人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「フランがだらけたのは、オレのせいだってのか・・・?お、オレは悪くねぇぞ!」



「だって、ダイスがそうなったんだ!そうだ、ダイスがファンブって!こんなことになるなんて誰も教えてくれなかっただろ!オレは悪くねぇ!オレは悪くねぇ!!」

「ソーホーに向かいましょう、マスター。ここにいると、バカな発言にうんざりさせられる」


「何の寸劇だ此は・・・」


月の追憶――反骨の童話作家

「キリツグァアァアァアァア!!!」

 

 

 

手に二本の聖剣を持ち、縦横無尽に振り回し片っ端からヘルタースケルターを砕き散らしていくアルトリア

 

 

 

『どうしたというんだアルトリア!?いつにもまして猛り狂っているじゃないか!?』

 

 

 

「持ってるアレがナイフっぽい!彼もナイフ持ってました!!→重火器!ピストル!硝煙!煙草!連想されるは三言しか喋らなかったコミュニケーション不全マスターの彼しかいません!あのロボットになろうと無理ばかりしていたただの人間が思い出されて私を狂わせカリバァアァアァアァ!!!」

 

 

凄まじい怒号と気迫で瞬く間にスクラップを量産していくアルトリア

 

 

「唐突に思い出してしまいました!思い出したくはありませんでしたけど!!どうなんですか!ステイナイトの私のカコバナから派生した話とはいえ!令呪三回の会話しかしなかったとか設定的無理があるとは思わなかったんですか!!パラレルや剪定事象で逃げるなきのこ!一度生まれた物語は、何者も無かったことにはできない!!」

 

魔力放出でかっとび巻き込みながら、機械のスクラップを山と築き上げる――!

 

 

 

「あなたソレ私以外の英霊にやったらアウトですからね!絶対アウトですからね!!ご丁寧にたいころ時空でも私と会話は一切しない徹底ぶり!!貴方をマジカル☆八極拳の致命傷から救ったのは誰の鞘だと思っているんですかこの誰より優しい哀しい人――――!!!」

 

 

 

「いつにも増してワケわかんないなぁ、アルトリア」

 

 

飛び膝蹴りでオートマタの頭部を粉砕し、回し蹴りで胴体を泣き別れにさせ、ラッシュでヘルタースケルターをボコボコにへこませ、関節をブチ折りながらリッカが呟く

 

 

「よっぽど思うことがあるんだろうねぇ」

 

 

「我が婚儀などとほざき執り行っていたところを邪魔立てしたものか。よほど鬱屈を溜め込んでいたと見える」

 

 

――自分達が、何をし、どこに向かっているかと言うと

 

 

ジキル氏の連絡網により、ソーホーと呼ばれるエリアに奇妙なものが現れたと言う

 

 

屋内に入り込み、人を襲い、眠りに落とす本の大きさの怪異、それにジキル氏がつけた名称は『魔本』だ。自分達はこれらを対処するためにソーホーエリアに向かっている最中、エネミーを蹂躙しているのだ

 

 

「わたしはぽんこつじんぞーにんげんなので、いきません。めいよべんち、だらだらします」

 

 

 

「せ、先輩!無理はしないでくださいね!」

 

 

「もちろん!出来る範囲で、だよ!」

 

 

オートマタの脚を掴んだ瞬間、即座に捻り壊す。そのまま身体を大きく回転させて空中で振り回し、勢いをつけ増援の敵に投げつける

 

 

ゴシャリと衝撃と反動で粉々になるオートマタ

 

 

「よっと!」

 

 

月女神の弓矢の強射でヘルタースケルターの動力を纏めて射抜き、連鎖爆発で殲滅する

 

 

『・・・信じられないな、うん・・・サーヴァントに混じってエネミーを蹴散らすマスターなんて希少すぎる・・・』

 

『リッカ、気を付けるのよ。今のあなたじゃまだエネミーを蹴散らす程度。サーヴァントはマシュに任せなさい』

 

「もちろん。だからこそ、エネミーの時くらいマシュには楽をさせてあげたいなぁって」

 

オートマタの首をねじきり、胴体を別のオートマタに叩き付けもろともに叩き壊す

 

 

「マシュ、私、少しずつ肩を並べられるようになってきてるから!一緒に戦おうね!」

 

「はっ、はい!」

 

 

「よぅし仕上げ!『ジャンヌ・オルタ』!」

 

 

右手が光り、リッカ専用の復讐者が現れる

 

 

「こ、これ・・・あんたが全部やったの!?」

 

「そだよ?きりがないから締めをお願い!」

 

「わ、解ったわ!――燃えなさい!!」

 

 

積み上がった数十体のオートマタの山、ヘルタースケルターの残骸を糧に、増援をもろともに焼き尽くすジャンヌ・オルタ

 

