人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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(メッセージと感想返信は午後から行います!)

黄金劇場

アブソリューティアン【岸波白野の側近、ネロ・クラウディウスを発見。玉座へ向かわせるな!】

ネロ・クラウディウス「えぇい!次から次へと鬱陶しい!その黄金はいいが、無礼に過ぎるであろう!コンサート観客ならば席につけぃ!」

アブソリューティアン【ムーンセルの守護者だ、数で押しつぶせ!】

ネロ・クラウディウス「奏者は無事なのか…!?余がいなくて泣いてはおらぬか!?えぇいこうしてはいられん!邪魔をするなら斬り捨てるぞ!無礼者ども!!」



〜サーヴァントユニヴァース 

エレシュキガル警視総監「ではよろしくね。ハイパーエージェント。ギルガメッシュの次元をよろしく」

?『任せてください。あなたと、ウルトラマンゼロから託された使命は必ず果たしてみせる!』

エレシュキガル「ムーンセルへの電子アクセスはこちらから行います。銀河警察の電子リソースとあなたをムーンセルで処理できたなら、あなたは無敵となるはず!」

?『やってみせます!ハイパーエージェントの…ギャラクシーレスキューフォースの一員として!』

エレシュキガル「頼んだわ──電光超人!」


年始スペシャルコラボ〜ウルトラマン編〜

『はあぁあぁっ!!』

【フッ!】

 

玉座の間、はくのんが慌てて書き換えた戦闘空間にて互いに競り合うウルトラウーマンフィリア、そして究極生命体アブソリューティアンの戦士アブソリュートタルタロス。清冽ながらも激しい肉弾戦は互いに互角。打撃を放ち捌き、蹴りを叩き込み受け止める…一進一退の攻防を繰り広げていた。

 

【流石は宇宙の虚無すらも一人で抑え込んだウルトラウーマン。この私と一歩も退かず戦えるとは称賛に値する】

『自分が唯一無二という思い上がりは捨てることです!この宇宙にはゼロ兄さまのような可能性に満ちた方もいる!永遠の王座などあり得ない!』

 

【ゼロ。ウルトラマンゼロの事を言っているのかな?私は彼を容易く退けた。ノアの鎧を纏い、己の力を開放した全力の彼をな】

『なっ…!』

 

衝撃の言葉に隙が出来たフィリアを掌底で突き飛ばす。タルタロスはなんと、ゼロに勝利したと高らかに宣言したのだ。彼の力を知るフィリアに、動揺が走る。

 

【我は究極生命体。いくら伝説の力を有していようが、負ける道理はない。その私と同等に戦えるのだ…私が直々に始末しにやってきた意味を理解し、光栄に思うのだな、ウルトラウーマン】

『…もしその話が本当だとするならば、究極生命体と名乗る不遜さも実力に裏打ちされたものと納得できます。目を掛けていただいた事に光栄と言わざるを得ないかもしれません』

 

【礼節も備えているか。つくづく貴様がカスケード光線を浴びなかった事実が惜しいな】

 

タルタロスの言葉を妄言と切り捨てず、真摯に受け止める。僅かな戦いで彼女は気付いたのだ。この力は、自身を上回るかもしれないと。

 

『でも、だからこそ!あなたの傲慢さを受け入れる訳にはいきません!』

 

ロザリオを装着し、レイピアとして構え突撃する。手加減して勝てる相手ではない。自身の持てる全力で、タルタロスを制すと決心したフィリアは果敢に挑む。

 

『それほどの力と、叡智があるのならば尚更ウルトラマンの皆様を頼ってください!一人ではできない事も、皆なら出来るのです!このムーンセルだって、人間はより良い未来の為に使えている!あなた達の悩みを、皆で分け合えば必ず活路は開けます!』

(フィリア…)

【それはお前が、ある意味我等と同じ様に至上の同胞に恵まれたが故の視点だ。我等アブソリューティアンに類する種族などありはしない!】

 

振るわれたレイピアを掴み、へし折るタルタロス。光の粒子に戻るロザリオ。タルタロスは自身の孤高ゆえの持論を語る。

 

【フィリアよ。お前には覚えが無いのだろうが…真に警戒、唾棄すべきは無能なる味方だ。高みにいる存在を妬み、嫉み、低みに引きずり降ろそうとする者こそが悪であり、敵なのだ。そしてそれは、我等アブソリューティアンとそれ以外の全てに当てはまる】

