人理を照らす、開闢の星

おまけ 夏草開催〜煩悩『無料』請願断キャンペーン

カーマ『私の宇宙にようこそ、夏草においてリッカさんに良くしていただいた善の方々』

巨大極まるカーマは、七色の絹細工で編まれたような宇宙にて微笑む。

『私は最近夏草に帰依した愛の女神、カーマ。皆様の煩悩を、無我の境地だなどという無茶をさせずに昇華させてみせましょう。そう…』

（一人一人の煩悩に誠実に向き合うことによって…！）

洗脳だとか堕落だとか悟りの邪魔だとか一切ない善意の権化の振る舞いを行うカーマ。座禅を組んでいる皆の煩悩とは、果たして？愛の女神、動きます！

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アカネの場合

「怪獣の…親になりたいなァ〜〜〜〜ッッッ……」

『怪獣の、親ですか…？』

という訳で始めてみました無料、煩悩絶ちキャンペーン。私カーマの掌で、私に真っ直ぐにぶつけられる煩悩。まぁ呪や殺人でなければ大抵受け入れるつもりなんですけど。こういう言い方はあれなのですけど。

いきなり何を言ってるんですかねこの方は…。

「聞いてください愛の神様！怪獣というのはその育て方によって様々な姿になる怪獣がいるんですよ！そう！ブリーダーの腕前次第ではウルトラマンすらやっつけられるスペシャルで！スーパーで！とんでもない怪獣が！」

楽園にいるあの、なんかモチみたいな物体は怪獣ではなく完全生命体でしたっけ？それはともかくそれならカーマ知っていますよ。リッカさんの趣味嗜好に触れた甲斐がありましたね。

『ゼットンでしょう？さらばウルトラマンでの活躍は語り草ですね。ちなみに私は二代目ゼットンが好きです。ブモブモしていて、ずんぐりむっくりで可愛いですよね』

「流石神様お目が高すぎぃ！そうなんです！夏草をいつか来る宇宙侵略者から護るためにも、私はいつか自分の手で怪獣ブリーダーをやってみたいんです！私もなー！育てたいなぁハイパーゼットンイマーゴをなー！ウルトラマン3人をリンチしたいよなー！」

（データベース確認中…）…ハイパーゼットンイマーゴって、数多の星を次元を跨いで餌にして育てた最強のゼットンらしいじゃないですか。それを市街防衛の為に養殖したいとか危険すぎません…？流石は煩悩、歯止めが効かないんですねぇ。でも単一化されていない善意とはこういうもの。人間らしさが垣間見えてカーマは嬉しいですよ。

『そうですね、ではカーマと約束をしましょう。まずはなんでもいいので、ペットを子犬から飼育し、無事天寿を全うさせてあげてください。命を預かる大変さと素晴らしさを知る事が出来たのなら、愛の神の名のもとにあなたにゼットンを差し上げますね』

「マジですか！？わんこかにゃんこの次にゼットン！？」

『どうか頑張ってくださいね。あなたにブリーダー適性がある事をお祈りしていますよ、アカネさん』

…楽園ですから、ゼットンくらい余裕ですよね？今度御機嫌王様に、オークションしてもらわないとですね…。

エル君の場合

「アクエリオンと言えば合体！合体といえばゲッターにアクエリオン！カーマ様と言えばドイツにおけるカーマ・スートラを聖典とする神様である故、合一を是とするアクエリオンを好むのは自明の理かと！神と解釈一致が叶い感激と光栄の至りです！！そしてアクエリオンはパーツ合体の位置とエレメント達の組合せにより多種多様なとんでも技を…」

…好きなロボットは何かと聞かれ、気持ちいい合体とインド的に好感触なアクエリオンと答えたら現実世界換算で5時間喋り倒しているんですがこの子…頭の中が煩悩という名の書庫でいっぱいなんですね…

「無限パンチのインパクトは一度見たら忘れられない物理的に月まで吹っ飛ぶインパクト！僕の作るであろうロボットも、そういったトンデモを忘れないようにしたいです！」

…あ、終わりました？そして煩悩ポイント発見！カーマ、切り込みます！

『オリジナルロボットを作りたいのですね、あなたは。あなたの発想力ならば容易く行けそうな気もするんですが』

「光栄です！構想はほぼ固まっているのですがあと一捻りが欲しいのです！カッコよさ、ストレートさだけではないもっと…ケレン味溢れ！それでいて度肝を抜くようなギミックを思いつきたいのです！」

うんうん、それもまた煩悩ですね。非常に相談の乗り甲斐がございます。しかし、ううん…ケレン味に度肝を抜くようなギミック…インドで度肝を抜くといえばシヴァ、そしてカーリーのヘドが出る程幸せ夫婦…共通点…

