ルイノス「ケルヌンノス様!今こそそのお力を!」
祭神ケルヌンノス『ヌ〜〜〜ン〜〜〜〜』
あまこー『わぅーーーーん』
ヘスティア「よしよし〜、みんなよしよし〜」
リッカ「ありがとう、皆…ゆっくり休んで…」
キアラ「リッカさん、これにてプログラムは完遂致しました。岸波様とすぐにでもダイブ出来ます。どうかご武運を」
はくのん『ありがとう、キアラ。…口にしてすごい違和感』
マシュ『ダ・ヴィンチちゃん!どうか急いでください!私もこのままでは終われません!』
ダ・ヴィンチちゃん「もちろんわかっているとも!だけど大丈夫かい?君のやろうとしている運用は、オルテナウスと万全の君でもフィードバックが計り知れない試みだよ?」
マシュ『承知の上です!その上で──絶対にやってみせます!!』
リッカ「うん。そうだよね…そうだよね、マシュ!」
ディーヴァ『リッカ!件のキリシュタリアからの通知が来たわ!』
リッカ「えっ!?」
『切り札を、君に繋げておくよ』
リッカ「切り札…。…!」
理想魔術とは?
星と空を全部魔術回路として行使する魔術。神代の魔力が無いとできないため現代では机上の空論と言われていた。
オルガマリーはエルメロイの事件簿で一度使用経験あり。(楽園時空の彼女さえ、神代魔力を用意できないため行使は不可能)
キリシュタリアはゼウスの協力にて最初の一手をクリアしたが、現代世界の物理法則での権能行使は即消滅な為、ゼウスを慮ってキリシュタリアは行使しなかった。
しかし、固有結界ならば問題なく抑止力を誤魔化せるため、この理想魔術に必要なのは『固有結界』と『神代環境』と『天空神』である。
あらゆる意味での不可能を──楽園のキリシュタリアは実現した
空が、煌めいていた。目に映る空がすべて、その術式に組み込まれていた。
【…………………!】
裁きの隕石が星に降り注ぐ終末の光景。どんな生き物であろうと、どんな生命であろうと、速やかに天に祈るのみであるはずの終焉。
その光景を切り裂く、数多無数の流星が空を駆けていた。星を彩るように、空を走り抜けては瞬いて消えていく流星が。
【……………………?】
その光景、その風景。恐怖の大王の長い長い審判の記憶にすらそれはありえなかった。そう、裁きは苦痛と悲嘆、苦悶を終わらせるもの。それは終わらないから、終わらせられないから裁きの末期には満ち溢れているものであるのに。
この光景に絶望はない。この光景に悲嘆はない。己が産み出した裁きの具現と全く同じであるというのに、意味合いが、込められた願いがまるで違う。
『大は小を兼ねると言うが、私は股間も神としても最大最強だ。隕石に私の雷霆をエンチャントすれば、はいこの通り』
キリシュタリア、ゼウス。共に身体と天空すべての魔術回路から魔力を叩き出しているその身。口を動かすだけで爆発四散してしまうような激痛が巻き起こっているはずだろうに、その不敵で楽しげな態度は微塵も崩れない。
【!】
キリシュタリアの隕石は数百メートルに過ぎない。しかしそれが恐怖の大王の隕石に触れた途端、質量も規模も無視して塵へと変わる。それこそがゼウスの魔術回路、クリロノミアを使用した利点にして副産物。
「我が盟友は、アニムスフィア最大最高の魔術に力を貸してくれている。即ち雷霆隕石。マルドゥーク神の鉄拳や英雄王の乖離剣にだって負けない、アニムスフィアの積み重ねた研鑽の究極さ」
『あなたは…なんという無茶を…!』
「幼少の頃、君はアインナッシュを焼き払う為に使ったのだったかな?なら存分に参考にしてくれ。自由に使えるようになったら、その時はきっとリッカ君にだって勝ち越せるかもだ」
比類なき天才、比類なき傑物と一緒にするなとオルガマリーは声なき批判を上げる。人の可能性を真っ直ぐ信じているにも程がある。今だって、全ての人類を護るためにこんな奇跡を起こしている目の前の愉快な仲間が。
【………、……………何故だ】
