人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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二回目のワクチン接種だ!

しかし俺は平気だぞ!!

あれぇ、おかしいなぁ。これからなのか…?まぁ無いに越した事はありません!良かった良かった!この小説を執筆してからというものまるで体調不良に縁が無いです!これがプレシャス健康法…!

というわけでこれからリッカが目覚める間、サーヴァント達のアレコレをお送りいたします!どうかゆるりと、お楽しみください!

…ストックあるからこれから副作用来ても大丈夫!なはず!

後いつの間にか600万文字超えていました!こんなに続けられたのは皆様のおかげです!

叙事詩4周年ももうすぐ…お祝い何しようかな!ご期待ください!本当に、ありがとうございました!!




田村麻呂「来たぜ、来たぜ!!日本、そして夏草!!オレ様の国に来ちまったぜー!!」

鈴鹿「元気ありあまりすぎっしょ!?ちょっと慎ましくしないと変な人だと思われんじゃん!?」

田村麻呂「誰かに見られる自分なんか気にすんな!自分が誇れる自分を気にしろ!鈴鹿!」

鈴鹿「別に上手くないし!?」

田村麻呂「よぉし行くぜ!鈴鹿ァ!!」

鈴鹿「何処に!?」

田村麻呂「決まってんだろ!オメーの行きたいとこだ!!


田村麻呂、夏草に立つ!〜逸話と伝承のアレコレ〜

「そう言えばマロ、気になった事聞いてもいい?」

 

鈴鹿と田村麻呂、やってきたのは夏草ショッピングモール。屋上から一階まであまりにも沢山のコーナーが待ち受ける現代の大市場。オレの行きたい所はオメーの行きたいところだぜ!と豪語した田村麻呂を連れて彼に荷物持ちを任せ、リッカに渡せるような香水やメイクグッズを物見する鈴鹿が、夫に質問を投げる。

 

「今日のオレ様のパンツは旭柄だぜ、めでたいだろ?」

 

「そんなのいいし、どうせ夜脱がすし!違くて、アテルイちゃんの事。…マロって私の夫だよね?」

 

「太陽が昇ると同じくらいに当たり前の事を何今更言ってやがる!?鈴鹿の嫁は田村麻呂!エジソンが偉いくらい常識だろが!」

 

「そうじゃん?でもアタシさ、アテルイちゃんの記憶全然無いんだけど。ていうかアンタとアタシ子供作ったじゃん!後妻とかじゃないよね?ちゃんと記憶あるもんね!?」

 

記憶の差異と共有できていない記憶。不安に駆られる鈴鹿に対し、あぁ、そんな話かと微塵もブレない田村麻呂。フィッシュソーセージを喰らいながら、補足する。

 

「シャルルマーニュに聞けばわかりやすいけどよ、まぁオレ様レベルのスゲェ英霊なら、オレ自身の出典にもいくつかのタイプがあるんだわ。かいつまんでいやぁ『田村麻呂伝説』出典のオレ様と、史実に生きたオレ様な。シャルルマーニュ伝説のアイツと、カール大帝っていう現実のアイツ。同じ様なもんな訳よ。今のオレ様は田村麻呂伝説のスーパー痛快大将軍田村麻呂として現界してるわけだ!伝説の天女であるオメーと結婚して、鬼やらなんやらを倒したスゲェ伝説としてな!ウラネキと会ったのもこっちの方な!」

 

「えっと、それつまり、征夷大将軍田村麻呂ってギャルゲーがあって、アタシルートとアテルイちゃんルートがあるって訳…?」

 

そうなる!!断言する田村麻呂。サーヴァントというものは本人ではなく、あくまで英霊の一側面を切り取ったものでしかない。なればこちらは、『鈴鹿と共に駆け抜けた田村麻呂』という伝説の側面であるのだろう。むしろアテルイをキチンと認識していることこそが驚愕に値する規格外なのであろう。田村麻呂は目を細める。

 

