ハデス【な、なんとかやってみるよ。安心してほしい】
ペルセポネー【冥界の案件ならばハデス!ゼウス、あなたにしてはよい判断です。てっきり活躍の場が奪われるのかと危惧していたのかと思いましたが杞憂でしたわね!さすがの図太さですわ!】
ピア「誰?その子」
アフラ・マズダ『アフラです』
アンリマユ【あー、色々と複雑だから、またちまちま説明するわ。とりあえず今は…】
アジーカ『………』
アンリマユ【こっちに集中しようぜ?】
リッカ(…うん!)
『これは酷い。噂の日本マンションってこんなに悪趣味だったのかな?』
オガワハイムに足を踏み入れたカルデア一行。かつての憎悪に塗れた陰気なダンジョン、死の蒐集所と化していた以前の特異点とは一線を画す有様に、キリシュタリアの中のゼウスは苦言を呈す。
【冥界と似てはいるが…これは違う。死者の安寧など考えられてはいない】
【どうなっておりますの!?悍ましくもありながら確かな神聖さも感じるこの特異な空間は!?】
ハデス、ペルセポネーという冥府の王たちもこれらは違うものと断ずる空間、それが今のオガワハイムだった。通路も天井も重苦しくも華々しく飾り付けられ、トーチに灯る炎は重苦しい漆黒。骸骨や躯で階段は作られており、財宝やきらびやかな家具などが乱雑に打ち捨てられている。まるで神殿内で行われた乱痴気騒ぎを、誰も片付けずに撤収したかのような乱雑ぶりだ。
【こいつは…間違いねぇ…】
「?くろすけ、なんか心当たりあるの?」
苦々しく呟くアンリに問うピア。アジーカとアフラは捕捉を加える。ここは、いや、この空間には馴染みと覚えがあるのだ。
『これは悪神、アンリマユの神殿の再現。悪逆と暴虐、燃え落ちる果実のような輝かしくも恐ろしい神の領域』
『ゾロアスターでは偶像崇拝は禁止。火に拝む。だから黒い炎は…アンリマユの象徴』
かつて死の蒐集場所であったこのマンションが、拝火の神殿と化している事実をつげるアフラ・マズダ。その言葉の信憑は、否が応でも信じざるを得ない。空気の重苦しさ、そして重圧が常人に耐えきれる領域に無い故だ。キリシュタリア、リッカ、或いは神とそれに類するものでなくては発狂すらしていたやもしれない。
「なんか、すっごいやな感じ…おっさん、これなんとかならないの?あたしたちでなんとかできる?」
【もちろん、そのために我々はここにいるのだから。仲間を信じ、背中を任せ、揺るぎなく進むんだ、ピア】
邪神の後押しに、ピアは気合を入れ直す。先のオガワハイムが窮屈な閉塞感なら、こちらは退廃的な重圧感。中心にいるであろう【なにか】を何とかするため、仲間と共に歩み出す。
『みんな、大丈夫。私がいると『変転』は起きない』
すると、アフラ・マズダが妙な単語を口にする。自身がセーフティ、安全となるかのような物言い。一同がその真意を測りかねていると…
『見て。ここにいるものは、ああなってしまう』
アフラ・マズダが指差した先にいるのは、ゴーストエネミー。オガワハイムにて集められた死の蒐集の成れの果て。あれ自体は脅威が薄いものではあるが…
【な、なんですの…!?】
ペルセポネーが声を上げると同時に、それらに変化が起こる。ゴーストが突如苦しみだし、悶のたうち回る。同時に黒き炎から巻き上がる煙が包み込み、その中でおぞましい変化が起きる。
まず、肉塊がゴーストを苗床に隆起し盛り上がる。そして聳え立つ肉塊に無数の手、足、顔が浮かび上がり、それらを突き破るかのように五体が腐敗した異形の存在が這い出てくる。それらは死体にしか見えない土気色でありながら、確かにその場に存在するエネミーとして観測されている。
「気持ち悪っ…キモ…」
『…受肉…現象はそれに類似しているな…』
ピアはその光景にドン引きし、ゼウスとキリシュタリアは冷静に状況を判断する。聖杯などで行われる奇跡、霊的存在に肉体を与える受肉。その奇跡の行使に、この現象はとてもよく似ていたのだ。
「となると、死霊であった存在が今新生し、私達の前にいるということかな?」
【いや…あれは新生でも復活でもない。魂を材料に肉の塊を創っただけだ。あれは生き物ではない。生命も、魂も、最早どこにもない。ただ、魂を物質化した肉の塊だ】
ハデスはその行為を、死の王として冷静に見極めた。魂と肉体が揃って始めて生命となる。故にこれは違う。この世に縛り付けられる為に肉体を用意したという逆の順序。死の安寧から魂を簒奪し、永劫の世にて活動するための悪趣味極まる死への冒涜。
