田村麻呂「花魁、賭場、食事場!楽園みてぇな地下施設あんじゃねーの!すげぇなあ神室町!な、スズカ!」
スズカ「ニー」
?『天下の将軍様に褒められたとありゃ、末代までの語り草だな。ようこそ、竜宮城へ』
田村麻呂「おぉ?」
サイの花屋「はじめましてだな。日本でアンタの名前を知らねぇ人間はいねぇ。坂上田村麻呂…サーヴァント、魔術でこの世界にやってきた過去の英雄、だったかな?」
田村麻呂「知ってんのか!?」
「ニー?」
「俺は情報でメシを食ってる。この神室町で知らねぇことはねぇ。アンタから魔術、時計塔、サーヴァント、色々オカルトな事も調べた。…最初は信じられなかったがな」
田村麻呂「じゃあ話は早いな。オレは田村麻呂だ!カズマくんから招待状を貰ったんだけどよ!」
「あぁ、アンタ確か土産屋を探してる見てぇじゃねぇか。頼みを聞いてくれたら、とびきりの店を顔パス、お代受け持ちで紹介してやる」
田村麻呂「マジかおっちゃん!?」
「それと、その猫も面倒を手配してもいい。元の世界に生き物が持ち帰れるかどうかはわからねぇんだろう?万が一のときには俺が里親になってやる」
田村麻呂「!…スズカ…」
「フニ」
田村麻呂「…わかった!頼み、受けるぜ!ありがとよ、おっちゃん!」
サイの花屋「気にするな。これはカズマの願いでもある。だがサーヴァントである以上、こっちも加減はなしだ。あんたには…命を張ってもらうぜ」
田村麻呂「へっ、命を懸けて生きてねぇやつなんてこの世にはいねぇのさ!」
「ニャ!」
〜
『それでは新たなチャレンジャーの発表です!!神室町に突如現れた精悍なる若者!彼は豪語する!自分こそ天下無敵の将軍だと!!』
田村麻呂「オレが──田村麻呂だァ!!!」
『超大型新人!!坂上〜!!田村麻呂〜〜!!!』
『『『ワァアァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』』』
田村麻呂(スズカ、待ってろよ!不自由ない暮らしさせてやるからな!あと、どっかで見とけよなカズマくん!)
スズカ「ニー!」
「スズカーー!!お前の為に勝つからなぁあぁあぁ!!!」
『さぁ、自称現代に蘇った征夷大将軍坂上田村麻呂の実力は如何程のものか!この地下闘技場に集まった観客達も興奮が抑えきれない模様!前フリは抜きにして行ってみましょう!第1試合!対戦相手の入場です!!』
四方を金網で仕切られたデスマッチの様相を取る地下闘技場。招待状とスズカの引き取り手の融通を条件に殴り込みを決めた田村麻呂。その第一の対戦相手と呼ばれる相手が…今、田村麻呂を見下ろしている。
『日本の山奥にて、秘密裏に集落を幾つも喰らい尽くし、そのあまりの凄惨さから記録を抹消され極秘裏に捕まえられた最恐にして最悪の山の主!全長5メートルは下らないタイラントグリズリー!今、征夷大将軍の前へとリングインです!!』
『ゴォォオォォオォォオォォオォォ!!!』
「うぉお…」
全身を筋肉と毛皮で武装した天然殺戮生物としか形容しようのないウルトラベアー。アトラクションのきぐるみとしか思えぬ非現実的な巨大さのエゾヒグマ。流石の田村麻呂もそのあまりの巨大さには絶句を抑えきれない。シミュレーションでふざけて設定しなければ出てこないレベルの巨大さだからだ。
『始まりの将軍、日本の大将軍の力を見せてくれタムーラ!今、ゴングです!!』
『グォォオォオォオォオォオァァ!!!!』
「うおおっ!?」
ゴングと同時に、眼前を覆い尽くす巨体が雪崩のように襲い来る様を田村麻呂はなんとか横っ飛びでかわす。どんな素材で編み込まれているのか、ひしゃげはしたものの金網は微塵もほつれていない。
『フシュルルルル…!!』
(コイツ…メチャクチャ腹減ってやがるな。しかも人の味を覚えてやがる…!)