恐怖の大王が口を開く。自身の隕石が、瞬く間に相殺されていく。裁きが成らず、覆されていく。矮小な生命に。罪深き生命体の足掻きに。恐怖の大王のシステム自体に、エラーが生み出されていた。
【お前たちは、赦されたくはないのか?】
「やっと言葉を交わしてくれたね、恐怖の大王。正直なところを言うとだね…」
キリシュタリアはその言葉に応える。正直なところ、黙っていると身体に刻まれている激痛がとてもしんどいのだ。ゼウスと共に、雷霆に打たれたような反動に笑顔で血反吐を吐いて堪えているのだから。
「私達人間は罪深すぎて、裁き一回くらいじゃ赦されないと思うんだ!」
『あと私もちょっと女性関連でやらかしてるしね。ちょっとね』
【………………?】
裁きを受けても赦されない。そんな生命体は理解の外にいた。キリシュタリアは言う。人間は本当に、生きているだけで罪まみれなのだと。
「いくつ種を滅ぼしたか。いくつ星をいじめてきたか。いくつ資源を枯らしてきたか。それはもう数え切れない。残念だけどね、恐怖の大王。きっと君が隕石を百回叩き落としても私達の罪はなくならない。人間を代表して告げさせてもらうよ。あなたの優しい裁きでは、私達は赦されないんだ」
【なら…】
なら、なぜ生きる。生きるだけで罪深いなら何故生きるのだ。終わること以外の道があるのか?恐怖の大王の心は揺らいでいく。
「何故それでも私達は生きるのか。うん、そうだね。正直人間は滅んだ方が宇宙のためかもしれない。私達の繁栄には、あまりにもコストがかかりすぎる。この星も、あとどれだけ私達の狼藉を許してくれるかどうか」
【なら…終わらせる。恐怖の大王たる我が】
「それも、ちょっと待ってほしいんだ。私達人間は、必ず『費やしたものに報いる成果を残す』筈だから」
キリシュタリアは揺るぎない瞳で恐怖の大王を見据える。その瞬間にも、理想魔術は絶望の隕石を吹き飛ばし消し去っていく。
「人間は間違いなく愚かで弱い生き物だ。それはもう覆せないものだろう。でも、でもね。私達は何かを『生み出す』事だってできる生き物なんだ」
【……?】
「頑張り屋さんなんだ。それはもう無軌道で、愚かで、救いがたいかもしれない。人類の歴史が幼年ならとんだ悪ガキだよ。一度や二度のゲンコツじゃきかないくらいね。でも──この景色を見てご覧」
そこには、カルデアと青空、そして山々。人類が極寒の、南の果てに作り上げた、偉業の一つ。
「私達は、こんなにも歩みを進める事ができる。いつかきっと星を飛び出して、傷つけた星を癒やす事ができるようになってこの星に帰ってくる。私はそんな未来を確信しているんだ。カルデアの、素晴らしい仲間を知った事でね」
【…………】
「だからこそ皆を、この星を、未来を終わらせるわけにはいかないんだ、恐怖の大王。ここで終わったら、本当の本当に人間は消費した『だけ』になってしまうから」
『私を産み出した生命体は星を食い尽くし、更にそれを繰り返さんと星を後にしようとした。君達に裁かれたのは、きっとそういった意識の果てでもあったのだろう』
だが──キリシュタリアとゼウスはおなじものを信じている。カルデアに集った善き人々たち。滅びにも屈さず、未来を掴み取らんと奮起する者達。
「彼等はきっと、重ねた罪の何倍も素晴らしい未来を作り上げてくれるはずだ。私は、ゼウスは、その可能性と未来を信じている!だから君の優しい裁きに、こうして愚かにも歯向かっているんだね!」
【…………】
『汎人類史が何故汎人類史なのか?神一ロマンチストな私が断言しよう。それはきっと────』
それはきっと、月並みで、キザで、聞くものが聞けば憤慨するかもしれないけれど。でも、それでも。
──あの時、自分達に人間達がくれたものは。絶望のおわりであるものだったから。
『──どんな歴史より、どんな世界より。『希望に満ちている世界』なんだと私は思うよ、恐怖の大王。…ううん、アンゴル・モア』
【!】
『君もきっと受け入れてもらえる筈だよ。主を失った鉄屑の私を全知全能といっちゃう節操なしの人間だ。君だってすぐに萌えキャラになっちゃう筈さ』
