子供「フェイト・シー、貸し切りなんだぁ」
子供「すごーい。いつか貸し切りしてみたーい!」
父「凄いVIPもいるんだなぁ…」
?「ふふはははははは!突如の貸し切り、困惑したであろう!ごめんなさいね!!」
父「!?」
?「今より補填、グッズ提供を行う!遠慮せず好きなだけ、シーグッズを購入するがいい!!」
子供「いいの!?」
子供「ありがとう、おにいさん!」
父「あなたは…」
ギルガメッシュ「土産に名を覚えて帰るがいい。──我が名はギルガメッシュ!英雄王!ギルガメッシュである!!ふふはははははははは────!!」
──はい、こちらのオリジナルグッズセットをどうぞ。たくさんあるのでご順番に!
子供「「わーい!ありがとー!」」
「…………………」
フェイト・シー…休憩展望台。一際目立つ城型のアトラクション、景色を一望できる空間にて3人の少女が屯していた。一人はパンフレットをまっすぐ見据える鈴村飛鳥。一人は物憂げな仏頂面な石田サラ。そして最後はひたすらパソコンをタイピングする保志大和。バスケットやチキンナゲットもそこそこに、考案するはカルデアの一連。突如用意された、カルデアへの就職に連なり世界を救う為の要職に就くか否かの岐路への悩みだ。突然に過ぎる贅沢極まる悩みに頭を捻る者達を見れば、チャンスや富には受け取る側にも資格が必要であるという説も間違いではないのだろう。
(カルデアに行けば、世界を救う戦いに身を投じる事になる。そして日常を護る側に…)
(それが嫌であるなら、全てを忘れ日常へと戻る。記憶は処理され、内海市長の保護下で変わらぬ日々を送る…)
どちらがいいか、どちらが間違っているかではない。自分がどうしたいか、どうありたいかの選択故に正解は無い。もたらされた自由の責任に、三人は思い悩む。
「…私、カルデアに行こうと思う。これを『運命』だと思うことにして頑張ってみようと思います」
そう口火を切ったのは飛鳥だった。デザイナーを志し、家族を助けたいと願う心優しい少女。その真紅の瞳には、義憤と決意が漲っている。
「私は誰かに護られるより、護る側でありたい。皆の平和や大切な人の幸せや平和を壊すヤツを、私は絶対に許せない!」
そこには持ち前の感受性故の、理不尽や邪悪への怒りが宿っていた。怒れる瞳…彼女は大切な人達への情は人一倍深い。その優しさが、不条理への叛逆の力となっているのだ。
「一人で判断を下すのは危険だ。家族や身内とよく相談して、考えて決めるんだ。飛鳥、人生を左右する決断に間違いないんだから」
その勢いを冷静になだめ、制するは石田サラ。彼女はあくまで冷静に、家族への対応や自身への責任問題の観点から言葉を告げる。
「観光や物見遊山ではいられないんだ、飛鳥。相手は私達の命を狙ってくるかもしれない。必要に迫られれば戦うことだってある筈だ。その時に適切な行動と判断が出来なかったら…私達以外のスタッフが死ぬかもしれないんだぞ」
「そうならない為に、私達は力を合わせて困難に立ち向かうんでしょう!?サラは慎重過ぎて、物事を深く考えすぎるんですよ!」
「お前の言う通りだ。私は臆病なくらいに何かを深く考えすぎる。だがこれだけは忘れてはだめだ、飛鳥。カルデアが求めているのはヒーローごっこじゃない。本物のヒーローだ。お前に命を懸ける覚悟はできているのか?」
「あぁ、やってやるさ!アンタこそ、リッカ先輩に全部押し付けて呑気に生きることが賢いやり方だなんて言うつもりですか!」
「そうは言っていない…!だが感情的になってはいけない。自分の人生にまつわる事だ、早計はダメだと言っているんだ!考えて選ばなくては必ず後悔する!」
「なんだよ!なら私に任せて帰ればいいだろ、意気地なし!」
「なんだと!?このバカ野郎!」
「やるか、このわからず屋ぁ!」
チキンを頬張りながら取っ組み合いに発展する二人。互いの事を思うが故の喧嘩が勃発する中、我関せずとばかりにひたすらに打ち込まれるタイピングの音。ヒートアップしていた二人が、その音と姿にすっかり毒気を抜かれ振り返る。
「…大和さんは、一心不乱に何をやってるんですか?」
「飛鳥、わざわざ聞かなくても解るはずだ。こういう時の彼女は…」
「あ、私には構わないでいいよ。続けて?」
それだけを告げ、指の動きが見えないレベルの速さでタイピングを行う大和。そのマイペースぶりにクールダウンしてしまった二人はそっとディスプレイを覗き込む。勿論、何を打ち込んでいるかはさっぱり理解できぬスパゲッティコードまみれのデータ。
「……あの…何を書いているんですか?」