 

『宇宙に生きる全ての生命を…己以外の全てを下等と断じるのですか!?』

 

【その通りだ。我等は究極生命体、あらゆる生物の頂点に立つ存在…仰ぎ見るべき存在のお前達と同じ地平で生きるなど、万に一つもあり得ない】

 

(現にあなた方の星は滅びる運命を避けれていないのはどうお考えで)

 

【確かに我等の母星の寿命が迫っているのは認めよう。ならばこそ、お前達を生かしておいた意味が生まれる】

 

『!…生物の多様性を利用しようと言うのですか…!』

 

【そうだ。アブソリューティアンに至らぬ下等生命…しかしその発想力、科学力、或いは技術。それら一つくらいは我等が目をかけるに値する成長を遂げる命が生まれるやも知れん。それは我等究極生命体に捧げられるべき宝であり、下等生物であるお前達が生存を許されている答えなのだ】

 

タルタロスの持論に、フィリアは目眩すら覚えた。究極生命体である自身らの為に、この宇宙の全ては存在している。彼は心から、そう言ってのけたのだ。なんの躊躇いも、迷いもなく。

 

【むしろ我等に目を掛けられた事を至上の栄誉に覚えるべきだ。取るに足りない命を、我等アブソリューティアンの為に捧げることができる。その事実を以て、今までの進歩と発展の答えとせよ。お前たちは我等の為に、今日まで進歩を続けてきたのだ】

 

(…同じだ。ヴェルバーと)

 

あらゆる文明を捕食し、収穫し、奪い尽くす遊星。ヴェルバー。目の前にいる黄金の存在は同じだ。全てが自身のものと疑いもせず他者から奪うその存在は、はくのんの目にヴェルバーとなんら変わらぬ恐ろしさを痛感させる。彼はウルトラマンとは似て非なる存在だ。そして間違いなく、その歪んだ心は人類の敵…!

 

『身勝手な理屈を…!命は、人間は!あなた達の家畜じゃないっ!!』

 

フィリアは叫ぶ。世界が、人々が紡ぐ愛と希望と勇気、命すべてを愚弄するタルタロスへの憤怒と憤懣を、はくのんは痛い程に感じ取る。

 

【我等に通ずる力を持ちながら、人に寄生されその力を使い潰される幻のウルトラウーマンよ。その無様な一生に幕を引いてやろう!】

 

タルタロスの全身に溢れる黄金のエネルギーが牙を剥く。魔力炉心の大爆発に匹敵する超絶高エネルギーの球体を生成する。必殺技が来る…!

 

【アブソリュート・デストラクション!!】

 

直撃すれば、原子レベルにまで分解されるかのような超絶威力のタルタロスの必殺技。避けてしまえばムーンセルの破損は避けられない。万事休す──しかし。

 

『はぁあぁあぁあぁぁあぁあ………ッ!!!』

 

フィリアは逃げることも、避けることもしなかった。タルタロスと同じ様に全身からエネルギーを漲らせ、黄金の破滅を真正面から退治する。そして、彼女にデストラクションが直撃し巻き起こる大爆発。

 

【む…!】

 

しかしそのエネルギーはフィリアを破滅させるには至らなかった。彼女はそのエネルギーを受け止め、何百倍にも増幅させていたのだ。激震すら起こす波動の高まりに、警戒を強めるタルタロス──

 

『フラッシュ・フィリア────!!!』

【ッ!】

 

ウルトラマンレジェンドの必殺技、スパークレジェンドの自己アレンジ、フラッシュフィリア。己の力が何千倍にも返ってくる事態に、急遽対応を強いられる。エネルギーが強すぎるため、ともすればムーンセルすらも破壊してしまう一撃を認可はできない。己が誇っていた力は、まさに自身にすら制御不可能という皮肉をタルタロスは体現していたのだ。

 

【ウルトラマンレジェンドの力か…!まさかこれ程までに身に着けていたとは…】

 

『ゼロ兄さまの仇…!ウルトラマンの隣人を侮辱した報いをここに…!!』

 

【何ッ!?】

 

フィリアのさらなる力の高まりに驚愕する。自身のアブソリュート・デストラクションすらも凌駕するようなエネルギー熱量をこうも立て続けに放てるウルトラウーマンの存在は、想定の力を遥かに上回っていた。警戒はしていたが、その限界を越えてきたのだ。

 

『受けなさい!グロリアス・ピリオド───!!!』

 

フィリアの全身から放つ、ウルトラマンキングの光線に可能な限り近付けたフィリアの必殺光線。金色の光線に虹色の螺旋取り巻く至純の光線が、食い止められしフラッシュフィリアに合流し、タルタロスを飲み込む…!

