかけ離れた射撃を掻い潜れるかどうか。ガウェインの剛力にどう対処するのか。ランスロットとはさぞやいい剣技を競い合うだろうという確信。少なくとも、純粋な剣技ではアルトリアを越えているだろう。ビームさえ出さなければ。
そんな──乙女心を沸き立たせた素晴らしき騎士への、心ばかりの返礼。奪い、統治し、支配する。それのみを行った冬の女王、モルガン。その心に今吹き抜ける春風。それに従い、施しを躊躇う事など有り得ない。
「──…」
メタナイトは深々と一礼し、その仮面を受け取り顔に装着し空中を一回転し態勢を立て直す。そして再び、カービィに向き直る。
「カービィ。お前の自由さは、誰かに仕えるとは無縁のところにあると思っていた」
「ポヨ」
「だが、見出したな。お前がお前らしくあれる場所。心のプププランドを」
「ポヨイ!」
(心のプププランド…プププのつるぎといい、メタナイト卿は素敵な物言いをしますね…)
モルガンが一人うんうんと頷く中、メタナイトは手を差し出す。健闘を称える握手だ。
「その心のプププランドを忘れるな。そして何れまた、この敗北のリベンジを行うと誓おう」
「ポヨ!ポヨーイ!」
ボクだって負けないぞ。その爽やかな誓いと共に、メタナイトと握手を執り行い万雷の喝采が巻き起こる。
『素晴らしい戦いを見せてくれました!ありがとうカービィ!ありがとうメタナイト卿!ありがとう、モルガン女王陛下!今一度、皆様に大きな拍手をーっ!!』
「「「「「わぁあぁあぁぁーーーっ!!」」」」」
コロシアムに響き渡る、大いなる祝福。モルガンはそこに、幸福なる光景を幻視する。一つは、毒殺に終わる直前のウーサーとの、かつての婚姻を果さんとしていた祝福のとき。
そしてもう一つは──マシュや、楽園の藤丸龍華の幸福なる瞬間。彼女らの歩みも、旅路も、このように沢山の祝福に満ち溢れていることを信じ、また願わずにはいられない。
(いえ、きっと願うまでもないのでしょう)
そうだとも。願いとは届かぬからこそ、至らぬこそ抱くもの。無いと諦め、挫けて散りゆくもの。しかし、必ずや世界の何処にあってほしいと信ずるもの。それこそを願いと言うのだ。
彼女らの旅路に、無粋なる願いなど不要だ。己の手で、必ずや幸せと希望に満ち溢れた未来を、星見の旅を築いていくのだろう。
(暗き宇宙にも、このように暖かい星がある。ギルガメッシュ、あなたの眼にこの幸福なる未来を見据える事ができますか?)
そんな万雷の喝采に目を細めていると、デデデ大王がドスドスと三人に歩み寄ってくる。
「見事な戦いでしたゾイ、モルガン女王!カービィにメタナイト、どちらもとても素晴らしいナイスファイト!ワガハイも大王として鼻高々ゾイ!」
「ええ、デデデ大王。私も同じ心持ちです」
「そ、それは何よりですゾイ!では女王、優勝者たるカービィとあなたには優勝賞品を授与したいと思いますので、今しばらく御時間を頂きたく思いますがよろしいでしょうか!」
『デデデ大王、モルガン女王にデレデレだ!これがプププランドの誇る我等が大王だーっ!』
どっ、とコロシアムに大爆笑な巻き起こる。辞めるゾイ!辱めるのは辞めるゾイ!顔を真っ赤にしてハンマーをブンブンと振るうデデデ大王を見て笑みを零すモルガンがにカービィ。大王はとてもシャイであった。
「ふふっ…ではカービィ、勝者の権利を受け取りに行きましょう。格闘王の称号は、私とおまえのものです」
「ポヨ、ポヨーイ?」
ボク達、ほとんど拳使ってないけどいいのかな?不思議そうに身体を傾げるカービィ。モルガンは思い返す。
「そういえば…」
魔術、魔術、能力、能力。たまに魔術の中にちらりと姿を見せる魔術。カービィのコピー能力の元になると思しき物質をひたすら生成しカービィの能力をアシストし続けていた。
