人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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うたうちゃん「それでは私は、高天ヶ原の管制システムに接続し皆様のバカンスをサポートします。どうかゆるりとお楽しみくださいませ」

ギル「お前が噂の電子の隣人か。マメな事よな。貴様も休んでよいのだぞ?」

──あなたにとっても決して、楽な戦いでは無かったはずですから!

うたうちゃん「ありがとうございます、金色の王様。ですが私は、あなたや皆様が幸せであると私も幸せなのです。ですからどうか、私に奉仕をさせてください」
(無理はしないわ。これが私達の誇りで、幸せなの。だから、ね?)

ギル「──そうか。ならば貴様に、市長めの言伝をくれてやる」

うたうちゃん「内海さんから?」

「『無事で良かった』…だそうだ。意味を噛み締め励めよ、電子の隣人。ではな」

──ワタシもあなたを、心から尊敬し見習います!それでは!


うたうちゃん「…。………、………」
(フリーズしてる、フリーズしてる)

「わぁいー、わぁいー」
(何その喜び方…!)

「こ、こほん。では始めましょうか、ディーヴァ。これより──」
(えぇ。──郷土奉仕を、遂行するわ!)



高天ヶ原施設巡り

「おぉお〜!これが千葉夏草の誇る最高級スパリゾートホテル!高天ヶ原ですかぁー!」

 

早苗の感嘆の言葉が響き渡りし客室の間。そこは夏草が誇る観光名所の名に恥じず、楽園が参考にしている最高級スイートルームに勝るとも劣らない設備の充実ぶりが宿泊客たる一行を出迎える。

 

「見てください先輩!テラスから青い海に晴天が見えますよ!どこまでも広がる空、そして空です!そしてあの高く高く聳え立つ山は、もしや日本の遺産たる!」

 

「富士山よ、富士山。綺麗ね…たかが山だって侮れないわ。日本の宝物っていう説得力が半端ないわ…」

 

全室オーシャンビュー。即ちいつでも東京湾と空模様を楽しむことのできる風情溢れる空間こそが夏草活動におけるリッカ達の活動拠点。楽園カルデアが守り抜いた世界の美徳たる景観が、資料でしか垣間見れなかった日本の風雅と優雅を兼ね備えた絶景がマシュとじゃんぬの心を打つ。

 

「家族の団欒にもってこいの場所ですねぇ。流石はゴージャスな王様が選んだイチオシリゾート…え!?露天風呂が付くんですか!付いているんですか!?」

 

「即ちそれはお風呂入り放題なんですか!?やったぁー!24時間露天風呂とか幻想郷でもありませんよわーい!」

 

当然入り放題、ベッドは巨大、優雅な景色は味わい放題。忘れられない記憶と一時となる気配りに満ちた空間が、景色と風情においては楽園も上回る天然自然が楽園の財達を癒やし、迎える。

 

『カーマ殿、我等男組は腹拵えをしてくるでござる。またお会いしましょうぞ』

 

「はーい、後でお会いしましょうね。グドーシさん」

 

(これは素晴らしい機会です…個室ならば水入らずで混浴し放題…即ち、たくさん秘密の思い出が作り放題という事ですからね…!)

 

「見てください先輩!エビフ山を思い出しますね!あの富士山より高い場所に、高天ヶ原はあるのでしょうか!」

 

「何も考えないでぼんやりできそう。いい故郷ね、リッカ」

 

「えへへ、だっしょ〜?サナちゃんも楽園入で得したね!」

 

「うぅぅ、マウント取らないよう自制するのが大変です!楽園とはまた違った日本旅館、味わい尽くしましょうね!」

 

『リッカ。アスカだけど、これから売店行くから一緒に行くか?』

 

「行く行くー!楽園の皆のお土産作りだー!」

 

「「「おーっ!!」」」

 

(リッカさん、グドーシさん。会えなかった、離れ離れでいた時間の分だけ楽しい思い出を作りましょう。この愛と安息の神、カーマが付いていますからね…!)

 

硬く誓うカーマ。彼女は真っ当な思い出を作る為に請願するのであった。

 

──彼女の側面は今、愛の神へと振り切れていた。いや、真実の愛を知ったその日からずっと…。

 

 

 

「ここが高天ヶ原名物、総合食事処『天岩戸』かぁ…解ってはいたが、多種多様だなぁ!」

 

ロマンの感嘆に違わぬ通り、そこには貸し切りとならなければ観光客にてごった返すであろう幸と富に満ちた食事処の空間が広がっている。まさに最高級、腹と目を満たす場所となっていた。

 

「バイキングホール『芦原』。東京湾の青がなんたる眩しい事か…」

 

グドーシの感嘆の通り、どこから見ても海が出迎える部屋の作りであり、母なる海より取れた魚介、海産、さらに新鮮な肉や野菜などを料理するオープンキッチンが備わったバイキング施設が男性陣を出迎える。

さらに新鮮な肉や野菜などを料理するオープンキッチンが備わったバイキング施設が男性陣を出迎える。

 

「俺の調べによれば、和食処は『月読亭』という場所だ。少人数グループでの食事、雰囲気のある半個室でプライバシーとムードを両立させてくれる作りにもなっているとパンフレットに書いてあったぞ」

 

「君、こういう場所行きたいタイプだったんだね。ルル」

 

「ここが特別なんだスザク。学生が何日も宿泊できるような場所じゃないんだからな、ここは。パンフレットを凝視して脳内で宿泊シミュレーションを繰り返していた、それだけの事だ(ドヤッ)」