【死とは平等なる安らぎ!それをあのような手段で魂を砕き、肉塊として使役するなど…!許せませんわ!我等冥府の者達への挑戦と受け取りましてよ!】
『善と悪の発露。善は永劫の復活を、悪は永劫の新生を。私達の在り方は、終末の果てにまで続くもの』
アフラ・マズダの言葉は、普段の柔らかさと威厳の二つに分かたれている。彼女はどうやら、依代でもあり無力な少女でもあるようだ。アンリはその在り方を、苦々しく見やる。
【ハデス!せめてかの肉塊をこの地より出してはなりません!速やかに裁断なさるが礼儀でしてよ!】
【その様だ。アフラ・マズダ殿の助力があるとはいえ、こちらには生身の者たちもいる。時間はかけない!】
ハデスは決心し、冥府の大剣を抜き放ち新生した肉塊に一閃を振るう。肉塊となった魂は反応が鈍いのか、その刃に反応すらせずに両断を果たされる。
【戦闘力はそれでも…いや、違う!一同、示した部屋へと向かって走れ!】
ニャルの鋭い指示が飛ぶ。ハデスに成すすべなく切り裂かれた肉塊だが、それで終わりではなかった。
「うそ、何これ…マジキモい!?」
なんと、切り裂かれた肉塊を求めるかのように壁や天井から人間大の存在が現れ始めたのだ。地面から、壁から…いや、違う。それらはその物体を形どっていた者達。この地の一部として、組み込まれていた者たちなのだ。それらは打ち捨てられた塊を求めるかの如く、殺到して大挙する。
『おいおい、撤退には早くない?私とキリシュタリアだったら楽勝、余裕のよっちゃんな筈だが?』
【そうかもしれんが、この雰囲気はあまりにも異質だ。敵を倒せばクリアなのか、見つからず進めばクリアなのか、上の階の階段に行けばクリアなのかすら掴めていない。闇雲に動くにはあまりに危険だと私は思う】
邪神の言葉に、ふむと思い耽るゼウスにキリシュタリア。そして納得したように手を叩く。
『ではここはチームプレイの一環として、司令塔に従おう。皆、撤退しようか!』
【仕切らないでくださいます!?さぁハデス、私達が殿を行いますわよ!ケルベロス、おいでなさい!】
【ちょっと訳ありだ、私が担ぐが文句言うなよアジーカ、アフラ!】
素早く踵を返し、ダッシュで指定されたポイントに駆ける一同。その際にも、不可解な現象は続いていく。
【あれは…!】
現れた肉塊達が食らい合い、殺し合い、そしてより多くの、巨大な肉塊に変容していく。そしてその肉塊の内より様々な形状の生物が現れる。鎧を纏ったもの、不定形なるもの。それらは真っ当な生命のカタチをしていない、悪辣極まる生物の成れの果てと言うべき姿達。
【笑えねぇな…!いつのまにこんなに私らの宗教は悪趣味になったのかねぇ!?】
『万魔殿』
【あん!?】
走りながら膨張と共食い、変容を繰り返していくその恐ろしい光景に毒づいたアンリマユに応えるように、アフラ・マズダは告げる。
『悪の温床、万魔殿パンデモニウム。絢爛にして醜悪な、悪たるものの理想郷。この地はそれに羽化しつつある…』
そっと、二人を指差し。
『あなたたちの親の魂…その残滓を使うことで。そしてそれは、邪悪なる魔王が一人で進めている』
アフラ・マズダが告げた万魔殿なるものの完成。それらに、リッカの両親らの魂の残滓が使われている事を、この絶対善は示したのだった──
セーフティエリア
イザナミ「カルデアコンビニ!八百万支店にようこそ来たもう〜!祈祷、御祓、浄化に人生相談!ギルガメくんに場所を借りてなんでもできちゃいますのでぜひぜひ利用してほしいのです!是非に!」
アナーヒター『どうやら再会はずっと早かったわね、アフラ?』
アフラ・マズダ『アナーヒターさん。こんにちは』
ゼウス『冥界案件かと思ったら読みが外れちゃった。いや、ゴメン』
ペルセポネー【大神ゼウス!あなたと、あなたという人は…!】
キリシュタリア「待ってほしい!ゼウスに悪意はない、やましい気持ちもないんだ!」
ペルセポネー【なお悪いですわ!どきなさい!そのヒゲをむしらせなさいな!!】
リッカ(悪の魔王…アフラちゃん…それにピアちゃんにゼウス。凄いことになってるね!)
アジーカ『混ぜ込み神話』
アンリマユ(本当にな。勘弁してもらいたいぜ、身内のやらかしが起源とか笑えねぇぞ。何より…)
アフラ・マズダ『カロリーメイト…金箔味!』
(…あいつがまさか、マジに選ばれるなんてなぁ…)
リッカ(アンリ?)
アンリマユ【なんでもねぇ。…遠い昔の話、だからな】
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