そんな超危険生物の熊をどうやって保管してたんだよ、と真っ当な所感を浮かべている暇は田村麻呂には与えられなかった。ミッチリと搭載された筋力から繰り出される攻撃が、迅速を以て田村麻呂に襲い来る。
『グガァアァアァアァ!!』
『ちなみに田村麻呂はサーヴァントなる存在故、神秘無くては攻撃が通らないとの事なので特注の加工をしているぞ!当たったら死ねる!頑張れ田村麻呂!』
「エンターテイメントってのをよくわかってるじゃねぇか、うぉおっ!?」
もんどり打って離脱した先にヒグマがのしかかりをかましてくる。最早辺りは爪と牙の凄惨な跡だらけだ。紙一重でかわせる田村麻呂でなければここに臓腑が加わっていただろう。
(クーの兄貴のゲイ・ボルクなら、即死を狙えるんだろうが…今のオレにゃあこの必殺の田村麻呂ブレードしかねぇ。やるなら…一撃だ!)
『ガァアァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』
「てめぇほどデカくはねぇが、熊なら素手で狩った事あんだよ!田村麻呂式熊狩!見せてやるぁ!!」
そして田村麻呂は突進してくるヒグマに──なんと、信じられない行動を取る。
『あーっと大将軍血迷ったか!?あのヒグマに真正面から向かって行くぞ!?これは信長を上回るうつけかぁ!?』
「日本男児たるもの!熊だろうがなんだろうが真正面からブチのめすんだよ!!」
『グガァアァアァアァ!!』
「るぁああぁあぁあぁあぁあ!!!」
ヒグマの気合にも負けぬ気迫を吐き出し、田村麻呂はヒグマに正拳を繰り出す。4足で突進を繰り出したが故に直撃を受けることとなる。田村麻呂の一撃──その拳を、眉間にだ。
『グ、ガァア…』
「猟師は皆眉間を狙う!オレ様もやるときゃ眉間に弓矢をズドンよ!隙だらけだぜ人食いくまさんよォ!!!」
そしてそのまま伝家の宝刀、坂上宝剣を抜き放つ。魔力により漆黒に光る田村麻呂にのみ赦された豪刀を抜き放ち──。
「タムーラ牡丹鍋造りィィ!!後で美味しく頂いてやっからなぁ!!」
『ガ───』
たった一刀の下、ヒグマの首を叩き落として見せる。筋肉も骨も全てを絶ち落とす豪快なる一閃は、その者の言葉が全くの虚威を孕んでいないことを如実に表していた。
「化けグマ!討ち取ったりぃいぃ!!!」
『『『『『うぉおぉおぉおぉおぉおぉお!!!』』』』』
血溜まりに沈んだリングにて、高々と首級を掲げる田村麻呂。熊に人が食い殺される様を見に来ていた観客ですら、この大番狂わせには大喝采を送る。蓋を開けてみれば、その身と刀一つで自分の4倍近くある困難を打ち払ったのだから。
『凄いぞ大将軍!これはまさに日本の頂点の一角たる威風堂々っぷりだぁ!その強さと勇気!やはり彼は現代に現れた田村麻呂その人なのかぁ!?』
「蘇った、とはちと違うがな。さあクマの次もあるんだろ!どんどん来やがれ!賞金とマイホームはもらっていくぜぇ!」
田村麻呂のパフォーマンスの間、死体とリングは片付けられ2回戦が幕を開ける。その相手も予想通り、そして当然ながら人間ではない。
『素晴らしき活躍を見せてくれた田村麻呂!これは次もやってくれそうだ!それでは第二回戦!対戦相手の入場です!!』
すると次は先程の狂気に満ちた闘気ではなく、研ぎ澄まされた殺意が田村麻呂をまっすぐに射抜く。それも…一匹ではない。入場口から、2頭である。
『とある地方にて、2頭合わせて600人以上を食い殺したとされるベンガルトラの兄弟!その狡猾さと獰猛さはもしかしたら先の熊以上かもしれないぞ!さぁ田村麻呂!日本の大将軍の意地を見せてくれー!!』
体調は三メートル程のベンガルトラ、約二頭。注意深く田村麻呂との距離を図る様は冷徹な捕食者の風格を漂わせている。田村麻呂の前に立ちふさがる、二人の挑戦者がリングインを果たした。