さっぱりちんぷんかんぷんな飛鳥と対象的に、サラはなんとか把握する。それは、大和だけが理解している友達への気配りだ。
「これは…制服や、夏草の皆専用システムやアシストプログラムか?」
そう、楽園へと向かう同級生達が、カルデアへと向かう決断をした際に役立つ一人一人に適した構築システムと運用プログラム。アカネならば3D怪獣開発ツールソフト、エルならば通販サイトや専用の構築レイヤー。夏草の友達が新天地に行っても迷わぬよう、戸惑わぬ様に彼女が気を配り、そして手助けの形で用意していたのだ。パンフレットを渡された瞬間から一人で1から組み上げた事となる。それは膨大な作業量には間違いないにも関わらず、大和は微塵も苦労している様子は見せなかったのだ。
「皆、大事な進路を選ぼうとしてる。私には皆を直接引っ張ることは出来ないけど、皆の選択を応援する事はできる。もし一緒になったら、皆の実力を完全に発揮できる環境を整えておきたいなって。はい、サラ。アスカ。君達の分」
ディスプレイが操作され浮かび上がるは、アスカとサラに向けられたプログラム。アスカは国際通話ツールと、各国最先端ファッション雑誌。サラは護身術や軍隊格闘術、そして六法全書アプリが用意されていた。
「戦いにあけくれて、人生を棒に振った…だなんて誰も望んでない筈だからね。役に立ったなら嬉しいな」
「あ…ありがとうございます!これでいつでもデザイナーの勉強が出来るし、マユたちとも話ができる!これなら、南極に行ったってへっちゃらだ!」
「ヤマト…お前は行くつもりなのか?カルデアに」
大和は静かに、しかし確かに頷いた。
「覚悟はある。私は戦うよ、皆と一緒に。私にしか出来ないことが役に立つのなら、皆で出来ることがあるのなら。私はそれをしたいしやってみたい。私は自分の人生の行き先を自由に決めたいから…リッカちゃんと戦う事や平和を護る戦いに参加するのは私自身の意志として、挑みたいんだ」
「「あー…」」
彼女は物静かでマイペース、天然で消極的であるが、一度こうと決めたら決して曲げないし、譲らない。彼女はとっくに決めていたのだ。誰かの平和や、日常を護るために戦う事を。そして同じ決断をした仲間が不自由無いようにと、皆の事を考えて行動していた。彼女は誰かと、自身の自由を何よりも重んじるのだ。
「…なら、ますます私の気持ちは固まりましたよ大和さん。私も大和さんと一緒に、カルデアで頑張ります!」
「本当?良かった。一緒に頑張ろうね、飛鳥」
人懐っこく笑う飛鳥と、静かに微笑む大和。その二人を見て、サラは静かに頷く。
(二人は自分の行くべき道をとっくに自分で決めていたんだな。私の心配は杞憂だった)
自分なりの答えを求めて、自分なりの未来を求めて。彼女達は誰かに護られる訳でも、導いてもらいたい訳でもない。友人達の運命と自由は、彼女達のものなのだ。
「サラ、君はどうするの?カルデア、行くの?」
大和は柔和な笑みを絶やさず告げる。飛鳥はどこか照れくさげに、それでいて憎まれ気味に口にする。
「…よく考えてくださいよ。まぁ…どんな場所でも、3人でいたいっていうのは本当ですけどね」
その言葉を聞き、サラは決断する。世界を守るその前に、世界を救うその前に──
「あぁ。私も行くよ。君達二人じゃ心配だからな」
親しい人間を護り、共に生きる。それこそが自分なりの…正義なのだと。彼女は自身の生き方を定めたのであった。
──自由を愛し正義を信じ、運命が待つ南極の楽園…──カルデアへと。
〜
マユ『お姉ちゃん?どうしたの?何か相談?』
アスカ「決めたよ、マユ。私、デザイナーに一生をかけて生きていく!」
マユ『それ何度目の宣誓ー?』
アスカ「それだけじゃない!マユも、父さんも、母さんも!私が守ってみせるから!」
マユ『はいはい、頑張ってねー?私の大事なお姉ちゃん!』
〜
父『そうか。成すべき事を見つけたか』
母『不安はありませんか?』
サラ「…無いといえば嘘になります。ですが、友と知人を助けたい。これは、私が貫きたい意志であり…正義と信じます」
父『ならば私も信じよう。お前が真実の正義を選ぶことが出来るよう、私達はお前を育てたつもりだ』
母『探しなさい。正義とは何か、信じるべき想いを求めて』
サラ「──はい、父上、母上」
〜
大和「父さん、母さん」
父『…お前が決めた事なのだろう?』
母『なら、誰にも止められませんね』
大和「はい。──行ってきます。皆と共に」
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