人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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(メッセージは今から明日返信します!)

?「手紙、お送りいたしました!」

?「必ずや届くかと!」


?「よぅし!素晴らしきおもてなしを見せてやるゾイ!ガーッハッハッハッハ!」

?「…モルガン陛下…」

(あの御仁は、宇宙で最強たる私の相手に相応しい…)


星のカービィ〜プププでモモモなしょうりょこう〜

「ポヨイ!」

 

「おや…。あなたは」

 

冬より来たりし、楽園の妖精。そして今は暖かな現世の楽園にて過ごすもの。──女王モルガンはある日、廊下でばったりととあるピンクな彼と鉢合わせる。

 

「星の戦士、カービィ。今日もあなたは自由に散策ですか?」

 

「ポヨ!」

 

ニャルラトホテプ、いや邪神に通ずるフォーリナーのお目付け役にして、マルドゥーク神と並ぶカルデア最終防衛ラインが一人。星のカービィ。自身しか残らぬ程の大敗を喫していたとしても最後にはいつの間にか勝っているとされ、国、星、ひいては銀河を一人で救っている程の、紛れもなく大英雄である。

 

『私など、宇宙をまたにかける彼に比べれば田舎者。井の中の蛙とは私のためにあるような言葉だ』

 

ヘラクレスも敬意を払ってやまない、宇宙最高の星の英雄。それがこの、お昼寝と食事が大好きなピンク色の彼なのである。

 

「………」

 

「ポヨ?」

 

モルガンは、彼に釘付けになっていた。『世界一可愛い一頭身』と名高いカービィの…ぷにぷにで…もにもにな…なんとも不思議なフォルムにである。彼はコピー能力という、吸い込み取り込んだ相手の能力を自分のものとして自在に操るスキル?宝具を持っている。

 

…この身体のどこに、このフォルムのどこにそんな無限の可能性が詰まっているのか。モルガンは非常に、とても気になっていたのだ。

 

「…カービィ。悪いようにはしません。大人しくしていなさい」

 

その物言いは剣呑で、やや緊張を孕んでいたため、ともすれば威圧、恫喝とも聞こえるものではあった。女王としての沽券に関わる為、しきりにキョロキョロしていたのも怪しさに拍車をかけてもいた。

 

「お前を…抱きます。これは私の命令です。従ってもらえますね?」

 

「ポヨ!」

 

だが、そんな緊張からくるバッドコミュニケーションなどカービィはそよ風春風の如しだ。二つ返事でモルガンを受け入れ、そっと手で持ち上げられなすがままとなる。その動じなさもまた、彼が戦い続けられる強さの秘訣なのかもしれない…

 

「…おぉ…」

 

モルガンはその感触を表す言葉をうまく見付け出す事ができなかった。ぷにぷにのもにゅもにゅ。どこまでも沈み込むむにゅっとした柔らかさが指を迎え入れたと思えば、確かな弾力が弾き返してくる。もちもちで引っ張れば、形を自在に変える軟体。だがしかし必ずや元ある形に戻る記憶形状。暖かに伝わる温もりが、確かに生きている生命を感じさせて…。

 

「ポヨイ〜…」

 

気持ちよさげに目を細めるカービィの無警戒さ、人を疑う事を知らない鈍感さ。それらの要素も相まって、春風のような心地よさと暖かさを心に満たしてくれる。つまり…

 

「…かわいい、ですね…お前は、かわいい…」

 

素直な感想だった。気まぐれで、のんびり屋で、しかしその身体には無限の可能性を秘めている。しかしそれを鼻につく態度には示さず、泰然自若であるがままに在る自由な生き方。

 

そして何より、フォルムが可愛らしい。かつての妖精國には決して有り得なかった、穢れのない愛くるしさの化身。

 

「おまえのような愛くるしさは得難いものです…星のカービィ、お前は外の世界からの素晴らしき旅人ですね。……」

 

…旅人と言えば、このカービィという生き物はかつての我が国に来たとき、どのような感想を懐くのだろうか。罪人たる妖精の国。自身が手に入れた、妖精國モルガン・ル・フェを。

 

「…おまえがお昼寝をできるような場所は、きっと無かった。おまえのような無防備な者を、妖精は決して放っておかないだろう」

 

それはもちろん悪い意味でだ。あの世界の妖精は、大半が邪悪で、おぞましく、自らが犯した罪に堪えきれず滅んでいくのみの…愚かを通り越して哀れなる者達。滅びるしかなき者達。