「…つーか今更なんだけどよ、お前の前でアテルイの話するのってマナー違反じゃね?嫁の前で並行次元の婚約者の話すんのもなー。聞くのか?」

 

「ホント今更。でもいいじゃん、好きあいになんの関係もな婚約者ァ!?」

 

「言ってなかったか?オレ、オメーに会わなかったらアテルイに惚れてたんだぜ?ま、鈴鹿あってのオレ様と座に刻まれたからこっちが本来のオレ様だから安心しろ!アテルイとはそうならなかったし、なれなかった。これからもなるつもりは無いからな!ふわはははは!」

 

鈴鹿命だぜ!と告げる田村麻呂に鈴鹿は胸を撫で下ろすと同時に、更に問う。アテルイとは、自分以外に彼を射止めた女性とはどんな方だったのかと。

 

「イイ人だったんじゃん?少なくともすっごい見る目はあるよね、男のさ。アタシが保証するし、それは」

 

「自画自賛かよ、そういうトコも好きだぜ。…朝廷に助命嘆願する前、一週間ぐらい一緒にアイヌを回ってな。触れ合ったのはそんな短い時間だったが…イイ女だったよ。理知的で、聡明で…水面に映る、月みたいな女だった」

 

物静かで、自然と共に生き、そして慈悲深く、聡明で。それでいて戦いには雄々しく勇ましく武器を取り、同志の信頼篤く。それでいて…

 

「下品にならないくらいにしなやかさと豊かさのバランス取れた抜群のスレンダーさがマジで豹や牝鹿のボスみてーでなぁ。青髪と蒼白装束が映えるんだわ、まじで!」

 

「へ、へぇ?そうなんだ?ふーん…ふーん?」

 

「オメーが始めた話だろが!いっちょ前にジェラシー感じてんじゃねぇやアホ!…何よりアイツは、言ってくれたんだよなぁ…」

 

 

日本は素晴らしいお国です。これからもずっと。

 

だって、あなたが産まれたのだから。あなたの名がずっと残るのだから。ずっとずっと、素晴らしいでしょう。

 

 

「…プラトニック…」

 

「言っとくが身体の関係は無かったから安心しろ。朝から夜、夜更けから朝焼けまでずっと日本の、世界の話をしてた。この綺麗な世界を、二人でもっともっと良くしていけたらなとずっとずっと話してたな。湖のほとりで、蛍やら何やらを見ながらな…」

 

そしてそうなったからには、助命嘆願を行うのも当然の帰結だろう。朝廷に、アテルイは同志となり共に日本の未来を担える存在だと田村麻呂は熱弁した。しかし…

 

「…旗印は、二つもいらねーんだと。朝廷の奴等は、アイヌのカリスマであり優れたシャーマンだったアテルイを恐れた。日本を二つに割る存在だって、な」

 

「そんな…で、最期は…」

 

「斬ったよ。オレが斬った。アテルイの亡骸も尊厳も、誰にもくれてやる気はなかった。…まぁ、処刑の瞬間まで飯も食わねぇで眠りもしねぇで泣いてたがな。オレは」

 

世界を見に行く約束をした。日本をより良くする約束をした。いつかキレイなものを見に行く約束をしていた。それは叶うと思っていた。しかし、それは許されなかった。希代のカリスマが二人いれば国は割れる。強き陣頭は、一人でなくてはならない。最悪、二人が組めば朝廷すら越える力を有する事を危惧されたのだ。田村麻呂によるアテルイの助命嘆願は、受け入れられなかった。

 

「絶対に生かしてやるって、一緒によりよい国を作ろうって約束したのによ。…オレはアテルイに、なんの約束も果たしてやれなかった。ただ、泣くことしか出来なかった。許してくれとも言えねぇ、ただただ泣くことしかな」

 

「そんな…」

 

鈴鹿は知っている。無茶苦茶な強さと理屈と道理で、不可能をなんでも蹴散らす痛快さと豪快さ、快男児そのものな田村麻呂を。そんな彼が、ただただ泣くことしか出来なかった事実に愕然とした。