 

【この力は、ウルトラマンキングの…ッ───!!】

 

『消え去れえぇーーーッ!!!!』

 

【おぉ、おぉおおぉおっ───!!!】

 

(フィリア!くっ…!!)

 

輝く閃光、太陽や超新星爆発に通ずる光量が、フィリアの内部のはくのんの視界を覆い尽くす。レガリアを使い、フィリアの自己消失を防ぐ為の魔力を生成し続けても尚、凄まじい脱力感がはくのんを襲う。

 

『はぁ…はぁ、はぁっ…はぁっ…はぁっ…』

 

どれ程の時間が経ったのだろうか。気が付けばタルタロスの姿は無く、極限に明滅したカラータイマーと共に四肢を床に投げ出したフィリアが荒く息を吐いていた。

 

(フィリア!大丈夫…!?)

『はい…はくのんの魔力が、気遣いが私を護ってくれました…キングおじい様と、レジェンドお兄さんの力はやりすぎちゃったかな…』

 

…普段の彼女は、ここまで無鉄砲ではなかった。これ程の怒りは、ウルトラマンを…そして人間を愚弄されたもの。彼女は人の尊厳の為に、同胞の威信の為に限界を超えたのだ。

 

(…人類として、ありがとう。フィリア)

『えへへ…ウルトラマンは、人間と一緒にいたがる種族ですから…』

 

息も絶え絶えなフィリアを一刻も早く休ませなくては。変身を解除し、交代しようとした──その時。

 

【フフ、フフハハハハハ!素晴らしい…!これほど伝説の力を手にしていたとは…!】

 

『!』

(なぬっ…)

 

空間に黄金の奈落が開かれる。そこから現れる──黄金の巨人。先程消え去ったはずのアブソリュートタルタロスが嘲笑と共に現れたのだ。その身体に、キズ一つついていない現状に二人は息を呑む。

 

【この私に一時的にも死を覚悟させるとは。やはり貴様は一味も二味も違う…。見事だ、フィリア。だが…】

 

『はぁっ、はぁっ…はぁっ…』

 

【虚弱だな。哀しいまでに。これもお前がウルトラマンという不完全な生命であり、人間という不完全な生物に肩入れした結果だ】

 

フィリアに歩み寄り、首を掴む。最早フィリアに抵抗する余力すら残っておらず、か弱い抵抗しか叶わない。

 

『くっ…う…っ…』

 

【理解したか?これが究極生命体と、下等生物の残酷なまでの格差だ。お前もアブソリューティアンに生まれなかった事が残念でならんよ】

 

『……可哀想な、人…』

 

【…何?】

 

『誰かへの愛も…立ち向かう勇気も、究極であるが故に持つ事ができない…あなたたちは、宇宙でずっと…一人ぼっち…』

 

タルタロスの手に力が籠もる。だが、フィリアの意志は挫けない。

 

『あなた達の未来は…破滅は…力を合わせなくては、乗り越えられない…人間達のように、手と手を、取り合って…』

 

【この期に及んで、戯言を…ぐっ!?】

 

瞬間、タルタロスの腕が痺れ麻痺する。フィリアから手を離さねばならない程の、驚異的な呪い。アブソリューティアンすら逃れられない、必殺の一撃。

 

(ガンド。カルデア術式をお借りしました)

 

【貴様…岸波白野…】

 

(人間舐めんな。私の友達から離れろ、タルタルソース)

 

【………】

 

『きゃあっ!?』

 

瞬間、タルタロスがフィリアを蹴り飛ばす。まともに受け身すら取れずに吹き飛ぶフィリア。痺れた右手を見つめ、タルタロスは無感情に告げる。

 

【いいだろう。その蛮勇に敬意を評そう。この時空は、アブソリューティアンの脅威となると認識した】

『何、を…』

 