『…腕を六本くらい生やしてみたらどうです？主役機の見た目なのか甚だ疑問ではありますけれど…』

「！！！！！」

…雷に打たれたみたいになった後、一心不乱に私の掌に設計図式を書いて十時間が経過しています。アドバイスになったかどうか解りませんが…

『夏草の皆さんが幸せならOKです♪という事で』

いつか、現実かバーチャルかでロボットが活躍できる事を祈っていますよ。マルドゥーク神のお友達になってくれたら更に良しです。

保志大和の場合

「神様。争いのない世界や平和な世界を望む心は煩悩ですか？」

一つ人を跨げば答えが難しいガチの悩みの方もいるのが向き合う際のあるあるです。ぽわぽわしているようで、内側の悩みは根深く大きいですねぇ。

『ご心配なく。インドとかいう国では我を捨てない想いは全て煩悩です。さぁ、私に欲を伝えてご覧なさい？』

「…はい。月並みですけど、戦争や争いはどうしてなくならないのか、いつも気になっていて…」

うーん、これはどう答えたものでしょうか。神の視点から見れば、理由はいくつかあるのですけれど…

『私の解釈で良ければ。まず争いは人間の本能なので無くしてはダメですよ。ローマの決闘、コロッセオから始まり現代における受験や会社のポスト争い。もう争いが無くなった人類は人類じゃないくらいに戦い大好きなんです、人間は』

「…そう、ですよね…」

大分意気消沈させてしまいましたね…戦いの後から生まれてくるものを思えば、闘争も決して悪い事ではないのですけれど…

『戦争が無くならないのは、戦争がビジネスとしての側面を持ち、利益を見出す人種が存在しているからだと思います。武器商人、傭兵、勝てば国…そういった利益を産み出す輩が、世界に戦火を放逐するからこそ戦いは終わらない。いえ、終わってもらっては困るから火種を煽るのです』

人間の歴史で安寧をもたらした期間なんて短いも短い筈です。平和では戦争屋が儲かりませんからね。戦争もまた、軍事分野を潤す経済活動。すべてに価値を見出す人間の悪い癖が出た感じでしょうか。

「…じゃあ…戦争は終わらない、無くならないんですね…」

あぁ、そんな世界の終わりのようなお顔を…いけません、リッカさんを取り巻く方々には笑顔でいてもらわなくては。カーマ、少し本気で説き伏せます！

『いいえ、無くなります。戦争や争いで潤うものがあるから戦いが起こるのなら、人類にとって戦争を無価値、徒労にしてしまえばいいのですよ』

「えっ？そ、それは…」

驚くことじゃありませんよ。人間は争うのが大好きですが怠け者でもあるので、要するに戦争をめんどくさいものにしてしまえばいいのです。利権を貪る特権階級の財が貧困層にもたらされ、貧富の差が縮まれば少なくとも経済目的の争いは無くなるはずです。まぁ、民族紛争や差別などの動乱はおいておき…

『戦争や争いを憂うのなら、あなたなりのやり方で戦争を終結させる為の研究をしてみるのも大切ですよ。武力だけの行為も、力ない平和運動も無力なのはよくあること。どうか我々とは違う可能性を見つけてみてください。人である以上、新しい何かを見つけるのはお得意技でしょう？』

「──。…はい！」

良かった、元気を取り戻してくれたようですね。結局のところ、悩みなんて誰かに言ってみればスッキリするというものです。

『戦争に代わる画期的な人類の経済活動の発足、楽しみにしていますよ。夏草の一員として、どうか頑張ってくださいね──』

さて、この調子で皆様の煩悩を払っていきましょうか。えぇ、私は彼等に協力は惜しみません。何故ならば。

『私は愛の神、カーマ。皆様に愛を与え、幸福を感じてもらうことが使命なのですから──』

──ただし末尾に、『リッカさんとグドーシさんを取り巻く全て限定』と付け加えてくださいね。

『博愛とか、今の私にはナンセンス。そう、大切なのは著しいくらいの…純愛と溺愛ですから！』

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アスカ「家族や、仲間の皆がずっと幸せな優しくて暖かい世界が私の願いです。いや！いつか自分達が作ってみせる！」

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サラ「人種差別や、能力による優劣から人間は脱却できたらいい。そんな世界が来るために、私達は頑張らなくちゃいけないんだな…」

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ルル「童貞から…！脱却したいッッッ！！！」

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ゆかな「遍く人々に、幸せがありますように」

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スザク「ユフィの冥福を…」

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黒神「動物がもっと親しく接してくれますように！」

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天空海「差別を無くしてほしいわ！あたしのやるゲームにちらほらブサイクが出てくるんだけど、ナントカ配慮っていうの！？美人を差別すんじゃないわよ！スタイル維持とかやっかみとか食事制限とか乗り越えて美人やってんのよ女性は性的に見られてナンボでしょうがぁあぁあぁ！！」

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カーマ「温度差で風邪を引くかと思いました。…おや？」

金色の狼『…………』

「…残留思念でしょうか。住職さんはお元気でしたよ」

金色の狼『ウォン！』

「…本当、人を救うのってたいへんです。流石グドーシさん、流石リッカさんですね」

煩悩を聞き届け、一人茶室で茶を嗜むカーマであったとさ──