「虎か…日本ではあんまり見ねぇんだよな、虎ってよ。ちょっとデカくなりすぎたスズカって見りゃあ愛着も湧くかもな!」
『『ガアァアァアァァァッ!!』』
二頭は吠え、なんと同時に田村麻呂の死角へと跳ぶ。その呼吸はまさに阿吽。野生の中で培われた殺戮技巧そのものだった。
「速ぇ!」
田村麻呂が本能的に天井の金網に捕まり離脱しなければその場で身体を噛みちぎられていただろう。二頭同時に脚と喉笛を狙い噛み付くそれは、数多無数の人間を屠ってきたであろう熟練の冴えを見せる。
「完全に人の殺し方を弁えてる動きだな、テメェら。そうやって声も出させず人を喰らってきたって事かよ」
『『グルルルァァァ!!』』
田村麻呂のぶら下がる金網へ、なんと四方の金網を足場に飛びつく二頭の虎。虎は密林のような起伏激しい地形は得意とするところであり、立体的ジャングルファイトは十八番であるのだ。
「人の味を覚えちまったなら!人の世の中で生かしとくわけにはいかねぇなぁ!!」
田村麻呂は素早く降り立ち、まっすぐに坂上宝剣を構える。一頭が真上を取ったとばかりに、トンに移行しようかとする体重にて押し潰しにかかる。
「うるぅうぁあぁあぁあぁあぁあぁ!!!!」
『おおーっと!!なんと田村麻呂選手真っ向から刀を突き立てたぁ!?』
それに対し田村麻呂は真正面から迎撃。全気迫を込めて鼻先から尻尾まで、刀一本で肉と骨を全て一刀のもとに真っ二つに切り裂いたのだ。途方も無い剛腕、刀の切れ味、間合いと入刀の角度。それらをカバーしなくては叶わない神業にして絶技。
『グオオォォオォォオォォ!!!』
大事な相棒を殺され怒髪天の片割れが、田村麻呂に目がけ猛烈に突進をかます。しかしそれは敵討ちに目が曇り、精細を完全に欠いていた。
「2匹揃って!地獄で反省しとけぇえ!!!!」
『ガ─────』
眉間に、一発。真正面からの正拳突きにて、虎は頭蓋骨を粉々に砕かれ、その衝撃のままフェンスをぶち破り、観客席にまで叩き込まれる。
『勝負あり!!凄すぎるぞ田村麻呂!!征夷大将軍を名乗る彼はまさに無双!熊も虎も!彼は見事に制してのけましたぁ!!』
『『『『『『うぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉお!!!』』』』』』
割れんばかりの大喝采。田村麻呂はそこに鈴鹿とマスターがいてくれたらなー…などと思いつつ、満面の笑みにて手を振り返すベビーフェイスっぷりを魅せるのであった──。
田村麻呂「さぁ次がラストだよな?熊と虎の次はもう、龍くらいしかいねーんじゃねーの?」
司会者『その通り!田村麻呂、君のその強さに挑戦したいとする者であり、君が挑む伝説こそが『龍』だ!!』
田村麻呂「ぉお?」
司会者『この神室町にて、知らぬ者はいない伝説の男!街の窮地を救い続け、表舞台から去って尚もその名を忘れる者など存在しない!!』
一人の男が、田村麻呂の前に現れる。その姿に──田村麻呂は、覚えがある。
田村麻呂「…カズマ君…!?」
「サーヴァント、リッカの仲間だもんな。とんでもなかったぜ、将軍様」
『東城会四代目!今尚消えることなき伝説の龍!!』
背中には、応龍の入れ墨。鍛え抜かれた鋼鉄が如き肉体。そう、彼こそは。
『堂島の龍!桐生〜〜〜〜〜〜!!一馬ァァァァァァァァァ!!!』
『『『『『『『うぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉお!!!』』』』』』』
征夷大将軍と、伝説の龍。数奇な運命にて、この二人がこの地上にて向かい合う──!
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