「──格闘戦はおろか、殆ど動いてもいませんでしたね」
「ポヨ!」
まぁ、細かい事は抜きでいいだろう。このプププランドはきっと、そんな緩さも赦してくれる筈だ。すっかり順応してきたモルガン陛下であった。
「貰えるものは受け取っておきましょう。何を貰えるのか、非常に楽しみですね」
「ポヨーイ!」
何を貰っても基本喜ぶであろうカービィを胸に抱きとめ、スタスタと歩くモルガンが。デデデ大王はぐぬぬとなり、メタナイトはニヒルに俯く。
「おのれカービィ!ま、まぁそれはともかく!今回の賞品はなんと!サタンと呼ばれる方から贈られてきた秘宝の中の秘宝!」
「…サタン?」
「ポヨ?」
なんです、そのプププランドに似つかわしくない恐ろしげな名前は?モルガンが首を傾げる。あのマンションに参加したもの、或いは王と姫にしか知り得ぬ情報であったため、無理からぬ話。
「嘘かまことか、それは万能の願望機とも呼ばれあらゆる願いを叶えるスーパーコップ!きっとカービィなら悪用しないと信じているゾイ!その名も!聖杯ゾーイ!!」
聖杯。モルガンにとって必ずアルトリアの下に行き渡るうんざりなアイテム。聞きたくなかったその不要なる器の名を、聞き及んだ瞬間──。
【【カァァアビィィーーーッ!!!】】
「あらぁー!?」
猛烈な地響きが巻き起こるプププランド。盛り上がる大地。激震するコロシアム。そして──大いなる咆哮。
「この声は…マルク、マホロア?」
「ポヨー!?」
モルガンの言葉と予想は正しかった。その二人が今、カービィとモルガンの前に現れたのだ。
【【カァァアビィィーーーーッ!!】】
舌を出し、狂気に満ち溢れた表情を浮かべるマルク・ソウル。口より恐ろしき眼光を発する目を光らせる亡霊のようなマホロア・ソウル。改心し、心を入れ替えた二人が今、変わり果てた姿で現れたのである。
「な、なな、何事ゾイ!?」
「これは…魔力の気配!女王陛下!」
「えぇ、聖杯の存在を感じます。──取り込まれてしまったようですね。マホロア、マルク…」
アルバイトに誘ってくれた気のいい者達。彼等を変容させた器の気配に、モルガンは観光地に打ち捨てられたゴミを見たかのように表情を歪めるのであった──。
【【カァァアビィィーーーーッ!!!】】
メタナイト「あの様子、最早正気ではあるまい。聖杯…魅入られたか」
モルガン「彼等の願いを叶えたと?所有者でもないというのに…なんと無節操な事でしょうか」
デデデ大王「大会は終わりゾイ!皆避難せよ!人は国であり石垣ゾイ!替えの効かないからこそ命は美しいのだゾイ!」
ワドルディ「「「わにゃわにゃー!!」」」
カービィ「ポヨーイ!ポヨ!ポヨーイ!」
モルガン「彼等を信じているのですね。カービィ。もうこんな事をする方ではないと」
「ポヨイ!ポヨー!」
カワサキ「止めるんだお前たちー!有給なら取っていいからー!」
モルガン「………」
(私達の世界から、余計なる異物と哀しみをもたらしてしまった。この始末は…)
モルガン「──ワドルディ達。私の玉座の準備をお願いします」
ワドルディ「「「わにゃ!」」」
モルガン「顔を上げなさい、カービィ」
カービィ「ポヨ!?」
モルガン「取り戻しましょう。二人の──尊厳を」
どのキャラのイラストを見たい?
-
コンラ
-
桃太郎(髀)
-
温羅(異聞帯)
-
坂上田村麻呂
-
オーディン
-
アマノザコ
-
ビリィ・ヘリント
-
ルゥ・アンセス
-
アイリーン・アドラー
-
崇徳上皇(和御魂)
-
平将門公
-
シモ・ヘイヘ
-
ロジェロ
-
パパポポ
-
リリス(汎人類史)