【脅威は排除するまで。このムーンセル、そして私に一矢報いたカルデアという組織を有する地球…諸共に消し去ってくれる】

 

再び驚異的なエネルギーをチャージするタルタロス。このムーンセルを吹き飛ばす総量の…いや。地球を一つ吹き飛ばす程のエネルギーの高まり。

 

【光栄に思え。お前達はアブソリューティアンにとっての邪魔者になるに至ったのだ!栄誉を懐いて滅びるがいい…!!】

 

『っ…!!』

 

それでも、全身から力を振り絞り立ちはだかるフィリア。大の字に身体を広げ、地球への軌道へと立ちはだかる。

 

【呆れた愚かしさだ。何故そうまでして地球を、人類を護る!お前程の存在が!】

 

『あの星は、人間が…愛と勇気が満ちる星だから…!』

 

【ならばそのちっぽけな感情に殉じ消え去るがいい!アブソリュート!デストラクションッ!!!】

 

星を破壊する程の一撃。フィリアと言えど、直撃すれば分子にまで分解されるのは必至。それでも、フィリアは地球と、玉座を背にし退かない。

 

(フィリア!!こうなったら、レガリアが壊れてでもフィリアに力を…!!)

 

絶対王権よりも、時空と種族を越えた隣人を大切に想う人の心。

 

──その心が、奇跡を起こす。

 

〔──戦闘コードを打ち込んでくれ!岸波白野!〕

 

突如、レガリアから声が響く。それは、ムーンセル・オートマトンの電脳領域から。

 

(えっ…!?)

 

〔君達は、決して諦めなかった!私は君達を救いに来たのだ!さぁ、早く!アクセスコードは──!〕

 

要領を得なくとも…何故かはくのんは理解できた。いや、それをムーンセルは知っていたのだ。彼が伝えるアクセスコード。ウルトラマンよりも早く、人と繋がった夢のヒーロー。そのアクセスコードは──!

 

(───アクセスコードは…!)

 

 

         〔GRIDMAN〕

 

──瞬間。フィリアの眼前に現れし影。その後ろ姿にて、勇気を与えしヒーロー。

 

【何っ…!?】

 

『──グリッドオォォォッ!!ビィイィイィイムッ!!!

 

左腕からの光線で、アブソリュートデストラクションを完全に無力化し、現れた夢のヒーロー。

 

【何者だ…貴様は!】

 

ムーンセルというスーパーコンピューター…ムーンセルというコンピューターワールドに現れた、電光超人!

 

『私はギャラクシーレスキューフォース所属、グリッドマン!ウルトラマンゼロ、並びにエレシュキガル警視総監の要請でこの時空にやって来たハイパーエージェントだ!』

 

『ハイパー…エージェント…?』

 

『もう大丈夫だ、岸波白野!ウルトラウーマンフィリア!私も、君達と共に戦おう!』

 

黄金の絶望から皆を救いにやって来た新世代ヒーローが、今ゴージャス時空へと降り立った──!!




タルタロス【ハイパーエージェント…ギャラクシーレスキューフォース…フン。ウルトラマンでもない枝葉の宇宙人がノコノコとやって来たか】

グリッドマン『アブソリュート・タルタロス。平行世界の不必要な分岐、並びに平行同位体の量産!ハイパーエージェントとして見過ごせない!』

タルタロス【ならば止めてみるがいい!貴様に出来るのならばな!】

グリッドマン『これ以上の狼藉は許さない!スパァアァク!ビィィィムッ!!!』

極太のビームがタルタロスを吹き飛ばす。凄まじいまでの威力の光線は、ウルトラマンに勝るとも劣らない!

タルタロス【ぐぉおぉっ!?この力、まさか──!】

グリッドマン『そうだ!今私はムーンセルに宿っている…この世界における最高峰のスーパーコンピューターへと!タルタロス!お前にも…究極生命体にも一歩も劣らない力を見せてやる!!』

フィリア『あ、ありがとうございます…グリッドマンさん…!』
はくのん(電光、超人…。ムーンセルにやってきた、ハイパーエージェント…)

?『…フィリアよ、よく頑張った。お前はもう立派な、ウルトラウーマンだ』

フィリア『!──ぁ…』
(あなたは…!)

グリッドマン、更に彼女達の前に姿を現す…超人の中の超人──

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