ゼウスは立場上、口には出さない。神が人間に頭を下げては、威厳が形無しだからだ。でも、大神は片時も忘れたことはない。自分達を受け入れてくれた…人間達への感謝を。
「だからこそこうして!神と人とが手を取り合えている!君もこの輪に来てほしい!だって君はもう、私達の仲間ではないか!そうだろう!?」
キリシュタリアが叫ぶ。恐怖の大王であろうが、裁きをもたらそうがそんなものは関係ない。彼女はカルデアの仲間なのだ。
「皆が待っているよ!家族だって待っている!まだ歓迎パーティーだって出来ていない!君を御祝したい人は、たくさんいるんだ!アンゴル・モア!ピア君!」
『君には帰る場所が出来ているんだ。そんな優しく素敵な場所を壊すなんてしちゃいけない。…お互い、無明の闇をあてなく彷徨うのはもう嫌だろう?』
瞬間、最後の隕石が消滅する。キリシュタリアの理想魔術・惑星轟がゼウスの力と共に、ハルマゲドンを打ち消した。アニムスフィアの歩みは、人間は、裁きを2度も打ち返したのだ。
【……私は……】
人間の罪深さは、裁きでは贖えない。
【私は…】
恐怖の大王としての使命を果たすことはできない。
【私は…!】
ならば、今まで自分たちの──消えていった同胞達は無価値になってしまうのか。
それは、それは──仲間達がこの宇宙で積み上げてきた事を、無意味にしてしまうことなのだ。
【────私は…!使命を果たす…!】
アンゴル・モアの、恐怖の大王の側面。その生来の優しさは、一族全ての誇りに報いる道を選ぶ。
【赦されない罪など認めない。赦されない生命などありえない。命は、罪は、浄められ許されるべきなのだ!】
人間の罪がどれだけ重かろうと、それを終わらせることこそ慈悲だ。慈悲が与えられない生命など、そんな残酷な事象は認めない。
【私がお前達を裁く。その罪から解き放つ…!だからもう、もう…!】
苦しむな。楽になれ。アンゴル族の理念にして絶対の規範。『安寧』をもたらすこと。
【苦しみに満ちた歩みを止めるがいい、人間…!】
──先の隕石とは比べ物にはらぬ、もはや『妖星』とすら言える超絶巨大天体。最低100キロは越える破滅的天体を、恐怖の大王は安寧を齎さんが為に召喚する──!
ゼウス『なんと、優しき終末か。父が護りたいのも頷けるよ。ここまで罪人に寄り添う執行官など宇宙にはいまい』
キリシュタリア「ぐっ…!」
あちらの力は無尽蔵。しかしてこちらは人の身なれば限界は訪れる。メテオ・ハルマゲドンを一人で打ち払った比類なき奇跡以上のものを、キリシュタリアとゼウスは欲張ることは出来なかった。
キリシュタリア「ふふ…面白外人コンビもいい線は行けたんじゃないかな?少なくとも…」
ゼウス『あぁ、少なくとも。アンゴル族の優しい本心は聞くことができた』
少女【この宇宙に赦されない命など、あってはならない──!】
キリシュタリア「──私たちのでしゃばりはここまでだな、ゼウス」
ゼウス『あぁ。もう、倒すべき相手はいない』
そう、後は彼女の精神と心に訴えるのみ。勝利は、もうすぐだ。ならば、本当の意味で勝利をもたらすのは──
ゼウス『最後の一押しを、どうか頼んだよ』
キリシュタリア「──『オーダーチェンジ』──」
戦闘不能となったキリシュタリアは、最後にそのコードを起動し──
リッカ「────任された!!行くよ!マシュ!!」
マシュ「はいっ!先輩!!皆様の頑張りを今、結実させます!」
恐怖の大王【裁きを受けろ!解き放たれろ──!】
マシュ「『来たれ、天の杯。雪花の鎧よ、我が身を纏え』!──オルテナウス、起動!」
放たれる最終終末天体。向かい合う、楽園の盾たる少女。
マシュ「スプリーム・モード・ディフェンス!オルテナウス、最終防御概念宝具───起動!!」
そして今───彼女が有する最大最高の防御が、星を守護せんが為に開放される…!
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