 

「おまえのように、のんきな者がのんきなままでは生きていけない…。ふふ、私の国の至らぬ点を見抜くとは。やりますね、カービィ」

 

「ポヨ?」

 

善性が善性のままではいられない。か弱きものがか弱きものでいられない。このカービィのような勇者は現れなかった。…いや。【現れるたびに殺された】。それが、あの国が迎えた結末だった。

 

救いの手すら自分で跳ね除け、滅びるしか無かった者達。善なるものが善なるままではいられない。

 

少なくとも…この愛くるしい生き物が、幼稚で愚かな有り様に歪められていく事を思えば…カービィを自身の国へと招く真似は、憚られてしまう気持ちを抱かざるを得なかった。

 

「…いいえ、なんでもありません。カービィ、あなたは私の国へは呼べませんね」

 

その結論は、女王としては無念極まるものではあったが…。トトロット、黒騎士。ライネックからウッドワス。そして、バーヴァンシーにマシュ…それらが辿った末路を知れば、招こうと無邪気に告げられる程に気楽な少女ではいられなかった。そっとカービィを下ろそうとした…その時。

 

「ポヨイ!」

 

カービィが、口からウエッと何かを取り出す。それは、モルガン宛てに用意されたと思わしき今どき丁寧な便箋。付箋には

…何やらペンギンと思わしきデザインがあしらわれた金色のもの。

 

「これは?…私に?」

 

「ポヨイ!」

 

そっと受け取り、目を通す。それらは荒々しくも丁寧な字体で、次のように認められていた。

 

 

女王モルガンへ

 

カービィと、『ブイン』から話は聞かせてもらったゾイ。

 

聞いたところによると、素敵な国を作るために修行中とかなんとか。

 

そういう事ならこのデデデ大王とプププランドを大いに参考にするとよいゾイ!

 

プププランドは呆れ返るほど平和な国。お前の求める理想の国の在り方のヒントがきっと掴めるゾイ!

 

カービィと一緒にプププランドに来るゾイ!きっと素敵な思い出がたくさん作れるはずだゾイ!

 

待ってるZOY! デデデ大王

 

 

「…デデデ大王…これはお前の国の王ですか?」

 

「ポヨイ!」

 

自称だけどね。そんな風に応えるカービィと、デデデ大王の手紙を交互に見やる。

 

「…カービィがカービィのままでいられる平和な国…呆れ返るほど平和な国…」

 

それはとても興味が湧く。モルガンは決して、自身の国を諦めたわけではない。

 

──いつの日か、マシュとその伴侶が結婚式を挙げることができるような理想の国を作る夢を、諦めるなどありえない。

 

「いいでしょう。この誘いに乗ります。カービィ、あなたを私の護衛騎士…そして、親善大使に任命します。私をあらゆる厄災から護りなさい。よろしいですね?」

 

「ポヨイ!」

 

任せて!そう強く頷くカービィに、モルガンは新たに出来た騎士に、新たなるギフトを授ける。

 

「そうですね…星の戦士、星の救い手…ならばおまえには、この名前が相応しいでしょう」

 

「ポヨ?」

 

「──ウーサー。今からお前は、救星騎士ウーサー・カービィです。よろしいですね?」

 

「ポヨーイ!」

 

モルガンが付けた、親愛と信頼のギフト。それをカービィは、力強く受け止める。

 

──ここに、プププでモモモな妖精の小旅行が幕を開ける。春風のような導きは、果たしてモルガンを何処へと導くのか──。




ケイオス・カルデア

モルガン「というわけで、私はプププランドに赴きます。ゲートを開きなさい」

カービィ「ポヨイ!」

ニャル【おお、女王陛下。傷心慰安旅行ですか?ナイアも今別件で狩りに出かけていて、ちょうどワープを使ってたんですよ】

カービィ「ポヨ!」

ニャル【カービィと一緒なら安心です。行ってらっしゃいませ】

モルガン「物わかりがよろしいですね。カービィに頭が上がりませんか?」

ニャル【ピンク玉は敵に回すな。宇宙に生きるものの常識です。ではワープを】

「待ちなさい。ワープは…」

ニャル【?】

『ワープスター』

「これで行きます」

【……】

「ワープスターは、ワープできるのですよ」
「ポヨ!」

…大分はしゃいでるな、この方。ニャルは静かに確信するのであった。

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