 

「凄い!大分本調子じゃない!?」

 

「もう少し、といったとこよ。・・・マスター」

 

「?」

 

「・・・女子力を上げたいなら、ウチに来なさいよ。可愛いデコレーションとか、教えてあげるわ」

 

 

「――うん!ありがとう、オルタ!やっぱり優しいね!」

 

返り血ならぬ返りオイルまみれな顔をにっこりと緩ませ、感謝をのべるリッカ

 

 

「あぁもう!怖いからふきなさいよ!」

 

「わぶぶ」

 

「パンくらなんとかなんてやるから女子力無くすんでしょ!?少しは自重なさい!」

 

「ノー・パンクラチオン・ノー・マスター」

 

「気に入ってるのね!?」

 

マントで顔を拭かせるオルタ

 

 

「ふぅ。スクラップを量産してスッキリしました。・・・おや?ギル?」

 

 

「・・・」

 

――器は先程から、考え事に耽っている。辺りの言葉は耳に入っていない様子だ

 

 

「どうかしましたか?」

 

「――魔本・・・眠りに落ちる者達・・・あぁ、なるほど、そう言うことか」

 

「ギル?」

 

「全く。何度凄惨な目に遭えば懲りるのだ、幻影め。――ん。なんだ、いたのか」

 

 

「いたのか、じゃないですよ。さっきから何をぶつぶつ言っているんです」

 

 

「こちらの話だ。・・・マスター」

 

「ん?よんだ?」

 

「次の敵は、サーヴァント一体と我で片をつけるやもしれぬ。頭の片隅に入れておけ」

 

 

「???」

 

「今はそれだけでよい。さぁ、ソーホーとやらに行くぞ」

 

 

「おーい!おいてくぜ――!!」

 

 

遠くで、モードレッドが剣を掲げている

 

 

 

「先に行け、我は話すべき相手がいる」

 

 

「う、うん!」

 

 

「らしくないですよ、どうしました?」

 

 

「案ずるな。気掛かりがあるだけだ。そら、先に行け」

 

「・・・解り、ました」

 

走っていく一行

 

 

 

「・・・ナーサリー」

 

 

器が呼び掛けたのは、誰かのための物語、ナーサリー・ライムだ

 

「此度の異変、心当たりがあろう」

 

 

『・・・えぇ。何度も見せた手品の香り、それしか見せない儚い意地』

 

 

「――現界しているのは、恐らく貴様だな」

 

 

『えぇ、おそらくきっとよ、優しい王様。私にどんな答えを問うの?』

 

「さて、な。ただ――」

 

『?』

 

 

「・・・あの幻影めは未だに懲りぬ。一度は魂の尾を防壁に断ち切られ、二度めは五体を解体された。・・・そして此度はこの様よ」

 

 

・・・器は、ここではないどこかの世界の出来事を視ているのだろうか

 

「やむを得ぬ場合は、お前の力を借りるやも知れぬ。それだけは覚えておけ」

 

 

『解ったわ、王様。私は信じてる。王様はきっと、野蛮で乱暴に本を閉じないと信じているわ』

 

 

「さて、その期待が報われるかどうかは運次第だぞ?」

 

『?』

 

「よい。こちらの話だ。ゆくぞ。ソーホーとやらは目と鼻の先だ」

 

 

――どうやら、今回の敵には器の心当たりがあるらしい

 

 

・・・ならば、自分は今回は静観に徹していた方が良いだろう

 

 

 

王の決断は、決して無慈悲や安易な結末をもたらさないと信じて

 

 

 

――そして、ジキル氏が指定した古本屋にて

 

 

 

 

 

「・・・ようやくか。待ちくたびれたぞ馬鹿ども」

 

 

パタン、と本を閉じる、ふてぶてしく椅子に座る青髪の少年

 

「え・・・子供・・・?」

 

「え、イケボすぎない?なにこのショタ」

 

 

――彼が、連絡員なのか・・・?

 

 

「――ほーおぅ。滅多に見ることのない顔がいると二度見してみれば、お前がそちらにいるとはな。冷血無慈悲な、編集王?」

 

「可愛いげのない物言いは相変わらずよな、反骨の童話作家。少しは査定の妨げになる邪魔な減らず口は改まったか?」

 

――黄金の王と、青き童話作家

 

 

此処ならぬ何処かの縁が、再び巡りあった――

 

 

 

――遥か彼方の、月の記憶




「貴方の声、どこで聞いたことがあるような・・・」


「別にピラミッドは出せんし、爆弾も出せんし、鬼畜眼鏡でもなければイボンコでもない。身体はきばんでもいないし忍者でもないし仮面の下の涙も拭わぬぞ、ヴァカめ!」

「あ!大体解る!!」

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