人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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XX「いますねいますね社会不適合者たちが!私はまず大将首と防衛施設を破壊します!雑魚の処理はお任せしましたよ!」

ナイア「えっ、それはつまり私が確保ということですか?」

XX「そういう事です!リポップが面倒なので殺してはいけません!それではまた、後でお会いしましょう!」

ナイア「あ、ちょっと…!」

(こ……困った事になりました………XXのフォローに回るつもりが…)


チンピラ!ゲットだぜ!!

「皆様、訪ねさせていただきます。速やかに投降し、裁きをお受けになる気はありますか?悔い改める姿勢をお見せすれば、神もきっと寛大な処置をしてくださるかと…」

 

「いきなり何を言ってやがる!」

 

「悔い改める心がありゃあ悪い事なんて最初からやろうとしねーのさ!それしかねぇから悪い事やってるんだよこのアマ!」

 

 

それは確かに…。勧告をしてみたはいいものの、思うような成果は出ずに消沈するナイア。

 

 

「惑星事務所や縄張りに使えるもんを有効活用していかなきゃヴィランはやっていけないんでなぁ…!」

 

「遊星様々だぜ!リアルプラネットクラフトからのスペースカブキシティ再建が俺らの夢だぜー!」

 

いくら悪党といえど光の世界に生きる住人。無闇な殺傷と殺生は行いたくはないのだが、交渉の余地は無いと判断せざるを得ない。ならば速やかに鎮圧するのみだが…。

 

(不安です…サーヴァントとはいえ不必要に苦しませず捕縛することが出来るかどうか…手待ちの武器はどれも威力が高く、腕の一本や二本は軽く宙を舞う代物。スタンガン等を借りてくるべきでした)

 

ナイアはもっぱら闇の狩人。人を救助する事はあれど五体満足の捕縛は中々機会がない。邪教集団は大抵自身を生贄がお決まりのパターンなので、父のもとに送る以外の身柄の確保は中々の難題であった。そこを手慣れたXXに譲ろうと思えば単独で駆けてしまったのである。

 

「来ねぇのか!ならこっちから行くぜぇ!」

 

「!」

 

思案に耽っていると、一人の構成員が飛びかかってくる。攻撃を許してしまい、咄嗟に左手を振り払うと──。

 

「ぶべらっっ!!」

 

いい角度のビンタが炸裂し、吹っ飛ぶチンピラ。壁に卍の字でめり込む様子を他の人員が啞然と見やる。

 

「な、なんだこの馬鹿力…人が埋まったぞ…」

 

「こ、こいつバケモンか…?」

 

(やはりいけません。ここはエレシュキガルさんに相談し鎮圧ゴム弾辺りの設備の譲渡を。そういった武器を今度制作せねば…)

 

自身の見通しの甘さを反省し、端末をタップ。救援連絡を送らんとすると、繋がったのは意外な人物からのコールだった。

 

【やほ、えーとコードネーム『ジェニー』。無事?】

 

(お母さん!?)

 

モニタに現れたのは現在の父の妻、エキドナであった。任務中の秘匿回線な為、コードネームを使用していたが、その姿と声は間違いない。

 

【任務の内容が定まった頃合いに、念の為ナイアが普段携行していないような対人鎮圧道具を送って欲しいってアイツから言伝てを受けてる。娘に関する事でアイツは外さないだろうから、あなたに転送させてもらうからね】

 

(ありがとうお母さん!ナイスですお父さん!) 

 

夫婦の互いの理解から通じる、娘への万全の支援にナイアは感謝を捧げる。ナイアの役に立つことを信じて送られたそれは、娘の窮地を救う万全のグッズだ。

 

【それじゃあ送るよ!全年齢向け捕縛拘束ツール!『ニャルボール』!】

 

エキドナの言葉と共に送られたのは、腰巻きホルダーに付いた黒い球体に燃えるような紅蓮のボタンが有されたデザインの恐ろしげなボール。ちびっ子なら誰もが知っているポケットでモンスなあれの自作…と呼ぶに相応しいもの。

 

「なんだそりゃあ!そんなもんで俺達をやる気か!舐めんじゃねーぞっ!」

 

「草むらに生身で飛び込んじゃだめだぜー!」

 

一人が痺れを切らし、ナイアに飛びかかる。ナイアはポカンとしながらボールを手に取り、スイッチを試しに押してみると…

 

「ぎゃああぁぁぁぁあぁあぁあーーー!!?」

 

骨が砕け肉が千切れるような音を撒き散らしながら、チンピラがボールに入っていく。数瞬の後、完璧にボールに収まる。クリアパーツから覗いてみると、体育座りにて縮こまるチンピラが見えた。五体満足でホッとする。