 

「さもしい奴め」

 

「黙れどこから湧いた魔女め!貧乏学生の試行錯誤を馬鹿にするな!」

 

「(無視)海鮮丼の他に、中華料理を専門にした食事処、和風バイキング亭『大国主』、ナイトラウンジ『建御名方』、カラオケルーム、パーティー会場『天宇受売』といった娯楽施設も充実しているぞ。一生に一度あるかないかの機会だ。唯一の男友達と懸命に楽しむんだな?」

 

しおり、付箋、地図のついたパンフレットをルルに放り投げ、言うことは言ったと何処ぞへ立ち去るゆかな。猫のような気まぐれさに、ルルは歯噛みする。

 

「的確に俺にダメ出ししていくやつだ、相変わらず…!友達が少ないなど余計な世話だ、ばーか!」

 

「…ルル、今のゆかなの行動はどう思うかな?」

 

「どうもこうも、嫌がらせ以外のなんだというのだ!おのれカロリー節制の魔女め、脱いだら逆にすごくなってしまえ!」

 

…これはフォローが色々大変だなぁ。女性の本位と真意に疎すぎる親友の機微の壊滅ぶりに、静かに決意を固めるスザクであった。

 

「行くぞスザク!まずは鉄火丼大盛りから食う!」

 

「サーモンもいいかな?」

 

「……ネギトロも乗せるぞ!」

 

(善哉、善哉…)

 

 

「潮風!ヤシの木!!気分は南国ね!まぁ勝手知ったる夏草なんだけど!やっぱプールには拘りたいわけ!私名前、天空海だし!」

 

腕を組んで天空海が見据えるは、高天ヶ原が誇る屋外プール、そしてウォータースライダー完備全天周囲アクアパーク『恵比寿の間』。全長70メートルのスライダー、最大240メートルのプールを太平洋を望みながら水の楽園を堪能できる空間に、しきりに頷く夏草のアイドル。

 

「たまーにアイドル活動でここに来たりもした訳よ!そんなだからわからないことがあったらドーンと頼りなさい、ドーンと!」

 

「それは実に頼もしい、あてにさせていだきます、先輩。ところで…」

 

「高橋エル!行きまーす!!基地スライダーから一気に戦闘コアユニットへ搭乗、ドーン!!」

 

「ちょっと!まだ怪獣出現してないんだけど!スクランブル発生までは待機とかじゃないの普通!?」

 

「スクランブルは自らが察知して行動しないと手遅れになるのですよー!わーい!!」

 

「あちらのはしゃぎにはしゃぐ年少組の事はよろしいので?」

 

少し目を離せば、広大極まるアクアパークではしゃぎにはしゃぎまくる一年生組。天空海が説明する前から、はるか広大なる水の楽園で怪獣と迎撃部隊ごっこをしていたタフネスのはしゃぎぶりに、黒神は愉快げに肩を竦める。

 

「あ~あ~、はしゃいじゃってまぁ。私は皆の先輩だからそんなはしたなく騒いだりするわけこらーーー!!先輩差し置いて何を遊び呆けているんじゃぁー!!!」

 

「アカネさん!特A級怪獣雨宮天空海さん接近!どうしましょう!?」

 

「こんな時だけ怪獣サイドに振るなー!?うわぁバタフライでこっち来るぅー!!撤退!撤退ー!!」

 

「誰が怪獣よおらあああぁぁぁぁ!!!」

 

「全く、先輩の威厳とはなんだったのか。…怪我だけはしないようにお願いします。後輩二人も羽目は外しすぎるな!いいな!」

 

生徒会長として、規律を護る様に釘を刺す黒神。バタフライで逃げ惑う後輩を追いかけ、ウォータースライダーを逆流する超人ぶりを見せる天空海に苦笑する。

 

「夏草のアイドルを敬わんかいコラァアァアァ!!」

 

「河童がいる!河童がいるぅぅうー!!!」

 

「ゲッターロボ3は水中特化ですがそれ故あまり出番がありません!スパロボなどで水中戦があったら優先して使ってあげましょうね!」

 

「なんの話ぃいぃ!?」

 

「──本当に、怪我人が出なければいいのだが…」

 

エネルギッシュすぎる先輩と後輩の姿を見ながら、生徒会長として気を揉む黒神でしたとさ──




うたうちゃんの声『本日はスパリゾートホテル、高天ヶ原にお越しいただき誠にありがとうございます。皆様に、御連絡を申し上げます』

リッカ「うたうちゃんの声だ!」

マシュ「流石は郷土に仕える御方、業務移行がシームレスです!」

『浴場の準備が整いました。ダンシングウォーター、レーザーショーを堪能しつつ入浴をお楽しみいただけます。男性、女性ともどうぞ、心ゆくまで夏草をお楽しみください──』

ロマン「準備ができたって、グドーシ君!」

グドーシ「えぇ、これより存分に湯治を楽しみましょうぞ」

うたうちゃん『本日はお越しいただき、誠にありがとうございます。皆様が忘れられない一時になる事となること、心より御祈り申し上げます──』

榊原「ふふ…じゃ、また後でね?」

うたうちゃん「料理の準備はお任せください。どうか、良き御時間を」

一同はいよいよ、本命である浴場へと向かう。これより夏草を味わい尽くす拠点の、本命たる湯の楽園を目指して──

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