人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「やぁ。マーリンだよ。この度は円卓の皆が迷惑をかけてしまって、すまないね」



「私も胸がいたい。全く。誰がこんなになるまで放っておいたのやら・・・」


「――おまいう、と言う言葉を知っていますか、マーリン」

「!?君は――!?」


「――最果てより光を放て・・・基は空を裂き、地を繋ぐ、嵐の錨――」

「アルトリ――――」







「・・・しかし、英雄王があれほど真摯に物事に取り組むタイプだったとは予想外でした」


「・・・一度くらいなら、力を貸してあげるのも悪くはないかもしれませんね。意固地な剣の私は知りませんが」


改築王・出張編――暇を持て余した王達の探索

「オレのクラレントが――!!」

 

 

防衛機構を粉砕し、侵入したヴィクター・フランケンシュタインの屋敷を探索中、モードレッドが悲鳴をあげる

 

 

 

「クラレントが・・・めっちゃ輝きにぶってる!!」

 

 

「そうですか、大変ですね。で、ギル。何処にいると思いますか?」

 

 

「地下ではないか?古来より怪しげな開発と儀式は地下と決まっていよう」

 

「探索してみましょう。隠し階段とかでしょうかね?どうですかね?」

 

「さて、どうだかな。鬼が出るか蛇が出るか」

 

 

「き!け!よ!!クラレントがさぁ!オレのクラレントがさぁ!!」

 

すかさずアルトリアがネックハングツリーにてモードレッドを締め上げる

 

 

「『あなたの』?いつクラレントがあなたのものになったんです?」

 

「げぅ・・・」

 

「便宜上あなたに貸しているだけで、貴方に賜らせたものなどありませんが?次はなんですか?プリドゥエンでも借り受けますか?10カリバーで考えますよ?」

 

「ご、めんなさいだぜ、父上・・・」

 

「解ればよろしい。全く、あんな無茶な運用をするから・・・」

 

「ヒーローXに焚き付けられたんだよッ!!つーかどこに消えたあいつ!!」

 

 

「呼んでいるぞ」

 

『何のことだい?』

 

 

――謎のヒーローX。一体何ーサー・何ドラゴンなんだ・・・

 

 

『それより、はやく探索を続けよう。寂れた屋敷には宝物がつきものだからね!』

 

「乗り気ですね、アーサー!むむ!ここの床の色が違いますよギル!」

 

「よし、下がれ。『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』!」

 

 

床が財にて吹き飛ばされる。財は拡散しない安心のものを用意している

 

 

――ヴィクター・フランケンシュタインの残した手がかりの探索はマスターとマシュに任せ、器は屋敷の探索に乗り出していた

 

 

 

・・・敵の企みや人員には心底どうでもいいようで、『フランケンシュタインの怪物』なる存在に興味津々なのだ

 

いつのまにかくっついていたアルトリアもパーティーに加え、黄金なりし探索者一行がマンチプレイで財宝を探していたのだった

 

 

「目星や聞き耳ふります?」

 

「必要はあるまい。ロールプレイで代用せよ」

 

『困ったら跳躍で何とかしよう』

 

 

「最悪屋敷を爆破すればノーマルエンドにはなろうな。我が先頭だ」

 

「モードレッド、邪魔なので真ん中にいなさい。私が殿を勤めます」

 

「お、おう・・・?」

 

『地下には何かある。僕の直感90が唸るとも!』

 

「そう言うときに限ってファンブルはよくあることよ。まぁいざというときは我のウルクアーツ99+財に任せておけ。神話生物なぞ一撃で粉砕してくれる」

 

「私もセイバー技能99振りですから大丈夫です!忍び歩きは05ですがね!」

 

「それでもアサシンか貴様は」

 

 

「セイバーです!!」

 

 

「お、置いていくなよ父上ー!」

 

 

探索者一行は、地下へと向かった・・・

 

 

 

――地下。怪しげな機械と、棺桶が安置された部屋に辿り着く

 

「スライムとかいます?」

 

 

「目星を振れ目星を」

 

 

「・・・クリティカルです!」

 

 

「よし、情報を得たな。・・・我の見立てではそこの棺桶が匂う」

 

 

――人一人が入れる大きさの棺桶だ

 

――目星99のネームレス・センサーが告げている

 

 

何かある!(確信)

 

 

「モードレッド、開けなさい」

 

 

「うぇえ!?オレかよ!?」

 

 

「死んでもいいキャラを先にするのは道理よな。死ぬなら劇的なロールプレイを期待しているぞ」

 

「貴方用のキャラシートは108枚あります。いくらでもキャラロストしても構いません。さっさと開ける!」

 

「うぇえ~い。くそッ、父上自由すぎだろ・・・」

 

 

指示に従い、重い棺桶の蓋を開ける

 

 

 

「くそッ!重ぇ!」

 

「STRの技能は3か何かか貴様は。情けない細腕よな」

 

「言ってやらないでください。華奢なのです」

 

「ほっとけ!父上だって身体は」

 

「あ?」

 

「中身はなにかなー!!・・・お」

 

 

 

――中には、角らしき部位を備え、女物のドレスを身に纏い眠るように安置されている人間を見つける

 

 

『ビンゴだ!眠れる屋敷の美女!これこそRPGの醍醐味!』

 

「ですが目覚めませんよ?どうなっているのです?」

 

「大抵この手のアーティファクトには・・・目星自動成功判定で良かろう。あったぞ、説明書だ」

 

「説明書ぉ?つうかこいつ、黒のバー・・・」

 

 

