リッカ(アルクの身体って信じられないくらい柔らかいんだよね、抱きまくらにされてるから解る。でも紛れもなく星の意志だから私達どうすればいいんだろ…)
((ハッ(やけくそ)))
フィリア(で、でも見てください!)
恐怖の大王【助けを…求めていない?確かに、声は聞こえない…】
リッカ(まさかのギャグ全スルー!)
はくのん(スベりもリスペクトとか地球のお笑いに対する造詣が深すぎる件)
【そうだ…私は、あの人に教えてもらったからこの星へ…でも、何故…?どうして…?】
リッカ(まだだ!まだ希望はある!!)
どこまでも生真面目な彼女と、アルクの破天荒ぶりに振り回されながら、リッカは対話の為に吼える──!
【罪をこれ程重ねている生命を有しながら、星はまだ助けを求めていない…?それは一体、何故…?】
あらゆる空気を直死してしまったグランドヒロインの一角の暴挙は、彼女の真面目で優しい気性のお陰で辛うじてスルーされる。彼女は本質を的確に回収してくれたのだ。まだちゃぶ台返しには至っていない。
(リッカ、まだ対話フェイズは終わっていない。いくらでも挽回できる。星のやらかしを全力カバー)
(解った!アルクのデストロイパスをなんとしても活かしてみせるよ!)
リッカは頷き合い、はらはらと見守るフィリアに目配せを行う。ここで彼女を納得させる。それはあらゆる戦いより真摯に挑むべきグランドバトルだ。口から出任せは論外、理路整然過ぎても丸め込む行為でしかない。人間という種として、リッカは宇宙の意志と話さねばならないのだ。深呼吸し、対話を行う。
「うん。さっきの星の意志は、地球の生み出した触覚さんの言葉。つまり地球が感じている事なんだと思っていい筈だよ。こんな私達を、この星はまだ『生きていていい』と許してくれている」
人は星を傷つけ続けている。人は罪を重ね続けている。宇宙から、彼等は解き放たれるべきだと判断されても尚、星は人が生きる事を許してくれているのだ。その意味は、リッカには解る。彼の…彼女のマスターである彼女。そして隣に、彼にすら認められし魂が在る人類最高峰の二人は理解している。
「それはね…私達はまだ、種として全然幼いからなんだと思う。まだ私達の歴史は有史二千年ちょっと。ここにいるウルトラマンの方々や、あなたが彷徨った宇宙の歴史。何十億も生きている地球の星から見ても私達は、幼年期を乗り越えたばかりなんだ」
【二千年…。自分の脚で歩けるようになったかどうか…人の歴史はそんなにも幼かったのか…?】
星の声は聞こえず、積み重ねた罪は数多。しかし、その歴史は決して晩年ではなかった。晩節ではなかったのだ。彼女はその事実に、人の歩みに驚嘆する。
『星が晩年を迎えても、人の歴史は未だ幼年。成熟期には程遠い。彼女の王であり、ガシャガシャ非常にうるさい金ピカ王が仰っていた』
『人は過ちを犯します。人は罪を重ねます。でもそれはまだ右も左も分からぬ幼年を脱したばかり故の手探りなのです。ならば宇宙の秩序を保つものとして、私達は見守るべきではないでしょうか?』
子供が賢くないからと殺す親など何処にいるというのか。子供が疎いと殺す親など誰が親と呼ぶのか。この星の生命を産み出したのは、例え自らを殺されようと子を愛した母。その歴史を容認した星は、それでも人という種を愛してくれているのだと、せめて人は信じながら生きるしかないのだ。人は、想像もできない様な大きな愛に包まれて生きている。
【星は…人を、愛しているのですか?深き愛で、手のかかる子を困り顔で見つめながら、いつかの立派になる未来を夢見て?】
「勿論、それは星を、他の種を害していい理由にはならない。私達は進まなきゃいけない。私達の歩みを未来に繋げて、私達を信じてくれた全てにとびきりのお礼と想いを返さなくちゃいけないんだよ。だから…」
だから、まだ滅びるわけにはいかない。罪を捨てるわけにはいかない。その罪は、人間の愚かしさを刻む十字架であると同時に決意なのだ。
「いつか人は、人間という種族の価値を示すその日まで進み続ける。だから、赦しも慈悲も受けるのは赦されない。辛くても、苦しくても、私達は進むんだ。走るんだ。駆け抜けて、駆け抜けて…」
『人類という種が、素敵な紋様を描いた織物を作るまで。私達を見ていた王様や姫様が、見ていて良かったなとにっこり笑ってくれるその日まで』
【──救いも、慈悲も…あなたたちには不要…?】
「もっと言うと受ける資格はないんだよ。これ以上の甘やかしや甘ったれなんて許されない。私達人間は、歩みを忘れたら滅びるしかない生き物だから」