 

【チンピラ どうしようもないクズ その呆れた刹那的な生き方は 両親を泣かせるネタに こまらない】

 

「おぉ…」

 

捕獲した相手のパーソナリティを読み上げる親切機能にナイアは圧倒される。父の声であったので、どうやら父がこのときの、正確には依頼内容にて作ったツールで間違いないようだ。

 

【どうやらそれはアイツが考えた誰も傷つけない為のボールらしいね。捕まった時には身体中が粉々になる感覚はあると言ってたような気もしたけど心以外は死にはしないよ!ジェニー、やっちゃいなさい!】

 

「はい!──使いこなしてみせます!」

 

…そこからはハンター、ナイアの独壇場だったのは言うまでもない。元々の肉体、身体スペックは並のサーヴァントなど及びもつかないほどに強靭かつ俊敏であるナイアが鎮圧道具を手にしたならば、憂いに繋がるものは何もない。

 

「ぐぎゃああぁあぁあ!?」

「ぐげぇぇえぇえ!!」

 

一人残らず確保、現行犯ゲットによる大捕物。ボールをぶつけるたび人の体が丁寧に折り畳まれるイメージがついてくるがそれはあくまでイメージ。本体はきちんと収納されており、幻のビジョンにしか過ぎないのだ。精神破壊対策も万全であり、気付けの電流は絶えず流れる。

 

「ここまで来るとはやるじゃねぇか。だがここまグェェエェエェエ!?」

「俺等に弓引いてグァアァアァァァァ!?」

「ブチ殺ォオォオォオォオォオ!?」

 

幹部らしき人員も全員仲良くボールに収められ、速やかに無力化される。構成員は幹部もまとめてナイアに確保され、めでたく壊滅と相成った。

 

【幹部チンピラ 人の生き血を吸って肥え太ったゴミムシ 見てくれが良くなろうと クズなことには かわりない】

 

「隅々まで巡りましたから、これで頭首以外は捕まえたかと。となると、あちらはXXの管轄でしょうか」

 

同時に大爆発と轟音が起こり、ナイアの背後に降り立つ気配がある。それはXXと、気絶した初老の男だ。

 

「いやぁ星の売り買いに手を出す輩だけあって立派な兵器持ってて驚きましたよ!弱小組織と言って侮っていたら多少手こずりました!しかし私にかかればはいこの通り!無事確保です!」

 

「ううぅ…」

 

見れば防衛施設やロボットのコクピットブロックごとぶち抜いてきた様子のXX。伊達にロンゴミニアドに選ばれた刑事ではない。無事に壊滅と相成ったようだ。

 

【流石、元刑事ってやつだね。どうやら動体反応はもうないよ。みんな確保できたみたいだ、お疲れ様】

 

エキドナの言葉に胸をなでおろすナイア。どうやら無事にミッションを完遂できたと一息つき…

 

「ナイア、どうやらこの組織は多数のコネクションを持っているようですよ!ほうっておくのもなんですし、ここらで一気に殲滅してしまいましょう!」

 

「えっ。このままですか?」

 

「勿論このままです!倒せば倒すほど土産も報酬も高くなると言うものですからね!それでは行きましょう!私達の無限のボーナスへ!さぁ行くぞっ!!」

 

…一組織を粉砕するはずが、XXのやる気スイッチがオンになった事により悪党ジェノサイドツアーへと様変わりしてしまうこととなり、顔を見合わせるナイアとエキドナ。

 

【ま、まぁ…友達がやる気になってるんだ。ある程度無茶はせず付き合ってあげたらどう?ナイア】

 

ナイア「はい、そうします。どうやら彼女、燃えているようなので。パートナーとして支えてあげなくては!」

 

 

乗着し飛び立つXX。そして後を追い、タナトスフォームにて飛び立つナイア。

 

 

…後にこの一日で数多無数のマフィア、ギャング、犯罪者集団が一斉に姿を消した事象は『秩序の日』として祝日になったとか、ならないとか。




宙の女主人・ブリッジ

XX「というわけで、繋がっていた組織の繋がりをぶっこ抜いて全員ブタ箱に送らせていただきました!私達の手にかかればこんなものですね!」

ナイア「こちら、潰した組織のリストです。徹底的に調べ上げ、残党もいなくなるよう徹底しましたので間違いはないかと」

エレシュキガル「あ、ありがとう。期待以上の成果なのだわ」

本来銀河警察がやるべき一斉摘発をたった二人で行ってしまったそのあまりの行動力と戦闘力に、感嘆を通り越してちょっと引き気味のエレシュキガルでしたとさ…

ナイア「捕まえたチンピラは700人以上です」

エレシュキガル「大捕物!?」

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