「・・・そこの機械を駆動させ、生成した電気にてこやつは目覚めるらしい。機械技能は振ってあったか?」

 

「宇宙船整備技能で代用しましょう。私の技能は99です」

 

『自動成功だね。さぁ美少女との対面だ!』

 

 

「さ、さっきからなんなんだよ!技能とかなんとか!」

 

 

「TRPGに決まっていようが。そんなことも知らんのかたわけめ」

 

「しらねーよ!?」

 

 

 

「レクリエーションルームでちょくちょくやりますからね。・・・起動しますよ!」

 

 

レバーを引き下ろし、装置が発生させた電気が、眠りについている女性の人間に注がれる

 

 

「お約束を果たしておくか。どこで起動方を習った?」

 

「説明書を読んだのです。・・・目覚めますよ!」

 

 

パチリ、と目を開くヴィクター・フランケンシュタインの人造人間。ゆっくりと起き上がる

 

「・・・ゥ」

 

「・・・?」

 

「ァ、ゥ・・・ア・・・」

 

 

――言語能力が備わっていないのだろうか?たどたどしく、何かを伝えようとしているのは解るが・・・

 

 

「ギル、精神分析振ってます?」

 

 

「振るわけがなかろう。戦闘と財宝探索にしか主眼を置いておらぬわ」

 

『何か代用できる技能はないかい?』

 

「ん~・・・」

 

 

「おはよう、っていってるぜ」

 

「!?解るのですか、モードレッド」

 

驚きの声をあげるアルトリア

 

「ふむ。無能も技能の振り方次第で探索の役に立つことがあるか。バカと何かは使いようか」

 

『それはともかく!彼女、話せないのかい?』

 

「・・・所々杜撰な仕上がりが目立つ。魔力も感じぬ。これはサーヴァントではなかろう」

 

――となると、生前、製造されたばかりのフランケンシュタインの怪物、ということだろうか

 

「ゥ、ア、ゥ・・・」

 

「翻訳しなさい」

 

「あ、・・・怪物は止めてほしいだってさ」

 

「なんだ、いじらしいではないか。身体は見れたものではないが情緒は確立させたと見える。・・・いつになったら魔術師どもは学ぶのやら」

 

溜め息をつき、首を振る器

 

・・・エルキドゥの事を、思い起こしているのだろうか

 

「しかし探索の財宝がこの有り様では些か不釣り合いというもの。製造されたばかりとはいえ、満足に性能を再現されていないものなど見るに堪えぬ。・・・ならば」

 

「ゥ・・・?」

 

「――メンテしかあるまい。ダ・ヴィンチ!」

 

パチンと指をならす

 

 

『呼んだかいギルくん?』

 

「今からこの怪物をアップデートする。手を貸せ」

 

『ほうほうアップデート、具体的には?』

 

「肉体の稼働効率を見直し、言語能力を着ける。サーヴァントとはいかぬまでも、戦力の端には加えられる様にはなろう」

 

『成る程成る程。了解した!ヴィクター・フランケンシュタインの怪物・・・長いからフランでいいや!それを調整できるなんて滅多にない機会だからね!よろしい!そのオーダーに応えましょう!』

 

「目からビームとかもつけた方がいいのでは?護身用に、電撃ウェポンツールとか如何でしょう」

 

『大抵この手の製造された者にはオーバーロードが搭載されている。ほどほどにしたオーバーロード、ほどほどロードを追加しよう』

 

「まんまではないか。よし、では始めるとするか。フランとやら。貴様に言語を授けてやろう。一々翻訳は面倒だからな」

 

「ゥ・・!?」

 

――どうせ仲間として合流するのならば、会話を交わせる間柄の方が、スムーズに心を交わせるはずだ

 

新しい仲間として、挨拶くらいは交わしたい。個人的な願いではあるけれど

 

 

「あ、あんまりいじらない方がいいんじゃないのか・・・?」

 

 

「よし、肉体改造、精神調整でそれぞれ振れ。参考にするとするか」

 

「では私が。肉体は・・・セイバーッ!!」

 

 

・・・01。確か、クリティカルか

 

 

「見ましたか私の幸運!」

 

「よし、サーヴァント戦に耐えられる強度にしてやろう。我とダ・ヴィンチに任せよ。さて、情緒面は・・・」

 

「オ、オレが振る!オレもやりたい!」

 

 

「・・・大丈夫ですか?」

 

『まぁまぁ、チャンスは公平にね』

 

 

「よし!バッチリまともな性格にしてやっからな!――オラァ!!」

 

ダイスをたたきつける

 

 

――数字は・・・

 

 

「「げ」」

 

 

「・・・呆れるばかりよ。外すところだぞそこは」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふらんけんしゅたいんのかいぶつ。ふらんってよんで。よろよろー」

 

ぐっ、とガッツポーズを取るフラン

 

 

「というわけだ。戦利品として持ち帰るぞ」

 

 

「わ、私達がメモを読んでいるうちに何が・・・!?」

 

「なぜそこでファンブルなのですか。バカですか」

 

「知らねー!オレは悪くねー!!」

 

 

「うごくの、ぶっちゃけめんどいです。おうさま、おぶってください」

 

「ぐうっ――!その図体で飛び掛かってくるな!大型犬か貴様!!」

 

 

「かわい――!!」

 

「先輩!?」

 

 

――出した数値は99、ファンブルだ

 

けだるげでものぐさな人格が、フランに設定付与されましたとさ




「こんにちはー。おせわになりまーす」


「ヴィクタっ・・・君が、フランケンシュタインの・・・!?」


「フランってよんで。さっそくだけど、だらだらさせてください」

「えぇ・・・?」

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