その決意は、その決心はあまりにも強固で、強靭で、それでいて──勇壮で、審判者から見れば悲愴なものだ。もうとっくに人は赦される資格などないのだと、少女は語る。
前へ進め。
何かを成し遂げろ。
人類の全てを懸けて、大いなる歴史を紡いでみせろ。
──その道筋を愉しみながら、決して目を離さず見守る王がいる。
愛と希望が在ることを忘れないで。
尊き旅路を、揺るぎなく進んでいって。
あなたたちの全てが、素晴らしいものだと信じている。
──人の愚かさと醜さと、人の賢さと美しさを尊び重んじる姫がいる。
滅んでなんていられない。
慈悲は嬉しいけれど、私達のゴールはそこじゃない。
我儘で、身勝手で、たくさんの生命や宇宙にも迷惑をかける生き物だけど。
「約束する。いつか、あなたを満面の笑みにしてみせる。私達を見て、哀しみと慈しみの涙を流してくれたあなたに誓う。いつかあなたを、人間と聞いただけで笑顔にできるような何かを紡いでみせる。だから…」
だから、一緒に見ていてほしいとリッカは手を差し出す。人間は愚かで怠け者で、そしてとても現金で打算的な生き物だから。
「あなたが、あなたたちが見てくれるなら…私達はもっともっと頑張れる!だから人間を助けると思って…!私達と!一緒に生きてくれませんか!?」
あなたがいてくれると、とても嬉しいしますます人間は頑張れる。全ての言霊を込めて、人間は恐怖の大王にすら手を伸ばした。この瞬間、人間は不遜かつ傲慢にも宇宙の慈悲に告げたのだ。
『傍で見ていろ。いつかきっと笑顔にしてやる』。……思い上がりの極致、同時に、宇宙の真理。『分かり合う』という真化への道。
【…!】
神に挑むは人の究極。宙を睨むは人の蛮勇。愚昧極まるからこそ…その心は、宇宙全てに拒絶されし断罪者にすら手を伸ばしてみせたのだ。
『光の戦士として、共に宇宙に生きるものとして。あなた方アンゴル族の優しさと慈悲は決して消してはならないもの。そして宇宙の命や希望を奪い去る全てを討ち果たす事が我等の使命。…ですが、使命のみに生きるのはとっても疲れます!ですからどうか、一緒に見守りませんか!この星とそこに生きる人々を!ウルトラマンの皆さんが、今までずっとそうしてきたように!』
『まぁ私は人間の再現データなので人間というのは微妙なんだけど、一緒に生きよう。エブリデイ愉悦。哀しんだ数だけ笑顔になってほしい』
裁きはいらない。でもあなたと一緒に生きたい。隣で見ていてほしいのだ。隣人として、大切な仲間として。
【…私は…皆と生きていいと言ってくださるのですか…?】
「ううん、お願いするのはこっち。恐怖の大王さま!どうか私達を…見張っててください!」
怠けてサボらないように!いつか人がゴールに達するその日まで!そんな願いを込めて頭を下げ、手を差し出す。リッカの言葉は最早尽くした。あとは、彼女がどう受け取るかの問題。
【……私は、やはり。赦されない罪というのを認めたくない。人が赦されない、慈悲が赦されないなんて理屈は認めたくありません】
「…!」
【ですから…お傍で応援させてください。慈悲が無用と言うのなら、せめてあなた達が挫けないように。人が辛いとき、支えることが出来るように。どうしても辛いと感じたのなら、眠るように終わることが出来るように。だから──】
救いも裁きも慈悲も要らないのだとしても、こんなにも自分を受け入れてくれた人々を見捨てることなどできない。彼女はすでに、心を決めていた。
【あなた方を最期まで…応援していても、いいですか?】
「───ぜひとも!よろしくお願い致します!!」
『やったぜ』
『わぁい!』
恐怖の大王は、リッカの手を握ってくれた。人間は罪を抱えて生きる者だと理解してくれた。そしていつか、希望に辿り着く種族と信じてくれた。
──ノストラダムスが予言した恐怖の大王。宇宙の断罪者すらも、人の歩みは魅了し受け入れる事が叶ったのだ──。
ピア「めでたしめでたし、って言うんだっけ?こういうの」
(……おっさんってめっちゃ言っちゃったし、パパ、めっちゃ怒ってるよね。あたしの代わりに娘になってもらおっか、彼女に…)
フィリア『!ピアさん、あれを!』
ピア「へ?」
瞬間──レリーフが砕け散り、同時に浮かび上がっていた少女の目がゆっくりと…開く。
アンゴル・モア『──────』
それは、ピアと恐怖の大王の本体。モアと呼ばれる、始まりの娘。その娘が今────
『───ふわぁあぁぁ〜〜〜…………。おはようございます〜〜〜……………』
大きな、とても大きな…あくびと伸びを披露したのだった…──。
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