 

「だがなぁ…アテルイはオレを赦してくれたよ。ずっとずっと慰めてくれた。オレを恨む事も、憎むこともせず、風にそよぐ水面みてーに静かに、優しくだ」

 

 

泣かないで、あなたに出逢えた私は幸せだったから。

 

私の魂は、風になってあなたの傍にあるから。

 

私の声は、川のせせらぎになってあなたを癒やすから。

 

私の想いは、月となってあなたを照らすから。

 

 

「…処刑の瞬間まで、オレとアテルイは心を通わせていた。いつか、必ずまた会おうってな。死した先、天上の国でも、どこでもいい。また会おうって約束したんだよ。…オレ様の全盛期は、アテルイと出会ったアレコレなんだろうな。そっからの後も先も、伝説側のオレにはよくわかんねー。アテルイの事だけは何があろうと、忘れないって霊核に刻まれてるんだろな」

 

「……」

 

温羅の介入がなければ危なかったとはいえ、自分達は無事に添い遂げる事が出来た。それに対し、アテルイと田村麻呂は悲恋に終わった。時代が彼らを、正しく引き裂いた。

 

「買い物、終わったか?ならオレ様に付き合ってくれねぇか?行きたい所があるんだよ」

 

「行きたい、ところ?」

 

「おうよ。征夷大将軍として日本の将軍として、絶対に行っておかなきゃいけない場所だ!難しい所じゃねぇさ、すぐに終わるからよ。さあほら、お会計しろお会計!」

 

「わ、わかってるってば!」

 

田村麻呂の勢いに押され、買い物を切り上げ彼の頼みに押される鈴鹿。彼の哀しみを、どれだけ肩代わりできるかは分からなくとも。

 

(少なくとも、めっちゃ愛されてるのは確定じゃん。…待ってるよ、アナタの事)

 

「精力剤って置いてあるか?」

 

「何聞いとるんじゃアンタはー!?」

 

少なくとも、それは浮気でもなんでもない。清純なる国への想いがあったと、鈴鹿は信じるのであった──。




公園

鈴鹿「来たかった場所って…ここ?」

そこは、夏草の大型公園。人々が、子供達が楽しげにはしゃいでいる光景を、ベンチにて見つめる田村麻呂。

田村麻呂「見ろよ鈴鹿。戦に怯えることも、飢えて死ぬこともなく幸せそうに笑ってやがる。…オレとアテルイが夢見た未来がありやがるんだ」

鈴鹿「夢見た、未来?」

「ガキがガキらしく振る舞える国を作ろうって、約束してたんだ。いつか絶対、天下泰平を作るってな。まぁ、天下泰平になったら武者も武具もいらなくなるんだが…でもまぁ、俺等なんぞ暇なのがちょうどいい。武士や武者なんぞ滅びるのが一番だ。こういうの…滅びの美学って言うらしいぜ?マスターの故郷が平和で良かったなぁ!」

鈴鹿「…だね。やっぱ嬉しいし。アタシ達の未来が、こんな感じなのは」

田村麻呂「おう!」

鈴鹿「…ね、マロ。いつか、アタシ達の子と、アテルイちゃんをあわせたいね」

田村麻呂「だな。アテルイも可愛がってくれらぁな。リッカにも紹介したいし…あ」

鈴鹿「?」

田村麻呂「聖杯二つ見つけて、受肉してこしらえるのどうだ?新しい大将軍の世継ぎだ!たまげるぜー?」

鈴鹿「聖杯そんなポンポン…あるわー、楽園あるわー」

田村麻呂「決まりだな!世界平和にしたら!新しく坂上一族作るぜー!」

鈴鹿「はいはい、世界が平和になったらね!」

その後も、公園のベンチで互いを慈しみ合う二人でありましたとさ。

──かつて未来を語り合った、蒼穹の英雄を想いながら。


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